2024/10/26 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 >
昼下がりのカフェテラス
座席の奥、テーブルを囲むのは数人の常世女子達
季節スイーツを並べて花咲くのは、酸いも甘いも織り交ぜられた彼女達のリアルな話
『それでさぁ…アイツったら夏の時はグイグイ来てたくせにガッコ始まったらさっぱりなわけ!』
『わかる~、ウチのもそんな感じ!絶対目移りしてんのよね!』
「いやいやそんなそんな。
ほら、また試験なんかもあるし遊んでばっかりいられないとかじゃない?」
棘つく友人達を宥める様なことを言いつつ、パフェをぱくり
男女の話題、幸せなものもあれば…こう、ヒリついたものもあったりする
特に若い常世女子達のこと、どこか青春を行き急ぐようなところもあり、話題は加熱しやすいものである
『い~や違うって、あれは他に女が出来たのよ、絶対』
『抜き打ちでチェックしてやれば?』
「(うーーーん!すごい話してるぅ)」
こうなってくるとフォローもし辛い
パフェは美味しい
■伊都波 凛霞 >
こういう時はあえて言葉を挟まず、鬱憤を吐ききってもらうのがいい
同じ不満を抱えている女子もいることで共感と安堵を得ることが出来るのだ
…にしても皆すごい。やっぱり夏を挟むと男女関係ってそんなに発展するものなんだ
『で、我関せずって顔してる凛霞はどうなの?』
『『『どうなの?』』』
!?
しまった、飛び火した
『夏前に相手が出来たってことは皆知ってるしねー』
『彼氏いるまま夏に何も無いなんてことはありませんよねー』
「(なんという下世話な会話)」
爽やかな甘味を運んでくれたスプーンを頬張ったまま、視線がそよぐ
■伊都波 凛霞 >
「…なんにもないデス。その、風紀の仕事とかも忙しかったし」
『今一瞬視線逸らしたよね』
『やってんなこいつ』
何をだ…
「───……」
カラン
スプーンをパフェの空いたグラスに戻して、溜息一つ
「ほんと~~~に、何もないんだってば!」
声を張る
先日、妹にちょっと詰められた時は思わず濁してしまったけど
夏祭りに一緒にいって…ちょっとだけ進展があったくらい
まだ、お互いに長くすれ違った時間を埋めようとしているところなんだから
『必死なところがなんか怪しい』
『あやしい』
「…じゃあ、本当になにもないです」
しっとり
『不自然に冷静にしようとしてない?』
『あやしい』
どっちでもダメじゃん
■伊都波 凛霞 >
これは不味い……
完全に標的がこちらに向いてしまった
『でもさぁ』
ふと、話題の流れが変わる気配
天の助けか?
『本当でもそれはそれで彼氏さんかわいそー』
───お?
■伊都波 凛霞 >
『確かに、凛霞みたいな彼女がいて何もさせてもらえないとか生き地獄じゃない?』
『盛りの男子には拷問といっても過言ではない…なんて悪い女』
ああー
なるほどね
そうなりますか…
ごもっとも…
なんて、思うか!
「あのねぇ」
「男子だってみんなにそんなにがっついてるわけじゃないし」
「彼は私を大切に思ってくれてるからこそ、すぐにそういうことを望んだりしないの」
オーケイ?
『いや…ないわ』
『男子はスケベなのが普通だよ?』
「いや、例外もいるでしょ…
美陽達だってさ、みんながみんな夏で経験しちゃった…なんてことないわけじゃん?」
『『『……………』』』
あれ……?
■伊都波 凛霞 >
「ま、まぁ美陽や葉奈なんかは彼氏いたしね!
