2025/09/16 のログ
ご案内:「常世公園」に蒼空 奏さんが現れました。
ご案内:「常世公園」に緋月さんが現れました。
■蒼空 奏 >
少し涼しくなってきた秋空の下。
今日の授業は午後から。少し早めに家を出て、秋風に髪を揺らしながらの登校中。
ふと…通りかかった公園の中に何かを見つけて、少女少し小走りに。
「…あ、良かった。生きてる」
しゃがみ込む少女の下には、蹲る小鳥の姿。
巣立ちに失敗したのか、それとも別の要因か。
見上げてみても他の小鳥の姿はなく、少女はそっと小鳥を手の上に乗せて目を瞑る。
淡い、温かな翠色の光が小鳥を包み込めば…ぱさりと小鳥は翼をはためかせ、そして飛び上がってゆく。
それを見上げ、秋風に蒼い髪を揺らす少女はほっとしたような笑みを浮かべていた。
■緋月 >
「はっ…はっ…はっ――!」
規則正しく呼吸を挟みながら、ブーツが地面を蹴る乾いた音がこれまた規則的に響く。
二つのリズムを生み出すのは、明るいライトグレーの髪に、血のような鮮やかな赤色の瞳の、書生服姿の少女。
暗い赤色の外套を翻しながら、走り込みの最中であった。
今日は珍しく…あるいは普段の勤勉が功を奏してか、必須の授業がない。
という訳で、贅沢にも1日を鍛錬に費やしてしまおうと走り込みから始めたのであった。
運動用の服装ではなく普段着同然の服装での走り込みを行う理由は、「実践」で服装を変える余裕など
ある筈もない、という理由から。
そうして一通り走り続け――公園が視界に入った所で、
(…一息、入れ直しましょうか。)
軽い休憩でも取ろうかと、公園に足を向ける。
そのまま、公園の中に入り、さてどこで休もうかと考えた拍子に、
「わ…っ!?」
視界を横切る、思ったより低い高度を飛ぶ小鳥の姿。
勿論、低いといってもそのまま衝突するような高さではなく、書生服姿の少女の頭頂よりも上。
それでも、予想外の出来事だったのでつい足がもつれてしまう。
「……っと!」
ぐっ、と足に力を入れて、転ぶのを避ける。
同時に、足首近くに少し痛み。捻挫か…あるいはそこまでいかないまでも、少し痛めたか。
(調息で、少し治した方がいいかな…。)
と、そんな事を考える。
■蒼空 奏 >
「あっ…」
視線の先。
飛び立った小鳥に驚いてか、書生服姿の女性がバランスを崩してしまっていた。
「あ、あの…大丈夫、ですか?
ごめんなさい。その…お、驚かせてしまって…」
小鳥の飛ぶ方向など少女にコントロールできたわけもない。
本当に偶発的な出来事ではあったものの、蒼い髪の少女は心配そうな表情を浮かべ、足早に彼女…緋月の下へと駆け寄っていた。
■緋月 >
「え…あ、ああ、いえ、お気になさらず。」
横合いからかかった声。それが自分に向けられてのものだと気付くのに、少し時間がかかった。
視線を向ければ、蒼い髪の少女が駆け寄って来るのが見える。
声を返しながら、そちらに向き直り、
「あの高さなら、ぶつかる事もなかったのですし、私の不注意もありましたから。
気に病まれる事はありません――痛っ。」
そう返しはしたが、流石に軽くとは言え痛めた足が少し響く。
これは少し集中して調息を行わないといけないか、と考えたり。
■蒼空 奏 >
「で、でも……」
お気になさらず、と言われても。
バランスを崩した様子から足を痛めたのだろうということは理解る。
「無理はしないで、ええと……」
彼女の足元へと屈み込む。
──どうしよう、と少しだけ思案する。でもその時間は僅かで。
「あの、大丈夫です。動かないで……」
痛めただろう患部へとそっと両手で触れる。
──小鳥を癒したのと同じ、淡い翠の光が暖かく包み…瞬く間にその痛みは嘘だったかに消え失せる。
本当は、人にこの力を使うのことには抵抗があったけれど。
この島、この学園には自分と同じような特別な人は沢山いるから。
まだこの感覚には慣れていないけれど、すぐに思い直すことが出来た。
「……ど、どうですか…?」
恐る恐る、見上げながら問いかける。
……治ったかどうか、ではなく、気味悪がられたりしないだろうか…という不安の色に空色の瞳が揺らいでいた。
■緋月 >
「え、あの…?」
突然、足元に屈み込まれれば、流石に困惑を隠せない書生服姿の少女。
しかし直後、蒼い髪の少女の手から放たれる翠の光、そしてそれが痛めた足をブーツ越しに包むと同時に、
重くはないものの、足が上げていた痛みは…まるで掻き消したかのようになくなってしまう。
(これ、は――――)
思わず、呆然としてしまう。
奇異なものに遭遇したから、ではない。むしろその逆。
「……もしや、治癒の力、ですか?」
恐らく仕組みは異なるだろうが、似たものを受けた事が、ある。
だからだろうか、自然にその言葉が口から出て来た。
奇異なものを見るでも、恐れるでもない、純然たる疑問。