2024/11/12 のログ
ご案内:「常世公園」に焔城鳴火さんが現れました。
ご案内:「常世公園」に鶴博 波都さんが現れました。
焔城鳴火 >  
 普段は穏やかで憩いの場となる公園。
 しかし、今日はなにやら、ベンチに人が集まっていた。
 ざわざわ、と賑わっている様子には、熱狂的な様子が。

『わぁぁ!
 先生っ、サインくださいっ、サインッ!』

『先生ー!
 一緒に写真撮ってー!』

 そんな黄色い声が人だかりから聞こえてくる。
 すっかり囲まれているせいか、ベンチにいるのだろう中心人物の様子は離れているとよく見えないぞ。
 それにしても、囲んでいる少年少女たちは、比較的体格のいい学生が多い様子で――?
 

鶴博 波都 >  
 仕事も講義も無くてのんびりとした時間。
 常世公園を通りがかってみれば、何やら賑やかな声。

(なんだろう?)

 そう不思議に思って、好奇心から人だかりに近付く。
 体格の多い人が多いような気がする……なんて思いながら渦中の人物へとどうにか視線を向ける。
 

焔城鳴火 >  
「だぁーっ、わかったわかったから、ちょっと大人しくしてなさい!」

 囲みの中心には、ベンチに座っている小柄な女性。
 呆れたように疲れた顔をしつつ、一人一人、学生たちの相手をしていて。

『先生っ、ありがとうございましたー!』

 そう熱の籠った感謝の声と共に、学生たちが去っていくと。
 そこに遺されるのは、ぐったりと背凭れに寄りかかった女性の姿だけだ。
 非常に小柄だが、体格に対して少々目立つ二つの小山。

「あぁ~――」

 そんな、空を仰ぐ女性から、なんとも色気のない疲れた声が零れていた。
 

鶴博 波都 >
 そのまま、去り行く生徒たちを見送る。
 生徒たちのきびきびとした動作も含め、体格の良さがはっきり視認できた。

(なんだったんだろう? 体育系……?)

 そんなことを考えたのも束の間。
 ぐったりと凭れ掛かっている女性から疲労の色が混じった声が聞こえたので、
 思わず近寄って声を掛ける。小柄だけど、一部分が大きい。
 それが原因かなと思いかけるも、生徒たちは礼儀正しかったように見えた。ううんと唸る。

「あの……お疲れ様ですか?」
 
 ともあれ、疲れている人を見るとつい声を掛けてしまう。
 人柄もあれど、鉄道委員の職業病のようなもの。
 

焔城鳴火 >  
「――え、ああ」

 声を掛けられると、明らかに疲れた様子でひらひらと手を振った。

「大丈夫、たまーにあるのよね――って、もしかしてあんたも?」

 声を掛けてきた少女に、怪訝そうな視線を向ける。
 両手を広げて肩を竦めると、首を振った。

「悪いけど、サインペンも色紙もないわよ?」

 そう言いながらも、疲れてはいても邪険にする様子はない。
 なにかはわからずとも、ファン(?)を大事にする意識はあるようで。
 

鶴博 波都 >   
「あ、ごめんなさい。具合が悪そうでしたので、つい声を……。」

 少々の罪悪感を抱きながらも、首を横に振って否定する。
 ぺこりと、礼儀正しくお辞儀をする。

「すごい人だかり、でしたね。何かのプロの方……ですか?
 あっ、私は鉄道委員の鶴博波都、と申します。」

 こてん、と、小首を傾げる。
 先のわちゃくちゃは何だったのか、気になる様子。
 
 

焔城鳴火 >  
「はは、へーきへーき。
 これでも医者だからね――疲れてるだけよ」

 少女の態度に苦笑を浮かべつつ、声は優し気に聞こえるだろうか。
 気を使ってくれた事が素直に嬉しかったのかもしれない。

「ん、あー、そうねえ、もう引退してしばらく経ってるんだけど。
 ――ん、鶴博?
 ああ、鉄道委員の鶴博か。
 面白い異能を持ってる子よね。
 いつも、慌ただしいお仕事ごくろーさん」