そういうことも…あるかもね!!」
ね、と視線を送るのはこの中で唯一、たまたま夏前に彼氏を振ってフリーになっていた瞳子
『………』
『ごめん、実は夏祭り前に出会いがあってぇ…』
「───」
そ
そんなばかな
■伊都波 凛霞 >
『だから凛霞がおかしいって…彼氏から求められたりしないの?』
『そうだとしたらもしかして何かしらの病気なのでは』
『私が男だったらソッコーで××××△△△△…』
「…キミたち、ふじゅんいせーこーゆーで風紀執行がお望みなのカナ?」
そんな、取り留めもない下世話な話で盛り上がってしまうのだから
これも学生らしいといえば学生らしいと言えるのだろうけど
やがて陽が少し傾いて、一人、また一人
バイトの時間であったり
それこそ彼氏から連絡が来たりなんかして
結局最後まで残ったのは、オフを満喫できる立場にある私
「ふー……」
頼んだ珈琲を口にしつつ、深い深い、溜息が出た
窓の外には、こちらに手を振って帰路につく友人達
■伊都波 凛霞 >
頬杖をついて、窓の外を眺めていた
友人達の姿も見えなくなり、帰宅途中の生徒達の姿がまばらに見える
その手前には、硝子に反射した自分の顔
鏡写し、妹と同じ顔立ち、同じ位置のほくろ、そんな鏡像
「男女間の進展…ね……」
彼と再会した時
焦らないでおこうとこっそり心に決めた
交わした約束から経った時間、それこそ小さな子供が、大人の階段を登り始めるに至る時間
慌てて擦り合わせるには、お互い色々あった筈だから
「いや…にしても…」
まさか、友人がみんなして経験済とはな……
ちょっとだけ、凹んだ
…ちょっとだけ
珈琲は、苦い
■伊都波 凛霞 >
結構、心を乱されてしまった
珈琲をゆっくりいただいて、落ち着いてから帰ろう
そんな風に思っていると、数人の男子生徒が店に入ってきた
同い年…くらいかな?
制服を着崩していたりして、ちょっとやんちゃな雰囲気がある
まぁ学校内ってわけでもないし、風紀委員として口酸っぱく言うこともないかな
今日はオフだから、腕章もつけていないしね
『あれ…伊都波凛霞じゃね?』
『お、マジだ本物…声かけるか?』
『や、なんか彼氏いるらしいぜ』
知ってるんかい!
…あ、私とっても目と耳がいいです
ひそひそ話の際にはお気をつけて
■伊都波 凛霞 >
別に悪いことを話されてるわけでもないので、聞こえないフリ…
『本物目の当たりにすると顔もだけどカラダやべーな』
聞こえないフリ~
『彼氏ってアレ独り占めできんの?ヤってんのかなやっぱ』
聞こえないフリ…
『あんなスケベな身体しててヤってないわけないだろ』
なんだと!?
そもわずそっちへ視線を向けて、にっこり笑顔
やべって顔して視線を背ける男子生徒達
ご案内:「カフェテラス「橘」」に史乃上空真咬八さんが現れました。
■伊都波 凛霞 >
そういうことに多感なお年頃なのはわかる
聞こえてるとは思っていなかったのかもしれない、それもわかる
しかし聞こえてしまったからには───
すー、はー
落ち着け、珈琲を頂こう
うん、良い酸味と苦み…暖かさも、心を落ち着けてくれる
■史乃上空真咬八 > ――――。
「……」
男子学生たちに同情せざるを得ない。
理由は3つある。
1つ。
――まさに目を背けた先に、足を止めた、
それはそれは怖い怖いニーチャンな、恐ろしい顔した褐色肌のイカつい男子学生が突っ立っていること。
ばっちり目も合う。2秒以内には襟首掴んで店の外までちょっとゴヨウに引きずり込みそうな目付きで。
2つ。
『虫の居所が悪い』というのがどういうことかよくわかる。
息は荒く、伸びた八重歯が獰猛な狼を思わせるように。
まさしくマジギレしているような顔。
その不機嫌そうな理由は、後述する。
3つ。
下世話な話題のターゲットは、その男子学生の知り合いだからだ。
