2024/06/13 のログ
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に雪城 氷架さんが現れました。
雪城 氷架 >  
「 ん」

最初にその異変に気づいたのはファミレスにいた一人の少女だ。
テーブルの上に所狭しと大量に積み上げられた皿の数々が、カタカタと小さく揺れた。

地震か?と思った矢先。
学生街、その大通りの方角から大きな音が聞こえ、近くのガラス窓がビリビリと震える。

「うわっ!?……なんだ…事故…?」

あーびっくりした…と思いつつ、フォークが串刺した巨大なハンバーグが口の中へ消える。

雪城 氷架 >  
すぐに騒動は大きくなりはじめる。
学生通り方面から慌てた様子で駆けてくる生徒や住人の姿がガラス窓の向こうに見え、その何人かはこの店の中へと非難しはじめた

「……おおごと、みたいだな」

はむ、とLサイズのピザを皿から一瞬にして消しつつ、通りを眺めていた。
夕暮れ時でどれなりに人通りもあるなか、何か大きな事故でもあったか。

「(ニュース出てんのかな)」

漸く食べるのをやめ、携帯端末を取り出してSNSへログイン──。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に照月奏詩さんが現れました。
照月奏詩 >  
「流石に不味いよな」

 正直観察したい気持ちは多分にあった。だが前に彼関係で風紀に目を付けられたばかり。またここで彼の出た場所にいたとなれば間違いなく捕まる。
 そういうわけで避難してきた人達に紛れてここに来たわけだ。
 服についた埃等は外で払って時間潰しに入店。席を探している時に知り合いの姿を見つける。

「ん、お。随分久々だな。元気そうじゃんか」

 そういってそっちの方へと歩いていく。
 別に本人が怪我をしているわけではないがもみくちゃにされたりその過程でできた怪我人を担いだりで逆にこっちが怪我してるように見える位には服は汚れている事だろう。
 席を勝手に間借りして。

「席借りるぜ、随分込んでるし下手に多く使うのもあれだろ。にしても、お前も逃げてきた口か?」

雪城 氷架 >  
「ん」

かけられた声に気づいて顔をあげる。
何度も何度も時計台で見た顔だ。
小さく手をあげるだけのそっけない挨拶。無愛想さも相変わらずである。

「なんかどたばた人はいってきてどのみち席ないだろ。いいよ座れば。──んや、私はおやつタイムしてたらなんか大きな音して」

広いテーブルに所狭し、およそ20人前はくだらない空の皿が並んでいる。

「ていうか随分汚れてるぞ。大丈夫か?」

何が起こっているのかは知る由もない。
SNSにもまだ音などに騒いでいる投稿ばかりで事故の情報なんかはなかった。

照月奏詩 >  
「ああ、俺はな。避難の流れで数人怪我人出たっぽいけど」

 まぁ全員で押し合いしてるからしゃあないけどと言って。机の上の皿を見る。
 そして思わず少し笑って。

「いや、すげぇ食ってんな。おやつタイムってレベルじゃないぞこれ」

 食いすぎだろなんて笑って、自分も適当に注文する。食事というより飲み物程度でコーヒーだ。

「学生通りで暴走した犯罪者と風紀がドンパチ始めたんだよ。で、一部の群衆はパニックでこうなったわけ」

 大変な話だと言って自分は先に届いていた水を飲む。

雪城 氷架 >  
「異能の関係でカロリー足んないんだよ。たぶん」

根拠はないがそういうことにしておく、生来の大食いである。
彼女にとってはこれが立派なおやつ。メガステーキをぺろりと平らげながらそう答える。

「ふーん…怪我ないなら良かったな。
 …学生通りで?前もあったな…物騒な話」

こんなところでドンパチ?何考えてるんだ。避難させて別の場所でやれ。
じゃあSNSにも情報規制とか入ってまともにニュースにはならないな、と。携帯端末をポケットへ仕舞う。
風紀とか公安とかにあまり良い印象のない少女としてはやれやれと溜息を吐くばかりだ。

照月奏詩 >  
「というか、前の続きだよ。前の時の犯人がまた暴れてるって感じだ」

 結構強い奴っぽいと言っている内にコーヒーが届いてそれを飲み始める。
 相手の言葉には同意すると笑った。たしかに避難させてから暴れるのが正解ではある。まぁ相手が暴れ始めればそれを抑える為にドンパチが先行するのも致し方ないのだろうが。

