2024/09/08 のログ
ご案内:「常世公園」に篝 白夜叉さんが現れました。
篝 白夜叉 > 何もすることがなく手持無沙汰である。
あれこれと思考に耽る際は公園に来るのが
いつの間にか習慣となってしまって、今日も今日とてここに来た。

時間は夕方18時を少し過ぎたくらい。お天道様はまだ少しだけ見えるが
空は少しずつ群青色に色付きつつあるようだ。

本人は何をしているかというと、公園のベンチで缶コーヒーを片手に
何をするということもなく、足を組んでぼんやりと視界に映るものを
そのまま連想ゲームみたく脳裏に浮かべているのである。

──とはいえ

「今日の業務はいったん落ち着いたんやけど…"おもんない"って言葉が今日のオチになってまうな…」

風紀委員会であるとはいえ、毎日が毎日悪い人物を罰しているわけでもない。

もちろん鍛錬はするし、必要なことはしっかりやっている。
──しかし毎日がアドベンチャーなわけではない。

(なんやろな。もっとおもろいことあってもええんやけど…何もしない日があってもそれはそれでええんやけどさ…何か…なんかやん?)

「あー…おもんない」

大あくびをしながら、そんな風に今日という日の感想を述べる。
今日の夕飯を考えたほうがまだ有意義だろうか?

天はかなり暗くなってきている。ちらほら星も見える。

こんな日も悪くないが、やはり何か足りない。
暴れ足りないと言えばいいのだろうか

毎日暴れていても疲れてくるだろうが、何もないというのも寂しい話だ

ご案内:「常世公園」に篝 白夜叉さんが現れました。
ご案内:「常世公園」にギジンさんが現れました。
篝 白夜叉 > 遠くに見える藤棚の下のベンチでは、まだ明るかったならば
よくわからない人たちが将棋をしていたりするのだろうが
今は残念ながら18時。もう晩飯時であるため誰かいるわけでもない。

藤棚が灯りで照らされているのが見える。藤棚はもう見ごろを終えてしまったのか、蔓のように巻き付いている木の枝しか見えない。

(そういえば、藤の花っていつ頃が見ごろやったっけ?)

ぼんやりと考えている間に時間は過ぎてゆく
アナログ式の時計塔は18時半を示していた。

「今日は飯食って寝ろって神様も言うてるんかなあ」

点がちりばめられた空を眺めながらいつになく残念そうな様子でいる
神様が本当にそんなことを言ってるのかわからないが、今の白夜叉には
そう思えてしまうのだろう

カラスも鳴かず住処にかえる時間帯である。
ここは自分も帰るべきなのだろうか

「別に今からちょっとだけでも娯楽に走るのもアリなんやけどな…」

外食としてどこかに行って、そこでのんびりするのも悪くない。

(最近は自炊でへったくそな料理ばっかり食べてたからええよな…?)

そんなことを考えながらもまだここにいるのは、何かあるかもしれないという謎の自信があるからであった

ギジン >  
夕陽が沈む公園にて。

「今、お時間よろしいですか?」

折りたたんだ日傘を手に話しかける。
彼を前に薄く微笑んで。

「突然失礼しました、せっかくの日曜日に浮かない顔をしているので気になってしまって」
「なにかあったのですか?」

缶コーヒーを片手にしている彼を前に。
いつまでもヘラヘラ笑っているのもなにか、と表情を消す。

「悲しいことがあったのでしたら重ね重ね非礼を詫びなければなりませんが」
「別に宗教の勧誘などではないのでご安心を」

篝 白夜叉 > 疲れがあるわけでもなく、悲しいわけでもない
否、何もすることがないのは悲しいことか。

なんとなく気分がブルーになってきた。

そんな時に救世主のごとく現れたのは…
傘を携えている女性であった。街灯の光が彼女の赤い瞳をより一層際立たせて、一瞬白夜叉はそれに目を奪われていたようだった。

「…ん、ええよ~…むしろ声かけてくれてよかったです」

暇だと死ぬ病やねん、なんて笑う

「あかん、俺そないに浮かない顔してました?あかんあかん」
「まあ、やることないから暇やなーって思ってたくらいですよ」

話始めれば止まらなくなるのは昔に関西人と呼ばれていた人たちの名残だろうか。
ともかく、人を立たせたままであるのは此方としても申し訳ない。
一先ず隣に座ってもらおうと思えば少しずれて

