2024/09/28 のログ
ご案内:「常世公園」にシアさんが現れました。
■シア > ジャアアアアアア……
金属がこすれるような音がする
少女は回転する鉄の檻の中で、その勢いに身を任せていた。
これは、そういう訓練装置なのだろう
「……うん」
かなり勢いをつけたためか、未だに回転を続け三半規管への刺激は強い
それを受け流し、殺す
「……いける」
使用目的としては正しいような正しくないような
そんな光景を展開していた
■シア > まわる、まわる、まわる
……段々と勢いが落ちてきた
「終わり?」
物理法則の必然として、勢いはいずれ落ちていくものである
終わりでもなんでもない。当然の帰結。
「……そう」
鉄の檻の中に静かに立つ
今までの回転がなかったかのように、しっかりとした足取り
■シア > 「……なるかな、修行に」
平衡感覚、三半規管の修練には役に立つかもしれない。
この檻にぶら下がれば筋力も鍛えられる
今度、彼にもやらせてみようか
「……まだ早いよね、山は」
訓練しようとは話したが、いきなり山で殺してしまったら意味がない気がする。
もう少し初歩っぽいもの……と考えていてこれである。
ご案内:「常世公園」に橘壱さんが現れました。
■橘壱 >
諸々授業を終え、今日の業務を終えた日。
風紀委員といえど本業は学生。
無論、最終的に大企業の所属になるのだ。
それに必要な勉学や知識は決して怠らない。
「……ん」
そんな帰り道、公園に差し掛かった辺りだ。
見覚えのあるジャージ姿の少女がいる。
なんかあの、ぐるぐる回るタイプの遊具の中にいる。
壱も流石に訝しげな顔。たまらず公園に立ち寄った。
「……シア。何してるの?巣ごもり?」
お前も何聞いてるんだ?
■シア > 「……ん」
ぼんやりと考えていたところに、声がかかる。
ちょうど顔を思い浮かべていたところだった。
「ボク? 訓練、これ」
いい加減、回転が終わってしまった鉄の檻から顔をだした。
実に真顔であった。
「やる、壱も?」
■橘壱 >
檻の中でなんだかぼんやりしてる。
なんかちょっと動物園っぽいなって思っちゃった。
「訓練?……遊具で?」
公園で訓練とは一体何をしていたのか。
いや、確かに走り込みをするには丁度いい広さ。
だが、彼女は真顔で檻の中。なんで真顔なんだ。
訝しげに彼女を見下ろす碧の双眸。
こうみるとやっぱ可愛いよなこの子も。
「……一応聞いてみるけど、どういう内容?」
■シア > 「うん。これで」
実際に訓練だった。
まさか、こんな装置があったとは思わなかった。
ただ、少し不思議だったのは子供ばかりが使っていたことだろうか。
「ん? こう」
ひょいと外に出る。
外から遊具を掴み、力任せ、と言わんばかりに回す。
回す、回す、回す
恐ろしい勢いになったところで、ぶら下がる。
そのまま、外から中に入る。
そのまま、ぶら下がりながら回転に身を任せ……
しばらく回ったところで、外に飛び出る
「……こんな?」
■橘壱 >
「……!?」
ひょい、と出てきたと思えば遊具が回る。
いや、回るってものじゃないぞ。
空気を割いて、まるで大旋風だ。
勢いでこっちの白衣やら何やらまで靡いてくる。
「お、おぉ……良く壊れないな、コレ……」
今や色んなパワーの子どもがいるし、遊具は頑丈。
……でもなんか悲鳴を上げてるようなそうでないような。
外に飛び出てきたシアを見下ろすのは、困惑顔。
「まぁ、うん。その、凄いとは思う。
でもねシア。コレこう使う物じゃないんだ。
回すとこまであってるけど、あんなに勢いよく回さないんだ」
そう、此れは訓練器具じゃない。遊具。
他の子がいたら実際に危ないので先ずは一旦諭してみる。
■シア > 「……え」
訓練道具じゃない
そんな事実が伝えられ、ほんの僅かに沈黙の刻を迎える。
なぜ
「だって……ぶら下がれる。
だって……回る。」
つまり、ぶら下がりながら回転に耐える、そういう訓練装置ではないのか。
よくできた作りだと思っていた。
なにしろ、回転する、なんていう装置自体が貴重なのだ。
「筋肉鍛える……平衡感覚も……」
違うの?
