2024/10/21 のログ
ご案内:「常世公園」にリタ・ラルケさんが現れました。
リタ・ラルケ >  
 リタは、動物が、嫌いではない。

「ふふ、おいでー」

 その場にしゃがんで手元でふりふりとエノコログサを揺らせば、野良猫が夢中で飛びついてくる。
 真っ黒いもふもふが、リタの体に飛び込んでくれば。

「きゃっ……ふふ、甘えんぼさんだね」

 尻もちをついて受け止めると、そのまま背中をなでなで。
 ふにゃぁあ、と気持ちよさそうな声を上げて、黒い毛玉はされるがままになっていた。

 ああ。
 至福。
 やっぱり"木"の姿は動物に好かれる。

 私欲十割で軽々しく異能を使うリタなのである。

リタ・ラルケ >  
 しばらく学園にいて。
 前よりは、考えることがずっと増えた。
 異能の制御。体の慢性的な違和感。特に、一切成長しない身体。

 周りにその辺りのことを聞かれれば、笑い話というほどではないが。まあなんとかなるよ、なんて軽く笑って見せはするけれど。
 裏ではなんだかんだ、気にしてはいる。
 本当に、考えることが増えた。

「あ、ごめんね」

 いつの間にか撫でる手が止まっていて、不満げに体を震わせる毛玉。
 再び手を尻尾から頭の方に、一回、二回。

「ふふ、かわいい」

 なんだかんだと悩む日々を過ごしていて、そんな中ふと遭遇した気まぐれな黒猫。
 癒しが欲しいと。そう思ってから行動に移すまで、自分でもびっくりするくらいに早かったのである。

リタ・ラルケ >  
 しばらくして。

「あっ……」

 するり、と腕の中から抜け出して、黒猫はどこかへと消えていった。

「ふふ、黒猫さん、さよなら」

 小さく手を振って、徐に立ち上がる。

「さて、わたしもそろそろ帰ろうかな……あ、商店街にも寄らないと……」

 悩み事は少なくないけど。
 とりあえず今は、忘れてしまおう。

 ちょっとだけすっきりした表情で、リタは家路に就いた。

ご案内:「常世公園」からリタ・ラルケさんが去りました。