学園公営の女子寮。なお寮は公営私営含めて他にもいくつか存在している。
家賃がほぼ無料だが、最新の設備が用意されている。そのため人気も高い。
ロビー、食堂、大浴場などなど、まさに寮というような設備である。
部屋はキッチン、ユニットバスなどが備え付けられている。特に学園側から監査があるわけでもないので部屋を好きなように改造している生徒もいるという。
一人部屋から二人部屋、など部屋の種類は豊富。
参加者(0):ROM(1)
Time:02:33:48 更新
ご案内:「常世寮/女子寮 部屋」から神樹椎苗さんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 部屋」から蘇芳 那由他さんが去りました。
■蘇芳 那由他 > 凡人は目の前の事にまずは全力集中。目は逸らさないと決めているので、尚更に。
――だから、肝心の自分自身の行動や言動が雇い主さんにどう影響を与えているか理解も出来て無い。
「…はい?そういう所と言われましても…。」
んん?と首を傾げつつも、きちんと素人なりに頑張って処置は終えました。
その辺り、乙女心とかも分からないのもあってかさっぱり分かっていないようだ。
「そうなんですか?流石に体を冷やしたりすると不味い気も……え?」
宿泊許可済み!?何か寮監さんが許可を取ってあるのに意味深に見てきたのはこれが原因…!?
滅茶苦茶気まずかったり戸惑いもあるが、雇い主がそう言うなら仕方ない。
「…分かりました、神様…すいませんが僕だけじゃ手が回らない事もあるのでフォローお願いします。」
と、神様にも会釈をしつつフォローを頼んでおく。これなら少しは安心できる。
ともあれ、既に寝息を立ててしまっている彼女の頭を軽く撫でる。勿論ゴム手袋は外してゴミ箱に捨てた後で。
(…今夜は眠れなくなりそうだなぁ。)
なんて思いつつ、彼女が眠るのを見守りつつ一夜を女子の部屋で過ごす事になるのだった。
――余談、翌日寝不足でややフラフラしていたのはここだけの話。
■神樹椎苗 >
一生懸命に処置を施してくれる少年に、どうしたら感謝の気持ちを抱かないでいられるのだろう。
椎苗は汗をかきながらも、目をそらさずにいてくれる少年の心強さを感じずにはいられなかった。
――ぴろん
『To:
だから、そーいうところだってんですよ』
やはり具体的には言わない。
少年自身に気づいてほしいと思ってしまうのは、少しばかり乙女チックなのだろうか。
――ぴろん
『To:
上出来ですよ。
着替えは良いです。
というか、もうかなり限界ですし。
ただ』
椎苗は少年の身体に凭れかかり、甘えるように身を寄せた。
『To:
目が覚めるまで、一緒にいやがれ、です。
宿泊の許可は、申請済みです』
そんな一方的な文面を送ると。
椎苗は直ぐに、少年の腕の中で寝息を立て始めてしまうだろう。
それだけ、疲労が濃かったのだろう。
そして少年自身は気づいていないのかもしれないが。
少年の近くがそれだけ、安心できる場所になっている。
それは、間違いのない事実だった。
■蘇芳 那由他 > (どういうところなんだろう…?)
