2024/11/02 のログ
武知一実 >  
「ま、ひとまず情報集めからだ。
 商店街の掲示板とかに貼り出されてねえかな、ポスターとか」

よっこいせ、とベンチから腰を上げる。
近頃は本当に日が落ちるのが早くなったもんだ、学園を出た時にはまだ夕方ですらなかったのに、もう薄暗くなってやがる。

「……怪異討伐のバイトも、そろそろまた再開しねえとな」

異能についての理解もちっとは深まっているような気もするし。
今ならもうちょっと効率的に、怪異を相手取れそうだ。
だが、あんまり調子に乗ってバイト詰め込み過ぎると誰かさんが腹ァ減らした時にすぐに対応出来なくなるかもしれねえし……

「ま、その辺はアイツと相談しとくか」

確実にオレが家に居る時間帯を作るのも手ではある。
となると……今までみてえにバイトを何種類も転々と……てのは厳しいか。
……まあ、割も良いししばらくは怪異討伐に絞ってみるのも悪くねえかもしれねえ。

そんなことを考えつつ、オレは商店街へと向かうのだった。

ご案内:「常世公園」から武知一実さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
「ふぅ…結構薄ら寒くなってきたなあ……」

帰宅途中、ふと公園に目が行って
風が肌寒くなってきた中でも元気に遊んでいる子ども達を見て、なんだか胸がほっこりする気持ち

子ども達の元気さはこの島でも変わらないなあ、なんて思っていると

てん、てん

サッカーボールがこちらへと飛んできて

『お姉ちゃーん、ボールとってー』

無邪気な声も同時に飛んできた
空を見ればまだ日が沈みむには時間がある
よーし、と笑って

「じゃあ、お姉ちゃんも混ぜて? いくよー!」

ぽん、と軽くボールを蹴り上げる
綺麗なアーチを描くボールと共に、自分も公園の中へ

伊都波 凛霞 >  
秋の夜長はつるべ落とし
子供達と遊んでいるとすぐに夕暮れ
紅く染まった公園で、子供達は一人、また一人
帰らないといけない時間になっていく

またね、なんて子供達と同じ別れの言葉を告げて
近くのベンチに腰掛けると、ふーっと一息

子供達と遊ぶのは好きだ
自宅の道場で近所の子供達に武道を教えているのも、子供好きが講じているところはある

とても、平和な時間
こういう時間を過ごしていると、風紀委員として余計に頑張らなきゃという気持ちが湧いてくる

「あ、ボール…」

忘れて帰ってしまったのか、ぽつんと残されたサッカーボールが砂場に寂しく残されていた

まぁ…また明日あの子達は公園に遊びに来るのかな
そのままにしておこう

伊都波 凛霞 >  
ベンチで一服してから帰ろう
そう思って佇んでいると、聞き慣れた通知音が耳に入る

「? なんだろ」

委員会からの通知音じゃない
横に置いたショルダーバッグから手帳を取り出し、確認する

「───……」

眉根が寄る

「しまった…」

忘れてた、わけじゃないけど
なるべく考えないようにしていた案件だ

ご案内:「常世公園」にシアさんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
連絡を寄越したのは学園の写真部に所属する友人の一人

───遡ること数日

『グラビアっていうか、そういうのをやろうって話があって…』

「う、うーん…私そういうのはちょっと…」

『そこをなんとか! 凛霞に協力してもらえたら凄い宣伝にもなるし…お願いっ』


まぁ、いつもの流れ
頼み事をどうしても、断りきれない性格はどうにかしなきゃいけないような……

まぁ、新聞部の企画の宣伝にもなるなら…と思って受けたけれど

「…まさか水着とは」

最初に説明して欲しかった

連絡の内容は、詳しい撮影の日時である

シア >  
「………」

あてもなく、歩く。このあたりの地理も大体は把握できた。
それをなぞるように、確認するように歩くだけの意味のあるようで意味のない行動。

あとはもう……

「……ん」

視界の中に入ってくる雑多な情報。
木、道具、椅子、人間……
どれもがもう見慣れていて、記憶しているもので何も変わらない……

「……凛霞」

知り合い、であった。
ただ、表情はどこか難しそうな、そんな顔。

「……」

声をかけていいのだろうか、と少し離れて首を傾げる。
こういうとき、どうしたらいいのだろうか。
じりじりと近づいてはみるが、それ以上は手が出ない

伊都波 凛霞 >  
はぁ…と溜息を吐きつつも、約束を破るわけにもいかない
すいすいと指を滑らせて、了解の旨の返答を返す
水着は向こうで用意しておくみたいな話だったけど…まぁいっぱいサイズは用意してあるに違いない