 そう言いながら、ポケットからタバコの箱のようなものを取り出して、一本を自分で咥え。
 少女に向けても、手慣れたように箱から一本だけ飛び出させて、差し出した。

「一本いる?」

 そういう表情は、どことなく意地悪気な表情をしていたかもしれない。
 

鶴博 波都 >   
「疲れてるだけなんですね──……」

 お医者さんの言葉だから大丈夫なのだろう、と、
 疲れているとの言葉への言及はそれ以上せず。

「はい。鉄道委員の鶴博はとちゃんです!
 ありがとうございます。年の瀬が近づくと段々慌ただしくなってきます。
 異能はまだ自覚しても使いこなせていませんけど……最近のちょっとしたお悩みです。」

 異能に芽生えたのは最近のこと。
 仕事は忙しくてもどうにもなっているものの、異能に関しては持て余し気味。

「えっと……いいえ、私は遠慮しておきます。」

 いじわるげに差し出されたタバコのようのものには、困り気味に笑いながら遠慮する。
 未成年の自覚はあるので、そういうものは遠慮するタイプ。
  
 

焔城鳴火 >  
「ツルでハトって可愛いわよね。
 ついでに鉄道なんて、ぽっぽちゃん、って感じ?」

 少女の様子にくすくす楽し気に笑いつつ。

「異能なんてそんなもんよ。
 その内、生活に馴染んでくるから心配しなくて平気よ。
 まあ、それでも不安とかあったら、保健室の先生としては相談に乗ったげるから」

 そう言ってから、少女に手招き。
 ベンチの隣に誘うように。

「いいの、もらっときなさい。
 嫌いじゃなければだけど、シガレットチョコ」

 そう、真面目に遠慮する少女に笑いながら、その手元に改めて『ココアシガレットチョコ』を差し出した。
 

鶴博 波都 >   
「えへへ、よく言われます!」

 照れた声と共に微笑む。
 自分の名前を良く思われると嬉しいのは確かな話。

「そう言うもの、なんですね。
 今の所は実感が湧きませんけれど……あっ、先生のお名前を聞いても大丈夫ですか?」

 思い返してみれば何度か見かけた事があるものの、
 具体的な名前などは知らなかった。これを機に、と名前を伺う。

「んもー、いじわるです……。
 ……えーと、ありがたく頂いちゃいますね。」

 日常のものであるが故、車両と機械以外のことへの感知能力は低い。
 ざっくり言えば、目星は振れても受動感知の類は働かない。
 いじわるにむぅ、と、頬を膨らませながらも、素直に受け取った。

「禁煙中、とかですか?」

焔城鳴火 >  
「ふっふ、ぽっぽちゃんは元気がいいわね」

 くっく、と笑いながら素直な反応を可愛らしく思う。
 もっと自分が気安い性格だったなら、きっと頭を撫でていたかもしれないと思った。

「そういうもんよ、まあ悩んでる子は多いけどね。
 ――ん、私の名前?
 焔城鳴火、いつもは第二教室棟の、第四保健室に詰めてるわ。
 といっても、もう一ヶ月ちょっと休職中だけどね」

 そう言って肩を竦めた。
 名前と保健室の場所を聞けば、噂程度には聞き覚えがあるかもしれない。
 すぐ怒るし怖いけど面倒見がいいと、生徒間では『ぴよちゃん』なんて呼ばれて親しまれていたりする――事もある。

「くくっ、そういう反応が面白いのよ。
 悪いわね、ちょっとした茶目っ気ってやつ」

 楽しそうに笑いつつ、首を振った。

「そもそもタバコは吸わないのよね。
 昔の男が吸ってたから、試した事はあるくらい?
 ただまあ、何か咥えてないと落ち着かないのよねえ」

 そう言いながら、シガチョコを咥えたまま、噛み砕いたりするでもなく、本当に咥えてるだけの様子で。
 煙が出ていたら、完全に喫煙中にしか見えない。
 

鶴博 波都 >  
「ぽっぽちゃんは元気もとりえですから!」

 ぐ、と、手を突き出して元気なポーズ。
 2年生ではあるけど、どこか初々しくて若々しい。

「えんじょうめいか先生、ですね。
 一ヶ月ちょっとと言うと……9月の終わりぐらいですね。」

 指折りで数えて、九月の終わりぐらいに逆算する。
 何かあったのだろうかと思いながら思案しているが、浮かぶものはあまりない。

 そう言えば、誰かがぴよちゃん先生を一ヶ月見ない、なんて言ってたような──。
 ぴよちゃん先生が鳴火先生と言うことにあんまり紐づかないけど、
 自分の中で聞き覚えのあるワードを紐づけたらそうなった。