「こっち座りはる?一応開けとくで」
「そんな、詫びとかいりませんよ」

目を細めて普段の優しい表情を見せるなり片手を横に振って詫びなくてよいことを伝える。

別にこちらとしては彼女を警戒などしていなかったからだ

「ん…この匂いはチョコレートか…タバコ吸うたはります?まあ吸うとるから言うてなんも言いませんけどね」

若干の物の燃えた匂いとチョコレートの香りからすぐに察し、思わず言葉に出してしまった。

「なんやったら吸うてもええですよ」

ギジン >  
「そうですか、退屈でしたか」
「夏の夕暮れ、日曜日の終わりに時間を持て余していると」

失礼します、と隣に座り。

「ええ、なにかの悲劇的運命(ファタリテ)に巻き込まれているのかと」
「しかし見当外れで安心しました」

ベンチからは夕陽がよく見えた。
すぐに夜の桔梗色が押し寄せて染め上げるとしても。
美しいと感じる。

「そうですか? でも遠慮しておきます」
「あなたに甘い香りを移すのは心苦しい」

「どちらかというと、あなたはトニック系の香りが似合いそうな気がしたので」

空を見上げて一息ついて。

「僕は西岡深冬です、名前を聞いてもよいでしょうか」

篝 白夜叉 > 「そうなんですよ。退屈なんです」
「なんやろう、寂しさはありますねえ」
標準語とされている言葉遣いにしようとしているのだが、どうしても訛りが取れない

彼女が隣に座る。若干のチョコの香り。

「ファタリテ?いやいや」

全くの見当外れではあるがなんとなく彼女の話し方は面白みを感じて

(この人、なんかおもろいやんけ)

そんなことを思いながら彼女に微笑みを向けていた

「そうですか。まあ、任せます」
「え、俺って甘い香りは似合わないです?」

「トニック系…ほう」

ハイカラな言葉にはまだ弱いほうだが、なんとなく知っている単語だったためそれっぽく頷いた

「西岡さん、ね。俺の名前は篝 白夜叉って言います。」
「白夜叉って名前、結構気に入ってるんですよ。自分でいうのもなんですけど、かっこよくないですか?」

(あかん、さすがに自意識過剰か…?)

