2024/11/13 のログ
■鶴博 波都 >
「むむむ……それはそうです……」
唸りながら頷く。
そう言われるとそう、としか言えない。
「凡才……才能……」
黒星を喫した相手が愛弟子である事実こそは知らない故に、
この画面からは、才能の若手に負けた、と言う表層の事実までしか読み取れない。
自嘲めいた言葉と最期の戦績にどう言葉を掛けていいか分からず、表情が悲しそうにしょげる。
「……はい、ありがとございます!」
丁寧な仕草や畏まった素振りよりラフの方がいいのかな?と思いながらも相手は先生。
相好を崩し切れずに、丁寧さと純粋さが前に出る。
「わっ……さっきの戦績の人、お弟子さん、なんですね。
焔城先生の人柄を見ていると、強い弱いだけでもない気がしてきます。」
焔城鳴火のことを奥深くまで知る事のない鶴博 波都ではあるものの、
それまでの戦績やスタイルなどもあったのはではないか、と推察する。
一度の大敗や引退だけでは消えなかった輝きが、あったのだろうと思う。
(どこかでアーカイブ、見れないか探してみましょう。)
■焔城鳴火 >
「そ、才能よ」
しょげた顔になる少女に、少し困ったように、けれど柔らかく微笑みかけた。
普段から怒りっぽい鳴火にしては、珍しい表情ではある。
「そうなのよ、あいつが10歳の時だったかしら、押し掛けてきて、なし崩し的にねー。
それが今じゃ、無能力格闘技界のチャンピオンよ。
ほんと、おっそろしい才能だわ」
なんていう物の。
愛弟子が才能だけで上り詰めたわけでない事は、誰よりも知っている。
だからこそ、懐かしみこそすれ、未練もなく、誇らしく思えって笑えるのだ。
「私のひとがらぁ~?
ぽっぽちゃんてば、あんた、詐欺師に騙されやすそうねえ」
くっくっく、と笑いながら、少女のおでこをツン、と突こう。
明るくて素直で、清々しい少女。
とてもいい学生だと思う。
「そーいうぽっぽちゃんには、何か特技とか、趣味とかないの?
思春期真っ盛りなんだし、恋人の一人や二人でも居たりとか」
そんな、揶揄い混じりに訊ね返した。
ボクシングやキックボクシング、また総合格闘家としての焔城鳴火の経歴には、大きな大会や興行への参加も多い。
探せば、動画だけでなく、立体映像やAR、VRでのアーカイブが幾つも出てくることだろう。
■鶴博 波都 >
「……14歳で、って考えるとものすごい才能ですよね。
努力は当然あるとして……才能と異能の違いって何だろう……と考えちゃう、位です。」
異能を持たずに才能を用いて、異能と渡り合っている友人の姿を思い浮かべる。
ここまで突出した才能は、異能と何が違うのだろうか。
ほんの少し無礼であるかもしれないと感じながらも、疑問が口から洩れてしまう。
「うぅ……否定は出来ません。
ええと……あんまり人は疑いたくないです!」
まだ騙される方がマシ、と思ってしまう自分が居る。
極端な悪意に騙された実績のない、日の当たる一般の鉄道委員として働いた経歴。
それらも相まって、疑うよりはだまされる方が良い。そんなとんちんかんを口にする。
「趣味? ですか? 色んな人からお勧めされるものを見たりはしますけれど……
メタラグとか、アニメとか、スポーツとか、少しは嗜みますけど……
……これと言って、深い趣味はないです。鉄道委員のお仕事一筋ですね。」
趣味に関しては受動的に覚えるものが多く、それも浅く広く。
どうにも、根本的には仕事や勉学を優先するストイックさがあるらしい。
■焔城鳴火 >
「難しい事を考えるわねえ。
まあそうね、しいて言うなら――必要な努力量とその結果の違い、じゃない?」
異能も当然扱うのに努力が必要だが、その先で手に入るものは非常に大きい。
けれど、無能力の才能と呼ばれる物は、血のにじむような努力をしたうえで――その才能が及ぶ世界でしか通用しない。
ただ、確かに少女が言った通り、その境界を明確に定めるのは、意外と難しいのかもしれない。
「もう、そういう気持ちは大事だけど、ほんとに騙されたときは大変よ?