「あンだよ、何見てンだ」
ギロッと睨みが効いた。
後ろで小柄な店員さんが席へのご案内遅れによる大惨事直前みたいな状況に慌てている。
とっととご案内しないとこの男子が他の男子に喰い殺されても可笑しくない。
■伊都波 凛霞 >
『!?』
『な、なんだよ何も見てねーよ!』
『お、おい行こうぜ、なんかコイツやば…』
そそくさ、丁度真反対の席へと退散する男子生徒達
旗から見れば一触即発にも見えかねない状況にウェイトレスがやや戸惑っていたtが、職務を果たすため席のほうへと…
やんちゃな男子生徒と、ガチの不良っぽいお兄ちゃんとの格の違いが見えた光景…
わー、睨み一発。
なんか、不良…って雰囲気はそんなに感じないけど
近くで見たらまた迫力が違ったのかもしれないね
とりあえず風紀委員としての行動が必要じゃなさそうなら、なんとなく遠巻きに見るに留めておくのだけれど──…
■史乃上空真咬八 > 「…………」
――すい、と視線が動いて、男子生徒たちが見てた相手の方、
つまり席に座っている凛霞のほうを、真っ赤な目が見る。
睨む目じゃない。吊り上がっていたらしい目じりが落ちると、
意外と垂れるようなラインの穏やかな……というか、ちょっと眠そうな眼だ。
犬に例えるならレトリバー犬のような……。
「……、」
――が、歩いてくる。ウェイトレスの案内は生徒たちの方に向かっただろうし。
すたすたと歩いてくる、ランニング帰りっぽい陸上系スタイルの不良っぽい男子は、そのまま凛霞の傍までやってきてから足を止め。
「お久しぶりです、伊都波さン」
ビシッと背伸び。
グッと腕を左右に。
バシッと頭を60度下げて。
――完璧なお辞儀を。
「………………覚えて、おいででしょうか」
ちらり。
勢いでやってしまったのだろうか。
やや困惑させただろうかという、比較的穏やかを意識した声色が下の方から聞こえ、赤い目が眉尻を下げてそちらを見上げた。
……褐色の肌、赤い目、礼儀にはとことん五月蠅く、
しかし軟派と妥協を許さない自戒の硬い、外国人っぽい顔つきの。
■伊都波 凛霞 >
あれ、こっちに来た?
思わずきょとん…と、目を丸くしてしまう
周りから見ても、風紀委員を務める彼女とは真逆にいるだろう、彼の姿だっただろうから
「えっと、どこかで───」
人の顔、一度会って話した人なんかはほとんど忘れない筈なんだけど
でも、お久しぶりなんて言葉をかけられるその少年の顔は───
健康的な黒々とした肌に、とても目立つ赤い瞳
赤い、その目元にはどこか懐かしさを感じていた
「──………」
「も、もしかして…」
「カミヤ、くん…?」
恐る恐る、名前を呼ぶ
■史乃上空真咬八 > 『……イズモデラの……ゴエイ、です』
少し日本語が下手だったかもしれない。
『……オレは、何でも』
主張は薄かったかもしれない。
無表情で、静かで。
ただ、何処か一つ芯が通って、頑なに譲らない気配もあった。
唯一判り易かったのは、
犬が大好きで、本人も、犬みたいなところがある。
「……!」
気付いて貰えたと判って、安堵したような顔と、
眠そうな細い眼が、少し丸くなって笑う様子とかが特にそうだ。
顔を上げて、もう一度会釈をすれば。
「……いきなり失礼を。ただ、もしやと思ってから近づいて、
確信を得られてからは勢いのまま挨拶を……」
頬を掻き、さっき生徒たちにブッ放したドスはどこへやら。
ただ彼の女性に――というか、凛霞に向ける感情は。
「……」
目 上 。
敬 意 。
忠 義 。
そこまでせんでも。
みたいな方向性、というのがある。
■伊都波 凛霞 >
そっちから名前を呼んでもらえなかったら気付けなかったに違いない
そもそもこんな低い声じゃなかったし…子供の頃に会ったきりなので当たり前だけれど
「久しぶりー!