内心めちゃくちゃ汗をかきながらもその言葉を言いきってしまって
心中は穏やかではなかった

「西岡さんは、散歩かなんかですか?」

ギジン >  
「友人を増やすといいですよ」
「放って置くと寂しさというのは部屋に忍び込んでしまいますから」

「楽しみと予定で部屋をぴっちりと埋め尽くして、入り込むスキマを消してしまうと良いです」

彼の顔を見る。
長くワイルドな印象を受ける白髪。
横一文字にすらっと伸びた眉。
神秘を隠した琥珀色の瞳。

「あまり人と話すほうではないので突飛な言葉遣いがあったら申し訳ないです」

空には月が薄く顔を見せていた。
もうすぐ夜の時間だと知らしめるかのように。

「整髪料は使わないのですか?」

微笑んで首肯する。

「ええ、良い名前だと思います」
「篝さんは自分の名前を気に入っているのですね、それは良いことです」

「冬の枝のように頼りなく、寄る辺ない自我を持つと自己の名前すら懐疑的になるので」

日傘の柄をそっと撫でて。

「買い物です、残念ながら特に良いものは見つからなかったのですが」

篝 白夜叉 > 「ぐっ…友達はいるんですけど、時間が合わないんです…」
「それは言えてますね。いつの間にかあいついるんですよ。寂しさっていうのは」

彼女の言うことは的を射ていて、さらには自身の心の痛いところを突いた
友達がいないわけではないが、時間が合わないので寂しいのは変わらない

どこか魅了的な赤い瞳がこちらを捕捉する
ダークブラウンの髪のインナーカラーは赤色

「…なんかついてます?」

特にくすぐったくもないが、何か付いてるのかと気にしてしまって
顔を手で全体的に払いつつ

「いやいや、全然謝ることないですよ」

夜がやってくる。月の光が自身の白髪を照らすのだ

「整髪料は使わないですね。この髪は自分のトレードマークなんでね」

自身のこの髪と赤い服装が、ある人には威圧を与え、ある人には安心を与えるのだ。これがトレードマークだ

「まあ気に入ってますね。すごくいい名前だなって自分ながら思います。」

「個人的には……西岡さんの名前もいいお名前だと思いますけど…余計なお世話ですかね?」

すっかり静かになった公園で二人
彼女の名前は個人的には良い名前だと思った。思ったことはそのまま素直に表現してしまうため、そのままストレートに投げかけた

「買い物でしたか。確かに、何か欲しいのにその何かがわからず何も見つからずってのもありますよね。」
「そういう時俺は少し虚しくなります」

ギジン >  
「まるで篝さんに友人がいないような物言いをしてしまいましたね」
「しかし寂しさというのは動物的本能です」

「自己が身の安全や種の保存に有利な環境に立っていないことに対する本能からの警鐘」
「僕は時々、寂しさを感じない人について考えてしまいます」

寂しさを感じない人。
それは完全なのか、不完全なのか。

「いえ、まじまじと見てしまいすいません」

顎に手を当てて考え込む。
ベンチに座ったまま、沈思黙考。

「白い髪がトレードマーク……ああ、そういえば風紀委員にそんな方がいたような」
「地獄の使者、執行者(エグゼクター)、奈落番、制裁の白(サンクション・ホワイト)────」