内心で不思議そうに呟くが、多分聞いても流石に素直に答えてくれない気がしたので聞くのは止めた。
それより処置を最優先。確かに、風呂場とかに連れて行って…と、なると大変だ。
いや、でも体を軽く拭いて膿とか落とすくらい…でも、傷口にかなり沁みそうだし雑菌が入る可能性も…。
「…え?何か言いました?…ともあれ、じゃあ包帯とパッドを付けますね。」
どうやら聞こえていなかったらしく、額にたん瘤は出来て…いないが、ちょっと赤くなっていた。
ともあれ、包帯とジェルパッドを手にベッドサイドまで戻れば処置を再開。
「――ぐったりしてるのに説得力無いですよ椎苗さん。
ともあれ、気にするのは僕の勝手ですし、その傷を見たからといって、僕は貴女に感謝してますしお世話にもなってる事実は変わりませんし、見方も変わりませんしね。」
そこはブレないしブレたくない。ともあれジェルパッドをなるべく痛くないように、ただちゃんとズレたりしないように押し付けて。
そこから、素人手付きだがしっかりと丁寧に包帯を巻き付けて固定。
時々、汗が流れるが慣れていない作業に悪戦苦闘しているのと、何だかんだ我慢しているのだろう。
だが、目は逸らさずに最後まできっちりやり終えていく。
「…よし…これで形にはなってますかね…あと、着替えとかは…。」
寝巻着とかあれば着せるくらいまではきっちり手伝うつもりだけれど。
若干顔色が悪いのは、目を逸らさなかった結果であり――少年なりの意地の代償だ。
それでも、表情や言葉は「僕は全然平気です」とばかりに何時も通りを保ち。
■神樹椎苗 >
――ぴろん
『To:
そーいうところですよ』
深くは言わない。
ただ、嬉しいと思ってしまった事だけは隠して。
――ぴろん
『To:
そこまでやると、風呂場まで連れてってもらわねーとですからね。
一先ず最低限で構わねーですよ。
どうせ、どれもこれも治らねーですし、悪化もしねー傷ですから』
なんて少しだけ奇妙な事を伝えつつ――しかし。
少年の奇行に、流石に椎苗も目は開けて、驚いた顔をしていた。
「――ばかですね」
そんな、掠れた小さな声が、切なくも嬉しそうに零れた。
――ぴろん
『To:
気にするな、も、むずかしーでしょうが。
もうどれも六年ほど前の傷です。
お前が心を痛める事じゃねーですよ。
なんだかんだで、見ての通り、ぴんぴんしてますからね』
なんて事を、支えてもらうのを待つようになんとか座っているだけの、疲れ切った状態でのたまう。
処置自体は難しくない。
大型のジェルパッドは、本当に小さな背中や胸腹部にしっかりと押し付ければいいし。
包帯はその上からぐるぐる巻きにすればいいだけである。
――ぴろん
『To:
お前の気持ちは、うれしーですよ』
そんな文面が、処置中にこっそり送られていたりもしたが。
■蘇芳 那由他 > 神様が匙を投げるって、もう相当なのでは…と、神様の返答代わりの仕草を見て思う凡人。
猥談じみた話をこの雇い主は意外と好むのは一つ学んだけども。
「――あ、ありがとうございます…。」
何か意外と僕の事をこの人は高く評価してくれているのだなぁ、と。
嬉しい反面、そこまでの人間性ではないのだと遠慮がちに思う部分も。
…まぁ、何だ…失望されない程度には今後も頑張ろうとは思った次第で。
さて、これで終わり――な訳はない。既に半ばこの後の展開は凡人でも予測は出来ていた。
「了解です――まぁ、本当にこの手の処置はド素人なので何か指摘があれば遠慮なくお願いします。」
と、そう答えてから…僅かに一息。溜息ではなく、どちらかといえば『覚悟』の深呼吸。
「…けれど、膿を流したり傷口の洗浄とかは平気ですか?