この島に来てるって洟弦から聞いてたけど、声かけられなかったら気づかなかったよ!」
思わず席から立ち上がってその肩をぱんぱん、と手のひらで叩く
自分よりも、背がおっきくなった
子供の頃の印象はどこか大人しい感じだった
そんな雰囲気を顔つきにも僅かに残しつつ、面影としてみてとれる…
「さっき、凄かったね?」
「男の子達、みんな逃げちゃった」
ちょっとだけ、苦笑
お店のウェイトレスさん、戸惑ってしまっていたし
■史乃上空真咬八 > 「……洟弦……ああ」
一瞬目が吊り上がった気がしなくもない。
肩を叩かれれば、それも直ぐ柔むが、視線を少し落として見下ろさないとと、顔を見る。
「……ええ、アイツを一人で行かせるのも心配だ、と、加賀矩(かがのり)の伯父貴に頼まれたものですから」
彼の口から出る、加賀矩という名前。
要するに出雲寺の伯父、イヅルの祖父である。
ちょっと懐かしい響きでもあり、或いは今ある関係のきっかけでもあり。
「……"お前は外国の人間だから嘗められる、そうじゃいかん"とも」
彼のその振る舞いの原因でも、あるようだ。
立ち話をしてる訳にもいかず、一言断りを入れてから向かいの席に座り、
メニューを取る。……そちらのテーブルには珈琲もあることだし、と。
「折角です、何か奢らせてください」
と。……すぐに。
「……財布の心配ならしないで下さいよ。
学業に並行して、商店街のペットショップで週6アルバイトもしてますから」
――すんごい働いてる。
■伊都波 凛霞 >
「? イヅルがどうかしたの?」
私と同じく、子供時代からの付き合い
彼に至っては私よりも彼との接点のほうがよっぽど強い筈だし
「出雲寺のおじい様らしいというかなんというか…、元気そうで何より」
くす、と微笑んで
どうぞどうぞと向かいの席にうながして、自分も席へと戻ろう
「気なんて使わなくっていいのに、でもそういうなら、甘えちゃおうかな?」
男の子のこういう提案は突っぱねてはいけない、それも嗜み
珈琲のおかわりと…ついでにアイスも頼んじゃおう
「週6…そりゃあ働き者さんだね……」
相変わらずの勤勉というか、真面目っぷりというか
「洟弦から聞いてたりする?私とのコト」
■史乃上空真咬八 > 「………………正にその事で」
お好きな物を、と促しながら。
祖父の元気も彼の口振りからするにまだまだ墓に収まる気もなさげだ。
御年もあの頃でさえお爺ちゃんが、それからさらに経って爺も爺だろうに、カミヤが此処まで据わっているのならば。
ただ、ただ。
その彼が今まさに、その話題に触れる事で眉が吊り上がったり下がったりしているのは。
「……伺っているのですが、その……ええ、伊都波さンに何か、ご迷惑などかけてないか、と」
――両手をテーブルの上で組みながら、ちょっと低い声が出ている。
粗相あろうものならばちょっと失礼所用を想い出したので、と向かわんばかりの。
「……彼奴も良い歳です、故に、羽目など外しかねない。
――それに」
「……"イヅル"は、次代の出雲を継ぐ男。
生半可な気持ちで伊都波さンを娶るなどとしたならば、
不肖史乃上、彼奴には"頭と腹を割って心算を尋ねる"事も辞さぬ所存です」
――――返事次第によって、おっ……そろしい尋問が、
イヅルに襲い掛かるような、ないような。
尋問の前にまず病院に叩き込まれる方が先か?
■伊都波 凛霞 >
おかわりの熱い珈琲をほぅ…と口元に運んで、目の前の彼の言葉に首を傾げる
「迷惑? 何の?」
はて、何か彼のことでこちらに不利益になることでも起こっていたかな、と
不思議そうな表情を向ける
「羽目……あ、浮気とか?
