2024/10/08 のログ
リリィ >  
――予想外のことを言われた。
前髪に隠れていようとも薄く透けた瞳が見開かれているのに気付けば
このポンコツ淫魔の胸中を知るのは容易だろう。

ぱちり、ぱちり、と、鈍い動作で瞬きを繰り返す。

「かずみん様は……人生何周目ですか?
 ああ、いえ、すみません。あまり……その、経験のない対応をされるので、つい。」

身動ぎ。
先程からポンコツっぷりは存分にご覧いただいている自覚があるのだけれど
それに対する男子高校生の反応は――視線の向かう先すらも己が知るものとは異なる。
だので、どうリアクションするのが正しいのか。判断し兼ねているのだった。

「も、盛りました……10分…いや、5分……かな? えへ……。」

えへ、って言ってるけど気まずそう。頗る気まずそう。
コロッケを分けてくれるやさしい人に、ぜんぜん足りませんって言うのは憚られた。バレバレだったけど。

「え? えぇと、そうですね。
 淫魔と一口に申しましても幅広く在りますので、一概には言えませんが……
 わたしの場合は……その、いわゆる、せ、性交…による吸精が一番効率がよく、
 次点で経口摂取……まあその、あの、あれ…とか……
 若しくは、き、きす……とか……が必要で……

 あ、で、でも、血液からも多少は……!」

コロッケを御馳走してもらったので、
茹でタコも斯くやという程に赤く染まり上がりながらも真摯に回答。

武知一実 >  
淫魔が鳩が豆鉄砲食らったような顔をしている。
当たり前にあることを、当たり前だと言っただけのつもりだったんだが、そういう訳でもなかったらしい。

異種族間の認識の差異……って訳でもなさそうだな。

「あァ? 割かしハード目な人生だけど、一周目だと思うわ、多分な。
 ……まあ、淫魔だしな。これまでどんな対応をされたのか……予想がつかねえ訳じゃねえ」

人外に人生について問われる日が来るとは思わなかった。
人に語れる様な人生を送っちゃ居ないが、それでも一周目……のはずだ。
にしても、何で今更オレを見て戸惑ってるんだ、この淫魔。

「おぅ、半減しやがったな……
 まあ隠したところですぐにバレる嘘なんざ吐くだけ損だぞ」

ぐーぐー言ってるからな、ずっと。

「ふぅん……やっぱり、そうなのか。個体……個人差があるんだな、淫魔の仲間内でも。
 その辺は授業で聞いた通りだ、皮膚間で吸精とかは出来ねえんだな、難儀だなそりゃ」

それは腹ペコにもなろうってもんだ。
ええと、それなら確か……とオレはバッグ漁りを続け、

「血液だと、効率はどんなもんなんだ?
 食べ物食うよりはマシだったりすんのか」

リリィ >  
豆鉄砲だったら喜び勇んで食べるのだけれど。
なーんて戯れを口にする機会はなく。

「ハード…?」と首を傾げながらその姿を上から下に、下から上にと眺める。
立ち姿は普通の男子高校生のように見える。
少々目付きが悪いだろうか?コロッケくれたいい人認定してるので今更怯んだりはせねども。
しかしまあ、こんな島だから――と理解と納得を得るにはこのポンコツ淫魔、顕現して日が浅い。

「仰る通りです……。」

しおしおしょぼんと肩を窄め背を丸めて小さくなる。
もちろん今もぐーぐー言ってるけどそろそろ割愛。

「んふっ……あ、すみません。あの、かずみん様? お人よしだってよく言われません?」

わざわざ個人と言い直すのに、おもわず笑みを滲ます吐息が洩れた。
すぐに謝って、ばかにしたわけじゃないのだと説明している最中も、何処か好もしげに視線は柔い。

「触れるだけで済むならば……と、思わなくもないですが、
 それでも勝手に頂くわけにはいきませんし……。」

頬に手を宛がって、ふぅ、と嘆息。

「量と相性次第ですが、少量だとしても人の食べ物とは比べ物にはなりませんね。
 頂ける血液量が多ければその分得る満足感が多くなるのは当然として、
 そもそも血液そのものが糧になるのではなく――その行為に伴う快楽や興奮、そういったモノを頂くカタチになりますので。」

