学園公営の男子寮。なお寮は公営私営含めて他にもいくつか存在している。
家賃がほぼ無料なので、最新の設備とは言えないもののそれなりの設備が揃っている。
ロビー、食堂、大浴場などなど、まさに寮というような設備である。
部屋はキッチン、ユニットバスなどが備え付けられている。特に学園側から監査があるわけでもないので部屋を好きなように改造している生徒もいるという。
一人部屋から二人部屋、など部屋の種類は豊富。
女子寮との設備の差が存在しており、このような処遇は現代の価値観に合わないのではないかと入寮者の一部からは是正せよとの声があげられている。
参加者(0):ROM(1)
Time:01:29:04 更新
ご案内:「常世寮/男子寮 ロビー」から七夜桜さんが去りました。
■七夜桜 > ……ここには間違えて入ってしまったけど、この瞬間の。
いわゆる、完全な「陰キャ」である、私を見る男子、その視線が。
……奇異、忌避、そして、一部の男子からは、嫌悪。
私だって、この自分の歪んだ性格は、充分自覚している。
だけど、時おり自分から求めて、被虐的な状態に置くのを、それを、どうしても。
――ヤメラレナイ――
モット、ワタシを見て、ワタシを蔑んで、ワタシを貶して……
ご案内:「常世寮/男子寮 ロビー」に七夜桜さんが現れました。
ご案内:「暗闇」から青霧在さんが去りました。
■青霧在 > 脳裏に響いたのは、あの日交わした契約だった。
「…あの契約をまだ果たしていないな」
そうだ。契約をまだはたしていない。
俺がどういう人間に見えているか誰にも訊けていない。
契約を果たさなくてはならない。
知る事に怯えて先延ばしにするなど島の規範が聞いて呆れる。
それに、自問自答を繰り返すより、他人に問う方が圧倒的に有意義な筈だ。
…きっとそうだ。
それでも、始めから特別親しい間柄の彼らに訊くのは流石に恐ろしい。
もっと、訊きやすい間柄の人間は……
「…いるな」
2人ほど、思い当たる。
片方は連絡先すら知らないが、コンタクトはとれるはずだ。
「先延ばしにし続けるのも良くない」
浴槽が満ちた通知に立ち上がり、風呂場へと向かう。
人様に連絡するのに寝起きのナーバスかつ混乱した脳では失礼にあたるだろう。
まずは汗を流し、身体を温めるとしよう。
■記憶に新しい声 > 『"在さんがどんな方に見えているのか"。 その方々に訊いてみてほしいんです。 人数は、多ければ多いほどいいですね』
■青霧在 > そのまま何分経ったか。
ようやく起き上がれるようになり、私用端末とオモイカネを持って寝室をでる。
コップ一杯の水を飲み干し、浴槽にお湯を張る。
その間、居間のテーブルに肘をついて頭を抱えていた。
何度あの夢を見たのだろう。
いつまであの夢を見るのだろう。
何故あの夢を見るのだろう。
考えても仕方がない疑問が浮かんでは振り払う。
「俺は変わっていないのか…?」
答えの出ない自問を頭を振って振り払う。
こんな問いは問うまでもなく分かっている。
だから、問うだけ無駄だ。
■青霧在 > 「…………」
目が覚めた。
数多の悪寒を伴いながら瞼を開け、暗い天井を見つめる。
「またか……」
乾いた喉は掠れた声を漏らす。
目を塞ぐようにあてた掌はじっとりと濡れている。
慣れていてもおかしくない程に味わった目覚めだ。
悪夢を最後まで見た挙句、日の出前に目が覚める。ただひたすらに悪寒に塗れた目覚めに唸る。
…確かに数年前と比較して慣れはしたのだろうが、未だに悪寒は一切緩和されない。
枕元の台に置いたオモイカネを手に取り、時間を確認すればやはりまだ日出前。
通知のみに目を通しオモイカネを戻し、目を閉じる。
眠気を上回る悪寒に寝付く事も叶わない。
数分そのまま寝転がり、心を落ち着ける。
起き上がる気力も力も出て来ない。
■おぼろげな空間 > 俺は相変わらず見ている事しか出来ない。
変わる事も変える事も出来ない。
手を伸ばせば届くすぐそばにいても、男児に声をかける事も、男の手を払ってやることも、助けを呼ぶ事も。
何も出来ず黙って立ち尽くしている。もう何度も何度も何度も何度もここにきているというのに。
男が男児の手を更に強く引く。
女がヒステリー気味に何か叫び、つられて男も更に不機嫌になる。