…いや、僕は素人だからそもそも上手く出来ないと思いますが。」
と、彼女が遠慮している部分をズバリ指摘したりしつつ。
ともあれ、包帯とパッドをゴム手袋はきちんと付けたままで外して行こうと。
時々、彼女の方を見て様子を確認するも意外と早く一通り外す事には成功した――が。
「………!!」
流石に、彼女の”全身”の有様を見れば声を失う。恐怖心は無くても普通に驚いたり衝撃を感じたりはするのだ。
(――しっかりしろ蘇芳那由他…目を逸らしちゃ駄目だ。ちゃんと最後までやりきるんだ。)
自分を叱咤激励するように心の中で己を鼓舞する。どれだけの『悪意』の傷跡が目の前に広がっていても。
…目を逸らす事だけはしてはならない。凡人なりにその程度の覚悟は常に持ちたいから。
なので、いきなり立ち上がると壁へと向かって…ゴンッ!!と、頭突きを一発。
いきなりの奇行に神様も彼女も困惑するかもしれないが…今のは自分への戒めだ。
本当なら、拳で自分を殴ろうかと思ったが、ゴム手袋しているし処置中なので。
そして、痛みは堪えつつ、言われた通りにサイドテーブルの引き出しから新しい包帯やパッドを取り出して。
■神樹椎苗 >
神様は肩をすくめて首を振った。
処置無しらしい。
どうやら猥談じみた話が好きなのは、性格のようだ。
『To:
なんでもねーです。
ただ、しいはお前を信頼してます。
ビジネスパートナーとしても、人間としても』
そう、珍しく素直に文字に表す暴君であった。
――はてさて、少年が思った通り、これで終われば苦労はないのである。
このまま汚れた包帯だけのほぼ裸で放置は、少年としても座りが悪い事だろう。
『To:
包帯を包帯を外して、パッドをはがしてください。
傷も膿も、酷いもんですから、しんどかったらやめていいですから』
そんなふうに言うくらいには、少年を案じているらしい。
とはいえ、甘えられるならとことん甘えるのだが。
『To:
新しいパッドも包帯も、サイドテーブルの引き出しにあります。
張り替えて、巻きなおしてくれるだけで十分です』
本当は、傷口の膿を流すなり、ふき取るなりとあるのだが。
そこまでやらせるのも忍びなく。
椎苗にしては珍しく遠慮して、最低限のお願いに留まった。
ただ、背中のパッドを外せば、無数の肉が見えるような裂傷に、切れ味の悪い刃物で切りつけたような歪な切り傷が幾つも現れるだろう。
そして、身体の前は、子供だとしても色気なんて感じようもない。
焼けただれた胸部、変色した皮膚――他にも無数の注射痕や、まるでスプーンで皮膚を抉ったかのような、肉がむき出しの傷。
ありとあらゆる悪意によって傷つけられたような裸体が、少年の前に晒される事になるのだった。
■蘇芳 那由他 > 「…神様、ちょっとこの人にチョップしていいですか?」
思わず半目になりつつ、神様に顔を向ける。謎の威圧感が神様を襲う…!!
流石に、そろそろ暴君ぶりというか猥談方面になりつつある話題に何か危険信号を感じたらしい。
むしろ、神様に堂々とそんな事を言う所は変に度胸がある…のかもしれない。
「研究室…まぁ、スポンサーは大事ですからね…お金が無いと研究とかなんて出来ませんし。」
納得したように頷くが、雇い主が”物”扱いされているみたいで何か面白くない。
ただ、そういう感情は押し殺して、ただゆっくりと息を吐き出す事で堪えた。
「…え?…あ、ハイ…ありがとう…ございます?」
自分が良い、と言われれば流石にちょっと挙動不審になりかけるが、お礼は反射的に述べていたり。
…まぁ、分かり易いくらいに動揺していて言葉も詰まりがちだったが。
「…??」
何か困惑というか戸惑っているというか、複雑そうな様子の雇い主さん。
それは感じ取れたが、何で複雑そうなのかは心が読める訳でもないのでさっぱり分からない少年で。
さて、それはそれとして。彼女からインナーを剥がした姿は確かに痛々しい。
あまりじろじろ見るのも失礼ではあるが、目を逸らすのもそれはそれで失礼だと思う。
表情はしかし平静で、変に忌避するような態度も一切見せない。ただその姿をちゃんと”見る”。
