2024/06/24 のログ
ミア・コレット >  
憔悴した顔でイタリアンコーヒーをカップに入れて対面に立つ。

「相席いいですか」

病院から、という言葉を立ち聞きしてしまい、相手の包帯を見て。

「怪我されてるんですか? では私は別のところでも構いませんが…」

周囲を見る。
どこも満席に近い状況だ。
なるほど、人気のカフェテリアというものはこういうものなのか。

蘇芳 那由他 > 「…はい?…あ、いえいえ。お気にせずにどうぞお座りください。」

メッセージを一通り確認し終わったタイミングでちょうど声が掛かる。
そちらに顔を向ければ…うん、見覚えのない少女だ。そもそも僕は知己の数が数えるほどしか居ない。
しかし、格好といい容姿といい、凡庸な容姿で学生服が私服みたいな少年とは大違いだ。

ともあれ、怪我については「あ、一応もう退院してるので大丈夫ですよ」と、補足しつつ。
空いている向かい側の席を軽く手で示して「どうぞお座りください」のジェスチャー。
周囲は確かに時間帯もあるのかもしれないが中々の賑わいだ。
むしろ、少年の向かい側の席が今の時間まで空いていたのは割と運が良かったのかもしれない。

ミア・コレット >  
「そうですか、失礼します」

一礼してから座り、
イタリアンコーヒーに砂糖をいれる。

「敬語、変だったらごめんなさい」
「最近になって勉強中でして…」

曖昧に笑いながら、
イタリアンコーヒーに砂糖を入れる。

そして机の上に教科書を開いて視線を落とした。
薬用植物学総論。総327ページ。
持ち歩くのが憂鬱な本を睨みながら、
イタリアンコーヒーに砂糖を入れる。

蘇芳 那由他 > (金髪に青っぽい瞳…外国の人か、異邦人の方かな?)

最初、一目見てぱっと目に留まったのは少女の容姿だ。
ただ、それ自体が特に珍しいという訳ではない。
じゃあ自分は何に引っ掛かりを覚えたのか?それ自体分からない。
なので、一先ずそこは気にしない事にした。考えても分からないなら切り替えていこう。

「いえ、ちゃんとお互い意思の疎通が出来ればそれで十分だと僕は思いますよ?」

語学…日本語の勉強中、という事だろうか?どちらにしろ、少年はあまりそういうのは気にしないタイプだ。
むしろ、十分敬語を使いこなせていると思っている。勤勉な人なのかな?

(…あ、砂糖。…僕もやっぱり入れれば良かったなぁ。)

既に温くなったコーヒーをちびり、と飲みながら少女の様子をぼんやり眺める。
あまりじろじろ初対面の人、特に女子を眺めるのは失礼かもしれないが。

「………??」

ふと、そこで少女が取り出した教科書に視線が落ちる。
【薬用植物学総論】……中々に分厚い。

(……え、この人もしかして秀才とかそういう…?)

少年からすれば、最初の1ページでもうギブアップしそうな予感しかしないソレ。
ああいう本を読んで理解できるような地頭と学力が僕も欲しいものだ。

ミア・コレット >  
「そうですか、ありがとうございます」
「この世界に来て日が浅いもので……」

肩を竦めて砂糖をたっぷり入れた濃ゆいコーヒーを飲む。
カフェイン、糖分。
これ以上に脳を覚醒させ、疲労を吹き飛ばすものはない。

本を見る少年の視線に肩を竦めて。

「難しそうな本ですよね」
「理解できてるわけじゃないんですよ別に」
「ただ読み込まないと単位が取れないので無理やり頭に詰め込んでるだけです」

ふと、携帯デバイスで自分を映すと目の下にクマがある。
さっきのはウソ。
睡眠時間をたっぷり取ったほうが脳は覚醒するし、疲れは取れる。

「あなたも勉強を?」

蘇芳 那由他 > 「…成程。確かに異邦の方々からすると、こちらのあれこれは順応するのが大変かもしれませんね。」

勿論、どんな世界から来たかにもよるだろう。
例えば、ここと似たような世界、または似たような文化や言語などだったら順応は早い気もする。
少年は、そもそも異邦人かどうかすら分からない記憶喪失であるが。

