2024/09/28 のログ
ご案内:「常世公園」にシアさんが現れました。
シア > ジャアアアアアア……
金属がこすれるような音がする

少女は回転する鉄の檻の中で、その勢いに身を任せていた。
これは、そういう訓練装置なのだろう

「……うん」

かなり勢いをつけたためか、未だに回転を続け三半規管への刺激は強い
それを受け流し、殺す

「……いける」

使用目的としては正しいような正しくないような
そんな光景を展開していた

シア > まわる、まわる、まわる
……段々と勢いが落ちてきた

「終わり?」

物理法則の必然として、勢いはいずれ落ちていくものである
終わりでもなんでもない。当然の帰結。

「……そう」

鉄の檻の中に静かに立つ
今までの回転がなかったかのように、しっかりとした足取り

シア > 「……なるかな、修行に」

平衡感覚、三半規管の修練には役に立つかもしれない。
この檻にぶら下がれば筋力も鍛えられる

今度、彼にもやらせてみようか

「……まだ早いよね、山は」

訓練しようとは話したが、いきなり山で殺してしまったら意味がない気がする。
もう少し初歩っぽいもの……と考えていてこれである。

ご案内:「常世公園」に橘壱さんが現れました。
橘壱 >  
諸々授業を終え、今日の業務を終えた日。
風紀委員といえど本業は学生。
無論、最終的に大企業の所属になるのだ。
それに必要な勉学や知識は決して怠らない。

「……ん」

そんな帰り道、公園に差し掛かった辺りだ。
見覚えのあるジャージ姿の少女がいる。
なんかあの、ぐるぐる回るタイプの遊具の中にいる。
壱も流石に訝しげな顔。たまらず公園に立ち寄った。

「……シア。何してるの?巣ごもり?」

お前も何聞いてるんだ?

シア > 「……ん」

ぼんやりと考えていたところに、声がかかる。
ちょうど顔を思い浮かべていたところだった。

「ボク? 訓練、これ」

いい加減、回転が終わってしまった鉄の檻から顔をだした。
実に真顔であった。

「やる、壱も?」

橘壱 >  
檻の中でなんだかぼんやりしてる。
なんかちょっと動物園っぽいなって思っちゃった。

「訓練?……遊具(コレ)で?」

公園で訓練とは一体何をしていたのか。
いや、確かに走り込みをするには丁度いい広さ。
だが、彼女は真顔で檻の中。なんで真顔なんだ。
訝しげに彼女を見下ろす碧の双眸。
こうみるとやっぱ可愛いよなこの子も。

「……一応聞いてみるけど、どういう内容?」

シア > 「うん。これで」

実際に訓練だった。
まさか、こんな装置があったとは思わなかった。
ただ、少し不思議だったのは子供ばかりが使っていたことだろうか。

「ん? こう」

ひょいと外に出る。
外から遊具を掴み、力任せ、と言わんばかりに回す。
回す、回す、回す

恐ろしい勢いになったところで、ぶら下がる。
そのまま、外から中に入る。

そのまま、ぶら下がりながら回転に身を任せ……
しばらく回ったところで、外に飛び出る

「……こんな?」

橘壱 >  
「……!?」

ひょい、と出てきたと思えば遊具が回る。
いや、回るってものじゃないぞ。
空気を割いて、まるで大旋風だ。
勢いでこっちの白衣やら何やらまで靡いてくる。

「お、おぉ……良く壊れないな、コレ……」

今や色んなパワーの子どもがいるし、遊具は頑丈。
……でもなんか悲鳴を上げてるようなそうでないような。
外に飛び出てきたシアを見下ろすのは、困惑顔。

「まぁ、うん。その、凄いとは思う。
 でもねシア。コレこう使う物じゃないんだ。
 回すとこまであってるけど、あんなに勢いよく回さないんだ」

そう、此れは訓練器具じゃない。遊具。
他の子がいたら実際に危ないので先ずは一旦諭してみる。

シア > 「……え」

訓練道具じゃない
そんな事実が伝えられ、ほんの僅かに沈黙の刻を迎える。
なぜ

「だって……ぶら下がれる。
 だって……回る。」

つまり、ぶら下がりながら回転に耐える、そういう訓練装置ではないのか。
よくできた作りだと思っていた。
なにしろ、回転する、なんていう装置自体が貴重なのだ。

「筋肉鍛える……平衡感覚も……」

違うの?