「何か凄い加点が来たんですが…むしろ、包帯だらけなのは知ってましたからある程度覚悟はしてましたし。
どうしてそんな状態なのかまでは僕には分かりませんけど。」
そう口にするくらいで、矢張り落ち着いているというか顔に嫌悪感も何も出ていない。
酷い状態だとは思うが、そこを根掘り葉掘り尋ねもしなければ目も逸らさない。
記憶が無く、恐怖を感じず、方向音痴で色々と危なっかしい少年ではあるが。
今、そこにあるものをしっかりと見つめるという点は中々のものがありそうだ。
「了解です…と。それで次はどうすればいいんでしょうか?」
インナーとタイツはゴム手袋で手に取って言われた通りにゴミ箱に。
ゴム手袋はまだ外さない方がいいのだろうが、それはそれとして次の指示を確認しようと。
ちなみに、不快を感じているかどうかだが、多分別に感じてなさそうだ。
精神の一部を欠落している影響もあるのだろうが、そういう耐性も強いのかもしれない。
■神樹椎苗 >
――ぴろん
『To:
奥手になってどーすんですか。
男はどきょーとかいうでしょう。
女の一人や二人抱いて、自信の一つでもつけりゃーいいんです』
とんでもない事を言う暴君である。
――ぴろん
『To:
まさにそういう連中ですよ。
しいが世話になってる、研究室のスポンサー共です。
どんな研究も、出資者がいねーとできませんし。
設備や施設の維持にもとんでもねー金が掛かりますからね。
真っ当な連中は、しぃよりも研究内容の方に興味を持ちますから、もっぱらそっちの話をします。
そういう時はまあ、肩が凝るくれえで済むんですが』
流石にその場で殴り飛ばしてやりたくなるような連中相手に、愛想を振りまいているのはすさまじいストレスのようだった。
それこそ、自力で何一つやりたくなくなって、少年を頼るくらいには。
――ぴろん
『To:
ただのお世話係だったら金出して、適当なヘルパーを呼びますよ。
この島の福祉はやたら充実してますし。
つーかわかんねーんですか?
お前がよかったから、お前を呼んだんですよ』
完全に脱力しっぱなしで、少年に身を委ねている。
それだけ信用、信頼できる相手だと、椎苗なりに想っているのだろう。
だからこそ、遠慮も配慮もしない暴君っぷりなのだが。
――ぴろん
『To:
む――感謝されても困るんですが。
でもまあ、こうして、来てくれたのは、ありがたい限り、ですが、むぅ』
文面でも伝わってきそうな微妙な心境。
椎苗からすれば、感謝するのは自分の方なのだが。
先手を取って言われてしまうと、なかなか伝えづらくなってしまう。
さて、少年が感じたように、手術前という感覚はあまり間違いではない。
少年がインナーを引きはがしたら、背中と胸腹部に体を挟むように張り付けられた、医療用ジェルパッド。
それを固定するためなのだろう、上からまかれた包帯などの隙間からあふれ出た膿。
両腕にもまかれた包帯からも、黄ばんだ物が染み出している。
そんな姿を見ても取り乱さず、しっかりインナーを脱がしてくれるのだから、やはり少年を頼って正解だったと思うのだ。
『To:
加点、8億6千2百万と二点。
初めてにしては十分ですよ、気遣いもありがてーです。
というか、お前こそ平気ですか?
見ていて、気分のいい物じゃあねーでしょう。
大抵、ヘルパーに頼んでもこの辺りでしんどそうにされるもんですが』
椎苗にとっては、日々繰り返されることなのだが。
ぱっと見てわかるほどの重傷人を相手にすれば、取り乱さない人間の方が珍しい。
『To:
インナーもタイツもそのまま捨てちまってください。
ああ、ベッド横のゴミ箱でいーです。
後で医療廃棄物としてまとめますから』
そう送られてくる文面。
相変わらず体を完全に少年へと預けている物の。
少なからず、少年が不快じゃないかと気にはなっているようだ。
■蘇芳 那由他 > 「まぁ、最低限自分の身を守れる程度の体力とか筋力は身に付けたいので、お願いするのも有りかもしれませんね。
…と、言われてもまだ常世学園の生徒になって1年も経過してないですし…。」