「……単位……あ~~…。」

少し遠い目になりつつ相槌を。何しろ少年も幾つか単位がギリギリだ。
サボっているのではなく単純に分からないのだ。特に魔術方面の内容とか。
それより、彼女の顔に視線を戻すと…うん、目の下に明らかにクマが出来ている。

「…その、お会いしたばかりで大きなお世話かもしれませんが。
…単位が大事なのはよくわかります。けど睡眠時間もきちんと取った方が。」

普通に心配だ。幾ら詰め込んでも、人は睡眠時間の間に一日の記憶などを脳が整理すると聞く。
と、なると睡眠時間を削れば、その分、整理が出来ずに頭に入らないのでは。

(…って、こんな時間まで参考書読んでた僕が言えないけど。)

内心で溜息。彼女の問い掛けに、手元にあった栞を挟み込んだ参考書を軽く示して頷く。

「ええ。僕の場合は【魔術応用理論】ですかね。正直魔術方面は頑張ってもさっぱり理解出来なくて。」

魔術は使えない身なので、せめて座学だけでも単位を取らないと色々まずいのだ。

ミア・コレット >  
「もう大変ですよ」
「でも、せっかく大きな学校がある世界に来たんですから」

「碩学を修めたくて」

そもそもこの世界に来た時に記憶喪失になっているのだから。
ここで何を学んでもまた転移したら一緒なのかも知れない。

「そ、植生学の単位……サルノコシカケ科の薬効についてレポートも…」

疲れと眠気で敬語がぞんざいになっていることに気付いて。

「ご、ごめんあそばせ~」

とオホホと笑って見せた。

そして睡眠時間について言われるとはは、と力なく笑って。

「ですよねー……」
「私もアパートで眠っていたいです」

魔術応用理論の背表紙を見て。

「む、難しそうじゃないですか……」
「はー……学生って大変ですよね!」

と言ってまたコーヒーを一口飲んだ。

蘇芳 那由他 > 「……碩学…?あ、すいません無知なもので…。」

思わずその聞きなれない学問の単語に首を傾げてしまう。
が、慌てて平謝り。もうちょっと僕も勉強しないと駄目かな…。

「サルノコシカケは聞いた事はありますね…薬効…。
あ、むしろ敬語崩してくれても僕は平気ですよ。
貴女が話しやすい喋り方で全然大丈夫です。」

と、フォローするようにそう申してみたい。ちなみに少年は基本誰にでも敬語っぽい。
あと、オホホ笑いを実際にやる人を僕は初めてみたかもしれない…こういう感じなんだなぁ。

「…正直、内容の2,3割を理解するのがやっとと言いますか。…うん、お互い大変ですね…。」

しみじみした空気が流れる。いけない、空気を変えないと!
そもそも、大変なのは自分たちだけではない。学生みんなそうだろうから。

「…あ、ここで相席になったのも何かのご縁という事で。
僕は常世学園1年生の蘇芳那由他と言います。ナユタで構いません。」

「よろしければそちらのお名前を聞いても?」と、尋ねつつきちんと自己紹介はしておく。
こういう何気ない出会いは大事にしていきたいと。少年は常々思っているから。

ミア・コレット >  
「碩学は広く深く学問を修めた人という意味なんですよ」
「だから、知らない授業ほど積極的に受けてます」

話しやすい喋り方で大丈夫、と言われると申し訳なさそうに
手のひらをひらひらと振って見せて。

「あ、そう? ごめんなさい、普通に喋る…」
「サルノコシカケ科はブクリョウやチョレイマイタケに利尿作用や解熱効果があるけど」
「カワラタケの多糖類化合物は抗悪性腫瘍薬になるとか……そういうの学んでる」