そういうのは洟弦とは無縁じゃないかなって思うけど」
表情を苦笑に変えて、心配ないと思うよ、なんて
真剣な顔で語る、成長した幼馴染の一人
色々心配が尽きないんだなぁ、と思いつつも
「そんなに重く考えなくっても、
確かに子供の頃の約束はあったりしたけど、今はもう、子供じゃないんだし…」
洟弦もあれで色々考えてはいると思うよ、と付け加えて、再びカップを口元へと運ぶ
■史乃上空真咬八 > 「――――」
効果音をつけるなら、多分、"キロっ"と。
鋭くも生物的な……睨みつける眼のような感じ。
凛霞の返事に、混じる物がないかを測るような――もの、だったが。
「……、そう、ですか」
ふ、と小さな息が漏れて、眉間を指で押さえていた。
ちょうどその辺りには、彼も注文したらしい暖かいほうじ茶が届いていた。
それに手をつけ、縁を指で撫でながら、
睨む目付を解いて、眠たげな犬顔をしたカミヤが安堵の息混じりに。
「……"のっぴきならない事由で怪我を負って入院した、もし伊都波さンに訊かれても、黙っていろ"」
――――ぼそ、と。
「…………」
ずず、と茶をすする音。
ことり、とテーブルに置かれる音。
「……仔細を聞いた訳じゃあ、ありやせン。ただもし、素振りが伊都波さンの前であったりしたとかなら、言う前に彼奴を詰問するつもりでしたが」
流れた視線、窓の外を見た横顔の、憂鬱と、この後の凛霞の変化に、
少し彼自身が、気まずそうに身構えるような仕草だ。
「……きちんと、彼奴が伊都波さンの事を考えて黙っているべきだという事由であることの辻褄は取れました。
――とっくに退院したようですが、暫く自主の稽古も彼奴が休む"程度"。
……俺にだけ本当のことを言って、伊都波さンには言わない。
どう図って、そう判断したのか解りやせンけど、……」
「……知らないうちに怪我されて、知らないうちにもしもがあったらなんて、俺なら御免被る。
……心配は兎に角、あったことを伝えて、解決して、大丈夫まできっちり伝えておくべきだと、俺は感じました。
俺からバラしたことは、伝えてくれて構いやせん。その上で――彼奴は頑丈です、少なくとも、"もう大丈夫"と彼奴の口から出たら、それは信用しても、宜しいかと」
■伊都波 凛霞 >
とす
椅子の華奢なその背中を預けた
ようするに、聞く姿勢
とりあえず彼の言葉を最後まで聞きつつ、頷く
「成程ー」
あんまり抑揚がない返し
そして
「バイクで立ちコケしたって連絡はきたけど?」
にっこにっこの満面の笑みで出たのはこの言葉である
■史乃上空真咬八 > 「…………彼奴なりの、その……方便かと」
この橘ではほうじ茶も多分ティーカップで出るかもしれない。
そのカップがかちゃりと音を立てて再び持ち上がる。
口数は減るが喉は乾き始めた。
茶を口にする回数が増えているのは――焦りから来るものだ。
にこにこの笑顔が可憐とも素敵とも言うより先に、
その中に含まれた重みと圧で気圧されるだなんて。
叱られる犬は飼い主と目をあわせたがらないというが。
今まさに、その視線を必死に顔ごと逸らす犬のそれ。
耳があったらぺったんこになっているところだろう。
「……黙っているよりも、方便を言う方が余程"愚"でありましょうに。
……イヅルにはキツく、キツく灸を……」
■伊都波 凛霞 >
ふぅ、と軽く息をつく
まぁ悪様に吐かれた嘘というわけでもないし
「いいよ、彼も私に無闇に心配させたくなかったんだろうし」
「私のことを思ってのことなんだから、
それにお灸を据える必要なんてないよ」
確かに嘘をつかれていたこと自体にはむっと思うこともあるけど、
その奥の彼の思考なんかを考えれ見れば、それほど怒りを覚えるもんじゃない
「そんなことよりさ、折角再会したんだから連絡先、交換しとこ?」
ごそごそとポケットから学生手帳を取り出して
「彼に何かあったらすぐ連絡してくれていいからね」
ここまで、ずっと笑顔のまま