武知一実 >  
リリィの怪訝そうな視線を感じる。
何となく言いたい事は分かるけども、訊かれない事まで話すほどお喋りでもねえ。
それに、聞いて楽しい類の話でもねえしな。

「あン? まあ、人相で損してるとは言われるな。
 オレからすりゃ、大したことじゃねえ、むしろ取るに足らねえことしてる、くらいなんだが」

ガキの頃の境遇がそうさせるんだろうか、割と世話焼きなところがある事は否定しねえ。
まあ、人相と口の悪さ、あと喧嘩について知ってる奴らからはビビられるけど。
それでも、つるんでる連中は大抵口を揃えて人が好い、とは言ってくる。

「なるほど。
 行為に伴う、快楽や興奮……か。
 淫魔としちゃ“性的な”ってのが頭に付くのかもしれねえが、血でそういうのはちょっと難しいよな。
 ……けど、」

お、あったあった。
オレはボディバッグの中にあったカッターナイフを取り出すと、指先に刃を走らせる。

「好奇心……も、興奮の内に入るよな?
 ま、なるかならねえか、ちょっと試してみねえか?」

直線状についた傷から血が滲み始める指先を、そのままリリィへと向けてみる。

リリィ >  
ポンコツ淫魔はポンコツ淫魔で、うすぼんやりとした疑問を口にすることはない。
というより、大したことないと言ってのけるその言葉に気を惹かれて
曖昧な疑問符は早々に彼方へ押し流されたというのが正しい。

「見ず知らずの怪しいハラペコ女に、
 オマケとはいえご自分で得た美味しいコロッケを手ずから食べさせて
 お話を聞いて下さることが、取るに足らない?
 ふ、それは……うふふっ! 面白いです。」

堪え切れずにコロコロと愉快そうな笑い声を転がした。
一見するに人間――唯の男子高校生に見える。
唯のお人好しか、或いは何かがあっても如何にかできる、という自負があるのか。
あからさまな笑い声が治まっても、その後しばらくはくすくすと揺れる息が続く。

「はい。わたしの体液には微力ながら催淫効果が――」

と、説明を続けようとしていたが、取り出されたものに言葉が途切れる。
ぎょっと目を剥くのも束の間、躊躇いもなくそれは皮膚を裂いた。

「ちょ、わっ!?か、かずみん様!?
 なにをして……っああもう!お人好しにも程がありますっ!」

その真意を知れば慌てふためいていたポンコツ淫魔も気色ばんで眉を寄せた。
眼前に晒される赤い線が一本。
そうこうする間に滲み出す血の色に嘆息を呑み、包むようにして白い指を其の手に添わす。

「……まあ、消毒にはなりますもん、ね?」

自分を納得させる為の言い分を絞り出し「いただきます。」とひと声。
舌先をちろりと覗かせて、極々控えめに指先を口内へと招く。

コロッケの時とは違って、丁寧な――ともすれば躊躇いを見て取れる動作。
薄紅の唇が柔らかく指を食み、その奥ではぬるりとした舌が傷を――血を舐めとるべく絡み、這う。

ポンコツとはいえ淫魔。先も告げた通りに、此の身には糧を得る為の機能が幾つか備わっている。
唾液に含まれる催淫効果の程は相手方の体質によって異なるが、
熱い舌が絡む度に込み上げるものがあるかもしれない。ないかもしれない。

武知一実 >  
「腹ァ減らした奴に怪しいもへったくれもねえよ。
 満たされねえひもじさはオレもちったぁ知ってるつもりだしよ。
 そのひもじさを少しでも楽に出来るってんなら、コロッケのひとつくらい大したことじゃねえさ。」

そんなに面白い事を言った覚えもした覚えもねえんだが。
何がおかしいのかコロコロ笑う淫魔に、多少の納得のいかなさを感じる。
ブランコにハマって動けない方が面白い自覚があるんだろうか、こいつは……。

