2024/09/26 のログ
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 >  
「あの」

今日は、気分転換に帰り道、ファミレスに寄ることにした。
カバンには二冊の本。

ひとつは、先日買った小説。
もうひとつは、腹話術指南書、だ。

注文が決まり、店員に声をかけると、声が小さかったのか聞こえなかったようで。

女性客「すみません」

同じくらいの声量のお客さんがたまたま店員の前にいて、注文を受け付けていた。

「すみません」

ちょっと大きな声を自分なりに出してみると。

店員「お待たせいたしました」

注文を受付してもらえた。よかった。
ぼっちにはこの一瞬が大きな戦いだ。

「辛いチキン、一番辛いのを」

注文して一息。

「よし」

腹話術に目をとおそう。

伊都波 悠薇 >  
……忘れてた。

「すみません、ドリンクバーも」

辛みチキンが来たタイミングで追加をして、よしと本を読み進める。


心得そのいち。
まずは、人形とココロを通わせるべし……

…………ん?

「せ、精神論……?」

困惑した声が出てしまった。

伊都波 悠薇 >  
読み進める、それなりに技術的なものも挟んでくれてはいるけど。

心得そのに。
自分が人形になったつもりで

「………………」

でろーん。店内、行儀が悪いのは分かっているけど。机の上で、だらしなく体を伸ばしてしまう。

なんか。おもってたのと、ちがう。

「……まちがえたかなぁ」

「まちがってないぞ、はるっち!」

携帯ストラップで、試してみたり。
いや、松風は付喪神ですけどね。

……店員にへんなひといる、みたいな目をされているのには気付かなかった。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に橘壱さんが現れました。
橘壱 >  
ファミレスに入ったのは本当に何気なしだった。
橘壱の食生活は壊滅的である。
生活能力はないので基本外食。
或いはもう出前ばかり頼むような食生活だ。
だから入ったのもほんの偶然。

「……あれ?」

だから、そのだらしない背中が見えたのも偶然。

「悠薇先輩、何してるんですか。今の声なんです?」

しかもバッチリ聞いてた、腹話術。
重厚なトランクを揺らし、何気なしに尋ねる。

「あ、席いいです?僕も丁度ご飯食べにきたんで」

伊都波 悠薇 >  
「ひゃい!?」

ぴーん、と背筋を伸ばす。
まるで、わるいことを指摘されたよう。

「た、橘さん」

いそいそ、ストラップを隠して、本はぱたりと閉じた。
机の上、置いて。

「ど、どうぞ。なんか声、しました?」

気のせいでは、あははー、なんて。

橘壱 >  
するりと対面に腰を下ろした。
隣に座る?そんな勇気はない。

「どうも。……え、だってさっき……」

んん、軽く咳払い。

橘壱 > 「まちがってないぞ、はるっち!」
橘壱 >  
に、似ている…!絶妙に似ている声音!
何を隠そうこのオタクくん、時にネットの海にて
"声真似文化"を通ったことのある男(黒歴史)。

「……って、言ってたの聞こえて……何かの芸です?その本は?」

悪意のないノンデリ質問の数々が悠薇を襲う……!

