2024/12/20 のログ
ご案内:「常世公園」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 悠薇 >
「わん。つー……」
異能の検査。その帰り道。
公園に足を伸ばして、ダンスの練習。
少しでもの可能性を、捨てることはしたくないから。
でも、注意はされたから、起こられない程度にして。
動きを止めて、息を吐き、荒れる鼓動を落ち着かせながら、地面に置いたカバンから水を取り出す。
「面会」
ぽつり、日が暮れるより少し前に呟く。
異能の研究者が教えてくれたのは自分が結局のところなにも出来なかった人の、面会日であることだった。
ご案内:「常世公園」に橘壱さんが現れました。
■伊都波 悠薇 >
ちゃぷり、水が傾き音が鳴る。
ごくりとなる喉の音と、また水がペットボトルの元の位置に戻る音が妙に耳に残る。
面会相手がいる。そのことがすこし、嬉しかった。
そういう、ことをする縁がある。
過去は許されなくとも、その縁が鎖を緩める、ことはきっとある。
私もされた側。でも、私は気にしてない。
彼が少しでも、笑顔で。昔のようになれるならそれに勝ることはない。
だから、きっと。
プラスの、よいことで。
なんだか、少し、笑みがこぼれて。
ゆっくりと、鉄パイプに腰を下ろして。
座って休憩。
■橘壱 >
「──────随分と頑張ってますね」
そんな彼女の背後から声を掛ける少年一人。
ふと帰り際に通りがかった公園に見かけた後ろ姿。
多分ダンスの練習か何かなんだろう。
何であれ、人の努力する姿の美しさは誰よりも知っている。
「それに、何だか嬉しそうだ。良いことありました?」
カチャリと眼鏡を軽く上げて、微笑みかける。
■伊都波 悠薇 >
がばっ。
視線が声がした方へ。
ーーみ、みられた!?
ぱぱっと前髪を直して、見覚えがある姿に首をかしげて。
「橘さん」
はて、なぜこんなところに、と思いつつ。
「いえ。そゆわけでは。良いことであることを願う、ほうです」
■橘壱 >
慌てて素顔を隠す先輩。
相変わらず可愛らしい人だ。
「どうも、お久しぶりです。
ちょっと仕事終わりにね。愛機に無茶をさせちゃったから、暫く休憩期間」
「ガレージ帰りって所ですね。
いえ、とても良い姿を見れましたよ」
からかいではない、本心だ。
努力する姿を貶すことなど有りはしない。
「成る程。どういうものか伺っても?」
■伊都波 悠薇 >
「無茶」
彼の無茶は、とんでもないのではないだろうか。
許嫁を心配させていないか、大変心配だ。
「……み、みてたんですか」
肩を落とし、気付かないあたり、やはり才能なしと苦笑。
「……今日は面会、だそうですよ」
ただ、それだけ。
■橘壱 >
いやいや、と軽く手を振って否定する。
「落ち込む必要も無いですよ。
素晴らしい姿って褒めてるんです。
努力するのは、誰だって綺麗で素晴らしいと思いますよ」
「……後、僕の事何だと思ってるんです?」
そんな無茶って単語だけでそんな顔されることあるのか。
一体どんな風に評価されているのやら。思わず苦笑い。
「面会?教師……とは違うか。誰とですか?」
■伊都波 悠薇 >
「…………無茶すると、大体大怪我とかが結び付きそうな想像ができる人、ですかね? 自分の目指すもののためなら、肉を切らせて骨をみたいな」
イカロスみたい、だと思っている。
「あ、私ではなく」
呼び名に困ることはない。
「先輩が、心配してくれる人と、みたいです」
先輩、と即答できる。
■橘壱 >
「成る程。別に間違ってはないですけどね。
戦ってれば必然と起きることなので、生傷は耐えないかも」
「此れでも結構減ったほうですがね」
成る程。合点は行く。
それでも否定はせずにさらっと肯定した。
戦いに身を置く以上は、否定しようの無いことだった。
「先輩?……、……」
一体誰のことだ。
ふと記憶をたどれば、思い当たるのは一人いる。
だからこそほんのりと苦い表情になった。
