2024/06/09 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
なにもないオフの日。
商店街でのお買い物の帰りにふと目が止まった、カフェテラスのガラス窓に貼られた宣伝用ポスター。

『この時期にしか楽しめない贅沢スイーツ!
 季節のフルーツをふんだんに使ったスイーツは贅沢で魅惑的!
 みずみずしくて生命力あふれる旬果実のおいしさを、ぜひ満喫してください!』

「………」

ピタリと足が止まる…。
目を引く売り文句の下には実に綺麗に撮影された、季節スイーツの写真。

『完熟パイナップルのアイスのせチーズタルト』

「ううっ……」

『季 節 限 定』

2秒後には入店した。

伊都波 凛霞 >  
「…はは……夏目前なのに今年もダメそう……」

窓側の席に案内され、ちょこんと腰掛けながら、やや項垂れる。
既にオーダーは注文済み。

お昼のふわふわパンケーキセットと、完熟パイナップルのアイスのせチーズタルト

魔力に…魔力に勝てなかった…。

普段から自宅の道場なんかでちゃんと鍛錬をしているから流石にブクブク太ったりはしないけれど、それでも。
それでもつく場所には、つく。何がとは言わないがつくのである。

「まいっかぁ……季節限定だしねえ……」

窓の外へと向けられるどこか遠くを見る視線は、とても健やかだった。

伊都波 凛霞 >  
こんな、ほんちょっぴり自分に対するアンニュイ(やっちゃった)な感情も、スイーツが目の前に来るまでの話である。

『お昼のふわふわパンケーキセットになります』

ふわっと香る甘いバターの香り、生クリームたっぷりの重厚感…それに混じる香ばしい珈琲の匂い。
一瞬で食欲がぶわっ…と増幅sれるのを感じる…!

「わぁっ、これこれっ♡」

思わず手を合わせて、歓喜の声。
あー…毎日でもこれ食べたい……。

伊都波 凛霞 >  
すんっ…と何の抵抗もなくナイフの入るパンケーキ。
ふわっとしてるのにもちっとしていて…やわらかくて…やわらかくて…。
たっぷり生クリームをディップしてお口に頬張ると、フルーツの甘酸っぱさと濃厚な甘みと、しっとり食感のパンが合わさって──無敵。

「んぅぅ~…っ♡」

ぱんぱんぱん。
思わず小さく地団駄。至福すぎ。

「こんなのいくらでも入っちゃうよぉ…」

すっかりふにゃけた顔になって、甘味を満喫。

ご案内:「カフェテラス「橘」」にレイチェルさんが現れました。
レイチェル >  
本日はオフ。こんな日は、仕事から離れてしっかり休息をとる。
心身の健康の為だ。

警邏でも何でもない、フリースタイルの散歩。
別に何処に行くあてがある訳もなく、歩いていたのだが。

ふと、目に入ったカフェテラスの広告。
そして、窓ガラスに映る――凛霞の姿。

「完全完璧オフって感じだな……顔が溶けてるぞ……」

こちらは窓の外。ガラス越しなのでそんな言葉は聞こえないだろうが、
顔で何となく察せるであろう。

伊都波 凛霞 >  
いくらでも入っちゃうけど…残念なことに限りがある…。
そう、この至福さは…悲しいかな、有限。
最後の一口は…切ない。けれど、それを補ってあまりあるラストにするのが、大事。
そう…種無しチェリーを最後まで残しておくのがマイルール。
そうして特別感に彩った、最後の一口とする。

