2024/10/21 のログ
ご案内:「常世公園」にリタ・ラルケさんが現れました。
■リタ・ラルケ >
リタは、動物が、嫌いではない。
「ふふ、おいでー」
その場にしゃがんで手元でふりふりとエノコログサを揺らせば、野良猫が夢中で飛びついてくる。
真っ黒いもふもふが、リタの体に飛び込んでくれば。
「きゃっ……ふふ、甘えんぼさんだね」
尻もちをついて受け止めると、そのまま背中をなでなで。
ふにゃぁあ、と気持ちよさそうな声を上げて、黒い毛玉はされるがままになっていた。
ああ。
至福。
やっぱり"木"の姿は動物に好かれる。
私欲十割で軽々しく異能を使うリタなのである。
■リタ・ラルケ >
しばらく学園にいて。
前よりは、考えることがずっと増えた。
異能の制御。体の慢性的な違和感。特に、一切成長しない身体。
周りにその辺りのことを聞かれれば、笑い話というほどではないが。まあなんとかなるよ、なんて軽く笑って見せはするけれど。
裏ではなんだかんだ、気にしてはいる。
本当に、考えることが増えた。
「あ、ごめんね」
いつの間にか撫でる手が止まっていて、不満げに体を震わせる毛玉。
再び手を尻尾から頭の方に、一回、二回。
「ふふ、かわいい」
なんだかんだと悩む日々を過ごしていて、そんな中ふと遭遇した気まぐれな黒猫。
癒しが欲しいと。そう思ってから行動に移すまで、自分でもびっくりするくらいに早かったのである。
■リタ・ラルケ >
しばらくして。
「あっ……」
するり、と腕の中から抜け出して、黒猫はどこかへと消えていった。
「ふふ、黒猫さん、さよなら」
小さく手を振って、徐に立ち上がる。
「さて、わたしもそろそろ帰ろうかな……あ、商店街にも寄らないと……」
悩み事は少なくないけど。
とりあえず今は、忘れてしまおう。
ちょっとだけすっきりした表情で、リタは家路に就いた。
ご案内:「常世公園」からリタ・ラルケさんが去りました。