伊都波 悠薇 >  
「……上手ですね」

普通に、感心して、辛みチキンをぱくり。
美味しい。目の前の後輩には、ある程度面識があるから、少し緊張を解いて。

「腹話術、です。先日、子供を宥めようとしたら泣かれそうになってしまったので、それ、ように」

少しずつ声が小さくなりながらも白状。
ぷるぷる、小鹿のように震えていた。

橘壱 >  
「……、……まぁ、はい。昔取った杵柄です」

言っといて何だがフツフツの思い出す黒歴史。
インターネットでイキりたくなるよね、子どもだと。
ちょっと額を頭で抑えて沈痛な面持ち。見事な自爆。

「腹話術?ああ、だからあんな風に……。
 ……泣かれた?先輩が?そんなになんかこう、怖がれるような事が?」

そんなに子どもウケ悪いのかな。
マジマジと指の隙間から彼女の顔をじ、とみる。
今日も可愛い。あ、なんだか凄い震えてる。
机の上でなんか妙な空気が流れてる。

それはそれとして普通に店員呼び止めて注文した。
アメリカンサンドとポテト、ドリンクバー。
余りにもジャンキー。

伊都波 悠薇 >  
「昔? なにか、声に関することでもしてたんですか?」

初耳だ。相変わらず多才だなと思う。

「歩いている途中に男の人とぶつかってしまって、怖かったみたいです。あとお母さんが、ちゃんとしてる人だったみたいで知らないヒトの施しは受けてはいけない、みたいな」

ちゃんとした子だなぁ、と思ったのを思い出す。

見られると前髪を整えて、視線を隠す。

わ、カロリーめっちゃとる。男子だなぁと思いながら頼んでいるのを見つめていた。

橘壱 >  
「えっっっ……ま、まぁ……趣味で、ちょっと、ね?
 こう、人の声を真似する、みたいなネットのアングラな……」

そういうのに触れてきたタイプのオタク。
詳しくは語らない。恥ずかしいもん。
オタクくんにも黒歴史はある。
ハハ、と乾いた笑いで誤魔化した。

「ああ、ちっちゃい子なら確かにそっか。
 その子から見れば、先輩も僕も"似たように"見えるだろうしね」

子ども目線からみれば、大きい人は皆大人。
情緒不安定な時に見れば、そう思うのも納得だ。

「それで、怖がらせないために一芸……みたいな?
 確かに声掛けって大事ですけど、珍しい選出ですね」

第一声で上手く気を引ければ確かに泣き止むかも。
着眼点としては悪くないかも知れない。
へぇ、と思いながら運ばれたポテトをひとつまみ。
カリっとした所に適当な塩加減がファミレスの味。

「顔、出してた方が可愛いのに。……あ、食べます?」

見ているのをそういう風に解釈した。
ポテトシェアもまたファミレスの醍醐味。

伊都波 悠薇 >  
「モノマネ、みたいなことですか。芸に秀でてますね」

純粋にすごいと思って軽く拍手している。

「そのとき、自分だけだったらどうしようもできなかったんですけど、助けてくれた人がいまして。その人が、腹話術をすすめてくれたんですよ。バイトでそれをしていたみたいで」

また。さらっとかわいいって言ったなぁと思ってる。前にそれでやられた。
過剰反応はしない。

「かわいいとか言ってると、人を勘違いさせますよ橘さん」

一応忠告。
いえ、大丈夫と手を出して遠慮することにした。

橘壱 >  
「まぁ役に立つかはさておき、
 こう見えて色々出来るもので……因みに先輩の声も出せます」

飽くまで人間の出来る範疇に収まるが、
秀才橘壱、やろうと思うことは大体出来る。
オタクくんはちょろいので褒められると割と調子に乗る。
照れ臭そうに笑みを浮かべる辺り、顕著。

「へぇ、そんな人が……優しい人じゃないですか。
 腹話術のバイトって事は……大道芸とかそういう?」

大体そんなイメージ。
喉に流し込むコーラは程よく冷えてて美味い。

「まさか。でも事実ですし。……や、僕が言えた立場じゃないけど、
 結構オシャレとかしたりはしないんですか?きっと映えますよ」

この前言われたばかりなのにこれである。
自分がモテるはずもない前提かつ普通に褒めるような男なのだ。

伊都波 悠薇 >  
ぱちぱち、まだ拍手している。

「はい。武知さん、というそうで。一年と言ってました。橘さん、知ってます?」

どうだろ、と思いながら辛みチキンをもぐもぐ。
あと1個。

「事実だとしても、全部口に出すのが良しとなるかは別です。おしゃれの予定は……ないというか。そんな機会がないので」

橘壱 >  
「いや、そんなに褒めるようなものでも……」

といいつつ嬉しそうにしている。
ちょろいぞオタク。

「武知……?……武知一実?ああ、いや、合ってるかはわからないけれど、
 確か要注意人物のリストには乗っていた……かな。喧嘩しててよく注意受けてるって」

少年は職務に真面目なので、
資料には一通り目を通している。
タブレット端末を取り出させばす、と画面をスライド。
液晶画面に出てくるのは、"武知一実"の生徒情報。
お互い風紀委員だから、此処で見る分には問題ない。
机の真ん中において、お互い見えるような形に。

「多分、此の人?僕も直接あったことはないけど、
 喧嘩ばかりしてるって話だっけど、成る程……人は見かけによらないんだな」

確か、喧嘩以外の素行は悪くないって話だった。
だとすれば何故、喧嘩なんかしてるんだろうか。
もしかして趣味なのか。……ある意味、共感出来る部分はある。
レンズの向こう側で、辛味チキンはもうすぐ無くなろうとしていた。