「ぁー♡」

大きくお口を空けて頬張る。
そしてスプーンいっぱいのそれをお口に運んだときにふと視線を感じ、窓に目を向ける。

「ん゛ッッ」

思わず大きな目を見開いてしまった。

レイチェル >  
……目が合った。
別に、気配を殺していた訳でもなし。

「……気にすんな、せっかく食うなら楽しんで食え」

とまぁ、口元が読みやすいように喋った上で、
掌を出してどうぞ、のポーズ。

それから。
人差し指を窓の向こうの座席に向ければ、
そっち行くぞ、とつんつん示す。

そうして、カフェテラスへと入って行く。
最近仕事以外で話してなかったし、あっちもオフなら丁度良いだろう。

伊都波 凛霞 >  
完全に甘味世界(マイワールド)に陶酔してた。
最後の一口を目一杯頬張りつつ、こくこく…と頷いて。

カランカラン。
来店を告げるカフェテラスのドアベルが成れば。
いそいそと食べ終わったパンケーキセットのお皿などを移動してスペースの確保。

そしてセットの珈琲を一口いれて、落ち着かせながら。
あーびっくりした。

「こんにちわレイチェルさん。
 珍しいですね。オフに偶然会うなんて」

速攻でいつもの調子を取り戻していた凛霞はにこやかにどうぞどうぞ、と相席を促すのであった。
刑事課で二人揃ってオフなんて本当に珍しいかもしれないなあ、なんて思いながら。

レイチェル >  
店内に入れば、店員と軽くやり取りをして窓ガラス近くの席へ。
 
「すまねぇな、せっかくの時間を邪魔しちまって。
 ただ、まー……たまたま、すげー顔が目に入ったもんでな」

人差し指で頬を掻きながら、謝罪。
いや、ほんと悪かったって。タイミングが最悪だったな。

とはいえ。

「必死にネタ探ししてるタイプの新聞部には気ぃつけろよ、
 とても紙面に出せる顔じゃねぇぜ」

などとは軽く飛ばしつつ、相席を促されれば、こちらも椅子に座る。

「まーな。大体どちらかは仕事入ってる、ってのが常だからな。
 でもま、きちんとオフに肩の力抜いてるようで安心したぜ」

ふっと優しく笑いつつ、こちらも店員を呼んで同じものを注文。

伊都波 凛霞 >  
「いえいえ♪ぜーんぜんっ、邪魔なんかじゃないですよ~。
 むしろオフのレイチェルさんが見れて得しちゃった…的な?」

大体いつも同僚として、そして友人として…ではあるものの。
それはお互いが制服に身を包んで、立場もあってといった状況下が多い。
こうやって何の気兼ねもなく垣根もなくの距離感はきっと、オフだからこそ──。

「っ……、そん、なに、なカオしてました…?」

指摘されると思わず頬を紅潮させて、両手で顔を覆う。
指の隙間から、視線だけ…顔色を伺いながら。

「う、うーん…こんなの新聞部さんも紙面に出しますかね…」

軽い冗談だろうと思いつつも。もう一度、自身を落ち着けるために珈琲を口へ…。
それから、同じものを注文したレイチェルに少しだけ、驚いた顔を見せる。

「(レイチェルさんがふわふわパンケーキセットを!?)」

こっちのほうが新聞部が食いつくのでは?凛霞は訝しんだ。

レイチェル >  
「まー、結構な?」

頬を紅潮させる凛霞に対して、悪戯っぽく笑って見せる訳だが。
女子を誂う男子だな、これ。

「ん? 何だよ、幽霊でも見たような顔して」

同じメニューを注文しただけだが。
あー、でも。ま、そうだな。
『ふわふわパンケーキ』が似合う(ツラ)してねぇってのは
大いに同意だけどな。

「……何。こっちじゃ、『同じ釜の飯』を食う、って言うだろ?
 結構いい文化だなって最近改めて感じてな」

この世界に来てそれなりに経ったが、
ようやく身に沁みてくる風習や文化もあるってこった。

「それで、最近どうだ? 仕事――じゃねぇな。
 仕事以外、色々と」

せっかくオフに顔合わせたんだから、仕事の話しても仕方ねーよな。
そんなもんは、本庁で幾らでもできるんだから。

伊都波 凛霞 >  
軽めに肯定されてしまって、ああーやっちゃったと恥ずかしげに視線を逸らす。
でもオフだし…そう、オフだからオフだから、大丈夫言い訳は立つ。

「あ、いえ…意外だなー、って。
 でも似合わない、とかじゃなくって……」

同じ釜の飯を食う。
寝食を共にする、そんな相手とは…不思議と特別な感情で繋がりあえる。
例えば、あまり見せたくない姿を、見せることができたり、だとか。
自分とは違う世界に生まれた彼女が、そういったものに順応している姿はなんだかとても喜ばしく感じて。

