2024/06/14 のログ
蒼月 まつり >  
「はぇ……ゴーレム……?」

聞こえてきた単語をオウム返しに呟いて、再びマトの顔を見る。
この学園においては特段おかしな単語ではないものの、目の前の少年(少女?)と即座に結び付かず困惑しているようだ。
そのせいか、未だに身体を触る手は止まる様子がない。

「あ、いや……大丈夫ならいいんだけど。
 ゴーレムってもっとこう、ゴツいイメージあったからさ」

恐らく想像しているのはゲームに出てくるような土塊(つちくれ)の巨人。

マト >   
「あぁ、そうだよ、といっても、僕自身の認識ではそうだけど」
「そうでないゴーレムもいるみたいだね」
「……そんなに触ってて楽しいかい?まつりがいいならいいけれど」

ふと周囲を見回すと、女子をぺたぺたと触る女子?という男子寮のロビーにあるまじき光景に
多少の視線が向けられている……かもしれない、マトはそれも特には気にしていないようだが

「そうらしいね、ただほら、ゴーレムにも色々あるみたいじゃないか」
「例えば……フレッシュゴーレムだっけ?あれなら僕にも少し近いかもしれない」
「とはいえ、あんな風にちゃんとした肉が使われた体ではないけどね」

なおフレッシュゴーレムは主に死体の肉を使って作られたりしているゴーレムである
幸いなことにマトからするものは死臭ではなく淡い桜の香りと良く洗濯されたワンピースの匂いなのだが

「一応、之でもそこそこ力はあるんだよ?怪力ってわけでもないけれどね」

そういって唇に指をあてて、片目を瞑って見せるだろうか

蒼月 まつり >  
「……あぁゴメン!
 どう見ても普通の人間にしか見えなかったから、つい」

指摘を受けて、ようやく無遠慮に触り続けていたことに気付いたらしい。
慌てて手を離し「ゴメン!」と小さく頭を下げたが、周りの視線はあまり気にしていないようだ。

「あはは……そういうんじゃなくて良かったよホント」

言い回しでなんとなく察して苦笑い。
そういった不快感は一切感じないので、本当に違うのだろう。
ほんのり漂う桜の香りを辿って、無意識に顔を近付ける。

「とてもそうは見えないけど……僕が言えたクチじゃないか」

自分も見た目は可憐な少女のようだし、異能で強化(ズル)もできる。
そういう意味ではおあいこかも、と悪戯っぽく笑うマトに合わせて笑みを浮かべた。

マト >   
「いや、確かに僕は見た目は殆ど人だからね、見る人によっては分かるようだけれど」
「怖がらせないという意味では良い体何だけれど、こういった不安を抱かせる場合もあるか」
「……あぁ、謝らないで、まつりは何も悪くないんだから」

頭を上げるなら、マトもやっぱり少し困ったような顔をしていて

「先も言ったけれど、分かりやすく人でない外観、だと人を怖がらせる可能性もあるからね」
「そういう意味では人と見分けがつかない外観である事は幸いだと思ってるよ」
「まつりも……そうだね、確かに見た目だけで性別を判断しろと言われれば、女子と答えるだろう」

間近に迫ったまつりの顔を、不思議そうに小首を傾げながら見つめ返す
続く言葉に若干の同意を示しながら、彼が笑顔を浮かべた事に少し安心したのか

「そうだね、本で読んだ表現でいうなら……可憐な美少女、というべきなのかな?」
「笑顔も花のようだし、きっと好意的に見てくれる人も多いだろうね」

読んだ本の内容を反芻しながら少し不器用にまつりの容姿を褒める事だろう

蒼月 まつり >  
「や、さすがにベタベタ触りすぎたなって。
 マトが気にしてないならいい……のかな?」

明らかにコミュニケーションの度を越した接触である。
いくらゴーレムだからって不躾すぎたと思い謝ったのだが、あまり気にしていないようだ。

「うーん、そっち方面はサッパリだ。
 自慢じゃないけど、僕は勉強が大っキライなんだぜ!」

本当に自慢にならない事で平らな胸を張ってみせる。
異能を持っている点を除けばごく一般的な学生でしかなく、魔術的な分野には明るくない。
見たままを言うなら、ただ可愛いな~という感想しか出てこなかった。

