2024/06/11 のログ
橘壱 >  
口の軽さか、身の軽さか。些細な違いと言われれば合点も行く。

「そうかもしれないな……。」

納得すれば反抗もしない。そういうものだ。
言いくるめられたような気がしないでもないが、一旦おいておこう。

空になったカップの底には、なんとも浮かない(アンニュイ)な自分の顔。
我ながらなんて顔をしているのやら。ただ、黙ってその言葉を聞けば首を振った。

「強ければそれで良い。けど別に、闘争自体を望んでいるわけじゃない
 AF(コイツ)を動かすのが楽しいだけさ。そう、何よりも。生き甲斐と言い換えても良い。
 そして、コイツの運用方法が兵器なら、それに最も向いてるのが闘争ってだけさ。」

戦うことは好きではある。だが、それがメインではない。
自身に唯一与えられたこの(ツバサ)。非異能者がついぞ手に入れた強大な力。
ただそれを自在に操り、自由に羽ばたくことが生き甲斐だ。
その羽ばたける場所が闘争なら、そこに喜んで飛び込むだけ。

「……"好きなように生き、好きなように死ぬ"。アンタの言う通り、それ自体が目的ならそうだろうな。」

それこそ、此れを手に入れた傍からもっと簡単に暴れられる場所を見つけたのだ。
落第街(ふきだまり)で暴れまわり、それこそ学園自体に牙を向けば、戦う相手には困らない
それはご尤も、彼の言うとおりだ。力を行使することは、思ったより簡単だと理解している。
浮かない表情のまま視線を上げ、何度目か正面を向いた。視線だけは、常に真っ直ぐ。

「……敷かれたレールと、人には言われた。その通りではある。
 僕の善性かはさておき、興味のない連中を巻き込んだって仕方がない。それだけだよ。」

素っ気ない言い方ではあったが、無法者を気取り全てを災禍に巻き込むには確かに抵抗がある。
自身が善人だとは微塵も思わないが、17歳の等身大の少年。
何もかもを真っ黒に染め上げるモノになりえる可能性を抑えつける程度に、それに悩むほどの善性に融和する気持ちはあった。
だからこそ、今もずっと風紀委員(ココ)にいる。
だからこそ、その信用を受け取れる人間ではないと、卑下している

「……アンタが思うような人間じゃない、自分で言うのも何だが知り合いが少ないだけさ。
 僕はそろそろ、シャワーでも浴びて寝る。僕の睡眠の邪魔はするんじゃないぞ。」

そろそろ良い時間だ。少年は椅子から立ち上がり、踵を返す。
ただ、すぐにシャワーには向かわずに数刻、背中を向けたまま。
きっと彼に表情は見えない。ただ、何処となく照れくさそうに頬を掻いて……。

橘壱 >  
「────…"ごちそうさま"。また気が向いたら、淹れてくれ。」

一言、礼だけ言って風呂場の方へ向かって行くのだった。

ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」から橘壱さんが去りました。
先生 手紙 >  
「世の中は『敷かれたレール』を蔑視するよなァ。レールを敷いた人物の苦労を、まったく考えちゃあいない」

暴論だぜ、と煙草片手に笑った。

「橘ァー」

話を切って風呂場に向かう背中に、最初のように斜めイスになって声をかけるのだ。

「君が信用に足る人間かどうか、その答えが出るのは今じゃあないぜ。そんな簡単な生き物だったら、おれは捜査に苦労してねえンだわー」

――未来はある。どう転ぶかは知らないが。

さて。同居人はいなくなった。いつもの通り、この一本を吸ったら先に寝よう。そして、有意義な会話の時間の終わりは、『普段と違う』を『普段通り』に戻すところから始まる。

先生 手紙 >  
つまり、本来煙草を吸ってる場所。ベランダに出て、夜涼みしながら街を眺めるワケでして。

「……くっだらねえ下ネタで盛り上がっても良かったけど。そっちのが存外、ハードル高ェンだよな、実際」

此処からは見通せない、もっと遠くの、明かりの乏しい区画。しばらく『ちゃらんぽらんな不良生徒』で居る必要が、あるわけだ。

ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」から先生 手紙さんが去りました。