さて、と紅く燃える夕焼け空の下、バッグに手帳を戻せばふと、視線を感じて

「?」

そちらへと目線を運べば、見知った顔

「あれ?こんなところで会うなんて奇遇だね」

ふんわり笑みを浮かべて、手をひらひらと振って見せる

シア > 「……ぁ」

凛霞が手帳で何事かしてから、顔を上げる。
そして、こちらに気がつく。
視線に気が付かれたようだ。感知力が高い……?

「え、と……」

ひらひらと手を振る相手。
今更見なかった、というわけにもいかないだろう。

「久し、ぶり?」

少しだけ首を傾げてひょこひょこと近寄る。

「……してた、難しい顔。
 いいの?」

伊都波 凛霞 >  
これでも風紀委員
これでも武術の家柄、師範代
気配や視線に感づくのはどんとこい、である

「久しぶりだね~、って言ってもそう何月も経ってない気がするけど」

たまたま通りかかって見つけてくれたのかな?
なんて思いつつ

変わらない喋り口、そうそうこんな話し方をする子だった
難しい顔をしていた、と言われれば少し眼を丸くして

「あはは、そんな顔しちゃってた?
 お友達にちょーっと難しい頼まれごとされちゃってねー。
 まぁ、おっけーしちゃったから頑張るつもりだけど…」

シア > 「「ん……難しい、凛霞でも?」

そんなに物凄い頼まれ事なのだろうか。
一体、どんな組織を相手取って戦うのか。
それとも、凶悪な個であろうか。

まだ見ぬ強敵に少しだけ心を刺激される。
やはり、この島は油断ならない。

「大変?」

そんな重大事を、引き受けるのか。
しかも、友達程度の相手の頼みを

「……大事な友達?
 引き受けるの、どうして?」

なぜだか、聞いてしまった

伊都波 凛霞 >  
「そうだね、なかなかの強敵かも」

あくまで比喩としてそんな言葉を使ってしまう
まさかまさか相手が闘争的な想像をしているとは思わないから

「大事じゃない…っていうこともないけど、うん。
 たまに話すくらい…かな? 引き受けるのは…まぁ…なんかこう、断れなくって」

ちょっとだけ、苦笑い
なんとなく自分を頼ってくる人を無碍にできない、そういう気持ち
ちょっと説明がし辛いかもしれない

せっかくだし、お話するならどうぞどうぞとベンチの隣へ促してみよう

シア > 「……それは」

やはり、か。僅かにいる他の知り合いも、この島に巣食う強者の話をしていた。
自分もいつどこで出会うか、わからない。
気を引き締めなければいけないだろう。

勘違いは加速した

「……? それなのに?
 断れないだけで?」

益がない。どうしてだろう。
そんなことで、命を張れる、というのか。
……大事な、使命ならともかく

「……ん」

隣を勧められて、少し考えるが断る理由もないので座る。
静かに、音もなく

「……不思議。
 親切だし、ボクにも。
 違うよね、使命とかとは」

伊都波 凛霞 >  
勘違いが加速している
しかしそれには気づかない
この少女、たまにどこかが鈍い

「なんて言えばいいのかな‥」

胸の下で腕を組んで、うーんと唸る
なんて言えば伝わるだろう

「私を頼ってくれる、ってことは、私を信用してくれてる…ってことだから」

「その信頼に応えたいし、
 そうやって頼ってきてくれるのが、嬉しいじゃない?」

友人関係、なんて言ったって結局は薄いものだっていうのは理解ってる
その上でも、信用して、頼ってきてくれるその気持が嬉しいのだと
そう説明してみるのだが、さて

「そうだね、やらなきゃいけない…使命とは、違うかな。
 応えてあげたい…っていういう気持ちが強いのかな……」

シア > 「……信用。信頼」

その概念は知っている。知ってはいるが……
嬉しい? それは嬉しいことなのだろうか?

