2024/11/30 のログ
橘壱 >  
諦めなければ、きっと会える。
今や神様さえ当たり前の時代だけど、
人間の感覚で言えば10年だってそれこそあっという間で長い時間だ。
彼女が言うと説得力の高さには笑みを浮かべてしまった。

「……僕がキミと再会して、連絡しなかった日はなかったはずだけど?」

壱は豆で律儀な男だ。
忙しい時間帯でない限りはちゃんと返している。
それが彼女との繋がりの一つなら、当然のこと。

「…………だとしたら、イヤだ?」

否定はしなかった。
当然だ。平和だけを享受できない。
戦いが生き甲斐だ。もうそれを辞めることも、止める気もない。
世間的に見れば、彼女の言う"危険"に入る。
だから、さも平然と問いかける。そっと頬を撫でる手を、彼女はどう思うだろうか。

「えっ!?い、いや……」

思わずドキリと胸が高鳴った。
落ち着け。多分そういう事じゃない。
散々触れ合ってきたけど、そう、もっと異能の事だ。
んん、と軽く咳払いをして気持ちを落ち着かせる。

「……ないよ、大丈夫。環菜ちゃんは環菜ちゃんだよ」

そう、彼女は"違う"。そんな悍ましいものじゃない。
例えどんなものであっても、変わらない。彼女をちゃんと受け入れている。
はにかんでは安心させるように、より自身の体を押し付けた。

伊那美 環菜 >
再会するまでの過去の思い出を飲み込んで。
「…ちぃくんはそーゆーとこ、律儀だよねえ。
だから、やっぱり、好きだよ。」

抱きしめる腕に少し力を込めて、からだを押し付けるようにぎゅーっと。
潰したりとかはしない、普通の力加減ではあるけれど、どこか逃がさないようにも思えるだろうか。

「そんなことはないよ。
閉じ込めて離れなくして、危険から遠ざけるのも愛かもしれないけれど。」
そういう愛の形も知ってはいるけれど。
「かんなはそうじゃないから。」
それとはちがうから。


聞こえた胸の鼓動の跳ね上がりに、環奈も少しどきりとするけれど。
返ってきた答えは肯定的なもので。
「・・・そっか、よかったあ。」
ほっとしたようにへにゃりと笑った。

橘壱 >  
好き。真っ直ぐな好意だ。
未だそれにちゃんとした返事は返していない。
彼女の籠絡めいた誘惑に負けて体は何度か重ねても、
明確な返事だけは返せていなかった。

「…………」

まだ、それに対する明確な答えを持っていないからだ。
この"好き"きっと個人じゃない。もっと万遍ない、博愛的なもの。
中途半端に返しても、彼女にも失礼だ。
誤魔化すように、宥めるように彼女の頭を撫でた。

「じゃあ、ちゃんと僕のことを追いかけないとね。
 僕も環菜ちゃんが何処かに行かないように追いかけるって約束したからさ」

なんて、冗談めかしに言うけどこれは本気だ。
彼女との約束を違えたりはしない。
つまんでいくポテトも気づけばもうなくなってきた。
男の子だからよく食べる。安心したような彼女をちらりと横目で見やる。

「……あの、その、環菜ちゃんはさ……」

一呼吸。気持ちを落ち着かせる。

「ぼ、僕と一緒に住むのって……ど、どう思う……?」

伊那美 環菜 > 無為な誘惑だけではなく、
環奈に得るものがあることも進まない理由の一旦かもしれない。

頭を撫でられて、ゆっくりと体を離し、
じっくりとその手と触れ合う。

「おたがいの追いかけっこ、だね。
子供のころみたい。」

撫で加減に心地よさそうな様子から、再び微笑む。
子供らしい遊びをした幼いころの二人の思い出をふと、思い出しながら。

一口飲んでそろそろ冷めてしまっただろうお茶を横に。
壱くんの言葉を真剣そうに聞く。

目をぱちくりとさせて。

「ちぃくん一緒に住めたらいいなって、思うよ。
かんなもちょっとだけ、考えたりはしたんだけど…。」
少し考えて、言葉を選んで。

「迷う理由はない、かな。
住む場所があればもんだいない、かも。」

お互い男子寮と女子寮で。やはり制限はあるから引越は考えてはいた。
同棲――ともなると一足飛びではあるけれど、延長線上にはある話ゆえに、否はない。
様々な問題はあるだろうけれど、ちぃくんの言葉だし、と信じて。

橘壱 >  
「……その頃は何時も、僕が前を走ってたっけな」

もう10年以上も前の、それこそ本当に小さな記憶だ。
子供らしく前を走って、自分のしたいように走っていた。
思えば結局、そこのところは変わらなかった。変えれなかった。
自分に嘘は吐けない。戦う事こそ、AFを動かすこそが生き甲斐なんだ。

シェアルーム(ここ)も僕の帰る場所でもある。
 けど、なんていうか、その……返事もまだ、ではあるんだけど、ど……」

言った後に気恥ずかしくなってきた。
落ち着け落ち着け、プロポーズでもないんだから。

「その、環菜ちゃんが一緒にいたいっていう、からさ。
 堅磐寮とか、一緒に住める場所もあるんだ。だ、だから……え、っと」

さっきよりも顔が熱い。
口元を抑えて、軽く深呼吸。
こういうときは目を逸らさず、じ、と碧の双眸が彼女を見据える。

「せめて、帰る場所として一緒にいたい、っていうか……。
 ……え、っと……上手く言えないけど、た、互いを知るために……ね?」

伊那美 環菜 > 「そうだねえ。」
頭もよかったが、身体能力でもあのころの壱くんは一番だったと。
同じころを想いながら、環奈のなかではかっこいいちぃくんの記憶だ。


「いいよ。
シェアルームもそのままでもいいと思うの。」

ぜんぶひっくるめて、いいよ、と答えながら。

「かんなもどこか女子寮じゃないところにひっこそうかな、って思ってたんだ。
だからちぃくんと一緒に、考えたいな。
ちぃくんの部屋とかんなの部屋と考えて、一緒に住める場所を。
ゆっくりお互いをもう一度知りなおすために、ね。」

候補地にはほかにもいろいろとあるだろう。
再会できたから、つながってるから、あまり焦りはしていない。

何かがこう、変わるまで。

「でもこれが死亡フラグに、なんてのはならないよね?」

ふと、大事なお仕事の前の話だったよね、なんて思い出しながら。つい。

橘壱 >  
思い出のままで終わらせることも出来たはず。
自らの中途半端な律義さではあるし、拒否するのも簡単だ。
彼女の熱意に負けたのか、それとも絆されたかはわからない。

「まさか……言ったでしょ?
 お互い追いかけ合うってさ」

でも、お互い漸く再会したばかりだ。
結末はどうあれ、彼女とのなくなってしまった10年間を埋める事は許されるはずだ。

「じゃ、じゃあ帰ってきてから色々準備しようか。
 流石に今からだと時間は足りないし、ね……」

アニメとかじゃお約束かも知れないけど、
こういう立場になると、自らの帰る禊を作るって意味がよく分かる。
戦士たちっていうのは、そういう感じなのかな。
ともかく、言いたいことは言えた。
身を寄せ合ったまま、僅かな沈黙の後口を開く。

「……み、皆多分今日、帰ってこないから、その、さ。泊まっていっても……」

途切れ途切れに、呟いた。
気づけば部屋の電気も消えていて、夜が明けるまできっと──────。

ご案内:「常世寮/男子寮 シェアルーム」から伊那美 環菜さんが去りました。
ご案内:「常世寮/男子寮 シェアルーム」から橘壱さんが去りました。