2024/08/18 のログ
ご案内:「常世公園」にゼアさんが現れました。
ゼア >  
 夏季休暇も俄かにその終わりが見えてきた、ある日のことである。

「ふんふーん……らららー……♪」

 昼の熱気を色濃く残す、凪いだ暗闇の下。ご機嫌な少女は鼻歌を歌いながら公園のある場所を目指す。
 街灯の明かりを背中の方に置いてきて、そこに辿り着けば――ゼアは肩に掛けた、中のパンパンに詰まった鞄を芝生に落とした。

「よいしょっとうちゃーく」

 なんてよくわからない掛け声と同時に。
 鞄の中から取り出したのは、一冊のノートとペン、そして。

「じゃーん」

 蛍光塗料で星が光る、星座早見盤。
 周りに誰もいないというのに、見せびらかすように掲げた。

ゼア >  
 今日は、夏の星座の観察。
 ――というのは、あくまで目的の半分。

 流星群がよく見える日なのだと、商店街の人に教えてもらった。
 ゼアが元居た世界では、流星というのは――現代日本の感覚と比べても――大変縁起が良いものであった。
 詳しい話は置いておくが――闇を切り裂く光の矢に見立てられており、見た者の邪気を祓い清める力があると信じられてきたとか。

 そんな流星が、いくつも降り注ぐのだとか。
 そういう話を聞けば、そりゃあ、機嫌もよくなる。

「んふふ、りゅーせいぐんりゅーせいぐんー♪ 悪をー穿てーせんめつせよー♪」

 歌が物騒すぎませんかね。
 誰も知らない歌詞を、たった今作ったメロディーに乗せて、ゼアはノートにペンを走らせる。

『流星群観察ノート ○月×日』