2024/10/10 のログ
ご案内:「常世公園」に武知一実さんが現れました。
武知一実 >  
昨日の晩、夢を見た。
小学校の卒業式に、父親と母親と、家の近くのファミレスへ行って卒業のお祝いに好きなものをたらふく食べる。
ありふれた、よくある普通の一家団欒の風景。

だからこそ、すぐに夢だと自覚出来た

夢で見た父親は、至って普通の会社員で。
夢で見た母親は、自分に愛情をもって接してくれて。
夢で見た自分は、何処にでも居るような子供で。

そのどれもが一切身に覚えのない、荒唐無稽とも思える様な家族の出て来る夢、だった。

武知一実 >  
「最悪だな、ったく」

公園のベンチに座り、独り言ちる。
幸せな悪夢のお陰で最悪とも言える目覚めで迎えた今日は、授業も普段以上に身に入らなかったし、ダチとの会話も何処か非現実的で。
バイトがあるから、と嘘を吐いて。 そそくさと学校を後にしてこの公園に来ている。

こんな気分じゃ、体を動かす気にもなれねえし。
かと言って、自室に引き籠れば脳裏にあの夢がこびり付いていて落ち着かない。
だからせめてもの気分転換になればと、こうしてベンチに座って秋空を眺めてみたりしている。

「……ホント、最悪だ」

――一向に気分が晴れる気はしねえけど。

ご案内:「常世公園」に鶴博 波都さんが現れました。
鶴博 波都 >  
「今日は夕方の通勤ラッシュと戦わなくていい日!」

 たのしげに声を弾ませて、すたすたと歩く車掌風衣装の鉄道委員。
 制帽に隠れてもはみ出る、赤いミディアムショートが特徴的な普通の女の子。

 そんな女の子が、物憂げな男の人を見掛けた。
 とても憂鬱そうなので、心配になって近付いた。

「……えっと、元気ないみたいですけど、大丈夫ですか?」

 

ご案内:「常世公園」に小澤 さやかさんが現れました。
ご案内:「常世公園」から小澤 さやかさんが去りました。
武知一実 >  
「あァ?」

あんまり長居しても気分が変わらない様なら、適当に街の方をぶらついてから帰るか、と考えていたところに。
声を掛けられて、声の主の方に振り向く。
公園に居るのが場違いな、車掌風の制服に、赤い髪。 うん、知り合いじゃねえな。

「んあぁ、ちょっと今朝は夢見が悪くてな。
 さっさと忘れりゃ良いものを、一日引き摺っちまって気分が晴れねえってだけだ」

気分は悪いけど具合は悪くない。
体力気力はしっかり寝て多分普段以上にある気すらする。
ただ、どうにも気分が上がって来ない、それだけだったんだが傍目に見れば心配される程なのか。

「要らん心配掛けさせちまったみてえだな、その服……鉄道委員か?」

鶴博 波都 >  
「ぴゃっ……あ、こんにちはです。急に話しかけちゃってすみません。」

 第一声にちょっとびっくりして、怯む。
 年下の男性の声で怯む程度には、普通の感性。

「夢……ですか。どんな夢かは無理に聞きませんけど……
 そういうのも、あるあるですよね! 忘れるまでに時間も掛かるし……」

 普通に話す態度になれば、うんうんと頷いて懐っこい仕草。
 共感するものもあるらしく、悪夢が長引くことを同意した。

「そうです。鉄道委員なので、通勤ラッシュの列車の運転とか得意ですよ!
 ……そして今日は夕方の通勤ラッシュを制さなくていいのでラッキーな日です。」

 からからと弾む声。
 自然体よりも、少しオーバーよりの元気づけようとするしぐさ。

「心配そうな人を見掛けたら声を掛けちゃうのは車掌さんのサガみたいなものです。
 列車の中では気分を悪くする人も多いですから。
 ……あ、あとちょっと元気になるおまじないとかできます!気分転換に、聞いてきますか?」

武知一実 >  
「おう、気にすんな。
 別に驚いても邪魔だと思ってもいねえよ」

怯まれるのも、もう慣れっこだ。
いや、言葉遣いをもうちょっと考えたらどうだと言われるが、今更変えたところで……人相が悪いから不気味になるだけだろ。

「悪夢の話なんざ聞いたとこで面白いもんでもねえしな」

苦笑を浮かべるしかない。
オレだって人の夢見が悪かった時の夢の話なんて無理に聞きたかない。
……聞いて欲しいってんなら聞かなくもねえが、生憎とオレは別に誰かに聞いて欲しい訳でもねえし。