……そもそも論として、嬉しい、とは
快い、ということだったはず、だ
それは、快いことなのだろうか……?

「応えてあげたい……」

奇妙な感覚だ。本来不要なことをわざわざする。
利益、損害を考えての行動ならともかく。

「……不思議」

首を傾げた。これが、お山の外の当然、なのだろうか。
自分には、まだ理解ができない。
どうして、そんなことができるのだろうか。

「……何のため?
 満足……?」

伊都波 凛霞 >  
「うーん、じゃあ、例えば」

口元に指をあて、説明の構え

「私がシアちゃんを頼って、シアちゃんにとって難しいことをお願いしたとするね」

それがどういう内容かは、一度置いておいて

「そこには利益も満足もなかったとして、シアちゃんがそれをお断りしたとしよう
 それでシアちゃんの助けを得られなかった私が、例えば大怪我をしたり…もしかすると、死んじゃったり、とか」

「出来ることをやってあげていれば、そうならなかったかもしれない。
 もちろん応えてあげたい気持ちもあるけど、悪い方向のことも考えちゃたりして、断れないのかも」

極端な話だけどね、と付け加えて

シア > 「……ん」

凛霞の頼みで、難しそうなこと
例えば――落第街の制圧、とか?
断って、凛霞が実行しようとする。それで大怪我をする。
あり得ることだ。

現実性とかはとりあえず置いておくとして

想定はできた。

その中で、自分の不利益よりも、他人の不幸を避けることを選ぶ、ということか。
頼み事、頼まれ事は、内容と見返りのバランスが取られてこそ、なのに。

「損、するのに……」

ぽつ、と言葉が漏れる

「……っ」

びくりと、ほんの僅かに身動ぎする。
なにかに気がついたかのような、一瞬の震え
間髪入れず口を開く。

「昔からなの、凛霞は?
 学んできたの、そういうふうに?
 あるの、目的とか?」

伊都波 凛霞 >  
「損か得か、って結構人によって違ったりもするものだよ」

小さく、笑みを向けて

「え?」

矢継ぎ早の質問は、要約すればいつからそうなのか…といったもの
……どうなんだろう、気づいたらこうだった、けど…ちゃんと思い返してみると……

「そう、だね…」

「多分、誰かの役に立ちたい…と思ったんだと思う
 ずっと子供の頃に、…妹が自慢できるような、立派な人間になろうって思ってから…かも」

子供の頃の話だ
立派な人間=人の役に立つ人間、なんて短絡的に考えていたのだと思う
思い返してみたら、そこが大元…だったかもしれない

シア > 「……ひとによってちがう」

一律の感覚ではない? 無数に可能性があるということ?
それなら、自分の学んできたことは……?
少しだけ、頭がくらくらする

「……妹」

血のつながった兄妹、なるものはいない。
だから、凛霞の想いを理解をしきれるかはわからない。
仮にいたとしても、わからないかもしれないのに。

「自慢できる……立派な……」

首を傾げた。確かに、それは自慢できる、のかもしれない。

「でも……妹じゃない、それは。」

血がつながっていようとなんだろうと、究極的には他人に過ぎない。
姉を自慢したところで、自分の価値が上がるわけではない。

「……ん、でも。わかった。
 昔からなんだ」

妹絡み、ということは子供の頃、本当に小さいときからなのだろう。
そこに至るまでの経緯はわからないが、そういう想いを抱くまでになる環境があったのだろう。
成すべき、想いがそこにあったのだ。

伊都波 凛霞 >  
「うーん、そう、昔からといえば昔から。
 気がついたら、こうなっていたねえ」

苦笑する
妹が自分の後をついてくるようになって
妹が背中を追いかけられる、立派な人間になろうとして
今はもう、追いかけるのをやめ、自分の道を歩いているにも関わらず…
自分の在り方は対して変わらぬまま
もうそういう人格に形成されちゃっているんだから、仕方がないのかもしれない