ついに男が男児の手を強く引く。男児の非力な身体では抗えず、引かれるままに牢獄へ。
僅かな抵抗は意味をなさず、暗く深い深淵へと連れ去られる。
牢獄の扉が閉じていく。
男児は声すら出せないまま、牢獄の奥へと飲み込まれていく。
それでも手だけは伸ばして、誰かがその手を掴んでくれるのを期待する。
でも、俺はその手を取れなかった。
数秒もしないうちに扉が閉まり、男児は牢獄へと飲み込まれ――――――
■おぼろげな空間 > 何も出来ないままに時間だけが過ぎていく。
すすり泣くことすら許されずただ言われた通りに実行するしかできない男児をただ眺めている。
数秒かはたまた数時間か。極限状態の男児を見ているうちに、男児と男女の3人がその場を立ち去ろうとする。
目的を果たしたのだ。
目的が何か、どんな手段を用いたのかまでは分からないが、この後男児がどうなるかは分かる。
引き摺られるように手を引かれていく。
暗い道を抜け、高い柵を越える。
足場の悪い道で転び、舌を鳴らされた。
火傷しそうなオレンジ色に首と膝の裏が焼ける苦痛を堪え―――
顔をあげると、そこは牢獄。
必ずいつもここへと戻ってくる。決して逃れられない場所。
男児が半歩下がる。
男はそれを見逃さず、男児とつないだ手をより強く握り―――
『あとで、だ』
男児を睨み付けながら威圧的に言い放つ。
その言葉に男児の表情が崩れていく。
まるで粘土のように、融けて歪んでぐちゃぐちゃになる。
突き付けられた絶望に、恐怖に、抑圧に怯え、堪えていた感情があふれだそうとする。
それでも逃げ出そうと動けないのは、逃げ出す事が無意味であり、逆効果だと知っているから。
…そう、知っているからだ。
見ているだけの筈の此方まで震えるようだ。
■おぼろげな空間 > 『おい!もう鳴ってるつっただろ!』
扉から顔を出した女の怒声。甲高い金切声が一瞬その場を凍り付かせる。
男が此方を見たのは女に気付いたからだったようだ。男は男児に視線を戻し、苛立たし気に舌を鳴らす。
男は男児に向けた手を引っ込め、再び元の作業に戻る。
…前に、もう一度だけ男児の方を向いた。
『あとでだ。さっさと済ませろ。殺すぞ』
身を貫くような怒気に男児は短く悲鳴を上げ、震えを抑えながら何度も頷く。
言われていた通りに視線を巡らせ、仕事をこなす。
もう一言も発すること無く、悲鳴も泣き声も堪えながら。
ただ時折涙が滲み出て頬を湿らせ痕を残す。
……見ている事しか出来ない。
こんな最悪の光景を見ているだけの俺と目の前の男児で何が違うというのか。
変わろうとしたはずなのに、未だに何も変わっていないのだと、ここに来るたびに突き付けられる。
■おぼろげな空間 > 長身の男が首だけで振り向く。
『はぁ?今お前なんつった』
男が放った言葉がその矮躯を縛る。冷たいようで、膿むような熱のこもる声。
躰の芯から凍えると同時に頭に血がのぼる感覚。
無駄だと分かりながらも拍動する脳が活性化し、なるべく楽に済むにはどうすればいいかと勝手に思考が巡る。
……見ずとも分かる。見下ろす先の男児は焦っている。
初等教育序盤の心もとない身体で、これから齎される理不尽を如何に凌ぎ、どう弁明すればよいかと焦っている。
勝手な事を言った罰を受ける事を恐れている。
『おまぇ、いつになれば分かるんだ?黙って従えばいいって何べん―――』
男の大きな手が男児の頭をわしづかみにしようとする。
見上げる男児にとってはそれだけでも苦痛であり恐怖。
未成熟な脳に刻み込まれ、何年経っても癒えないトラウマになる。
その様子を見ていられず、思わず手を伸ばしそうになる…
が、男の首が突然動き此方を向いた。その様子に自然と手を引いていた。
ご案内:「暗闇」に青霧在さんが現れました。
ご案内:「常世寮/男子寮 ロビー」からリョーガ パレコルタさんが去りました。
■リョーガ パレコルタ >
『…!!』
右手の指をパッチンと鳴らす。
『冷蔵庫に入れといて、ご自由にしとくかねい。
それならちまちま誰かしらが食べるだろうしよい。』
よ、っと動く影でチョコの小山を抱えながら。
そのまま影の手にチョコを持たせたまま。
キッチンかロビーの冷蔵庫へと向かうのであった…。