「すっっごく美味しいですから。楽しみにしてくださいね、ハマっちゃうかもですよ♪」

ふふ、と明るげに笑って語らう。のんびりと進む時間…。

「最近ですか?学校は相変わらず、というか…あんまり変化はない感じですけど…うーん。
 あっ、実はうちの妹がですね…!!!」

実妹、伊都波悠薇。完璧超人と揶揄される有名人の姉とは正反対の、あまり目立たない、妹。
やれ道場でドジを踏んだ姿が可愛くて仕方なかった、だの。
やれ学校に一緒に登校する時に見せる仕草が反則的に愛おしくって、だの。
やれやる気を見せてひた向きに前へ進もうとする姿が貴すぎる、だの。
身振り手振り、かなりのシスコンっぷりを見せながら、話し始め……。

『お昼のふわふわパンケーキセットと、完熟パイナップルのアイスのせチーズタルトでーす。ご注文は以上でよろしいですか?』

「っは…」

その声で現実に戻ってきた。

レイチェル >  
嫌な気持ちにしよう、なんて気は毛頭ない。
だから、誂いはここまで。……色々と、あいつやあいつの癖が移ったかな、こりゃ。
そんな風に思いながら、一瞬だけ窓の外を見た。

「気にすんな」
言い訳モードの凛霞には、その一言でストップをかけた。
別に似合わなかったところで、本当に気にしてなんかないしな。

さて、日常の話を振ってみれば。
まぁ、そんな気はしていたのだが、妹の話が飛び出してくる。
よく尽きないな、と感心するほどだ。

店員の確認にはそれで頼むよ、と答えつつ。

「良いじゃねぇか、妹の話。続けろよ。
 大事な人の話してる時ってのは、聞いてる方もいい気分になるもんさ」

そう口にして、片手でひらり。どうぞ、と示してみる。

「特にな。家族(みうち)をそこまで大事にできるって、
 誰でもできることじゃねぇからな」

ああ。家族ってのは、良いもんなんだろうな。
そんな風に思いつつ、凛霞の話を聞く姿勢を見せる。

まー、こうして身近な奴が楽しそうにしてるなら、オレも嬉しいからな。

伊都波 凛霞 >  
気にすんな、とこっちに気をかけてくれる。
特訓の鬼と揶揄される先輩ではあるが、みんなやはり見る目がない。
色々な武勇伝も聞くけれど、こんなに広い器で、冗談も言えて、気遣いもしてくれる人そうそういない。

「あはは…いやいや…止まんなくなっちゃうので。…でも本当に可愛いんです、はい…」

続けろよ、と言ってくれるレイチェルに照れ隠しの苦笑い。
ついついヒートアップしちゃうのが恥ずかしい…。
家族は…自分にとってはあって当たり前のものだった。
でも目の前の彼女はどうだろう。
異世界から家族みんなでやってくる…なんて話のほうが珍しい。
どこか深い言葉にも感じたのは…彼女の事情にも寄るものだろうか。

「大事な人…」

ふと、先日あったことを思い出す。

「…そういえば、実は先日後輩の男の子に…告白、されまして」

最近あった、自分の中ではそれなりに大きな出来事の一つだった。
特に神妙な面持ちではなく、それなりに声色も明るい。
過ぎたこと、あるいはポジティブに整理のついた話。

わ、と眼の前に現れた季節スイーツに浮かれた声をあげつつも、そんな話を切り出す…。

レイチェル >  
「じゃ、今日はここまでってことで。
 また何かあったら、その時に聞かせてくれりゃ良い」

これも立派な息抜きになるだろうし。
誰だって聞いて欲しいことってのはあるもんだ。
そういった話を気軽に話せる相手ってのは、『パーフェクト』だろうが何だろうが、
必要に違いない。

「こんなことを言うのもなんだが――」

告白。恋の話か。

「――お前も、そういうの結構慣れてんじゃねぇのか?」

だからこそ明るいのか。
でも、話の切り出し方的に、色々思うところはあったんだろうな、と。
まぁ推察はするが。そういう時、何とも言えない気持ちになるのはまぁ、分かる。


そんな折にどどん、と机の上に置かれたスイーツ。
え、皿にこれでもかと盛られたこのスイーツ(デカブツ)を食ってたのか?
思わず目を見開いちまった。

伊都波 凛霞 >  
「慣れてたら、話になんか出しませんよ」

眉をへの字に下げて、笑う。
真面目で実直そうな子から受けた、その印象通りの告白。
ごめんねとそれを断ったら、理由を聞くでもなく、やっぱり、と…笑顔で去った少年の話。
そして、その後先生がやってきて、それを見ていて…気にしていた自分を励ましてくれたことも。