「へえ、そりゃあご苦労なこった。
 悪いがあんまり電車は……人の多い時間帯は使わねえんで、馴染みがねえな」

バイトで遠出する時とかは電車を使う事もある。
だからこの女子の服装が鉄道委員の物だと分かったわけだ。

「……元気になるおまじないだァ?
 まあ、せっかくだし聞いてみるか。 気分転換にってんなら、一つ頼むわ」

鶴博 波都 > 「わかりました。逆に考えればそれだけ頼もしいって事ですね!」

 すぐに肯定し、前向き思考。
 言葉遣いそのものはもう気にしていないらしい。

「そうですよね。気にしないで流しちゃいましょう。
 だいたいの憂いごとは、きっと忘れられますから!」

 だいたいの悪夢は、すぐ消える。
 すこし尾を引いても、元気な日常の中に掻き消える。

 そんなことを内心で考えながら頷いた。


「使わない人はとことん使わないですからね。それもよし、です!」
「それじゃあおまじない、いきますね!」

げんきにふぁーいとっ!(週初憂日線路安寧)

 ぴょこんと跳ねて着地しながら、両手を武知に向けてパーの形で広げて、元気を送るような仕草。
 もちろん笑顔も忘れない。

 声と動きに対穢装束の効果が乗っかって、ほんのささやかな力の流れが産まれる。
 陰鬱な気分を少しだけ祓う、ちょっとしたおまじない。

 "月曜日は気が乗らないからサボろうと思ったけど、やっぱ電車に乗るだけ乗って頑張ってみようかな。"
 具体的な例を挙げるとすれば、その位の元気づけのおまじない。

「……え、えっと、どうですか?」

 おずおず。伏し目がちに武知を見る。
 少しでも元気になったらいいな、ぐらいのおまじない。
 

武知一実 >  
「いや……まあ、そう、かもな」

頼もしいとまでは思っちゃいねえよ。
ギリギリまで出掛かった言葉をどうにか飲下して、オレは曖昧な笑みを浮かべた。

「ああ、そうだな。
 そうであることを願うよ」

この女子生徒の励ましを無視できるほどやさぐれてもいない。
けれど、言うほど簡単に忘れられるかと言えばそうとも思えない。
しばらくは家族連れとか、街で見掛ける度に少しブルー入んだろうな、と頭の隅で思う。
まあ、思うだけに留めるけどよ。

「おうよ、よろしく頼むぜ。
 遠慮なんてしなくて良いからな」

おまじない、とやらがどれだけの物かは解らない。
最近祝詞を間近で聞く機会があったが、あれほどには至らないとは思う。が、人は見かけによらないもんだ。
案外、ワケあって鉄道員に属する神職なんてことも……

「………」

まあ、無かった訳なんだが。 おまじないは、言葉通りおまじないだった。
ただ、全くの無意味な気休めというわけでも無く、少しばかり腹の底に溜まっていた仄暗い気持ちが抜けていった気がする。
たかがまじない、されどまじない。馬鹿にはしちゃいなかったが、もう少し信用しても良いのかもしれない。

「……ああ、少し楽になったみてえだ。
 ありがとな、ええと……ああ、オレは武知一実、一年。
 ……アンタは?」

素直に礼を言おうと思い、名前を聞いていない事に思い至る。
だったらこの際聞いてしまおう、言動からして同級生かとは思うが……。

鶴博 波都 > 「…………よかったです!」

 花の咲くような笑顔。効果があるか心配だったらしい。

 制服の補助はあれどあくまで、おまじないの範疇。
 それでも元気になればいいな、と、日夜おまじないを続けている。

「武知一実さん、ですね。わたしは鶴博 波都です。
 鳥類の鶴『つる』に博識の『はく』、波と書いては、都と書いて『と』、つるはく はとです!」

 名乗りを受ければ、にこやかに挨拶。

「たまにもじりにもじって、鶴博波都(かくばくはつ)なんてからかってくるひともいますけど、はとちゃんですから!」

 冗談めかしながら、びしっと強調。
 はとちゃんの中の持ちネタジョークのひとつ。

「ちなみに、2年生です。私の方が一年上みたいでした。
 先輩って柄じゃないかもしれませんけど、よろしくです!」

武知一実 >
「つるはくはと……鶴なのか鳩なのか、ややっこしいけど覚えやすいな。
 オレの方は別に漢字で覚えて貰うこたねえし、気軽にかずみんって呼んでくれ」

まあ実際に呼んで貰える率は……最近高まって来た気がするが。
鉄道委員の鶴博、ときっちり記憶しておくことにする。
かくばくはつ……まあ、確かに読めない事もねえが、イメージにはあんまり沿わねえな。