自分だけならまだしも、友達や家族、周囲の人たちにまで飛び火する事もあるんだから。
ちゃんと、必要な警戒心は持ちなさいね?」
そう言いながら、優しく頭を撫でてしまうだろう。
自分よりずっと背の高い少女だが、やはり思春期の子供らしさがある。
その純粋さが利用されずに、歪まず育ってくれる事を祈らずにはいられない。
「あー、そういうタイプか。
というかメタラグ、なつかしいわね。
稼働したころに付き合ってたヤツに連れられて、ゲーセンに通ってのを思い出すわ。
あのゲーム、今も人気なの?」
そう言いながら、なるべく遊びの話題に持っていく。
ストイックなのは良い事だが、行き過ぎると世界が狭まってしまうものだ。
子供の内は、色んな世界を広く大きく知ってほしい、そう思ってしまうのは大人のエゴなんだろうか。
■鶴博 波都 >
「まわりにすごい人が多いので、ちょっと考えちゃって。
努力量と結果の違い……そういうものなんですね。」
保険の先生から導き出された結論を素直に頷き、心に留める。
少なくとも、自分が考えて出す答えよりは正しそうと受け留めた。
「うーん……分かりました。頑張ってみます。
きれいごとばかりじゃないって、仕事が増えてから少し知りましたし……。」
前線への輸送任務では色々な危機に見舞われたし、
秩序や治安を守る委員の人々の言葉も警戒心を持つことを促すものが多い。
自分に足りない要素だとは認識しているが、中々呑み込み切れずにいる。
撫でられる事には慣れているのか、目を細めて心地よさそうに力を抜く。
撫でられ慣れした動物のような懐っこさ。
「実機で触ったのは最近でしたから、まだ人気みたいです。
知り合いがメタラグのファンで……きゃいきゃい言ってました。」
思い出して笑う。
友人の一人が強く推していたことを思い出す。プレイではなく視聴専門だった記憶。
はとちゃん自身は、幾らか触ってそれっきり。そんな趣味が多い。
「あっ……そろそろ行かないと。
明日は始発便でかなり早起きしないといけないので、
起きた後の夜食だけ買ったら寝ないといけません。」
ほぼほぼ深夜に起きて早朝に向かう。
始発便の時はそれなりに忙しい。そのまま通勤ラッシュの時間に突入もする。
「今日はありがとうございました。焔城先生!」
■焔城鳴火 >
「まあ、頑張れってほどじゃないわよ。
あんたみたいに素直で純粋な子は、それはそれで貴重だし――その心根を大事にしてほしいって思うわ」
なんて、うっかり正直に言ってしまってから、照れ臭そうに頭を掻いた。
真っ正直に人を褒めるのは、あまり慣れていないのだ。
少女を撫でながら、なんだか愛らしい生き物を愛でてるような気分になって、背中ムズムズする。
「へえ、私もたまには遊びに行ってみようかしらねえ。
その時は付き合いなさいよ、ああいうの、一人で行っても寂しいじゃない?」
なんて笑って言いながら、時間を気にする様子に、空を仰ぐ。
秋から冬に向かって、随分と陽が短くなったものだと思う。
「始発便から?
それはまた、ありがとうね、あんたたちのお陰で交通が回ってるんだって実感するわ。
――ん」
そう言って、未開封のシガチョコの箱を差し出す。
「こちらこそ、久しぶりに気楽な時間で楽しかったわ。
これ、差し入れって事で。
頭も体も疲れるだろうから、甘い物も適度にね」
脳が求める栄養は、非常に限られている。
早朝から動くとなれば、身体だけでなく脳にも疲労がたまるだろう。
そんな少女の、ちょっとした気分転換くらいにはなると良いのだが。
■鶴博 波都 >
「えへへ……照れちゃいますね。
でも、後輩の事を思うともうちょっとはしっかりしなきゃ、ですっ。」
ぐっ、と手に力を籠める。
ある種の先輩としての責任感もあるらしい。
「ソロプレイだとちょっと寂しくなりますからね。
私で良かったら、何時でも付き合いますよ!連絡先、交換させてください。」
スマートフォンを取り出して、連絡先の交換を求める。
方法は画像認証だったり端末間通信だったり、楽そうな手段を取りそうだ。
「わっ……シガチョコ、嬉しいです。
仕事前の糖分補給にぴったしですから! ありがたく貰っちゃいますね。」
差し出された未開封のシガチョコを貰って大喜び。
仕事前に脳を覚醒させる甘味としても助かるものだが、
それはそれとしてお菓子の類は普通に好物。とても嬉しそうだ。
「リラックスになったなら私も嬉しいですし、私も楽しく勉強になりました!