「……テンタクロウ、藤井 輝"さん"のこと?」
■伊都波 悠薇 >
「そうですね」
名前を言われると、こくりと頷いて。
くぴりと、水をもう一度飲んだ。
「……姉さんでも同じ表情しそう」
なんだか、可笑しくて笑ってしまった。
■橘壱 >
一時期敵対していた"犯罪者"。
彼のしたことは決して看過出来るものではない。
どんな事情があっても、したことはしたこと。
橘壱は、その末路には妥当性を持っていた。
「あの人はあの人で優しいですからね。
僕の思う気持ちは、優しさとは少し違います」
困ったように、頬を掻いた。
「……この島に来た時の傲慢さで、
彼の"意義"に泥を引っ掛けた。
そこだけは謝りたかっただけです。彼の末路に思うことはそんなにない」
「冷たい言い方かも知れませんけどね、
やってしまったことを、許されるような世の中じゃ有りませんから」
■伊都波 悠薇 >
「そうですね」
罪は罪。
そうとして、裁かれなければ風紀がある意味はない。
「ぎちぎちに、ぐるぐる巻きになるくらい、先輩が悪人と言いきれるほどの仲ではなかったですし、憎むべくほど、憎むほど、先輩を識れなかった。私の、未熟もありましたから」
だから。
「先輩には、少しでも良い時間を過ごしてほしいと思います」
赦す。自分ーいもうとーは。
■橘壱 >
彼女の視点ではそう見えるらしい。
それを否定することも、同意することもない。
「……正直なことを言ってしまえば、
僕は罪だの裁きだのというのに興味はないんですよね。
憎むとか許さないとか、そういうのはあまり無いです」
「客観的に見れば、そうでしょうけどね。
犯罪者でも人権が保障されるなら、そうですね」
それは同時に、明日は我が身である。
戦いに身を投じる戦火を何れ無意識でも広げかねない。
プロゲーマー時代でも言われない誹謗中傷はあったのだ。
「……何時か僕にも、そういう瞬間は訪れるのかな」
なんて、思わず呟いた。
■伊都波 悠薇 >
どうだろう。
自分も確かに、そんなに興味がないといえばない、方な気もする。
ーー今日は何故か、そんな感じがするだけで。
「許嫁、泣かせちゃダメですよ」
暗に。そうなるなと、釘を刺してみた。
■橘壱 >
そう言われるとふぅ、と肩を竦めた。
ため息、というよりは痛いところを突かれたなって感じだ。
「約束できかねますね」
自らの生きる道、既に選んだ事だ。
変える気もさらさら無い。
「それに、その辺りは環菜ちゃんとお話済みなので。
追って追われて、追いかけて。……まぁ、でも……」
「もし倒れるなら、二人一緒になんてのも乙かもしれませんね」
なんて、冗談とも本気とも取れない答え方。
■伊都波 悠薇 >
「…………『そうですか』」
それだけ。
可干渉はしない。
何故って。
「大丈夫だと思いますけれど」
可能性を、いつまでも信じている。 他人の。
それは、変わらない。
結局、二人でどうにかするのだろうと思っているから。
信じているから。
「がんばって下さいね」
■橘壱 >
「頑張るような事でも無いと思いますけれどね。
まぁ、ルームメイトにも念押しされているんで、
女性を泣かすようなマネをしようとは思いませんけれど……」
随分と愛されているんだな、彼女はと思ってしまった。
あれだけ愛らしい子ならある意味当然か。
勿論男としてもその辺りは大丈夫なはず。
「(けど、言えないよなぁ……)」
その辺りの返答をあやふやにしたままでいるなんて、言えない。
何処か困ったように自らの首を軽く撫でた。
「そろそろ僕は御暇しようかな。
先輩も、あんまり根を詰めすぎないように。今度また、何か食べに行きましょう」
そう言ってお先にと手を振り、その場を去っていった。
ご案内:「常世公園」から橘壱さんが去りました。
■伊都波 悠薇 >
「はい。気をつけて。彼女にもよろしくお伝えください」
お辞儀して見送り。
「……私も帰ろ」
気持ちよく、その場を後にした。
ご案内:「常世公園」から伊都波 悠薇さんが去りました。