「相変わらず辛いのがお好きなんですね。
 ……や、まぁ、はい。そう言えば言われてたけども……」

「褒められるのが嫌いだったりします?」

そういう問題じゃないよオタクくん。
ちょっと罰が悪そうにしながらも、予定がない、と言われたら……。

「じゃあ、今度一緒におしゃれする予定とか服買います?」

するっと提案してきた。

伊都波 悠薇 >  
「やれることが多いのはすごいことですよ。姉を見てください」

そこで、引き合いに出すのは姉だ。
なんでもできる。

「はい。その人です」

要注意と聞くとあの人が? とも思うけど、もしそうなら、なにか理由があるのかもと思ってしまうくらいには良い後輩だった。

「はい。少なくとも悪い人には見えませんでしたよ。なので、こちらが最初から普通にしていれば大丈夫なのかも」

構えたら向こうも構える、そういう人が多い気がするから。

「食べます? 1個」

辛みチキン辛みMAX。
結構辛い。辛いものが得意なら、まぁ、たべれなくも、くらい。
辛みMAXの特徴は2度揚げ。

普通の辛みチキンを、唐辛子やハバネロの粉末を混ぜた衣に纏わせもう一度揚げるという工程があるからだ。

「時と場合によります」

首を横に振り。

「遠慮しておきます。その、恥ずかしいので」

橘壱 >  
「あの人はもうなんか別次元と言うかなんというか……」

AFの機動力に追いつく超人。
流石に引き合いに出されるとどうしようもない。
表情も少し引きつるというものだ。

「まぁ流石に凛霞先輩程じゃないですけどね。
 ……にしても、そうか。彼がそうなんだ。
 やっぱり不思議ですね、常世学園(ココ)。色んな人が集まっている」

時代の最先端、或る意味流石だ。
かくいうと、彼に少し興味が出てきた。
もし出たのなら、聞きたいことも。

「……つまり、此の場合はNG、と……」

人間褒めるの難しすぎないか。
オタク、コミュニケーションの難しさを痛感。
額を指先で抑えながら首を振った。

「そうですかね……僕はそういう悠薇先輩も見てみたいですけど……えっ」

なんとくれるらしい。
この、明らかに赤いやばめ(直球)のチキン。
しかも最後の一個だぞ。真っ赤なチキンと彼女の顔を交互に見やる。

「最後の一個ですけど、いいんですか?
 せめて、このアメリカンサンドと交換とかにしません?」

気にするのまぁ一番そこ。
最後の一個って特別感あるし、ちょっと気が引ける。

伊都波 悠薇 >  
「姉、ですからね。引き合いにしたのは申し訳ないですが、それでも、その存在がある、というのは頼もしく思うものです。姉が全部を見れるわけでもないですし。そも、比べる意味もありません。

風紀委員の戦力として換算されている時点で、『ちがう誰かであったなら』。そんなことは、ないものですから」

そう、戦力として換算されて、いれば。

「そういうとこですよ。そういうとこ」

自覚がなさそう。最近の異世界転生ハーレムを客観的に見る脇役が主人公である作品を読んでなければ炎上していたとかろだ、危ない。

「そういうのはすき……いえ、意中であり、付き合いたいと思っている人にいうべきです。先に言っておきますが、橘さんのことが嫌いなわけではないですけれど、大事な後輩、と思っています。

だから、それ以上はNG 、です」

仲が良いも礼儀という。
だからせんびきはだいじ。いつもならどもったりするが、なぜか、彼との会話はスムーズに出きる。

「気になさらず。それなりのカロリーですから」

どうぞ? と皿ごと差し出した。

橘壱 >  
それもそうだ。
例の天秤云々をおいておいても、
あんな頼れる人物が身近にいたら、わからないでもない。

「いや、気持ちはわかるよ。確かに彼女は、
 姉妹という事をおいておいても、頼れる人だと思う。
 ……一人っ子の僕が言うんだから、そうなるのも仕方ないさ」

現に自分も頼りにしている。
あれの代わりに成れるはずもないと思う一方、
何時かあれも夢の超えなければならない
鳴りを潜めていた獣の心を、息と一緒に呑み込んだ。

「……そうだといいけどね」

違う誰かであったなら
非異能者(ぼんじん)の自分にとっては、よく響く。
思わず苦い笑みを浮かべながら、小さく頷いた。

「そ、そういうところって言われてもなぁ……、……うーん。
 ……付き合いたいって思ってれば別にいいって言う意味なら満たしてるとは思うけど」

異性として興味の範囲だ。
好き、好意の範囲ではやや欠ける。
うーん、と困り顔だが、ことん、と差し出された赤みを見下ろす。

「まぁ、そう言うなら……頂きます」

ぺこり。チキンを手に取り、ちょっと齧る。

「……!?」

ドンッ。思わず机に突っ伏しかけた。
なんだ、今何を食べた。爆薬でも食ったか?
あの激辛ラーメンとはまた違った刺激、(つら)みが襲ってくる。
口の中が絶賛燃えている。助けて生活委員。
そう言わんばかりにぷるぷると顔を伏せたまま震えていた。