「確かにはじめてじゃないし、何度もあることだけど…慣れないですね。
 やっぱり、みんなそれぞれ想いが違っているから」

「レイチェルさんは、そういう経験してます?」

同じ性別の自分から見るととても頼りになる彼女。
異性から見るとどう見えるのかは、正直あまりわからない。
でもこうやって気さくな距離感で話してくれる彼女に惹かれる男子生徒もいるだろう…と思う。

──どん、と置かれたパンケーキ。
生クリームたっぷり、フルーツたっぷりの満足サイズ。
わー、美味しそう。さっき平らげちゃった後でも、そう思う…。
レイチェルさんもその魅力に思わず目を見開いてしまっている。
自分の季節スイーツを写真に納めるついでに、撮っちゃお…。

レイチェル >  
「ま、回数と慣れが比例する訳じゃねーだろうしな。
 なんつーかまぁ……お疲れ様、だな」

そりゃそうだな、とは思うが。
何でもこなすイメージのある彼女でも、やっぱりそこはそうなのだな、と。
感じるところでもあった訳だ。凛霞にも男子にも大いに同情する。

「そりゃまぁ、ない訳じゃねーけど。
 告白してきた相手にゃ、一緒に過ごしたいと感じたことはなかったからな」

よくもまぁ、こんな奴に告白なんてする気になるものだ、と思う。
ありがたいとも思うが。

「オレにとっちゃ、
 それが一番大事なんだよ。一緒に未来を生きたい、って思えるかどうかが。
 で、お前は? 凛霞は、なんだったらOKするんだよ」

オレの言葉を受けて、別の席の男子達が耳をそばだてている。
やれやれ、と肩を竦めつつつ。

さて。
このとんでもない量のスイーツ、どうしたものか。
ナイフとフォークを持って、少しずつ切り分けていく。
ま、美味しそうだし。ぺろっと食えるだろ。

伊都波 凛霞 >  
「一緒に未来を生きたい…」

お疲れ様だと労いの言葉の後に、そう続けた彼女。
彼女は、純粋な人間じゃない。
それは価値観や倫理観…なんていう上に乗っかるものの話じゃない。
もっと根底…きっと存在の違い。
詳しく聞いたことはないし、踏み入った話になるから躊躇するようなことでもある。
その違いはきっと大きくて…きっと、"過ごす時間自体"も異なってくる…。

「うーん…私は…」

口元に手をあてて少しだけ、考える仕草。
ほんの僅かな時間の後に、笑みを讃えて言葉を発する。

「こう見えて、どう見えて?かはともかくですけど。
 実のところすっっっっっごい、甘えたいんですよ」

どちらかといえば他人を甘やかすイメージのほうが強いだろう凛霞は力説する。
なんだったらOKするんだ、という問いかけ。
それに対する応えもきっちり、それに含まれていて。

「なので、私が遠慮なく、際限なく甘えても大丈夫そうな人だったら…かなぁ…」

なかなかの願望を口にしつつ、チーズタルトの撮影も終わり、フォークでまずは端っこから。
口に運ぶと濃厚なチーズの旨味と甘みが口の中に広がる。そしてパインアイスの酸味…超絶、合うッッ。