「あぁ、しっかり覚えたぜ波都。
 アンタの方が一年先輩か……オレの方こそ、あんまり先輩後輩だってのは気にしねえタチだがよろしくな」

まあこれも何かの縁、たまには悪夢も見てみるもんだ。
しょっちゅう見るのはさすがに御免被るが。

「ところで、鉄道委員ってのは電車の運転もすんのか。
 自転車やバイクなんかとは随分勝手が違いそうなもんだが、生徒でも運転出来るもんなんだな」

初めて知った。てっきり、教員とかの大人が動かしてるもんだとばかり。
思わずまじまじと目の前の鉄道委員を眺めてしまう。 うん、とても電車を動かすようには見えねえな。

鶴博 波都 >  
「はとちゃんがいいです! ……かずみん!
 折角なので、気楽な場所では本当にかずみんって呼んじゃいますね。
 お仕事中はTPOで武知さん、です!」

 声を弾ませて反復。
 何だか嬉しそう。そして仕事中と仕事外で意識を切り替えるタイプなのか、そう宣言。

 少なくともフリーな時の彼女は懐っこそう。

「そうですね。普通は16歳からですが、必要と能力があれば運転免許をパス出来ます。
 常世島内でのライセンスですが……委員の仕事である点と、実技で示して許可を貰ってます!」

 えへん、と、得意げ。両腰に手を当てて得意げ。委員外の列車の正規条件は知らなそう。
 とても列車を運転出来るような風貌ではないが、かなり自信があるらしい。
 その根拠を示すように、鉄道委員の腕章がゆらゆらと揺れた。

「ちなみに、列車以外もだいたいいけるので、バスも運転することもありますよ!
 逆に言うと、かずみんみたいにパワーはないので移動は乗り物頼りですね。」
 
 業務上重たいものを持ったり長期的集中力を要するタイプの体力はあるが、マラソンなどフィジカル的な体力はない。
 その辺りは普通の女の子と大差がないか、委員の仕事している分ちょっとだけタフな程度。
 

武知一実 >
「……はとちゃん。
 いやまあ、そう呼んでくれってんならオレも呼んで貰ってる手前そうするが……
 はとちゃんはそれで良いのか、アンタと違ってオレはアンタが仕事中でもはとちゃんて呼ぶぜ?」

TPOを弁えないという宣言ではないが、仮にも相手は先輩だ。
後輩の、しかもオレみてえなのから仇名で呼ばれて周囲に示しがつかないのでは、と心配になる。
元から示しなんてついてない、とかならまあ……分らんでもねえけど。

「へえ、16歳から。 つーことは、はとちゃんは免許持ってるって事か?
 鉄道委員会があるってのは知ってたが、やっぱり委員会だけあって一般生徒とは無ェ権限があるんだな……」

得意げに胸を張るはとちゃんを見て、オレは素直に感心した。
制服を腕章含めきっちり着こなしてるだけの矜持と自負は持ち合わせているらしい。
そりゃあ、この島のインフラの一つを担うんだから当然と言えば当然か。
それに風紀よりはだいぶとっつき易い印象を受けるし、それに……なんだ、ここんところデカいの相手にしてた所為か少し落ち着く。

「あァ? 別にオレぁ腕力なんて人並みにしかねえよ。
 上背(タッパ)はあるけどな、そこらの男子とそんなに変わらねえ」

あ、男女の腕力差の事を言ってんのか?
けれどまあ、別に男子だって移動にゃ乗り物使うだろ。

鶴博 波都 >  
「いいですよ! お仕事中も、わりと皆そう呼んでます!」
 
 元気に即答。呼ばれやすいのか、慣れた具合。
 車掌業務とはとが、不思議と紐づきやすいのもあるのかもしれない。

「あくまで普遍的な車両やバイクみたいです。
 特殊なものはそもそも専用のルールがあったり、年齢どうこうではない場合もありますから。
 いわゆるロボットとか、治安維持の機動兵器なんかも特別ルールだと思います。」

 常世学園という特異な実験都市・学園の事情もあり、免許の取得可能な年齢は車両も含め16歳。
 異邦人は異邦人の数え方で換算。そもそも、車両でくくれない特殊な機械も多い。