「あァ? 別に、指を切っちまう事なんて普通に生活しててもある事じゃねえか
 それに、アンタのためだけにって訳じゃねえんだ。 ちょっとばかし、興味が沸いちまって」

好奇心――それは、血液の摂取がどの様な効果のほどを齎すのか、に向けただけのものじゃない。
淫魔の吸精、それがオレ自身にどんな感覚を齎すのかという事にも向けられてる。
もしかすると、うじうじ悩んでる事の解決の一端になるかもしれねえし。

「――味の保証は出来ねえけどな、っと……んっ、ぁ」

指先がリリィの口の中へと納まる。
熱く湿った舌が、遠慮がちに皮膚を撫でる。
ぞわり、と背中が粟立ち、全く覚えのない感覚に堪え切れず声が漏れる。

――と同時に、確かに感じる高揚感。
オレの中の“未知”が消え、知的好奇心が満たされた事に起因してる……と思うんだが。
気付けば額に汗が浮かび、リリィの口の中で御しきれなかった異能の電気が小さくパチパチと炭酸の泡の様に爆ぜる。

……ああ、なるほど。これが“快感”って奴なのかと変に冷静に分析してしまっていながら、オレの指を舐るリリィを見つめる。

リリィ >  
「その内壺とか買わされそうですね?
 ああ、いや、それよりもわたしにご飯をタカられる方が先でしょうか。」

基本的にいつだってハラペコのポンコツである。
前髪で瞳が隠れがちなので判り辛いが、恐らく、きっと、多分、冗談……だとおもわれる。メイビィ。
そんな戯れを口にしているポンコツ淫魔のデカケツはすっかりブランコに懐いている。

出られるのか?――知らね。

「うっかりつく傷と、自分でつける傷は別でしょう!
 そっ…………まあ、ご自分の利になる理由があるなら……止むを得ませんが……。」

自身の状態は置いといて、
如何にも不承不承――負傷だけに――といった様子で眉を寄せていた。

が、効率はあまりよろしくないとはいえ、それでも食べた端から霜露の如く消えていく人の食べ物と違い、
自身の糧と成り得る其れを含めば其方に夢中になるのも道理。

最初は躊躇いがちに、控えめに、致し方なしといった風に探るように絡めていた舌も次第に遠慮がなくなっていく。
ちゅ、と、音を立てて吸い出そうと試みても、薄く切れ込みが入った程度の傷では叶うまい。
それでも――うっそりと蕩けた瞳に恍惚の光を宿して喉を鳴らす。
消毒と称したその舌は最早艶めかしくその行為を彷彿とさせるものと成りかけて――

――背後で鳩か鴉か、鳥の羽搏き。

枝葉がさざめく音に肩を揺らし、はっとして指を引き抜いた。
ちゅぽ、って音がして、か細く唾液が糸を引く。

「ご、ご、ごめんなさい!わたし、夢中になっちゃ……ああ!お体に障りは?」

終わってしまえば極々短時間。少量なので、怠さなんかもない、筈。多分。
おろおろと狼狽えて顔色を窺うポンコツ淫魔のお腹は静かになっていた。

武知一実 >  
「さすがにその辺の分別はつくわ。
 ……まあ、壺に金はたくくらいなら、アンタにメシ奢る方がナンボかマシそうだしな」

間接的に援助するよりも、直接支援する方が余計な疑いも持たずに済む。
冗談であれ本心であれ、そこはあんまりオレは意に介さない。
まあ、メシ奢るとしてもブランコから脱出できれば、の話だけど。

「んな大袈裟な……大差ねえよ。
 そーそー、Win-Winってやつだ。だから気にすんなって」

この期に及んで渋る理由もよく分からなかったが、吸精が始まってしまえばやはりそこは人外と言ったところか。

初めの内こそ遠慮がちだった口内が、飴細工でも堪能するかのように“味わう”ものと変わっていく。
傷口を舐められる痛痒と、体の芯が熱くなる様な興奮。
どこか頼りなさげな印象だったリリィの相貌が、艶っぽく色めき出して。
段々と、今、彼女の口の中にあるものが、オレの指ではなくもっと別の何かであるかのような錯覚に陥りそうになり―――