「白炎の白夜叉……」

クス、と笑うと視線を彼の双眸に向けた。

「僕の名前……深冬はいい名前でしょうか?」
「咲かない桜を前に春を待ちわびているような名前に感じますが」


「本です」
「僕も退屈な夜になりそうなので、本を探していたんですよ」

その言葉は何の実も結ばずに足元に転がる。
公園のライトが数度、躊躇いながら点灯した。

篝 白夜叉 > 「いやいや、構いませんよ。」

彼女はかなりこちらに気を遣っているのだろうか。
もしそうなのであればこちらとしても申し訳ないが

「寂しさを感じないほうが異常というつもりはないですけど、なんか不思議な感じはしますね」

寂しさを感じない分不安などに囚われる事無く動いていけるのだろうか
いや、寂しさを感じたりするからこそ前に進めるのだろうか
それはわからないが

自身の"白髪がトレードマーク"という発言は彼女の中で引っかかったらしい
もしかして自身のことを知っている人間だろうか?なんてことを思っていると

風紀委員
地獄の使者
執行者
白炎の白夜叉

これは自身たちが取り締まるべき人々が言う、自身のあだ名
まさか、彼女は────

「はっ…もしかして君は……いや、そういうわけでもない…か?」

君は俺にとって敵にあたるのか、と言いかけたが断定するにも乏しい

「まあ…もし君に対してしかるべき措置をせなあかんくても、今のところは中立でおるよ」

今のところ彼女を攻撃する理由は一切ない

「おん。俺はええ名前やと思う。音が好き。西岡深冬っていう響きが……もしかしたらこれも偽名かもしれへんけど」

本を探していたという彼女
退屈しているのはどちらも一緒か

点滅する電灯、一瞬彼女の顔が見えなくなってまた現れた

「…動くに動けん。」
「なんやろ、敵意を感じないのはなんでや」

もちろん自身は風紀委員で特攻課にいて、敵の無力化にはかなり力を振るった

彼女ももしかしたら自分に対して何かあるのかもしれないが

「…キミは俺のこと知ってるんか」

ギジン >  
「完成された個人は寂しさを感じる必要はないのでしょうか」
「そう考えると矛盾めいたものを感じざるを得ません」

人差し指を立てて口元に持っていき。
しー、と子供と内緒の約束をするようなジェスチャー。

「僕は“治安の良くない歓楽街の一部地域”……」
「口さがない人たちが『落第街』と呼ぶ場所に出入りしているだけですよ」

そう言うと、完全な左右対称の表情で笑って。

「そこでは人擬き、ギジンと名乗っています」

そのままの表情で空を見上げる。
鴇色が桔梗に飲まれるように染められる空を。


「篝くん、あなたは善悪をどう思いますか」
「裏の社会に身をおいていたら警棒で殴って連行するべきと思いますか」

「表にいて下級生をいじめている一般人はどうでしょう」

「すいません……あなたに興味を持ったのでつい、聞いてしまいましたね」

遠く、帰宅を促す放送が聞こえてくる。
放送部の生徒もまた、これを終えたら帰るのだろうか。

「僕は篝白夜叉を知っていました」
「知っていて近づいたんです」

「風紀の抑止力に興味があったんですよ、軽蔑しますか?」

篝 白夜叉 > 「わからへん…けど…」
「寂しさとか、迷いとか感じてこそ、人物たり得るのかもしれへん」

俺は夜叉やから、なんてことを言おうとしていたがやめた

自身の言葉は彼女のジェスチャーで留まった

「あー、あそこか」
「まあ、危害を及ぼさないんやったら」

こちらも時には冷徹であるが残酷すぎるわけではない
彼女の事情を聴けば納得してそれ以上何も言うことはなかった

「ギジン、か。」

彼女の名乗っている名前を反芻する

「オレがこんなこと言うのはあかんやろけど…しーっやで?」
「善悪は全体の指標で決まるものなんやと思う。結局多数派に属する考え方で決まる。」

「個人ではそのことをおかしいと思っても、多数派が連行を望むなら、そうするしかない」

善悪というものはそういう曖昧なものなんや。と自虐的に笑った。
本来ならばこうするべきなのにと信じていたことがうまくいかないこともあった

「いや、軽蔑せえへんよ。」

放送部の放送が聞こえてきた。良い子ちゃんたちはこのまま各自の家に帰って明日の準備をするのだろう
自身もそうであったように

「ギジンは俺に対して興味あったから近づいただけ?」

ギジン >  
「機械は寂しさを感じる必要はないのでしょうか」
「自己の防衛も、増殖も特殊なケースですが……」

「──ただの詭弁ですよ、詭弁遣いなので」

そのまま視線を落とす。
誰かが落としたコンビニアイスの包み紙が公園に落ちていた。
生活感。人のいた痕跡。

「僕は人に危害を与えるタイプの悪でないことは確かです」

もっと違う分類で悪と断じられれば、その誹りは甘んじて受けるしかないけれど。

「今日は篝くんのその言葉を持って帰ることにします」
「しかし、これからも風紀委員に所属するのであれば」

「多数派の作り出したシステムでは判断できないものとも触れ合うかも知れません」

「そういう時に、どうか後悔のない決断ができるように祈ります」

詭弁ですが、と付け足して。

「そうですか、ありがとうございます」
「ええ、特に何かの組織に所属しているわけでもないですし」
「篝くんの情報を集めろと誰かに命令されているわけでもありませんから」

「僕の私的な好奇心です」

篝 白夜叉 > 「……」

彼女の問いに完璧に答えることはできなかった
そもそも完璧に答えようとするのは無理な話だが

彼女につられて下を見ればコンビニアイスの包み紙が
それを一先ず拾って、近くのごみ箱に捨てた。ちゃんと分別して

「人に危害を加えるタイプの悪ではなくても、悪である自覚はあるんや…?」

「…その問題は出てくるやろね。システムは完璧じゃないから」
「最終的にはエゴになる」

「その時は自分の心に従うわ」

彼女の言葉は重みがあるように感じた
もしも自分が、多数決のシステムでは判断できない状況になったら
自分はどう歩むのだろうか

今は何もないけど備える必要がある
備えると言ってもできることは非常に少ないだろうが

「そういう感じは嫌いやないよ。興味持ってくれておおきにな」
「おおきにな、声かけてくれて。おかげで寂しさはなくなったわ」

ニカッ!と笑みを見せては素直に言葉を紡ぐ

「また会えたらええな。もちろん、戦いはナシで」

ギジン >  
「人は完全な悪や完全な善になることはできません」
「僕も……」

煙草を取り出して、女性が持つには不釣り合いな無骨なジッポーライターで火を灯した。

「こうして悪を成すことはあります」

煙を吐き出す。甘ったるい香りが広がった。

そして自分の心に従うと彼が断言すれば。

「秩序の天秤司る夜叉、暗がりにて超克せし獣と出会う時────」
「発火する皿の上で世界を問うだろう」

会話の途中で謎の言葉を一方的に差し込み。

「そうですね、また会えたら嬉しいです」
「別に僕も篝くんへの好奇心を失ったわけではありませんしね」

煙草を携帯灰皿に押し付けて火を消し。

「それに僕は戦う手段と意味を持ち合わせていませんよ……それでは僕はこれで失礼します」

微笑んで背を向ける。

「では、また」

夕暮れは夜に飲まれ。爛れたような赤い星が見下ろす中。
甘い香りだけを残して女は去っていった。

篝 白夜叉 > 「なんかすごく意味深やね…」

彼女の言うことにそう首を傾げるが
なんとなくそれが予言の言葉であるような気もして
少々背筋が冷たくなったのは秘密だ

「ほなね。また会おな」

この場に残った甘い香り
おそらく彼女とはまた会うだろう

その香りを脳に焼き付けて、自身も立ち上がって寮の方角へ歩いてゆく

「超克せし獣…か」

ご案内:「常世公園」からギジンさんが去りました。
ご案内:「常世公園」から篝 白夜叉さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に篝 白夜叉さんが現れました。
ご案内:「常世公園」から篝 白夜叉さんが去りました。