2025/01/07 のログ
ご案内:「常世公園」に十七夜月 一縷さんが現れました。
■十七夜月 一縷 > 「――はい、了解しました。明日の護衛車両も既に確認済みです。必要資料も取り寄せ済みで…はい…はい、では明日。」
業務連絡を追えれば、黒いマットブラックのオモイカネ8を制服の胸ポケットに納めて一息。
どうにも敬語というものは慣れないし疲れる。馴れ馴れしいのも、礼儀に欠けるのも理解はしているが。
もう少し、自然体の砕けた口調で会話をする方が女としては好みではある。
「…しかし、こっちの世界の文明も中々凄いね――この島が特殊、というのは説明は受けたけど…。」
その独り言から分かる通り、女は異邦人――異世界からの稀人の一人だ。ここでは珍しくはないらしいが。
女が元々居た世界は、機械文明と魔導文明が融合したような文化だったが…こちらの世界も興味深い。
(…それに、こちらの世界にも『呪い』の類があるようだし…私としては好都合…かもね。)
女が座っているのは常世公園のベンチ――夕刻から夜に差し掛かる時間帯。
公園の街灯が点灯し、その灯りが周囲を照らして影を浮かび上がらせる――だが、不自然な点が一つだけ。
――何故か女の影だけ全く見当たらない。
■十七夜月 一縷 > 本来、光の加減で影が浮かび上がるであろう一角をじっとサングラス越しの双眸が見下ろして。
ただ、影が消えるだけなら正直あまり大した事は無い…と、思う。自分の中では。
厄介なのは、特定条件下で呪いが進行し、不可逆の変質を齎す事だ。
幸い、そういう条件下に陥る事は今の所は無い…とはいえ、安心も出来ない。
「…副作用で変な知覚が身に付いたのは、幸いなのか不幸なのか…。」
一応、仕事の役には多少立つとはいえ…日常だと、無差別に知覚に引っ掛かって煩わしい。
その辺り、取捨選択を出来る程度にはこちらから操作でも出来たらいいのだけど。
「…呪い持ちはこっちでも点在してそうだけど…私みたいな人は居るのかな…。」
鉄道委員会には、この呪いの事は流石に話していない。
特殊な知覚や影が無い事についても、自分の世界の人間の特徴とか、異能として誤魔化している。
勘付いている人も流石に居るだろうが、周囲に迷惑を掛けてはいない筈だ。
「…流石に、異邦の地にまで来て犯罪者になりたくもないしね…。」
■十七夜月 一縷 > さて、沈んでもしょうがない。悩みを先延ばしにしても良い事は無いが、現状どうにもならない。
それとなく、祭祀局…と、いったか。そちらに解呪の当ても探ってみたけれど。
(…『異界法則』の呪いは解除が難しい…と、言われるとね…。)
この世界とは全く異なる位相の世界で掛けられた呪いは、その異世界に準じた法則性を帯びるらしい。
無論、全ての異世界に当てはまる事ではないが、どうやら自分の異世界はそれが当て嵌まったようだ。
つまり、こちらの世界で女に掛けられた呪いを解除するのは、相応に難易度が高いという事。
少なくとも――一朝一夕でどうにかなるものでもない、というのは聞いた。
「…なら、気長に方法を探しつつ今まで通り…こっちの世界に早く順応できるように努力しようか。」
ベンチの背凭れに一度深く背中を預けながら、息を吐いて夜空を見上げる。
…私が居た世界とは全く違う空だけど…ちょっとだけ似ている事に少し気が和む。
■十七夜月 一縷 > さて、明日も学業に鉄道委員会としての仕事も山積みだ。
…何しろ、例の汚染区域の調査もまだ汚染源の討伐報告などは上がっていない。
「…一先ず、運輸部のフォローが私の当面の仕事だし…。」
物資運搬車両の護衛が女の主な任務。荒事にはそれなりに慣れている。
…それくらいしか、まだこちらの世界に慣れていない女が出来る事が無い。
ゆっくりとベンチから立ち上がる――世話になっている寮は少々特殊で、種族性別問わず曲者揃い。
影が無い程度の事は気にしない住人ばかりで、女からすればとても助かる。
「…もうちょっとコミュニケーション能力を磨きたい所だけどね…。」
顔見知りはそれとなく居ても、一歩進んだ友人レベルはまだ一人も居ない。
そんな今後の小さな課題を思いつつ、女は黒い外套を翻して帰路へと就く。
ご案内:「常世公園」から十七夜月 一縷さんが去りました。