唐突に正気へと引き戻された。
知らぬ間に上がっていた息を整えながら、狼狽えるリリィを見てオレも落ち着きを取り戻す。
パニクったり不調そうだったりする人を見ると自身は冷静になる、アレみたいなもん。

「その分じゃ、どうやら不味くはなかったみてえだな、そいつは僥倖。
 あ?障りなんかあるわけねえだろ、オレはただ看護士さんに傷の手当して貰っただけなんだから」

事が済めばリリィが気後れを感じる事まで織り込み済み。
オレは事も無げに告げて、軽く笑って見せた。万事うまくいったようで何より、と。
……内心、今感じていた感覚に動揺してたけれど、この程度なら隠せるはず。

リリィ >  
「えっ。」

おもわず間抜けな顔で間抜けな声を出してしまった。
この男子高校生、あまりにもお人好しが過ぎないか。
余程裕福ならば道楽ということで理解も出来るが……。

もしやブランコから脱せないと思われている説。さもありなん。

「そういうなら…でも、ぜったいおかしい、おかしいですよ。
 わたしがツッコミにまわるなんて…っ!」

先のお人好し過ぎる発言もあって、少々語気が荒くなってしまった。
こほんと咳払いで仕切り直しとする。


唾液で濡れた指先を……借り物のナース服を汚すわけにはいかないので、
傷口に触れないように気をつけて指の腹で撫でるようにして拭う。

心配そうに、或いはバツが悪そうに渋く顔を歪める。
白い頬が心なしか血色よくなっている、ような。

「……。
 ……かずみん様、随分と言い訳慣れをしていますね?」

あんぐりと口を開けていたが、一息吐くことで窘める言葉を呑み込んだ。
その方便に助けられるのも事実だからだ。

ただ……、

「今日はコロッケを直前に頂いておりましたし、そもそも我慢出来ない程空腹だったわけではないのでこの程度で済みましたが……
 あまり軽率に、淫魔に身を差し出してはいけませんよ。
 特にわたし、我を忘れると……その、加減を忘れて襲っちゃう可能性も、あるので……。」

忠告の中には己の未熟もある。
強くはいえないけれど、きゅ、と眉を寄せてあまり目付きのよろしくない顔を見上げた。

武知一実 >  
「嫌いじゃねえんだよ、人が美味そうに飯食ってるとこ見んの」

素っ頓狂な声と顔のリリィを見て笑う。
オレとしては偏に己の為になる事をしてるだけなんだが、それをお人好しを取られる事は割とある気がする。
別に損も何もしてねえから、気にしちゃいねえんだけどなあ。

「どういう基準だよ。
 安心しろ、全体的なツッコミどころはアンタの方が圧勝してる」

ブランコに文字通りハマってるところとか。
熱中してる、って意味じゃない方のハマってるなんて、そうそう使う事ねえぞ。

指に残っていたリリィの唾液を、彼女自身が拭う。
傷もすぐに治るし、生傷が絶えない事もあるからそんな気を遣わんでも良いのになあ。

「ま、何かと風紀委員とかに説教される機会が多いんでね。
 慣れちまうわな、そりゃ」

喧嘩の理由とか、よくでっち上げたりもする。
だからあんまり褒められた事ではないので、スルーしてくれるとありがてえなあ。

「あー、分かった分かった。 十分に気を付けるさ。
 見ず知らずの“淫魔”に身を差し出すのはこれが最初で最後にしとこう」

別に誰にでもほいほい身を差し出す訳じゃねえ。
今回はたまたま、オレ自身も思うところがあったからってだけだし。

「ま、次があるとしたら―――そりゃ、“淫魔”じゃなくて“リリィ”だろうしな」

見ず知らずではないからヨシ!……って言っても納得はされねえよな。
自分でも、ちと無理があるとは思ってる、うん。
こちらを見上げる目からとぼける様に視線を外しつつ、傷の無い方の手を差し伸べて。