「……残念」
■橘壱 >
割と衝撃受けてる顔をされてしまった。
「そんなに」
思わず声出ちゃったよ。
ただ彼女の言い分もわからないわけじゃない。
確かに回れるしぶら下がれるし、
この手の遊具、結構パワーを使う。
うんうん、と頷きながら聞くのはちょっとお兄ちゃん気分。
「確かに使い方次第ではあるけど……。
訓練に耐えれるような強度はしてないかなぁ……」
「使い方はあってるんだけどね。
けど、そんな日から入れずに回して……こう……
くる、くる、みたいな。遊ぶためのモノなんだ」
身振り手振りでゆっくり回る図。
着眼点はスマートと感心したが、
このまま回っているのは実際危ない。
「そもそも此処は、色んな人が休憩したり、
遊んだりする公園なんだ。シア、小さい子どもがいて、
さっきみたいな速度で回ってたら危ないだろ?だから、ダメ」
指先ばってん。
「けど、着眼点は面白いね。
訓練する場所は訓練する場所で別にあるんだよ。
勿論こんな風にぐるぐる回ったりする訓練器具もある」
■シア > 「そんなに」
意図せずオウム返しのようになる。
そんなに緩い感じなのか。
それでは軽い運動程度にもならないのでは?
「そう、なの」
遊ぶためのものらしい。
残念である
「……鍛えられる、子どもも」
小さい頃から鍛えられてきた少女は、当然だと思っていた。
どうも、そうではない……のだろうか。
もちろん、指先だけでぶら下がる、とまではいかないが。
「え」
訓練する場所
そう言えば、そんなのがあった気はした。
ちょっと運動してみて終わってしまった覚えがある。
もう少し、調べればよかったのだろうか。
「ひょっとしてくわしい、壱は?」
■橘壱 >
「確かに鍛えられてはいるけど、基本皆シア程鍛えないんだよ。
山の中程鍛える必要がないと言うか、機械や術で補えると言うか……」
「それこそ、僕等みたいな特別な事情がないと普通はしないんだ」
彼女の山で生きていくには、
自然で暮らすには確かに相応の力がいるのだろう。
だが此処は学園都市。引いては人の文明の街。
危険度レベルは区域にもよるが、
それこそ目的がなければ誰もしない。
ある意味平和の証なのだ。
「……まぁ、一応仕事上一通りの地理は……」
たしか彼女は世間知らずだ。
山育ちで機械にも疎い。
だが、脳裏に疑問がよぎる。
「……もしかしてなんだけど、さ。
地図とか使わずに今までのらりくらり色んなとこ行ってた?」
■シア > 「そう……」
普通
そうか、それが"普通"なのか
それを学ぶ前に色々あったから仕方ない……のだろうか
どちらにしろ、そのギャップは埋めるしかない
「うん。すごいな、壱」
仕事上とはいえ、把握しているのは凄い
自分も頑張って見て回っているが、まだ粗がある。
こんなことでは、まだまだ未熟、と言われてしまうだろう。
「……ん。見たよ、地図は。
あとは……あ」
時計塔の上からみた風景、と言おうとして。
そういえば、いってはだめ、という話から出会ったことを思い出す。
「……見たやつ、時計塔で」
上から見た光景でだいたい照合できていた……はず。
「……おかしい?」
■橘壱 >
かちゃりと軽くメガネを上げる。
「そう、人間社会なら"普通"。
前にも言ったけど、もうシアは此処で暮らす以上は、
ある程度合わせたりしなきゃいけない。……けど、なんだ」
「外の島よりはその辺おおらかだし、
別にシアだって常世学園でみたら"普通"だよ。
……ヘンな話だけど、合わせてほしいけど我慢する必要はないって感じかな」
此処は時代の最先端であると同時に、
ある種の受け皿としても機能している。
彼女がこの先どのような選択をするかはわからない。
ただ、そういう彼女にこそ必要な場所でもあった。
真逆ではあるが、"ギャップ"に苦しむのは此方も同じ。
だから少し、彼女の気持ちがわかる。
よ、とかがんで目線を合わせる。
レンズの奥で、碧の双眸が黒と交わった。
「時計塔かぁ。もうよじ登ってないよね?」
なんて、冗談めかしに一言。
「シアの記憶力を疑うわけじゃないけど、
人間の脳って結構不具合るからなぁ……。
生徒手帳は持ってる?ちょっと出してみて」
そういって自身もまた生徒手帳を取り出した。
■シア > 「合わせる?合わせない?」
結局、どちらなのだろう。
合わせて欲しい、我慢する必要はない
曖昧なものは難しい。曖昧なのはわからない。
途中で途切れてしまった、言葉のように
ただ、一つ
「普通?ボクも?
……普通、壱は?」
普通とは、結局、なんだろう?
ますますわからなくなってくる。
眼の前の彼もまた、普通、でいいのだろうか。
「ん。まだ登ってない、あれから」
時計塔の件以来、登っていないのは事実である。
今後しないかどうかはわからないので、そういう答えである。
「そう……?
ん、生徒手帳?
これ……?」
素直に差し出した