■史乃上空真咬八 > 「…………心配を掛けない事と、心配"すらさせない"事は、違うと……、……いえ」
――――不思議な言い方をする。
茶の水面に落とすような言葉も、呑み込むようにしてから顔を上げて、
向けられた笑顔はそのままに、意味が変わった事を悟る。
力む身を、呼吸と共に落ち着かせてから、
連絡先の交換とくれば、すっとこちらも端末を取り出して。
「……、そういえば、伊都波さンは、風紀委員をされている、と、巷では伺いましたが」
はた、と。
「………………」
――――すぅ、と目を閉じて。
「……いえ、その、ええ。弁えてはいるのですが、
矢張り……俺というのは誤解を受けるようで。
無論、それらが何らかの形でご迷惑をかけていたりしたならば……腹を切って詫びます故」
■伊都波 凛霞 >
慣れた様子で連絡先を交換、アイコンは彼のイメージにちょっとぴったりな、わんこの可愛いアイコンだ
「そうだね、今日はオフだから腕章もつけてないけど」
続く言葉には何それ、と小さく笑って
「目つきも鋭いし、昔と違って声もなんか迫力出ちゃって」
自分の両目の目尻に指を押し当ててくいっと釣り上げて見せたりなんかしつつ
「でも君は昔っから誠実な人だから。
曲がらず真っ直ぐ、ちゃんと話をすれば誤解なんかすぐ解けちゃうと思うよ?」
そんな大げさな、なんてデザートのアイスにも口をつける。うっすらとミントの香る爽やかな甘味が珈琲の苦みにとても良く合う
■史乃上空真咬八 > ちらりと見えた端末の壁紙は『至近距離のポメラニアン』だった。
レイアウトテーマもいぬまみれだ。犬尽くしにわんこアイコンまでつけられてしまえばさぞ彼も幸せなことだろう。
「……伯父貴の教えですから」
伯父貴って言い方もだいぶ"それ"である。
何見て日本語を学んだのかすーぐバレそうだ。
……純ジャパかどうかはさておき。
自分の目元を真似るような仕草を目の前で見せられると、流石に自分の目じりを指で擦る。
自覚はあるが、あるだろうが。
「そ、そんなに睨んだり威嚇をしようとしている訳では……」
気にしてるには、矢張りしてるようだ。
そう思えば身近な道具に自分の好きな物が目に入るようにしているのは、
彼のささやかな努力――かもしれない。
ほうじ茶も底まで呑んでから、ほ、と一息をついて。
安堵というか、ちょっとだけ喜色が滲んだ笑顔を浮かべた。
「……それが出来るのは今のところ、伊都波さンとイヅルと伯父貴たち……それから、出雲寺の皆さんくらいですが。
ゆくゆくはしっかり、学園の皆とも、そうできるように……努めます」
――すっとテーブルの伝票(自分が来る前に凛霞の注文していた物含めて全部)を取って立ち上がり、
「それでは、俺はそろそろバイトもあるンで、この辺で。
…………ええと、俺が言うのも、妙な事でしょうが」
少し言うかどうかを迷いあぐねたが、目を閉じて笑うと背中を向けて。
「……お二人の幸せを、心より願っております。
お困りの際には、尽力いたしますので……では、ごゆっくり」
――顔を見せず頬をかく仕草から、ひらりとそのまま振って。
……恐らくちょっと見せられないような顔して、彼は席を後にしたらしい。
だって入り口で怖がってたウェイトレスさんがキュンして会計済ませてたんだから。
■伊都波 凛霞 >
「ありがと。いつでも連絡して♪」
随分と大きくなったその背中に手を振って
シズクに、イヅルに、カミヤ…
思えば子供の頃のみんながこの島でまた再会できたのは、少し運命めいたものを感じたりもする
「──さて、イヅルに連絡しなきゃなぁ~♪」
ふふ、と悪戯な笑みを口元に添えて
まぁハロウィンだし、多少はね
そんな、久しぶりの出会もありながらの、とあるオフの日───
ご案内:「カフェテラス「橘」」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から史乃上空真咬八さんが去りました。