コーヒーを飲んで本を睨む。ああ、凶相。
私だって愛嬌で売っていきたいけど。
こんな生活が続けば本を睨むようにもなる。

「蘇芳那由他…ナユタね、私は1年のミア」
「ミア・コレット。よろしくね、ナユタ」

笑顔で手を差し出した。

蘇芳 那由他 > 「へぇ…そういう意味なんですね。勉強になります。」

素直に感心したように頷きつつ。よし、僕は一つ賢くなったぞ、と。

「えぇ、変にかしこまられるより全然普通に喋って貰った方が僕も気が楽ですし。
……な、成程。…抗悪性腫瘍、となると癌とかですよね多分。」

いきなり僕の聞き覚えの無い単語がぽんぽん出てきたけれど、何とか最低限は理解できた…つもりだ。
ちなみに、多糖類化合物あたりはさっぱり分からないのである。

コーヒーを飲みつつ、本と睨めっこする彼女の様子に、僕もあんな感じで参考書読んでたんだろうか?と。
…あと、中々に怖い表情になっている気がするが、ストレスも溜まってそうで矢張り心配だ。

「ミア・コレット…ミアさんですね。はい。こちらこそよろしくお願い致します。」

笑顔で手を差し出されれば、一瞬だけ躊躇。何せ怪我であちこち包帯を巻いている。
差し出そうとした右手も、全体ではないがあちこち包帯が巻かれている。
ただ、ここで握手をしないのがむしろ失礼だ。なので直ぐに右手を差し出して握手を交わそう。

ミア・コレット >  
「そういうのを学ぶ時にナユタみたいになりたいなー」
「知らないことをつい知ったかぶりするクセがあって困ってる」

にひひ、と笑って。
飲み終わったコーヒーカップを隅に片付けた。

「そういうこと、癌に効く奇跡のキノコ?」
「昔はカワラタケから作った薬もあったんだけど…今は作られてないみたい」

薬効に劣るって感じなのかなーとテキトー言って笑った。

そして差し出されたてが包帯で巻かれていることに気付いて。

「ご、ごめんナユタ……」

と割れたコップを拾うように慎重を期して握手をした。

「痛かった? 私は気遣いダメダメ異邦人だ……」

申し訳無さそうに手を離して。

蘇芳 那由他 > 「いやぁ…少なくとも僕の場合、後でボロが出るのが分かりきってますので…。」

だから知ったかぶりとか出来ないですよ、と苦笑いを小さく浮かべて。
だから、知らない事は素直に知らないと言うようにしている。
無知なのが悪いとは思わない。むしろそこから知ろうとしない事が問題かな、と思っている。
同じく、少年もコーヒーカップを隅っこに。ちなみに彼女より先に店に居たので既に飲み終わっている。

「…へぇ。今の時代、悪性腫瘍に効能があるものも色々とあるんですね。」

奇跡のキノコ…地味にインパクトがあるなぁ。カワラタケは今度調べてみよう。
ミアさんに謝罪されて、ん?となるが…あぁ、と直ぐに気付いた少年。

「あ、大丈夫です。こう見えて怪我は結構順調に治ってますので。通院は何回かしないとですが。」

腕の怪我は確かに酷いが、「手指はそこまで酷くないので大丈夫です」、と笑って答える少年。
彼女の気遣いで慎重に握手をされたが、大丈夫な証明に普通にしっかり握手を返しておこう。

「いやいやミアさん、そこまで気に病まなくても…。」

慌てて握手を終えつつフォローを。こういう時、イケメンさんとか気遣いの鬼さんはどうフォローするんだ…!?