 常世学園が実験都市であるが故の、本土の日本とは少し違う車両事情。

「ちなみに一般的な免許の発行は鉄道委員じゃなくて公安委員だったりします。豆知識です!」

 とは言え、一般的でないものはそうでもない場合も多い。
 はとちゃん自身の管轄ではないので、ふわっとした知識。 

「そうですか? 女子からしたら男子って力持ちでパワフル!ってイメージでした。ごめんなさい。」

 ぺこりと謝る。
 割とタフなのかな、と思っていたらしい。

「あっ、でもそれなら、気が向いたらバスや電車、積極的に使ってくれると嬉しいです!
 特に僻地のバスなんかは、使う人が居ないと廃線なくてもは減便や予算が付かないはありますから……」
 
 すこし遠い目。
 需要のない路線は予算が付き辛かったり、不便が多くて大変。

「……と、もうこんな時間。
 私はそろそろ行こうと思います、また会いましょう!かずみん!」
 

武知一実 >  
「そうなのかよ……
 ま、それなら気兼ねなく呼ばせて貰うわ、はとちゃん」

一度気兼ねしないと決めたらとことん気兼ねしねえぞオレは。
と、そんな事を言うまではしないが、今度駅とかで見掛けたら声を掛けてみようと思うのだった。

「ふーん……まあ、いずれにせよ一般生徒のオレはあと一年、免許を取れるようになるまで待たなきゃならねえってこったな。
 ま、アンタみてえな人らのお陰で移動にゃ困らねえから良いけどよ」

ロボットだ兵器だってのには今後縁は無さそうに感じる。
というかそもそも機械類と抜群に相性が悪いから、出来れば距離を置いておきたい。お互いの為に。

それはそれとして、さすがは委員会の生徒。
自分の立場あるいは仕事に関わる知識量は、やっぱりオレらみたいな一般とは一線を画してるな。

「へえ、公安。風紀や生活じゃねえんだな、覚えとくわ」

いつか免許を申請しに行く事があるかもしれない。
正直、風紀委員が担当してたらどうしようかと少し心配だったのも否定しねえ。

「まあ、女子からしてみりゃそうだろな。謝る事じゃねえよ。
 けど、この島にゃオレみたいなんか目じゃねえ女子もごろごろ居っからよ」

まあタフであるのは否定はしねえし、通常は、ってだけで状況によっちゃ人並み以上の腕力も出せるんだが。
その辺のことは、別にわざわざ披露する事でもねえだろう。

「バス……ねぇ。
 まあ電車よりは使う機会はあるかもな。 分かった、覚えとく。
 ……おう、今日はありがとな、助かったぜはとちゃん。
 駅ででも会ったら、そんときゃよろしくな」

転移荒野行くときにバス……使ってみるか。行先が行先だからか、人もあんまり乗ってねえし。
そしてどうやらこの後の予定があるらしいはとちゃんへと頷きを返す。
おまじないと、その後の歓談のお陰か、気分はだいぶマシになっていた。

ご案内:「常世公園」から鶴博 波都さんが去りました。
武知一実 >  
去っていく鉄道委員の制服の後ろ姿を見送る。
……何か、ああいう専用の制服って良いよな。オレのは汎用制服だし。
いやまあ、一般生徒だから汎用で当然なんだが。

「……委員会、か」

アルバイトも基本日雇いを転々として、ひとところに留まることは無い。
部活動も、たまーーーに運動部の助っ人に呼ばれたりするがその程度だ。
何にも属さないで居る事に慣れちまって、今更どっかに所属するのもなと思う自分が居ないわけでも無い。

「……ま、まだ一年の秋だ。そんなに急くこともねえだろ」

来年の今頃くらいまでには何か決めとくか、と思いつつ。
オレはベンチに深く座り直した。今朝の寝起きが最悪だった所為か、少し眠い。

武知一実 >  
くぁ、と欠伸が漏れた。
いかんいかん、少しボーっとし過ぎたみてえだ。

「眠気覚ましに散歩でもすっか……」

軽く目を擦りながらベンチから腰を上げる。
さて、どこに行こうか。 そう言えば御津羽の金物屋が何処にあるのか探してみるのも良いかもしれねえ。

「ええと、確か歓楽街っつってたよな……」

まだ日没までは時間があるし、多少あの辺りをうろついても因縁吹っ掛けられる事はあるまい。
よし、と軽く肩と首を回すと、オレは歓楽街方面へと歩き出した。
……まあ、結局それらしい店は見つけられなかったけど。
もっと奥の方かなあ……

ご案内:「常世公園」から武知一実さんが去りました。