「美味しいからヨシ! です!」

 そのままココアシガレットをカリカリと食べる。
 雰囲気を出している鳴火とか対照的にハムスターのような齧り具合だ。

「口が寂しいこともあるんですね……
 ……ココアシガレットならカロリーもほどほどですから、良い感じです!
 そう言えば、さっきの人だかりって何だったんですか?」

焔城鳴火 >  
「んー、その頃に知り合いが大病しちゃってね。
 そいつがやってた教会と養護施設の面倒を見るのに、休職中なのよ。
 小さいのはまだ一歳だ二歳だって子もいるから、完全にほったらかすわけにいかないから」

 『まったく、面倒な話よね』なんて付け加える物の、その表情は優し気で、楽しそうでもある。
 根本的に、鳴火は子供が好きなのだ。

「あっはは、可愛い食べ方するわね。
 餌付けしたくなるわ」

 ぽっぽちゃんだけに。
 なお、無暗にハトにご飯をあげちゃいけません。

「口寂しい、というか、クセかしらねえ。
 ああ、昔の私のファンなんだって。
 これでも格闘家だったのよ、セミプロって感じだったけど」

 そんなふうに言いながら手帳(オモイカネ)を操作すると、少女に画面を見せる。
 そこには、ネット上に掲載された鳴火の写真と、格闘家としての非公式な情報サイトが表示されていた。
 

鶴博 波都 >   
「色々あったんですねー……
 鳴火先生がやさしい、と言うことは理解しました!」

 知人の教会や養護施設の面倒を買って出て休職中。

 9月の終わりと言うと、自分の異能が目覚めた時期。
 何か脳裏に引っかかるものがあったけれど、偶々かなと思う意識と、
 それ以上に目の前の先生がお人よしだった印象によって上書きされる。

「おぉ……本当です。
 焔城先生、セミプロの格闘家だったんですね。」

 このご時世での格闘家。
 情報サイトから見る彼女のプロフィールからその事実を認めれば、
 先ほどの人だかり理由にも納得が行く。

 ファンの相手や、保健室の養護教諭としての先生の活動、知人の教会や養護施設の面倒の引き受け。


「うん……焔城先生って、とってもやさしい先生なんですね。
 異能のこととかで困ったことができたら、ぜひ頼らせてください。」
 
 その印象に素直に感服し、ぺこりとお辞儀をする。
 瞳と姿勢には、尊敬のまなざしと仕草が見て取れる。
 

焔城鳴火 >  
「やーめなさいよ、別に優しだけさでやってるわけじゃないし。
 ぽっぽちゃんだって、責任感を放り出せる性格じゃないでしょーに」

 ひらひらと手を振りながら苦笑を浮かべた。
 お人好し、と言われればそこはどうにも否定しようがなかったが。

「そ、それなりに大きな興行にも招待されたりね。
 能力魔術抜きの、純粋総合格闘技。
 優勝経験もあるけどまあ、結局、才能負けしたのよねえ。
 凡才には、やっぱり限界のある世界よ」

 そう言うと、画面をスライドさせて、最期の戦績を表示する。

 女子総合格闘技JCC(ジャパンチャンピオンカップ)【〇福園ミシェル(14)vs●焔城鳴火(21)】

 チャンピオンベルトのかかった試合で、鳴火は愛弟子に、完璧な大敗を喫したのだ。

「だからやーめなさいって。
 でもまあ、頼られればちゃんと面倒みるから、困ったら気軽に相談しなさい」

 可愛らしいお辞儀に、むず痒くなりながら、その頭をぽんぽん、と叩いた。

「しかしまあ、弟子にこっ酷く負けた格闘家を、未だに覚えててくれてるのはありがたいのかしらねえ。
 私の試合を見て、格闘技を始めました、なんて言われるとくすぐったくてしょうがないけど」

 そう、どこか照れたように笑いながら、目を細めた。
 格闘技の世界に未練はないものの、とても思い出深い世界ではあった。
 だから今でも、部屋にグローブとサンドバッグは置いてあるのだ。