ミア・コレット >  
「いいじゃん、それを古人は無知の知と言ったみたいだけど?」

自身の無知を知ることが本当に理解し、知り得ることの第一歩なのです。
どうでもいいけど響きがムチムチに似てる、無知の知。

「より薬効があるものにシフトしていった…まさに人類の知恵の最先端っ」
「こういうのを考えると技術の進歩は常に軍事と医学と手品に使われていったんだなぁって思う」

つい喋りすぎてしまった。早口異邦人。

「何をどうしたらそんな風に怪我するのナユタ……」

心配そうに包帯を見ていたけれど。
観念したように首をがくんと縦に振って。

「やっぱり帰って寝る!」
「人に心配しておいて自分は心配されても無視とかナシナシ」

「連絡先、交換してもらってもいい?」

携帯デバイスを取り出して。

蘇芳 那由他 > 「無知の知…成程。…と、いうか僕よりミアさんの方がもう全然こっち側の知識があるのでは?」

うん、やっぱり色々と勉学以外にも本を読んでいかないと駄目かもしれない。
今度学園の図書室とかに足を運んでみようかな…偶に立ち寄ったりするくらいだし。

あと、ムチムチだと少年は真っ先にスタイルの良い女性を連想してしまうのである。健全男子です。

「…確か、戦争とかって割と技術革新起きたりするみたいですしね。」

そんな話を聞いたような気がするが、うろ覚えなので不確か。大丈夫か僕。

「…その…えーと…少し前にうっかり落第街に迷い込んでしまいまして。」

まさか、馬鹿正直に【紅き屍骸】という特級の怪異と遭遇戦したとは言えない…!
そもそも、少年は撃退しただけで討伐はしていないし、そんな余裕も無かった。

「あ、はい。僕もそろそろ帰って寝るつもりです。
お互いきちんと休みましょう、えぇ。」

帰宅宣言をかますミアさんに、一瞬だけきょとんとした表情を浮かべて。
だが、直ぐに小さく笑いつつ少年も帰り支度をしながら相槌を返した。

「あ、いいですね。じゃあ折角ですしお言葉に甘えて。」

ミアさんの帰り際の提案に、素直に少年は応じて端末をポケットから再び取り出し連絡先交換を。

ミア・コレット >  
「知ってることだけ知っていることを碩学とは呼ばないし」
「ナユタも目指そう、知の殿堂!」

にひひと笑って本をパタンと閉じた。

「戦争はろくでもないけど、完全に無価値じゃないのがほんとうにろくでもない」

落第街の話が出ると瞳を丸くして。

「あんなところ行ったの? 気をつけたほうがいいなぁ…もちろん、お互いに」

ふふふぅと笑って連絡先をクイック交換。
そして人差し指を立てて笑う。

「話が合いそうな人とは連絡先を交換する、これね!」
「それじゃ私はこれで、またねナユタ」

本をカバンに入れると空のカップを手に、その場を去っていった。

ご案内:「カフェテラス「橘」」からミア・コレットさんが去りました。
蘇芳 那由他 > 知の殿堂…!?何か凄いフレーズだけど、僕には敷居というか壁が高すぎる…!!

(いや、でももうちょっと色々知っておきたいのは確かなんだよなぁ。)

記憶喪失関係なく、僕には知らない事が無数にありすぎる、と彼女とのこの短い時間の会話で痛感した。
戦争については、それを実際に体験した事も無い身ではあるが…。

「えぇ。気を付けます…本当に。はい。」


でも、気を付けても知らずに迷い込んでしまうのが少年の方向音痴だ。
最早、特殊能力と言っても差し支えないかもしれない…嬉しくないですね!!

連絡先を交換すれば、確認をしてからポケットに携帯を再び戻して。何となく釣られて少年もサムズアップ。

「はい、おやすみなさいミアさん。何かあればお気軽にご連絡どうぞ!」

と、一足先に立ち去る彼女を見送れば、律義に会釈をして見送りつつ。

「よし、僕も帰ろうかな。」

今日は良い出会いがまた一つ。心なしか上機嫌で少年はお会計を済ませて店を後にした。

余談 > それはそれとして、人の携帯の通知を勝手に変更した恩人には猛抗議をしておいた少年であった。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から蘇芳 那由他さんが去りました。