それじゃあまたねです、焔城鳴火先生。行ってきますね!」
楽し気な声と共に公園を後にする。
鉄道委員の制服の後ろ姿。
レトロなものだが、元気な少女履きこなしており、不思議と似合っていた。
ご案内:「常世公園」から鶴博 波都さんが去りました。
■焔城鳴火 >
「ははっ、それじゃ、もう少ししっかりね」
そう言いながらも、この清々しい心根だからこそ慕われる事もあるだろう。
きっと後輩想いで立派な先輩になれるに違いない、そう思える。
「ああ、はいはい。
――ん、こっちと、これね。
基本的にこれで連絡取れるけど、何か急ぎの話があったらこっちに頂戴」
と、教員としての連絡先と、プライベートの連絡先の両方を教える。
公私はしっかり分けているらしい。
とはいえ、気軽に私用の連絡先を教えてしまうあたり、あまり気にしていないのだろう。
「はーいはい、お仕事、よろしくね。
帰ったら体冷やさないようにして、しっかり寝るのよー」
そう言って、特徴的な制服姿を見送る。
本当に心から清々しく、愛らしい少女だったと思った。
「――はあ、いいもんね」
ふ、と表情が緩んでしまう。
こうして学生と触れ合う時、教員としてこの島に来てよかった、そう思えるのだった。
ご案内:「常世公園」から焔城鳴火さんが去りました。
ご案内:「常世公園」にオルニスさんが現れました。
ご案内:「常世公園」に橘壱さんが現れました。
■オルニス > 公園のベンチに座って脚をぷらぷらさせながら、こっくりこっくり船を漕ぐ人影がひとつ。
空の色を映したかのように透き通るような長い髪が、風に巻き上げられてふわふわと浮く。
外套を毛布の用に体に巻き付けて、すっかり熟睡中していた。
そんな少女のような出で立ちの子供を守るかのように、小鳥がその周囲を取り囲んで
ちょっとした鳥喫茶……? のような状態になっていた。
「むにゃ……ひなたぼっこあったかいねぇ……」
そんな寝言を吐いているが……
否、ひなたぼっこがあったかいのではない。
この少女の回りにいる鳥たちの体温で戦いのである。
■橘壱 >
常世学園某所。今日は勉学を終えて非番の日。
非番とは言え、やることはいっぱいだ。
最終的に自らの企業に所属するため、やることに余念はない。
「マリーと一緒に訓練と機体調整……そう言えば環菜ちゃんからメッセージ返してないや。
あんまり遅く帰るとイヴが煩そうだしな……うーん、贅沢な悩みだ。我ながら」
気づけば随分と大勢と関わってきたものだ。
今後の予定を適当ののんびりぶつくさ。
日差しは温かな帰路は、寒風が吹き抜けるが随分と心地が良い。
この通り通りかかった公園でも、鳥ボール(?)を堪能する人がいるほどだ。
実に平穏だ。悪い事じゃない。そんな光景に笑みを浮かべて通り過ぎ……。
「……ん?」
足を止めた。
「……んん!?」
思わず二度見。何だあれは。
鳥に群がられてる……いや、囲まれてる。
おまけにご丁寧に毛布まで付けてるぞ。完全装備だ。
大丈夫なのかあれ。あ、すっごい大丈夫そうな寝顔。
とはいえ、何かあったらそれこそ寝覚めが悪い。腐っても野外。
何か無いとは限らないので、声を掛けることにした。
ゆっくりと公園へと踏み入れ、囲む鳥さん達にどうも、とぺこり。律儀だ。
「えーっと……そこのキミ、大丈夫?」
色んな意味で。
■オルニス > 「んぁぇ?」
声をかけられると瞼がぱちりと開いた。
桃色の瞳が声の主の方をじ……とみる。
白い衣に眼鏡をつけた学生、だろうか?
まだ眠たい目を両手で擦れば何匹かの鳥たちはばさばさと動きの邪魔をしないように移動する。
まるで少女を守っているようだ……
「おはよぉございます……良いお天気ですねぇ?」
と、若干的外れな返事を返しながらふにゃりと笑いかけた。
鳥毛布……もとい鳥ボールのおかげでまったく、寒いどころかほかほかであった。
ぺこりとしたキミに対して小鳥たちは若干の警戒を見せていたが……
「……?
