2024/12/28 のログ
ご案内:「常世公園」に武知一実さんが現れました。
武知一実 >  
――夜の公園に、紫電が奔る。
地面と平行に放たれた稲妻が野犬の様な、獣の容をした影を射抜き、影諸共霧散した。

「……ふぅ、バイトじゃねえからバイト代は出ねぇけど、軽い運動にはなったな」

パチパチと火花放電をする腕を軽く振り、さっきまで影のあった場所を眺めてから、オレは大きく伸びをする。
家に居ても寒いだけ、それならいっそ外に散歩に出ようかと、こうして寒空の下で公園まで来てみれば、
何だか厭な感じの影が徘徊しているのを見つけて、何度か雷をぶつけて駆除したところだ。

「けどま、どうせすぐ冷えるんだよな……ったく、何でこうも寒いんだか」

同じ様な愚痴を、冬休み前に溢した時は、傍に居たダチに『冬だからだろ』と言われたのを思い出す。
しょうがねえだろ、こちとら10数年ぶりに外界の冬ってのを体感してんだからよ。

「―――とは言えんかったなあ」

ふぅ、と小さく吐いた息が白く曇ってすぐに消えた。

武知一実 >  
「にしても、やたら手応えのねえ影だったな」

放電の余韻も消えた腕をポケットに突っ込みながら、ぶらぶらと歩き始める。
元々散歩で来てるんだから、目的は果たしておきたいし、空気が冷え切って澄んでる所為か、いつもよりも星の眺めが良い気がする。
頭上に広がる星を眺めながら歩くのは危ないかもしれねえが、まあ、昼間も休み前よりはひと気が無ェし、夜ならぶつかる相手も注意を促す奴も居ねえだろ。

「はー……ホント、星ってのは一杯あンだなあ……」

見渡す限りに広がる星々に、我ながら間の抜けた感想しか出ねえ。
あの一つ一つに名前があったりなかったりする、って誰かから聞いた話しをぼんやりと思い出しながら、ただ歩く。