過去がさっぱり無いので、今の自分が本当に過去の自分と同じ性格や気質なのかも分からない。
とはいえ、少年は『一度失ったモノは二度と戻らない』という考えの持ち主なので、過去を今更気にしない。
青春に関しては、まぁ楽しみたい気持ちは人並にはある…つもり。自信は無い。
しかし、段々と会話内容が酷くなってる気がする…大丈夫かなこれ。
「…あぁ、文字通りの変態なんですね…でも、そういう人達って、無駄にお金とかコネ持ってそう…。」
あくまでイメージだけども。やっぱり内容を聞かなくて正解…いや、雇い主があっけらかんとぶちまけてしまったが。
しかし、この雇い主さんが笑顔で変態親父連中を相手にしたとか、いまいちピンと来ない。
…多分、相応にストレスが溜まるとは思うのだけれど。
それに、そういう変態ばかりではない真っ当な人たちも勿論多いとは思う。
「…完全にお世話係じゃないですか…まぁ、いいですけどね…。」
何か諦めらというか悟りの境地になりつつある少年。
意外と順応性や適応性は高い部類なのか、既に何時もの少年になりつつある。
それはそれとして、落ち着かないのは年相応というか何と言うか。
「…まぁ、お仕事の斡旋とか神器の扱い方とか色々お世話になってるのは事実ですし。
こういう形でなのは予想外過ぎますけど、お礼の一環になるなら是非も無いです。」
あと、何ですかそのいい加減な加点方式は。それと女の子の足をべたべた触る変態趣味はありません。
と、いうか神様がソワソワしてるのを凄く感じる。神器の所有者になった影響かその辺りが直感的に分かる。
「…張り付いてる?…断ち切り鋏…いや、まぁ確かにありますけど…。」
この人は介護初心者に何をやらせようというのか…。
ベッド横のサイドテーブルに、無造作に置かれているが矢鱈と存在を主張するソレを眺めて。
と、神様が使い捨てのゴム手袋を持ってきてくれた。ありがとうございます、と律義に会釈をしつつ受け取り。
「…何か、まるで手術前とかみたいな感じになってるんですけど…。」
ゴム手袋をしっかりと嵌めつつ。サイドテーブルに置かれていた断ち切り鋏を手に取る…うん、僕は何やってんだろう。
ともあれ、彼女に言われた通りにそっと裾の部分から鋏を入れる。
…素人でも分かるくらいに高級そうなインナーだが、やれ、と雇い主がゴーサイン出しているので…。
「――首元まで真っすぐに…一息に切ってしまった方がいいですねこれ。」
変に躊躇しては駄目な気がするので、一度深呼吸をしてから断ち切り鋏で、高級インナーを裾から入れて首元までしっかり切っていく。
意外と手際が良いと言うか、刃物の扱いは初心者だが度胸はあるらしい。
さて、断ち切り鋏の出番は一先ずここで終わり。一度サイドテーブルに置き直す。
そして、恐る恐るゴム手袋を付けた両手で、断ち切ったインナーを剝がすように外していく。
インナーの内側は、包帯やガーゼ、あと染み出した膿など中々に痛々しい。
だが、少年は以外にも顔色一つ変える事なく、丁寧にそっとインナーを剥がしていく。
「…これで…良し…と。すいません、素人手付きなので何か痛みとかあったらご容赦を。」
何とかインナーも外すミッションはやり遂げた。まぁ及第点くらいは貰える手付き…かもしれない。
■神樹椎苗 >
――ぴろん
『To:
最初からハードメニューにするのは三流です。
一流は、相手に調整すんですよ。
女子の知り合いが少ないとか、共学の楽しみどぶにすててるじゃねーですか。
青春しやがれ、青春。
それとも一人で楽しんで満足出来ちまうタイプですか』
メッセの内容がどんどん酷くなっていく悲劇。
なお、少年が今、腕に抱いている雇い主は、わりと性欲の権化寄りである。
――ぴろん
『To:
変態親父は変態親父ですよ。
しぃみたいな発育不良のロリの尻や脚を撫でてくるようなクズやろーどもです。
その場でぶん殴らねーで、にこやかに酒を飲ませてやってきたのを褒めたたえやがれですよ』
なお、毎度の接待相手がそういうクズ親父、というわけではないのだが。
少なからずそういう人間は居るのである。
――ぴろん
『To:
男子としては名誉な実績じゃねーですか?