大丈夫って、何がです?」
少女ののんきな声を聴いているとそんな空気もどこへやら。
ぴっぴっと大合唱が始まったのである。
「おぁ……大丈夫、大丈夫だってばぁ……」
鳥にすら心配されている始末だ……
■橘壱 >
企業理念の中で、一応医学も履修している。
ぱっと視診てみた感じ、不健康そうではない。
本当に寝ていた。寝起き健康そのもの。何処となく不思議な気配。
地球人っぽさは感じないが、異能者なら往々にしてあり得るから見た目で判断は出来ない。
それよりも鳥の動きには、明確に意思を感じる。
ただ懐いてると言うより、彼女の付き従っているように見えた。
「どうも、おはよう。いい天気ではあるけどね。
幾ら日が暖かくても、気温は低いんだから風邪引くよ?」
思わず苦笑いだ。
何とも脳天気な雰囲気だ。
ぴぃぴぃと囀る鳥達は、まるで彼女を叱っているようだ。
「僕は橘壱。常世学園の一年生。
その鳥は……キミのお友達達、かな?」
■オルニス > 「ん~~~!」
のびぃ……っと大きく体を伸ばす姿は人そのものだ。
少し背伸びをすれば、毛布のように見えた外套はよく見れば翼の様な意匠のマントのようにも見える。
どちらにしても防寒着にはなるようだが……いかんせんその下があまりにも肌寒い服装ではあった。
「だいじょうぶだいじょうぶ、みんながいるし……ほら、お兄さんも心配してくれたでしょ?
ってことはここはそれなりに治安が良い場所ってことだから、安心だねぇ。」
へらぁっとしていた。
言葉から察するに、常世学園に来てから日が浅いのであろうことは聞き取れる。
……もっとも、こんな人物がいたのならもっと前から悪目立ちしていたかもしれないが。
自分に対してぴーぴーっとせっついてくる小鳥たちをなだめれば少しは静かになっただろうか。
鳥ボールはゆっくり解散して一羽ずつ別れを言うように飛び立ってゆく。
彼女もそれに対してニコニコしながら手を振っていた。
「わたしはオルニス。
キミとおなじ一年生だよ。
っていってもここに来たのはつい数日前だから、まだほとんどわからないことだらけなんだけどね。
うん、この子たちは友達だよ。
ここに来てからの友達だけどね。」
正確に言うならば、外に出ることが認められてから……が正しいけれど、まぁそこはそれ。
■橘壱 >
伸びする姿をじ、と見てしまう。
壱はオープンスケベ。毛布と思ったが翼のようなマントだった。
こうして全貌が見えると思ったより肌寒い格好をしていた。
中性的な姿にも見えるが、それが良い。ふむ、と思わず頷いた。
何に頷いてるかって?言わないよ。
「確かにこの辺りは治安がいいけど、
悪い人だって時たまいるんだし、気をつけたほうがいいよ。
日に当たるのは確かに悪くはないと思うけど……流石にちょっと無防備な気も……」
確かにこの島の中では治安は良い。
人が多いし、事件はかなり少ないほうだとは思う。
それでも悪いことを考える連中はいる。一人で眠り呆けるのは、頂けない。
まったく、とちょっと呆れ気味に肩を竦めると、手に持っていたトランクが揺れた。
「オルニスね、宜しく。言っても僕も漸く半年くらいかな。
……その、お友達の鳥……さん?と会話が出来るのかな?
