2024/10/13 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」にゼアさんが現れました。
ゼア >  
 秋。
 うだるような熱気も忘れ去られようとしている今日(こんにち)

 神社に新しい神様が祀られることとなっただとか、「常世」に深く関わりのある大変ありがたい神様なのだとか、色々話を聞かされた、のだが。
 あいにくゼアに、そんな難しい話はわからない。
 そんなことより。お祭りをやるそうだ、と。その話の方が食いつきがよかった。

 神社では今日も屋台が立ち並んでいることだろうが、学生街にもその賑やかな空気は少なからず漂ってきていて。
 何より学生街では、秋の季節のフェアが様々な店で行われていた。

 カフェテラスでも芋、栗、南瓜といった秋の甘味から、菓祖祭にちなんだ柑橘をベースにした菓子やドリンクが数多く期間限定メニューとして売り出されている。
 それに従って、臨時のバイトも募集されている。
 今日のゼアは、そういうわけで、カフェの仕事をしている。


 ――メイド服で。
 ――小さい姿で。
 ――イミテーションの大きなティーカップに体を収めて。
 ――カフェの入り口前に、ちょこんと座っていた。

ゼア >  
 マスコット兼呼び込み、なのだった。

「秋フェア、やってまーす。どうですかぁ。おいしいよー」

 ティーカップの中で手を振る。
 通りを行く人々は、そんなゼアに視線を向けたり、傍らを通り過ぎて店に入っていったり――それがゼアの効果によるものかはわからないが――と、一定のアクションを見せてはいる。
 が、特に気にせず通り過ぎていく人も少なくなく。どころか、そっちの方が多いのだろう。

「ふふ、どうですかあー」

 そんなことも、気にすることなく。
 カフェのマスコットに徹しているゼアは、笑顔を振りまきながら。通り過ぎていく人々に呼びかけ続けていた。
 その声は決して、大きくはなかった。
 何せ、そも物理的に小さいのだもの。

ご案内:「カフェテラス「橘」」に工藤陽介さんが現れました。
工藤陽介 > 新しい神様に参拝でもしようかとに向けて足を運んでいた
街の彩りは普段よりぐっと賑い、肩を寄せ合う店舗では秋めいた催しの垂れ幕や呼子が溢れていた。

「すっかりとお祭りだね」

小さな吐息にのせて独り言。どれにも目を向けるが足を止めることなく通り過ぎていく。
そんな中でふと足を止めたのは唯一呼び子が置かれていないカフェ。
薄く小首を傾げてしずしずと近寄り。

「バイト雇う金もないのかな?お店のために少し食べていった方が良さげ?」

まさか小人が呼び込みしてるとは思わず、
その小さな声も届かず、
メニューウインドウの一覧に顎に指添えて凝っと瞳を凝らして見つめていた。

ゼア >  
 呼び込みを続けていると、学生服の少年がカフェテラスの前で足を止めた。

「期間限定メニュー、おいしいよー……お?」

 さてゼアの声に気づかず、メニューに視線を釘づけにしている様子。
 声が聞こえない、ことには特に気にすることもないけれど。
 迷っているのか、ただ見ているだけか。どちらにせよ、引き込むチャンス。
 ぴょんことティーカップから文字通り飛び出して、少年の耳元にふわふわと浮遊。

「どーしたの、お兄さん? 気になるー?
 ゼアのおすすめはさつまいもラテ。美味しいよー」

 第一声、至って当然のように自分のお気に入りを推していた。
 気になるからと一杯飲ませてもらったところ、案の定大変気に入ったもの。

工藤陽介 > 街の雑踏から離れ、そばにまで近づいてくれて、その声は鼓膜に届き。

「おっ」

第一声は好奇心に高鳴るもの。
初めて見る小人が宙に浮かんでいるのだから瞳を爛々とさせ。

「うん。ちょっと気になって立ち寄ってみた。
 さつまいもラテかぁ。どうしようかな?」

食すというより冷やかして訪れた身だ。
誘いには瞳を左右に揺らしながら思案中。

「君くらいの大きさならカフェラテ1つでお腹いっぱいになるんだろうなぁ。
 なんて」

唇を弧に描いて冗談めかす。

ゼア >  
「ふふん、美味しいから大丈夫だよー」

 何が。
 実際この大きさならば確かにそうなるだろうが。

「さつまいもは苦手? ならモンブランとかかぼちゃパイとか、色々あるよー。
 秋だからねぇ。あ、そういえばお祭りなんだっけ。それのメニューもあるよー。
 ほかのメニューもおいしいから、いかがです?」

 迷ってる様子に、頑張ってこちらに呼ぼうと張り切って宣伝。
 今日のゼアは押しが強い。
 服装を新たにしてちょっと背筋が伸びているのだろうか。

工藤陽介 > 「あはは。」

次々に押し寄せられる宣伝の数々に両手で制して。

「負けたよ。可愛い呼び子さんに。
 それなら何か食っていくよ。」

こちらに迫るようにも見えるその人の頭にそっと指を乗せて撫でようとしながら。

「俺の名前は工藤。お店に入ったらお別れだし君の名前を教えてよ」

ゼア >  
「えへー、ありがとーございまーす。
 美味しいから。後悔しないよー」

 押しの強さが功を奏したか、お客様おひとりご来店。ちょっと少年から遠ざかる。

 撫でようとする姿には抵抗せず。頭に添えられる指に満足げ。ふふー。

「はーい。ゼアはゼアだよ。学生街で色んなお仕事をしてます。
 また会ったらよろしくねー、お兄さん」

工藤陽介 > 「ゼアね。今回みたいに小さな姿を見逃さないよう、気をつける」

笑う小人にこちらも頬を緩めて。そして自動扉に入って消えていった。
その後はおすすめされたカフェラテとかぼちゃパイに舌鼓を打って食事を楽しんだことで。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から工藤陽介さんが去りました。
ゼア >  
「いらっしゃいませー」

 店内に入っていく少年の背中に手を振る。

「さてとー」

 定位置(カップの中)に戻って。
 もうちょっとだけ呼び込みしている。

「期間限定メニュー、おいしいよー。どうですかー」