「それじゃ、オレそろそろ行くわ。
 その前に一仕事、ダチをブランコから引っ張り出さねえと」

リリィ >  
「大天使かずみん様とお呼びするべきでしょうか。」

わらう大天使かずみんに対し、酷く真面目ぶった顔で神妙に告げる。
いい加減お人好しが過ぎてポンコツ淫魔が浄化されそうだ。淫魔らしく付けこむ……べきなのかもしれないが。
そこはこのポンコツ淫魔、兎角そう言ったらしいことには疎い様子。

「安心したくありません~!」

掌を華麗にドリルして頬を膨らませた。ワガママである。
ボディも同じくワガママなのでね、致し方ないということで。

一頻り拭ったらそろそろ解放しよう。「ちゃんと洗ってくださいね。」って言葉を添えて。

「えぇ?大天使なのにですか?」

信じられないと言った風に眉を開く。
が、特段言及する意思はない。大天使がスルーすれば流れていく程度のささやかな話。

わかればよろしいとばかりに頷くも、
自身さえ無理があると声色が語るそれにちょいと唇を突き出した。

「わたしにこそ気をつけて、って言ってるんです!」

わかっているのかいないのか。
もう、って鼻息を荒くするが、差し出された手を見る目は丸い。

「え? ……あっ!」

そこで漸く我が身のピンチを思い出す。
はっと高い声を上げ、今更ながら恥ずかしさに真っ赤になりながら手を取った。


そこからは、それでもケツは抜けません――なんてことには多分ならない。
ある程度力を込めてひっぱれば、すぽんっ!と小気味よい感じでお尻は抜ける。
多少勢いあまって男子高校生の胸に飛び込む形になるかもしれないけれど。
まあ、淫魔の唾液にも耐えたのだ、ふにっと柔らかいものが胸板で潰れる感触にもきっと耐えてくれるだろう。

武知一実 >  
「やめてくれ、ガチで」

それもこれも幼少時の嫌な思い出(トラウマ)が原因な気がする。
変に崇められるのは、過去が正しかったものだと言われてるようで落ち着かない。
だから深入りされると困っちまうし、そうされるくらいならこれ幸いと乗っかられた方がマシだ。

「どっちなんだよ」

さすがに呆れちまう。
まあ、そういう奴なんだと言う認識は得た。ワガママポンコツ淫魔。……ホントに淫魔か? と今に至っても思っちまうな。

「人は失敗を繰り返して成長してくもんなんだと」

分かってなかったらあんな事言ってねえよ、とまでは言わんけど。
そんな事よりも、と差し出した手を見て、リリィも自分の置かれている状況を思い出したようで。

それからポンコツ淫魔をブランコから無事に引っ張り出した。
いや、無事にかどうかはオレには断言しかねるか。
ブランコから引っ張り出された勢いのまま胸に飛び込んできたリリィを正面から抱き留めた。
その際にやたら柔らかな感触を受けることになったからだ。
……オレ自身は相も変わらず、どう反応したもんかと困惑するだけだったが、リリィの方は動じてないと良いんだが―――

武知一実 > ……まあ、ちょっとだけ何かドキッとしたと言うのも、否定は出来ねえ。
リリィ >  
「ガチですか、まあ、かずみん様がそう仰るのであらば。」

コロッケも精気も頂いたので基本は従順。
呆れた表情には素知らぬ顔をするのだけれど。

「おかしいです、それならわたしは雲に届く程に成長を遂げている筈…!」

成長(物理)。
モチロンこれも冗談だ。神妙な顔をしていても、冗談だ。

そんな戯れを経て、すぽんっと引っこ抜かれたポンコツ淫魔。
男子高校生に一目でわかる程の狼狽がなければ、胸を押しつけていることには気付かずに、
ただただ勢い余って飛び込んでしまったことだけを気恥ずかしそうに振舞う。

「すみません、ありがとうございます。」

照れ笑いを浮かべながら、離れる。
当然ポンコツ淫魔はポンコツなので、男子高校生の小声は聞き逃したってオチ。


去っていくだろう一実へ、諸々のお礼をしっかり告げて見送った後。
「もうちょっとがんばってみようかな。」って小さく零し、迷惑ばかりかけた病院へ、いざ意気揚々と帰ってゆくのであった。

ご案内:「常世公園」からリリィさんが去りました。
ご案内:「常世公園」から武知一実さんが去りました。