結構仲良さそうだけど、動物と会話が出来るのかい?」
そういうタイプの異能者か魔術なんだろうか。
異種族、ひいては動物と会話出来るのも今となっては普遍的だ。
そう言えばそういうオルニスも鳥っぽい。
見た目から揃えるタイプなのかな、と思ってしまう。
■オルニス > 「……?」
鳥は案外視線に敏感なもので、見られていることに気がつけば、なぁにと首をかしげて微笑んで見せた。
「まぁそのときはそのときで……なんとかなるよぉ、たぶん。」
とのんべんだらり……友達と言っていた小鳥たちを信用しているというのもあるのかもしれない。
それはある意味ここの住人、人を信用はしていないという裏付けでもあるのだが……
「できるよぉ? たいていの鳥なら仲良くできると思う。
まぁちょっと気性の荒い猛禽たちはプライド高かったりするから
言葉が通じても話が通じるかは別だけど……」
頬をぽりぽり、特にこの島はちょっと色々妙だしね、と付け加えて。
■橘壱 >
視線に気づかれた。んん、と誤魔化すように咳払い。
いいえ、何でもありませんと言いたげだがしっかり脳内には記録しておいた。
「(肌、綺麗だったな)」
眼福眼福。
「その時が来たら来たで困るよそれは……。
気持ちいいのはわかるけど、せめて家とかで寝ようよ。
キミ達もそう思わないかい?実際外で寝るの、危なっかしいよな」
のんびり能天気と言えばいいのか。
大分マイペースな御人らしい。ちょっと困り顔。
風紀委員以前に、そういうのが起きないのが一番だ。
流石にちょっと無防備がすぎるぞ、とお友達にも同意を求めた。
通じるかはわからないけど、一応。
「ふぅん、そういう異能?とか?
……意外と見た目通りなんだね、その辺も。
ちょっと便利そうだなぁ、異種族と会話出来るの」
人も鳥も意外と第一印象で決まるらしい。
動物もそうだが言語の壁は思ったよりも厚い。
地球だけでも何通りとあるのに、動物異種族と来ると途方も無い。
こういう何気ない異能のほうが、日常的には便利だと思う。
碧の双眸がじ、と彼女を見やればクスリとはにかんだ。
「キミも異能とかの制御でここへ入学したクチ?
それとも偶然にも流れ着いて……とか?」
■オルニス > 残念ながら鳥たちに言葉を交わしても、ヒトの言葉はわからないのかじっとあなたを見つめているだけだ……
偶に首をかしげているような個体がいるかもしれないが。
「家で寝るのは夜でもいいと思うしー……ひなたぼっこは気持ちいよー?」
そこはどうしても譲れないところらしい。
とはいえ流石に暗い時間だ、それも長くは結局のところ続かなかっただろう。
ぷー、とじゃっかん頬を膨らませて不服の意を表明して見せる。
「異能? ううん、これは生まれ持った能力?だよ。
わたしにとってはごく普通の事。
どっちかって言えば種族? 人種?の特徴っていうのが正しいかな。
だからわたしの家族たちもきっと全員出来たはずだよ。」
ふふん、と少し胸を張ってみせた。
と言っても家族はここには居ないのだけれど。
「わたしはねぇ……『門』の向こうからここに来たんだよ、って言えば通じるかな?」
■橘壱 >
何かオルニスの時とは対応が違うぞ。
どうやら別にこっちの言葉がわかるわけじゃないらしい。
ハハ……思わず乾いた笑みを浮かべてしまった。
「気持ちよさの話だっけ???
安全性の話だったような……ま、まぁまぁ、万一ね?
万一の事があったらキミだってイヤだろうしね。僕だって寝覚め悪いよ」
どうどう、と掌向けて何度か宥めてはみる。
日向ぼっこはしたこと無いけど、昼寝の気持ちよさはわかる。
気づけば夜になって昼夜逆転とか、現役時代たまにやってたし、
何故だか知らないが気持ちいいんだよな、あれ、背徳的だ。
「生まれ持った能力をこっちじゃ"異能"って分類したりはするけど……
成る程。異世界からやってきた人なんだ。
なんか雰囲気的にそうかなって思ってたけど、その通りだったワケだ」
見事な地平線が目前に張ってる。
種族的特徴の言うなら彼女の言う通りなのかもしれない。
「鳥と喋れる異邦人、か。いいね。
可愛らしい感じがあるじゃないか。
格好もそれっぽいけど、種族的に鳥と関わりが深いのかい?」
まじまじと碧の双眸が彼女を全貌を見やる。
橘壱は大変容後の新しい若者世代だ。
そういったものがありふれた世界で生まれたため、
返って偏見は殆ど無いと言っていい。異邦人だって外人と大差ない程度だ。
だからこの通り、ごく自然と受け入れている。
■オルニス > 「歩いたり走ったりしゃべったりする当たり前のことを、人は異能とは言わないでしょ?