「……残念」

橘壱 >  
割と衝撃受けてる顔をされてしまった。

「そんなに」

思わず声出ちゃったよ。
ただ彼女の言い分もわからないわけじゃない。
確かに回れるしぶら下がれるし、
この手の遊具、結構パワーを使う。
うんうん、と頷きながら聞くのはちょっとお兄ちゃん気分。

「確かに使い方次第ではあるけど……。
 訓練に耐えれるような強度はしてないかなぁ……」

「使い方はあってるんだけどね。
 けど、そんな日から入れずに回して……こう……
 くる、くる、みたいな。遊ぶためのモノなんだ」

身振り手振りでゆっくり回る図。
着眼点はスマートと感心したが、
このまま回っているのは実際危ない。

「そもそも此処は、色んな人が休憩したり、
 遊んだりする公園なんだ。シア、小さい子どもがいて、
 さっきみたいな速度で回ってたら危ないだろ?だから、ダメ」

指先ばってん。

「けど、着眼点は面白いね。
 訓練する場所は訓練する場所で別にあるんだよ。
 勿論こんな風にぐるぐる回ったりする訓練器具もある」

シア > 「そんなに」

意図せずオウム返しのようになる。
そんなに緩い感じなのか。
それでは軽い運動程度にもならないのでは?

「そう、なの」

遊ぶためのものらしい。
残念である

「……鍛えられる、子どもも」

小さい頃から鍛えられてきた少女は、当然だと思っていた。
どうも、そうではない……のだろうか。
もちろん、指先だけでぶら下がる、とまではいかないが。

「え」

訓練する場所
そう言えば、そんなのがあった気はした。
ちょっと運動してみて終わってしまった覚えがある。

もう少し、調べればよかったのだろうか。

「ひょっとしてくわしい、壱は?」

橘壱 >  
「確かに鍛えられてはいるけど、基本皆シア程鍛えないんだよ。
 山の中程鍛える必要がないと言うか、機械や術で補えると言うか……」

「それこそ、僕等みたいな特別な事情がないと普通はしないんだ」

彼女の山で生きていくには、
自然で暮らすには確かに相応の力がいるのだろう。
だが此処は学園都市。引いては人の文明の街。
危険度レベルは区域にもよるが、
それこそ目的がなければ誰もしない。
ある意味平和の証なのだ。

「……まぁ、一応仕事上一通りの地理は……」

たしか彼女は世間知らずだ。
山育ちで機械にも疎い。
だが、脳裏に疑問がよぎる。

「……もしかしてなんだけど、さ。
 地図とか使わずに今までのらりくらり色んなとこ行ってた?」

シア > 「そう……」

普通
そうか、それが"普通"なのか
それを学ぶ前に色々あったから仕方ない……のだろうか

どちらにしろ、そのギャップは埋めるしかない

「うん。すごいな、壱」

仕事上とはいえ、把握しているのは凄い
自分も頑張って見て回っているが、まだ粗がある。
こんなことでは、まだまだ未熟、と言われてしまうだろう。

「……ん。見たよ、地図は。
 あとは……あ」

時計塔の上からみた風景、と言おうとして。
そういえば、いってはだめ、という話から出会ったことを思い出す。

「……見たやつ、時計塔で」

上から見た光景でだいたい照合できていた……はず。

「……おかしい?」

橘壱 >  
かちゃりと軽くメガネを上げる。

「そう、人間社会(コッチ)なら"普通"。
 前にも言ったけど、もうシアは此処で暮らす以上は、
 ある程度合わせたりしなきゃいけない。……けど、なんだ」

「外の島よりはその辺おおらかだし、
 別にシアだって常世学園(ココ)でみたら"普通"だよ。
 ……ヘンな話だけど、合わせてほしいけど我慢する必要はないって感じかな」

此処は時代の最先端であると同時に、
ある種の受け皿としても機能している。
彼女がこの先どのような選択をするかはわからない。
ただ、そういう彼女にこそ必要な場所でもあった。
真逆ではあるが、"ギャップ"に苦しむのは此方も同じ。
だから少し、彼女の気持ちがわかる。
よ、とかがんで目線を合わせる。
レンズの奥で、碧の双眸が黒と交わった。

「時計塔かぁ。もうよじ登ってないよね?」

なんて、冗談めかしに一言。

「シアの記憶力を疑うわけじゃないけど、
 人間の脳って結構不具合(バグ)るからなぁ……。
 生徒手帳(オモイカネ)は持ってる?ちょっと出してみて」

そういって自身もまた生徒手帳を取り出した。

シア > 「合わせる?合わせない?」

結局、どちらなのだろう。
合わせて欲しい、我慢する必要はない
曖昧なものは難しい。曖昧なのはわからない。

途中で途切れてしまった、言葉のように

ただ、一つ

「普通?ボクも?
 ……普通、壱は?」

普通とは、結局、なんだろう?
ますますわからなくなってくる。
眼の前の彼もまた、普通、でいいのだろうか。

「ん。まだ登ってない、あれから」

時計塔の件以来、登っていないのは事実である。
今後しないかどうかはわからないので、そういう答えである。

「そう……?
 ん、生徒手帳(オモイカネ)
 これ……?」

素直に差し出した