「あと、そうそう…本人のことじゃなくたってさ
 私は私の大好きな妹がとっても可愛いこと、自慢しまくってるから…」

妹のことになるとつい口が滑りまくる…悪い癖
でもそれくらい、妹の可愛さを周りに伝えたいという気持ちが大きいのだ

やっぱり言葉にするのは難しい部分
ちゃんと伝わったかなあ…なんてシアの表情を伺う

シア > 「……ん」

それだけ、深く想うことはあったのだろう、と推察は出来る。
こうなるともはや理屈ではないのかも知れない。
人は不合理なところもある。
そして、気づけばそれが通常になっていた、ということなのだろう。


「妹……凛霞の」

見たことはない、ので想像もつかない。
ただ、自慢、できるらしい。
その必要性は、いまいちまだ理解はできないが……

「……どんな人?」

気にはなった

伊都波 凛霞 >  
「妹は───」

「顔立ちなんかは私によく似てるよ。でも恥ずかしがっていつも前髪で目元隠しちゃうの」

言いつつ、目元を自分で指差して

「それでちょっと、人と話すのが苦手、
 言い換ええれば慎ましいというか奥ゆかしいと言うか…そのへんはあんまり私とは似てないね」

でもそういうところが可愛い、ということをアピールしたい
物怖じしつつも頑張って前に進もうとするひたむきさなんて、可愛すぎて仕方ないの…

シア > 「……ん」

可愛い、というのは確か……
対象を深く愛し、大切に思う気持ちを起こさせる……だったか。

何を愛するか、というのはそれこそ人次第、だろうか。
曖昧な言葉だ、となんとなく心に思う

「似てないのは悪いことではない、量産じゃないなら。
 ん……」

凛霞と似ているようで、似ていない少女、というのは理解した。
そもそも全く同じ存在、を生み出す苦労は如何ばかりかを考えれば当然ではである。

「わかった、一生懸命は」

実物を見ないうちの予断はよくない。
けれど、凛霞自身が一生懸命アピールしているのは分かる。

「……ごめん。
 色々聞いた、なんだか」

ふと、我に返った

伊都波 凛霞 >  
「ふふ、いいよー、こうやってシアちゃんの役に立てるならそれも嬉しいし」

彼女の質問に答えること
それもきっと利益や不利益だけで済ませて足る行動じゃない
多彩な価値観、きっと彼女はまだその色々を噛み砕けていない
こうやって少しずつでも、見せていけたらきっと、無駄にはならないはず
そんな想いもあってなのか、たまたまか
多彩な質問を無碍には扱わず、真摯に向き合っているうちに、夕日は更に傾いていた

「と…さすがにそろそろ、帰らないと」

暗くなる前に
今日は委員会の仕事もないから速く帰れると家族に伝えてあったから

シア > ああ、もう終わりのときだ。
なんでこんなに聞いてしまったのか。
それでも、あと――

「……最後に一つだけ」

口が開いた

「凛霞は」

「途中までしか聞けなかった頼みがあって、その相手がもう会えなかったとしたら、どうする?」

伊都波 凛霞 >  
ベンチから立ち、ぱんぱんとスカートについた埃を叩いて、スクールバッグを肩へ

それじゃまたね、とにこやかに微笑んで、公園の出口へ向かう…途中

"最後に一つだけ"

聞こえた言葉に、振り返る

「……それは」

「私なら、最後まで頼みを果たそうとする、かな。…頼みの続きが理解らなかったら、自分なりの答えを探して」

迷わず、即答
──けれど

「でも、諦めて忘れたっていいとも思う。
 もしくは…その人とまた会える時がきたら改めて…とかでもね」

──こんなので、答えにになったのかな
ちょっと意外だった彼女の最後の質問、自分なりの答えは…こんなところ

シア > 「……ん」

こくり、と頷いた。
公園から去ろうとする凛霞の背中を見つめたまま。

「わかった。ありがとう」

少女は、座ったまま礼を述べる。
そのまま、その体勢で凛霞が去るのを見送るだろう。

伊都波 凛霞 >  
にこり、と微笑み
手を大きく振って別れを告げる

そして踵を返せば、少しだけ小走りに少女は公園を後にするだろう

ご案内:「常世公園」から伊都波 凛霞さんが去りました。
シア >  
「……ボクは」

残された少女の呟きが、何処かに消えていった

ご案内:「常世公園」からシアさんが去りました。