学生街にあるカフェテラスの一つ。「橘」とは、常世学園の校章である橘から来ている。
学生通りに面しており、二階建ての古風な外観が特徴。
各種ドリンクや料理を提供している。店員も随時募集中とのこと。
一階席から二階席にはそれぞれカウンター席やテーブル席が設けられている。
また、外にもテラス席が設けられている。
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Time:18:38:11 更新
ご案内:「カフェテラス「橘」」から黒條 紬さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から伊都波 悠薇さんが去りました。
■伊都波 悠薇 >
「いえ、大丈夫です」
くすりと、笑みを浮かべて。
「はい、落ち着いて、本もよく読めるいい喫茶店ですよね」
ここからは、普通の友達のように。
仲良く談笑の時間ーー
■黒條 紬 >
「二人だけの秘密ってやつですね、分かりました。
この黒條 紬。口の堅さには自信がありますから。
貴女と一緒に罪を犯しましょう」
とん、と拳を胸にやってどや顔の紬であった。
さて、やって来たメニューを見て、両の拳をぎゅっと握って
笑顔を見せる紬。
「いやぁ、ここの珈琲最高なんですよね~!
あ、ケーキ半分要ります?」
などと、ケーキの中央にフォークを入れながら問いかける紬であった。
■伊都波 悠薇 >
「そのときは、お願いします」
力なく、ふにゃりと笑みを浮かべた。
信じているような、偽りない、自然な笑みだった。
きっと、見たことあるのは、姉ぐらいかもしれない。
「姉にも、言ってないことですから。黒條さんは、共犯、ですね」
しぃと、鼻に人差し指を当てて。
「あ、注文の来ましたね」
タイミングよく、テーブルに並ぶ頼んだメニュー
■黒條 紬 >
始終を聞き、受け止めて後、逡巡。
「なるほど、そうしてしまえば確かに。でも、それではいずれ――」
そう口にしかけて、友人は頭を振った。
「――いえ、そういう生き方も、一つでしょう。
『今』を大切にしたい。それが悠ちゃんの望みであれば、
応援するのが友人ってものです」
静かに頷く。しっかりと見つめ返して。
「能力を怖がっていない今の悠ちゃんなら、きっと大丈夫ですよ。
でも……釈迦に説法かとは思いますが、
くれぐれも油断しないようにしてくださいね」
紬は、沢山の者達を見てきた。
能力に溺れ、奢り、恐れ、破滅してきた者たちを。
その中には、自身が最後に突き落としたものも多くある。
彼らの多くは今頃――牢の中だ。
「私にできることなんて限られてますけど……まぁ!
何かあったらいつでも言ってください。
怖くなったり寂しくなったりしたら、一緒に居てあげることくらいはできますからね」
うんうん、と頷く紬。
■伊都波 悠薇 >
カフェテラスが混んできた。
回りの音で、
言葉が聞こえたのはきっと目の前の、友人だけだった。
■伊都波 悠薇 >
「うん」
こくり、頷く。
「『天秤』は、道具です。だから、使い手になる」
この先はーー
→
■黒條 紬 >
手を離して、相手の顔を見る。
伝えるべきことは伝えた。だから後は待つだけだ、と。
そう言わんばかりに、紬は量の拳をスカートの上に置いて、
彼女の様子を見守り、言葉に耳を傾けた。
「これまでも悠ちゃんは天秤に乗っていたのではないですか?
……いや、これまでとは違う意味合いなのでしょうね。
乗せられるのではなく、自分から乗っていくということでしょうか?」
彼女が発する言葉を、紬なりに解釈して聞き返す。
「天秤の使い方を変えて――自分なりにコントロールをする、と?」
■伊都波 悠薇 >
「あ」
言われた言葉に。
揉まれたとき、前髪がさらりと流れる。
覗く左目。なきぼくろ。
その、瞳は揺れていた。
「そう、ですか」
これは、『確認』だった。
そして、『博打』だった。
ならば、
「わかり、ました」
『覚悟』が、いる。
「なら、友達だから。ちゃんと、言いますね」
そのまま、眼を逸らさず。
「私は、『私』を。天秤に乗せるようにします」
口にする、決意。
「犠牲、という意味じゃないですよ。天秤の使い方という話で。
ーー私は『今』を、大事にしたいという、話です」
■黒條 紬 >
「悠ちゃんの辛さは私には測りかねますし、
そんな気持ちが分かるなんて口が裂けても言えないですけど。
それでも、
悠ちゃんが辛い思いをしてるのは十二分に伝わってます。
そんな重~い空気醸し出してたら、
不幸の神様の良い的ってもんですよ」
挟めてしまったのでついでにちょっと揉みつつ。
「確かに天秤は怖いものかもしれないですけど。
悠ちゃんは一生懸命な良い人なんですから、
私はそんな悠ちゃんが好きなわけで」
そうして、そのように語を継いだ。
異能に対してどう向き合えばよいか。ただその答えだけを求めるのであれば、
専門家やカウンセラーに相談するのが筋だ。
それだけでは足りずに、友人を名乗る自分にこうして相談を投げかけてきたことに
意味がないとは考えていなかった。
「だからその、こほん。
これが見当違いなおせっかいだったら超恥ずかしいですけど、その。
私は天秤が動いてるからと言って悠ちゃんから離れようとは思いません。
もう友達ですから」
最初は別の理由があった気もするが、今は純粋にそう感じているのだった。
■伊都波 悠薇 >
「ぽむちょ!?」
挟まれると奇声がでた。
「こ、黒條さん?」
■黒條 紬 >
運命を捻じ曲げてしまう力とも考えられる。
しかし、そこに巻き込まれる因果もまた運命である。
ならば彼女自身の意思が働かぬその力に、
如何なる罪が問えるだろうかと。
詭弁を弄すればこの少女を救えるかと言われれば、
そうではないだろう。
故に。
「えいっ」
重苦しい雰囲気。
無言になってしまった悠薇の頬を、身を乗り出して
掴まんと手を伸ばした。
拒まなければ、頬はぎゅむぎゅむと揉まれてしまうだろう!
■伊都波 悠薇 >
「そう、ですよね」
そう、怖い能力だ。
だってーー
「いつ、自分が対象になるかわからないですもんね」
そうなれば降りかかるものはプラスかマイナスかわからない。
プラスならまだいい。
でも、マイナスなら……
「…………」
つい、無言になる。
■黒條 紬 >
「悠ちゃんを含めず、ですか」
窓の外を見やる。
店内のガラスには紬と――その前に座る悠薇の姿が
通りへ浮き出したように映り込んでいた。
その様子を見て何事かを考えたのか、
暫し経ってから視線を戻す紬。
「……天秤だけを切り取って考えるってこと、
考えてみればなかったですね。
私が知り合った時にはもう、悠ちゃんは天秤と共にありましたし。
その、能力と人を分けるって考え方がなかなか難しく」
世に異能を二つ名として呼ばれる者などは数あれど、
紬からすれば、そういったものもあまり良い気はしなかった。
対象を観る際に、「人」であるより先に「能力」として見てしまう、というのは恐ろしいものだ、と。そのようなことを話し。
「その上で、敢えて『天秤』だけを見るのであれば……
天秤自体は、怖い能力だな、とは感じますよ。
均衡を保つ為にどんなことが起きるか分からないですからね」
まっすぐ目を見てそう伝える。
ここで優しい嘘を口から出すことなんていくらでもできるが、
それが彼女の為でないことは自明の理であった。