「お前も気を付けろよ、結構最近物騒だし」

 相手はただでさえ目立つ容姿をしているのだ。それこそターゲットになりやすいと言えるだろう。だから注意しろよとだけ言って軽く笑った。
 それから窓の外。学生通りの方へと目線を向ける。

「ま、でも今回で終わる可能性もあるけどな。流石に風紀だって何度も黙ってやられるわけじゃないだろうし」

 それこそ対策とか色々としているはずだ。

「てか、異能の関係でカロリー足りないって。それだと日常生活とかヤバくね? バイトとか相当入れてんじゃ……」

雪城 氷架 >  
「なんだそれ、風紀仕事してるのか…?」

また同じヤツが暴れてる、なんて聞けばそんな台詞。
一般生徒の認識など、その程度のものであろうことがよく理解る。

「私が?…まぁ、他人事じゃないかもだけど」

ガラス窓の外へと視線を流す。
学生通りなんてほぼ毎日通るわけだ。
今日はたまたま運が良かっただけ、とも言う。

「まぁ、家が金持ちだから食費はもらってるけど…」

毎日この有り様。
正直に言ってエンゲル係数は常人の10倍はくだらない。
家が裕福なお嬢様であるからこその食事状況だ。お嬢様っぽい物言いには見えないが。

照月奏詩 >  
「一応してるぞ、結構ガチの警戒態勢みたいだしな。前に仕事で事件現場跡の近くうろついてただけで事情聴取受けたくらいには」

 流石に手錠巻かれたとは言えない。というか言わない約束なのでそこは伏せる。
 まぁ彼女にはいってしまっていい気もしないでもないが、一応言わないという事だったし伏せるべきだろう。

「お前自分で散々美少女とか言ってたろ。そういうのは目立つんだよ」

 自分で言っていたのを覚えているし、こいつからすればなんかそう言うのよりも友人の延長線になってしまっているが、そこは否定できないのでそんな風に告げて。
 金持ちだと言われると少し目をパチパチさせて。

「へぇ、そんな風には見えなかったな。まぁ最初の会い方が会い方だからってのはあるかもだが。まぁでも羨ましい限りだ。機会あったら奢ってくれ。あんまり金に余裕ある方じゃないからよ」

 なんて冗談めかしてヒラヒラと。

雪城 氷架 >  
「は…? 仕事とはいえそんな危ないトコいくなよ…何あるかわかんないぞ…」

ジト目を向けられる。
一般人(パンピー)の感性からすればそんなものなのだろう。

「これだけ美少女だったらむしろ出会った瞬間に向こうの心が洗われて会心したり…しないか」

冗談はほどほどにしよう。
トンカツとデミグラスの乗ったデカ盛りオムライスの皿を正面に持ってくれば、今度はそれを食べ始めた。

「気取ってない、って褒め言葉として受け取っとくぞ」

もぐもぐ。

「小遣いと食費くらいしかもらってないんだ。好きに使えるわけじゃないって。
 …つーか、何の仕事してんだ…?仕事してるくせに金に余裕ないのか?」

──既に、オムライスが消えている。

照月奏詩 >  
「割りが良いんだよ」

 同じ時間で他の仕事の倍くらいは稼げるんだぜという。
 実際は仕事という建前であっちこっちに情報収集に行けるので便利というのが最大の理由だが。

「それで改心するなら人襲わねぇっての……まぁ、褒めてはいるぞ。って早」

 思わず消えたオムライスに対する感想を述べてしまった。
 何のと言われると周囲を少し見て。

「ここには広告ねぇか。クリーンダスターズって会社でバイト。掃除屋だな簡単に言えば。けどそういう危険な場所もたまに行くから何か起きても自己責任って感じだ」

 逃げ足か力に自信がないならオススメしないぜと。

「俺の場合異能が防御寄りだからな、生存って点だけに絞れば下手な風紀より能力高い自信あるし、色々と都合がいいんだよ」

雪城 氷架 >  
「割りがいい、ねぇ…そんなに金に困ってんの?」

奢ってくれなんて冗談を言ったり。

皿を積み上げる。
次に食べるのはやはり大盛りのスパゲッティ、カルボナーラだ。
基本的に高カロリーなものばっかりである。

「んじゃ、また明日あたり仕事来るかもな」

また大きな音がして、ガラス窓が揺れた。
まだやってるのか。

「へぇー…いいなそれ。
 人に危害加えちゃいそうな異能なんかよりよっぽど良さそうだ」

異能が防御寄りだと話す青年。
詳しくは語らないまでもなかなか自信がありそうな様子に感嘆する。