伊都波 悠薇 >  
「はい。でも決して頼りにならないわけではありませんし。

……結果に結び付く努力は無駄になりません」

彼のホンのした隙間に触れた、ような気がしている自分は。
結果に結び付けばいい、と思っているのは内緒だ。言う必要がないから。

「別に、いいって、それはそれで割りと失礼な物言いでもあると思いますが」

くすり、笑った。なんとも素直。衣着せない。
あぁ、良い人とめぐりあったらいいなと思う。

「大丈夫ですか? 飲み物飲みます? 炭酸ですが……」

自分が飲んでいたコップ、強炭酸水をストローを抜いて差し出す。
善意、かつ。これなら間接キスの心配もない。完璧なフォロー。

橘壱 >  
ひゅっ、すっ、ずぞぞぞぞぞ!
速い。よほど口の中が燃えていたらしい。
だが残念。これは炭酸水。吸い上げた炭酸が更に刺激を加える。

「ぶへ……っ!?うお、お、おぉ……ど、どうも……」

でも文句言わないのが男だ。
震える体を起こしてお礼だけ言っておいた。
ちょっとばかし顔色も悪い。

「……よく知ってるよ。努力ばかりは重ねてるから」

あの声真似一つ取ったってそうだ。
別にいきなりあの領域にいた訳じゃない。
少年の"出来ること"は、全て裏に積み重ねたものがある。
この神秘性が当たり前になった社会では、
非異能者(ぼんじん)の限界点はたかが知れている。
だからこそ、厳しい現実を知っているから、苦い顔しか出来なかった。

「けど、結びつけるようにはしてる……つもり。
 最近は……あんまり手応えを感じないけど、いつか……」

目指す世界(そら)が高いのは知っている。
確実に近づいてるのも、実感している。
今は至福のときだと、言い聞かせている。
同時にそれが、今の自己矛盾として苦しめてるとのは、黙っておいた。

「え、あ、い、いや!ご、ごめん。そういうんじゃないんだって!
 ただ、悠薇先輩と付き合えるなら僕は嬉しいから、そういう意味で……」

嘘ではない。本当だ。

伊都波 悠薇 >  
「どういたしまして」

よかったと、一息。
辛いの、やっぱりそんな得意じゃないのかなと思いながらも勧めてしまったことを反省しつつ。

「大丈夫ですよ」

大丈夫、そう言えるのは結果に結び付かない、つくことがないそれを知っているからで。
でも、それを言うつもりはなかった。
別に、そんなこと言わなくても分かっていると思うから。

「はい。この話はやめですやめ」

だめだこりゃ、当分、彼はその筋を辿るらしい。
気を付けないと、と、引き締めた。

「そろそろ、私は帰ろうと思いますけど橘さんは?」

時計を見て。

橘壱 >  
口の中がヒリヒリする。
なんだかんだ飲み物だからある程度流れたが、
炭酸の刺激が後押しする。後で甘いものでも食べてリセットしよう。

「…………」

少年の性根は善性を重んじる一般的な良識。
同時に、その根っこには頂点(そら)を目指し、
闘争を確実の楽しむ自分がいる。どちらも本音。
人間性を改心したが故の、自己矛盾。

「(……言えないよなぁ、こんなの)」

誰かを頼れと言った優しい不死姫の言葉。
例え、眼の前の頼りになる先輩に言えるはずもない。

「えぇ~……本当なのにな……」

一体何がいけなかったのやら。
コミュニケーションはやっぱり難しい。
いっそ、環菜ちゃんみたいな感じが良いのか。
だが、"意中"という気持ちは薄い。付き合えたら嬉しいけど。
何とも言えない顔で頬を掻いた。

「ん、僕も行こうかな。途中まで送っていきますよ」

丁度コッチの分は食べ終えたし、食事としては充分だ。

伊都波 悠薇 >  
(今日は言いたいことわりと、すらすらだったな。だんだん、慣れてきたかも)

ぐっと、ココロの中でガッツポーズ。
お会計を二人分済ませて外に。

本当、にはスルーして。

「では途中まで一緒に」

そうして、途中まで一緒に歩き。

別れた、いつもの帰り道。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から伊都波 悠薇さんが去りました。
橘壱 >  
思い返せばそう、好意。好意か。
元々そういうのとは無縁だし、よくわかってない。
照れもするし、人並み程度の感情は持っている。
親愛だって、ある。けど、一人を好きになる事。

「(……、……いや……)」

そんな事考えたこともなかった。
好意を向けてる人はいる。
それが恐らく、愛情だということも。
けど、自分はそれに……。

いや、今は考えるのをやめておこう。

「ええ、行きましょうか」

会計を済ませ、帰路に付いた。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から橘壱さんが去りました。