2024/07/15 のログ
ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」に先生 手紙さんが現れました。
ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」にエルピス・シズメさんが現れました。
ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」からエルピス・シズメさんが去りました。
先生 手紙 >  
シェアルームのテーブルに一人。

残りのメイトは寝てたり帰ってこなかったり、思い思いのリズムで生活している。自分もそれにあたるので、まァ何も言うことはない。

では男は何をしているのか。

ローラーにチャコール入りのフィルターをセットし、百均で買った缶に詰めた、手巻き用の煙草葉(シャグ)を詰め、くるくると回す。

次にスロー・バーニングと呼ばれる低燃性の紙を咬ませ、またくるくると巻いていく。切手のように先端が乾性ノリになっているソレを、指先を軽く舐めて湿らせ、最後にくるり、くるり。

こうして一本のお手製タバコが出来上がるのであった。

男は、銃弾を検分し、マガジンに詰めていくように――

一本一本、煙草を巻いていた。

先生 手紙 >  
実際のところ、喫煙者はそれだけで煙たがれるのが立場だ。その要因を自分で巻くのが、先生手紙が自覚している、小さな趣味の一つである。

「チョコフレーバーは思ったよりチョコしてなかったからなァ。次はないな」

……まあ。こういった嗜好関係は総じて『沼』である。既製品の煙草からは想像もできないような種類のフレーバーがあり、先生手紙もいくつか纏めて買っていた。

一本巻いては立てて、また一本巻く。

他に用途のないシガレットケースに、二本製作したらセットする、というルーチンワークを行っていた。

没頭というには頭で考え事をしているが、散漫になっているでもない。

お気に入りのバニラのフレーバーを巻きながら、段取りを――そう、自分のこれから為すべきことの段取りを、簡単に考えている。

学園は夏休み。プールや海もにぎやかになるだろう。夏期講習を受ける生徒もいるし、長期の休みは免許の発行が一番行われる時期でもある。イベント盛りだくさん、というヤツだ。

……一人でも多くの島民が、そういった日常を謳歌してくれればそれでいい。

煙草を巻く作業は手馴れたもので、始めた頃は具合がわからず難儀してたものの、今では十数秒で一本作れてしまう。

二枚貝型のシガレットケースの片面に10本。合計で普通の煙草1箱分になる計算だ。

先生 手紙 >  
腐心していたわけではないが、わりと無心で巻いていた。

気づけば1セットが完成し、彼のルーチンワークは終わりを告げる。

「…………」

部屋は静かなものだった。ぱちん、とシガレットケースが閉まる音でさえ、躊躇いを覚えるような。

テーブルクロスでパパっと拭き取る。共用の空間だ。好きに汚していい道理はない。

「……んんーー」

両手を組んで、伸ばす。

「寝ますか」

ツール一式を持って寝室へ。音を消してドアを開け、自分の机にツール一式を置いたところで、此処でやれば良かったじゃん、というツッコミが自分の中で発生するのであった。合理主義、というわけでもないが。

――夜は深い。実はこの時間に起きていることを贅沢だと思っているが、コンディションは下げるわけにもいかない。予定通り、今日は寝よう。

先生 手紙 >  
――そして、二つある二段ベッドの片側の下段。つまりは自分のベッドには、先客が居た。

それはそれはすやすやと眠る、愛くるしいルームメイト。

「……イヴちん……」

仕方ねえなあもー。この少年がランダムに三者の布団に潜り込むことはこのルームシェアの不文律になっていた。異を唱える段階は、とうに終わっている。

……エアコンを確認する。適温になるようにピピっと操作。寝苦しいのは困りものだし。

そして誰に言われるわけでもなく、自費で買った加湿器(除湿機能付)もON。

のそりと布団に入り込む。

……まあ。困った話ではあるのだが。この子狐くんと寝ていても、別段不快でないのである。毛並みはいいし。まだまだ甘え盛りだろう。



それではおやすみなさい。

良い夢を。

ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」から先生 手紙さんが去りました。