異能っていうのは自分にしかできない特別なもの、って感じみたいだし。」
そういう意味では自分のこれは異能ではないだろう、と首を振った。
といってもそれはあくまでも自分の世界での話。
此方ではオルニスしかできないのだとすれば、こちらでは立派な異能なのだろう。
「ん、まぁそんな感じかな~。
一応獣人とか亜人とかって向こうでも呼ばれたりすることはあるよ。
人間が勝手につけた呼び名だけどね。
ぼくらは自分たちをそんな風に呼んだりしないけど。」
ちょっぴり苦笑いして答えた。
自然と受け入れてくれるのは嬉しいものだが、しかし興味深々と言うように見られるのもどうにもやりにくい。
物珍しさを見る目、というのは、こっちでも向こうでもあまりいい気はしないものだ。
■橘壱 >
んー、と顎に指を添えて思案顔。
「難しい話だなぁ。当たり前のラインっていうのが、
今じゃ結構無茶苦茶だし。僕個人としては、"才能"のルーツとは考えてるけどね。
出来ないことって言うのも、今じゃ科学や魔術で同じことも出来たりする事もある」
「キミの言葉で言えば、
そういう意味じゃ異能者っていないのかもね。
……なんてね。けど、面白い着眼点だとは思うよ」
異邦人自身もそうだが、今や神や悪魔も珍しくない。
あらゆる神秘、幻想は当たり前のものとなった。
それに追随する技術も、魔術も文明の一つとなり、
あらゆる技術は迎合、文明、一種族と言ったものに成り下がる。
ルールも当たり前のラインも、大変容前以上にセンシティブになったと聞く。
普遍的だのなんだのって話題のラインは結構際どい。
だが、ある意味らしい視点ではある。
「……そう言うの考えると、
『異邦人』って呼び方も地球人が勝手に付けたからね。
わかりやすくするためのとは確かに気持ちのいいものじゃあ……」
ここでは、と気づく。
決して壱は、他人の機敏に疎いわけではない。
申し訳無さそうに眉をひそめた。
「ご、ごめん。ちょっと見すぎたよね。
物珍しさとかじゃないんだ、うん。つい、ね?」
そう、異邦人なんて珍しいものじゃない。
じゃあなんで見てたのってそりゃあ、肌の露出がね……。
そんな本心を誤魔化すように苦笑して、自身の首を軽く撫でた。
■オルニス > 「才能のルーツ、ねぇ。」
生物によってできることは異なる。
魚は泳げはしても歩けないし、手のない生き物はモノを持てない。
そういう意味では持って生まれた才能、ととらえることもできるのだろうか?
個人的には『機能』といった方がしっくりくるのだけど、うーんと思わず首をかしげてしまった。
いやいや、そんな難しいことを考えても仕方ないだろうと首を振る。
「まぁ、旅人を旅人っていうのと大して変わらないかな、そっちは。
まぁ、自分たちと違う生き物、みたいな名前をつけたがるよね……
とは、思わなくもないけどさ。」
くすり、とまた笑う。
この世界の人は妙に憶病だ。
力がないのか、それともそういうことに慣れていないのか。
おおらかさはあっても、知らないことに対しての対応が妙におざなりだったりする。
自分たちとは違うものが多くなかった世界はこうなるのだろうか……なんて考えたりして。
「……?
つい?」
うん? とよくわからなかったので首をこてんとかしげる。
なにが、ついだったのだろう。
■橘壱 >
「機能的な方面ってのもあるだろうけど、
同じ種族的の中で有る無しも存在するし、
機能欠陥が多発するようじゃ、種族としておかしいしね」
なんとなくだが考えている事はわかる。
ただ、『機能』とするなら、備わっていないと生物的におかしいのだ。
勿論、確率的にそういう病気として備わらない個体もいる。
そう考えると余りにも欠陥的機能になってしまうので、
壱は此れを一種の才覚に近しいものだと思っている。
「それに、全ての異能とかがプラスに働くとは限らない。
場合によっては『異能疾患』って病状認定されることもある位だしね」
特定の異能は、生きるうえで障害にも成り得るのだ。
それを機能とするなら欠陥が多すぎる。
事実、それに対する医療技術も進んではいるし、
持っていても仕方ない、持っていたら便利くらいなら、
それくらいの枠組みのが締まりがいい。
「……って、いきなりこういう話をしててもうしょうがないか。ごめん。
名前を付けたがるっていうか、名前がないと不便だから……かな?