「うんうん、同じ人の姿してる方が親しみやすいしね。
 僕がこんな格好してるのは、ただの趣味だけど……な、なんかくすぐったいな!?」

急に褒められて照れてしまったのか、頬に朱が差している。

マト >   
「気にしないよ?寧ろそれで気が済むなら幾らでも触ってくれれば」
「別に減るものでもないだろう?確かに、ちょっとくすぐったくはあったけどね」

きょとんとした顔で答える姿は、そういった方向での情動には疎い印象を与えるだろうか
少なくともくすぐったく感じるくらいの感情はあるようだが……
単純に、経験や知識といったものがまだ足りていないのかもしれない

「勉強か、それなら僕も習っている最中だからね、覚える事自体は好きだけれど」
「それでも全然足りていないといった状態さ、だから今こうして語らっている内容も」
「僕にとっては十分勉強と言えるさ、まつり先生?」

何て冗談めかして答えながら、胸を張るまつりの姿を眺めて

「そういうものかい?少なくとも嘘を言っているつもりは無いけれどね」
「顔、赤いよ?やっぱり濡れたからかな、僕はあくまで服を乾かしただけだから」
「ちゃんと暖めたほうがいい、飲み物とか、お風呂とか……」
「それによく考えると、ふふ、鞄の中身は濡れたままでいいのかい?」

あなたが照れている、という事に気づいていないようで、真面目な顔で人差し指を立てながら指摘する
そのまま思い立ったようにあなたの恰好を確認すると、濡れたままであろう学生鞄に目を向けて笑うのだ

蒼月 まつり >  
「いきなり直球で来られるとビックリするの!
 そういうの、人によっては勘違いしちゃうから気を付けた方がいいよ、うん」

悪気というか他意が無いのは見れば分かる。
だから、照れるよりも先に教えるべきだと思った。
純粋でものを知らないが故にトラブルに巻き込まれるのはよろしくない。
図らずも、早速 先生っぽい事をしている気がする。

「顔が赤いのも恥ずかしいからで……って、あぁっ!
 そういえば明日提出のプリントとか入ってるんだった!」

濡れた髪は長さもあってすぐに乾かすのは難しい。
それでも服が乾いたぶん、肌寒さなどは幾分かマシになっただろう。
問題は鞄の方で、中身は確認するまでもなく酷い有様だ。

「……ごめん。これもお願いできたりって、する?
 お礼に今度オススメの格安コスメ紹介したげるから……」

"トホホ"という擬音が似合いそうな萎れた表情で、そう訊ねた。

マト >   
「そういうものか……うん、そうだね」
「人に迷惑はかけたくないし、気を付けてはみるよ」

まつりの言い方に少しだけしょぼん、と気落ちした様子を見せて
無意識にか胸の前で指を少し所在なさげに組んでみせる

「……ふむ、出来るだけやってみるよ」
「プリントとかだとインクと混ざった部分が消えちゃうからその辺りは書き直したりしてね」
「お礼何て……と言いたい所だけど、試す上で便利そうだからありがたく受け取るね」
「人の好意を無下にする、というのも良くない事だろうし」

萎れたあなたの顔に、思わずふっ、と微笑みを浮かべながら肩をぽんぽんと叩く
そのままソファの前のテーブルに鞄の中身を取り出して、一つずつ乾かせるか試していくだろう

蒼月 まつり >  
「あ、えっと……イヤだったとかじゃなくてね?
 世の中には悪いこと考える人もいるから気を付けてねっていう……」

責めるつもりはなかったので、しどろもどろ。
どうにか言葉を尽くし、許してくれたことや褒めてくれたことは嬉しかったけれど、マト自身の安全を考えて安易に触らせたりするのは控えめにした方がいい……という旨は伝わったかもしれない。

「うんうん、僕からのお近付きの印だと思って受け取ってよ。
 それじゃお願……へっ? 書き直し?」

―――結果としてプリント類は全て白紙になってしまったが、気合で提出期限には間に合わせたそうな。

マト >   
「……うん」
「ふふ、大丈夫だよ、分かってる……と思う」
「学習能力は高い方だと自負してるからね」

しどろもどろになるまつりの様子を見ながら、苦笑するようにマトは笑う
少なくとも、あなたが自分に対して親身になってくれたという事実は伝わった事だろう

「そうだね、あぁ……うん、頑張ろうか」

持ち出される数々のプリントや品物を見て、両手を軽くぱたぱたとさせる
その後テーブルの上には桃色の造花のアクセサリ群が文字通り花と咲き
マトのスマホには、新しい連絡先が一つ追加されたそうだ

ご案内:「常世寮/男子寮 ロビー」からマトさんが去りました。
ご案内:「常世寮/男子寮 ロビー」から蒼月 まつりさんが去りました。