レイチェル >  
「そんな複雑な話じゃねーよ、単純な話さ」

手をひらひらと振って、考え込む素振りを見せる凛霞に釘だけは刺しておく。
あくまで、感覚的なもんだ。
いや、振り返れば色々、影響してるんだろうけどさ。


「へぇ、甘えられる相手かぁ。
 ま、ずっと姉なんてやってると、そういう気持ちになるもんなんだろうな」

そんな話をしながら、フォークでパンケーキをひょいひょいと口へ入れていく。
美味いもんなら結構、いくらでも入る。

「オレはお前の恋人じゃねぇし、なる気もねぇけど、ま。
 甘えたくなったらいつでも甘えて良いぜ――」

周囲の座席の空気がすっかり変わった気がするが、まぁ良いか。

「――言いたいこと言うとか、愚痴吐くとかよ。
 ま、先輩だし……友人だしな」

そこまで口にして、ぱくぱくと口に運んでしまえば。
いつの間にかスイーツ(デカブツ)は消え去っていた。
やっぱ美味ぇな、この店が出すもんは。

伊都波 凛霞 >  
「ごめんなさい。色々あったからつい色んなこと深読みしちゃって」

あはは、と小さく笑う。
でも、シンプルながらいい答えだなあとも思った。
一緒に過ごしたい。すごくわかりやすくて、適格な答え。

「あ~…、そっか。そういうところもあるのかも…」

妹が生まれた瞬間から、自分は姉で…。
知らずしらずのうちにそういう欲求が募っていったのかも、と。
案外、そういうことって自覚はできないものだなぁ…と感慨深さがある…。

そんな会話を続けながらの絶品スイーツ。
一人で過ごすオフも良いけど、こういうのもすごく良い。

しかし、酸味と甘味たっぷりのパインアイスを口に含んだ瞬間、周りの空気が変わった。

「───!?」

『甘えたくなったらいつでも甘えて良いぜ──』

何そのイケメンのセリフ!!!!!!
と、凛霞は心の中ですごく叫んだ。

「……も、もちろん。とっても頼りにしてますよレイチェルさん」

口の中に残る心地よい甘みを珈琲の苦みで流し混んで、一息…そう返す。
ほんのり顔が赤くなっちゃった、なんてセリフ吐くのこの人…。

レイチェル >  
「単純明快だろ? 隠しゃしねぇ、オレが求めてるのはそれだけだ」

たったそれだけ。だけど、その一つがとっても大切だ。

「凛霞がそうかは分からねぇけど、そういう話はよく聞くしな」

オレ自身も小さい頃はそうだった、なんて言いかけて口を閉じる。
ま、この話は今する話でもねぇからな。

「ん?」

凛霞の表情が変わった。パインアイスが、余程気に入ったらしい。
確かに、美味ぇよな。
リピートしたくなるくらいには。

「上級生になればなるほど、そういうことできる相手って居なくなってくからな。
 じゃあ教師に……って訳にもいかねぇだろ。ちょいと、厚めの壁もあるしな」

オレはもう純粋に精神的な意味で甘える相手なんざ要らねぇから関係ねぇけど。
皆が皆、そういう訳でもねぇだろうし。

最後の一口二口を食べ終わるタイミングを、凛霞に合わせて。
少ししてから。

「じゃ、出るとするか。代金はオレ持ちでいいぜ、楽しませて貰ったからな」

オフの日に、いい気分転換になった。凛霞には感謝だ。
というわけで、代金も払っておく。どうせ使い道はそんなにねぇしな。

「また、オフの日が合うことがあれば、遊びにでも行こうぜ。
 夏も近いからな」


――今この瞬間にも、夏の足音は近いづいてきている。

伊都波 凛霞 >  
言葉通りの単純明快。だからこそそれが大事だとも思える。
そういう話をよく聞く…という言葉も、自分では理解しているつもりだったけど、
自分がそうだと考えるのは案外むずかしい。
誰かと話をするのは大事だなあと改めて思う。
気づいて当間のことに気づかせてくれるのだから。

"ん?"ではなくて…。
まわりの空気が変わったことに…気づいていない…!?
そういえばこういう人だった。
なんか、時折こういうことがある…。
普段鋭いのに、たまにこう…図太いというか鈍いというか。
あの二人もこのへんは苦労しそうだ、と思うと少し顔がにやける。

──とか、考えていると。

「えっ!?いやいや…そういうワケには──」

急に代金を持つ、なんて言い出すものだから、少し慌てて…。
でも、すぐに。

「──や、なんでもないです。ご馳走になります!レイチェル先輩♪」

奢られる後輩ムーブに転化!
こういう時は好意を無碍にしてはいけない!

立ち上がって、後についていくように。

「ですね。風紀のほうも忙しくなっちゃいますけど、隙なんか見つけて、きっと!」

もうすぐ夏が来る。
生徒達にとっては一年の中でも文字通り熱い季節だ。
先に立つ先輩の背中を追いかけて、夏の始まりの日差しの中へと続いた──

ご案内:「カフェテラス「橘」」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から伊都波 凛霞さんが去りました。