好意的に取るからこそ名前を付けて、名付けた相手を知るためのきっかけ、みたいな?」
「言葉が通じるなら尚の事さ、好意的な関係は結びたいからさ」
向こうからしたらそうかもしれないし、
場合よっては蔑称として生まれた言葉もある。
誰が呼び始めたかもわからないが、少なくとも異邦人には悪意がないと信じたい。
「あ、いや……」
いかん、墓穴を掘った。
初対面に『貴女の体見てました』は拙すぎる。
オタクくん、そういうところ。ちょっと目を逸らして言い訳思案中。
あ、そうだ。
「そ、そう!オルニスのいた世界ってどんなところ!?
や、やっぱり地球とは結構違ったりする、のかな?
ほ、ほら!家族とかも鳥とお話できるから、どういう場所なのかなって」
唐突な話題転換。オタク、会話が下手。
■オルニス > 「あはは、そこまで気にしてないから気にしないで。
異能疾患か……」
異能と呼ばれるそれは、あるいは異世界の人はともかくとして
この世界の人達はそうなじみがなかったという。
まるでウィルスにでも感染したようにその人口は増えていって。
不思議なものだなと思う、ひょっとしたら隠していたものがあふれ出ただけなのかもしれないけれど。
「好意的な関係を結びたがる……ね。
まぁそういうこともあるのかな……。」
どうだろうな……と少し思う。
本当に好意的な関係を結びたいのなら、こんな小さな島に縛り付けておくものだろうか。
卒業すればあるいは別なのかもしれないけれど。
いや、別世界の人をいきなり野放しにしておく方のリスクの方が高いか、と思い直した。
「ん……?
いや、うぅん、そうだね。
かなり違うところもあれば似たところもたくさんあるよ。
動物や自然がこっちは随分少なく見えるし、文化の発展は間違いなくこっちが上をいってるかな。
私の世界にはいわゆる小さい国がたくさんあって、ギルドとかそういう集まりがあったりとか。
キミたちの世界で言うファンタジーみたいなかんじかなぁ。」
■橘壱 >
「ハハ、どうも……うん、そうだね。
なんだろうな。"過ぎたるは及ばざるが如し"って、
地球側にある言葉なんだけどさ、何事もやり過ぎは良くないって事」
「強い力でも、当人にすぎれば悪い方向になっちゃうんだ」
扱いきれないか、或いは能力的に体に悪影響を及ぼすのか。
何れにせよ、全部が全部いい方向にはいかないものだ。
「少なくとも僕は、ことの始まりは凡そ善意からだと思ってるよ」
勿論全部が全部ではない。
今の経緯や結果はともかく、始まりはそうだったはずだ。
作られた兵器が初めは人々を守る善意だったのと同じように、
その名称もまた、地球人が異邦人へと歩み寄る一歩だったと思いたい。
「よく漫画とかでも見た感じの世界だなぁ、成る程。
地球にもよく異世界のモノが流れ着いたりするし、
もしかしたらオルニスの世界のモノも流れ着いたりしてるかもね」
「オルニスは『門』から来たって聞いたけど、
キミの家族とかは?どうやって此処まで来たの?」
勿論、壱はオルニスの過去なぞ知るはずもない。
本当に話の、話題の延長線程度のものだった。
■オルニス > 「そう……強い薬は使いすぎると毒になる、みたいな話だね。」
異能も、そして同じように、偏った見方、偏った知識。
どんなものでも何かに偏り過ぎれば毒になり全体を腐らせてしまう。
往々にしてそう言ったものは手遅れになってから気が付くものだけれど。
「そういうものの見方は素敵だとは思うよ。」
くすり、少しだけ微笑んだ。
それを否定することは、さすがにしたくはないと思ったし。
「……そうだね。
家族はいないよ、物心ついたころにはわたし一人だった。
わたしについて教えてくれたのは、わたしの知らない人だったし。
わたしの一族についても、ちゃんと知ったのは一人になってからいろいろ調べてからだったかな。」
それも随分古い文献だったけど……、と言いそうになって。
そこで口をつぐんだ。
あまり過去のことを多くは語りたくはない。
いいも思い出、なんていうものは。 あの世界には存在しなかったんだから。
■オルニス > ※せ~ぶするよ~!
ご案内:「常世公園」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「常世公園」からオルニスさんが去りました。