どこまでって当然全部に決まってるじゃねーですか。
着替えは、めんどーですから後でいーです』
羞恥心の欠片もない話である。
色気も――哀しいかな、下着のデザインくらいしかない。
――ぴろん
『To:
ただのパシリみてーなやつに、こんなこと頼むわけねーでしょう。
お前だから頼んでんですよ、非凡人。
ふむ、丁寧に出来るじゃねーですか。
加点してやります、四億点くらい。
褒美にしぃの美脚を好きに触っても許してやります』
なんて言うが、何か所にも包帯が巻かれた脚は、確かに肌艶は綺麗でも、痛々しく見えるかもしれない。
というか、軽々しく許可を出すものじゃない。
神様は気が気じゃない、と言った様子で、そわそわ眺めている始末。
――ぴろん
『To;
ほら、次は上のインナーですよ。
って、あー、ダメですね、多分、ふつーには脱げねーです。
多分貼り付いてますね。
そこのサイドテーブルに断ち切りバサミありますから、それで切っちまっていいですよ』
なんてメッセを送ってくるが、確かにベッド横にはサイドテーブルがあり、断ち切りバサミが無造作にその上に置いてある。
とはいえ、少年にもわかるほど、肌触りが明らかに高級品であるインナ―を軽々と切れと言ってくるのは、難題かもしれない。
――ぴろん
『To:
裾からハサミを入れて、真っすぐ首元まで切ればいいです。
あとは、膿で貼り付いちまってますが、そのままはがして大丈夫ですよ。
あー、その前に手袋付けた方がいいですね。
他人の怪我の膿になんて、直接さわらねーほうがいいですし』
そう言うと、保護者が少年のところにわたわたと、使い捨ての薄手のゴム手袋を持ってきた。
百枚入りとかのよくある量販品だ。
さて、少年がインナーを脱がそうとすれば、雇い主の言う通り、インナーの内側には、包帯やガーゼから染み出した膿がべっとりとくっついている事だろう。
――あまり、見たい光景ではないに違いない。
■蘇芳 那由他 > 「…それ、凡人の僕にこなせるメニューになるか不安なんですけど…。
あと、性欲とか以前に女子の知り合いとかそこまで多い訳でもないので…。」
割と律義に返す辺りが、少年の性格が垣間見えているかもしれない。
ちなみに、性欲は普通にあるが多分色々我慢したり何か発散して誤魔化すタイプ。
「パーティ…僕には縁が無いので正直ピンと来ないですけど…いや、変態親父共って…。」
どういうパーティなのか内容が気になるが、そこは聞かない方が良い気がしたので少年は聞かなかった。賢明?
さて、悪戦苦闘しつつ何とかドレスは脱がした…脱がしたが、問題はむしろここからである。
「何ですかその実績解除…と、いうか何処まで脱がさせればいいんですかこれ。あと、着替えとかは?」
そもそも少年は介護士とかではないし、誰かを介抱した経験なんて殆ど無い。
…後見人の人が酒飲みで、偶に二日酔いとかで地獄を見てるのをフォローする事はあるが。
ちなみに、レース生地とかタイツとかあまり意識すると変な気分になるので、なるべくそこはスルーをしたい……無理でしょうこれは。
ともあれ、リクエスト?に従ってタイツから脱がす事にする…伝線?が怖いのでかなり慎重な手付きで。
「…と、いうか僕は便利なパシリ役ではないんですけどね…。」
何てぼやきつつも、意識はなるべく平静を保ちたい。
タイツを何とか脱がせれば、足指まで包帯で覆われた姿に、何かやたら煽情的な下着…下着!?
(…よし、落ち着こう蘇芳那由他。こういう時こそ平常心…平常心が大事だと思うんだ。)
さて、タイツを脱がし終えた段階だがこれで終わり、とはならないだろう。
むしろ確信しているので流石に逃げようとはしない。しないが、逃げようとしても無理な気がしてきた、なんとなく。
■神樹椎苗 >
――ぴろん。
『To;
筋力付けろって言ったじゃねーですか。
追い込み方がたりねーですよ、筋トレメニュー作ってやりましょうか。
なんでねーんですか、性欲足りてねーんじゃねーですか?
