2025/06/12 のログ
ご案内:「常世公園」に先生 手紙さんが現れました。
■先生 手紙 >
トットットットット、と一定のテンポで公園の広場――200m・芝――をランニングしているのが一人。
何週回ったかは本人もあまり考えておらず、息が上がる程には走ったのだろう。ペースが落ち、最終的にソレは緩やかな歩みに変わって。
「……施設のマシンとどっちがいいのか。いやきっとこっちのが健全だな」
そんな感想ひとつ。走るだけなら訓練棟で良かったのだが。ちょっとね。人工とはいえ自然を駆けてみたかったりするンだ。
■先生 手紙 >
――まァ。そんな建前はさておき。物騒ではあるがそれが日常のこの島において、けれどやっぱり夜間の事件などは無いに越したことはない。
囮捜査と言えば格好が付くが、どちらかといえば自身の業務とメンテナンスを兼ねた夜間トレーニング、というのが実態だ。
「……ぷは」
ペットボトルの飲料を一口。スポドリではなく清涼飲料水寄りの、でも塩が入ってて夏に合う、期間限定で個人的ベストバウトなライム味のジュースの蓋を締めつつ、手と足の首をプラプラさせる。
■先生 手紙 >
「つっても辻斬りや通り魔なんかはボチボチ打ち止めだろう。精々が真っ当な不審者くらいか。……こうなると風紀の仕事だな」
のろのろとベンチに向かう――色違いの視界にはソレと、鉄棒とかの当たり障りない遊具が映っている。ラストの追い込みに懸垂でもしていこうかな。今は休憩だけど、とベンチに座るのであった。
■先生 手紙 > そうしてインターバル。
肩にタオルを乗せて一息つく。と同時にジャージのポケットから煙草を出して銜え始めた。――アスリートなのかヤンキーなのかわかったもんじゃねえのである。
ストイックな者からは顰蹙を買いそうだが、ね?そういうスタンスなんだ。
「……ふぃー。着信、と」
煙草片手にオモイカネ8センジョーエディション(独称)をスイスイしながらメッセージや何やらをチェックする様は旧時代のヤカラめいていた。追及があっても否定しきれない。
■先生 手紙 >
ヂヂ、と吸われるたびに悲鳴を上げる煙草の先端。その大概を灰へと変え、その分ちょっぴり環境を悪に染めて、携帯灰皿に入れて立ち上がった。
ペットボトル飲料でまた口を濡らし、首を鳴らして立ち上がる。
歩みは緩慢に鉄棒へ向かう。
「よっ、」
ぶら下がり……
「ふッ」
軽々と肩まで持ち上げる。そのまま停止。次の一拍で足の付け根まで。
最後はトン、と軽業のように鉄棒の上に両足を乗っけて立ち上がった。
普段より随分と高くなった視界で、夜の公園を睥睨する。何かあったりはないか。無いに越したことはないが。
■先生 手紙 >
すん、と鉄棒の上で鼻を鳴らす。――雨の近づくにおい。
「……あァ。もう梅雨か」
そして学園では期末まで一か月と言ったところ。
夜に咲き始めた紫陽花は、男を『学生』に戻す。
――真面目な、と付きはしないが。
着地の音はしなかった。寮までの軽いランニングは軽く。ボトルを捨てついでにコンビニにでも寄ろうか、というほどに煩雑な思考と共に駆けだしたのであった。
ご案内:「常世公園」から先生 手紙さんが去りました。