別に童貞くらい珍しくもねーですし気にする事じゃねーですよ』
そういう事じゃない。
――ぴろん。
『To;
まさにパーティですよ、正装出席の挨拶回り。
くそみてーにつまらねー、変態親父共の相手をしてきてクソ疲れてんです。
は?
クソ疲れてんのに、うるせー女なんかに頼んでらんねーですよ。
お前ならなんだかんだ言いつつも、ちゃんとやるでしょーし』
信頼しているらしいが、少年からすれば迷惑でしかないだろう。
――ぴろん。
『To;
もう少し優しく抱けねーんですか。
気遣いが足りねーですよ。
ああ、童貞でしたね、しかたねーですか。
まあ女を脱がす実績解除ですよ、やりましたね』
蒼いドレスを脱がせれば、黒い上下のインナー。
上はレース生地、下はタイツ。
どちらも透けないくらいに濃く分厚い生地だ。
『To;
次は、あー、タイツからの方が楽ですね。
つーか足元暑くてだりーですし、早く脱がしやがれです』
休む間もなく無茶苦茶を言う雇い主である。
なお、タイツを脱がせれば、指先まで包帯だらけの脚と、年齢不相応にやたらと煽情的な下着があらわになるのだが。
きっとこれでさよなら、と逃がしてはくれないのだろうと感じるだろう。
とはいえ、脱出しようとしても、扉の電子ロックがなぜか開かなくて、閉じ込められている事に気づいてしまうだけなのだが。
■蘇芳 那由他 > 再び端末から電子音。ちなみに特定の音楽とか歌は登録してない少年なので、何とも味気ないデフォルト電子音。
倒れていた彼女を抱き上げてからベッドに運ぶまで、何か2,3回も音が鳴ったのだけど、どれだけ早打ち…ん?
(いや、今の椎苗さん端末触れるどころかぐったりしてるんだけど…え、魔術とか異能の類で通信してるのかなこれ。)
やっとその”おかしさ”に気付いたらしい。
相変わらず天井付近をウロウロしてる神様に「神様も大変ですね…」と、思わず独り言。
さて、それはそれとして改めてベッドに彼女を寝かせてから端末を確認。
「あぁ、はい抱き方不慣れですいませんね…筋力もあまり無いですし。
あと、付き合った事があったら不慣れな運び方にならんでしょう…と、いうか童貞言うな(事実ですけど)。
…あぁ、はい…どういたしまして。」
何か散々けなされた後に、最後にお礼を言われて少し面食らうも、溜息と共にそう返す。
そして、また新たに着信音。…その内容をざっと目で追えば流石にぎょっとする。
「…いや、その…まず、そもそも何でドレス姿なんですか…何かのパーティか正装ですかそれ。
…と、いうかこういうのは女性にやらせた方がいいのでは…?」
この雇い主さん、僕の後見人の蘇芳さんより破天荒なんですけど…。
まぁ、ボーナスは出るみたいなのでやりますが。少年にとって彼女から斡旋されるお仕事は貴重な収入源。
実は生活費以外は貯金とかに回しているので、実は財布的には全然余裕はあるのだけど。
(そもそも、アルバイトにしてはやたら羽振りが良いと言うか…)
仕事は特殊ではあるのだが、かなり時給とかに換算するとかなり破格だ。
なんて、思考を出来るだけ変な方向に行かないように保とうと彼は頑張る。
で、矢張り不慣れなのがバレバレな手付きで背中側のファスナーを下ろそうと…仰向けの姿勢だと下ろせない。
なので、失礼します、と上半身を一度片腕で支えながら起こしつつ、ファスナーを恐る恐る下ろす…何だろうこの緊張感。
(…ある意味で、紅い屍骸さんとの激闘以上に色々切羽詰まってる気がする…。)
そして、ファスナーを目一杯下ろしてから、腕と足から引き抜くようにドレスを脱がせようと。
――これ、第三者から見たら僕は変態なのでは?