2024/07/14 のログ
■クロメ >
「……………」
話しすぎたか、と少し考える。
が、もはや今更の話でもあろう、か。
話したところで過去が変わるわけでもなく。事実は消えることはない。
「そうだな。村、町、とな」
気づけば、恐ろしくたくさんのモノが群がってきた。
それを一々相手にしていた。
それが、もはや国が築けるほどにまで膨れ上がり……
「……」
黙って、プルタブを開けるのを見ていたが
杭の話題になれば、缶を宙に浮かせて、目を見た
「……先のつづきだ。
お前たちが突き立てる牙など無力だと、教えてやるためだ」
明らかに心臓に突き立ったような、それ。
それが刺さったままであれば、人外であることも
そして、それが無駄な行為であることも
すべて伝わるだろう。それなら、無駄なことをする手間も省けるだろう?と。
■橘壱 >
「…………。」
どういう風に、何の目的で群がってきたのだろう。
少なくとも聞いている限り友好的な雰囲気はない。
多分、そうであればこうも擦れたりはしない気もする。
感情も冷めてしまったのは、その数千年の歳月か。
或いはその群がってきたモノによるものか、両方か。
考えるだけでは、わかるはずもない。だから、聞いてみるしか無い。
「……無力、な。よっぽど嫌われてたんだな、アンタ。」
少なくともそう見せつけるということは、そういうことなんだろう。
群がってきたものの大半は、少なくとも彼女に力を向けた。
その理由まではわからないが、群がってくるのは、恐らく大勢が…────。
同情をしたわけでないが、少年の表情も何とも言えないなものになってきた。
「刺す時も痛くなかったのかよ、それ。
なんていうか……今まで気にもかけなかったけど……その。」
「痛々しくは、あるな。」
しかもわざわざ心臓があるような位置に刺している。
そういうのを気にするようになったのも、少年が変貌している証ではあるだろう。
■クロメ >
「嫌われていた、か。
……度し難いものだ」
ただ嫌われていたのであれば、どんなにかマシだっただろうか。
それなら、悪に徹すればいい。
ただ怪物であればいい。
怪物……そう、怪物
それが――
「痛いわけが、ないだろう。
杭程度で殺せると思った方に呆れはしたが、な」
痛みなど、最早感じなかった。
苦しみなど、すでに忘れていた。
とはいえ
「大した傷でも、痛みでもなかったが……
ただ、面倒になってな。一時は眠ってみたりもしたのだが。」
大変容、と呼ばれる騒ぎでその眠りも覚まされることとなる。
気づけば、人の世の様もだいぶ変わっていた。
化け物から遠ざかる力を使いこなしているかと思えば、化け物になる力を使う。
変わり果てたものだ。
まったくもって、度し難い。
「痛々しい? 勝手な……ああ。」
先程から少し感じた違和感。そうか。
あまりに基本的すぎて、気が付かなかった。
前提で考えれば、確かにそれはありえないことだっただろう。
「一つ、訂正しよう。
刺したのではない。刺させた、のだ」
突き立てたのは、お前たちだ、と。
それでもなお、人の試みは無力だったのだ、と。
そう、思い知れ、と。
■橘壱 >
「……構ってくれるな、って?
まぁ、どうしようもないってなるならそうかもしれないが……。」
何をしたって殺せはしない。
その時代の人間には決して彼女をどうにか出来ない。
そうなるともう、無視するしかないと思うが、執念とは凄いものだ。
それは時代が証明している。数百年経って完遂させることもあった。
きっと、そこまでして群がられて、何時か彼女は眠りについた。
長い年月の合間に目覚めて、今に至ってしまった。
不運な時代に残されてしまった、目覚めてしまった怪異。
「…………。」
壮大。漫画のような世界だ。
その時代で、そういう場所があった。
現代を生きる少年には想像しがたいものだ。
ごちゃ混ぜの感情とともに、サイダーを飲み下した。
「……そういう場所も、その時代にはあった。
クロメがどういう気持ちでやってたか知らないけど……なんだ。」
「結構、優しいんだな。」
なんて、思ってしまった。
「滅ぼす方だって、そこまで見せつけるなら楽だろうに。
わざわざ自分から離れる道を選んだのは……まぁ、アンタから言わせりゃ"面倒"だっただけなんだろうけどさ。」
少なくとも消す方向に動かなかった。
ちっぽけな非異能者の少年からはそう見えた。
「……まぁ、なんだ。少なくともそういうのばかりじゃないと思うよ。今は。
この学園だけで言えば全員が全員じゃないけど、大体はクロメも好意的に受け止めてくれるんじゃないか?」
「今の時代の、此処はそういう場所だからね。
……少なくとも僕は、クロメの事をそう見てる。」
「せめて此処くらいじゃ、もうちょっと色んなことに興味を持ってもいいと思う。」
きっともう今の時代に、その時代の最先端に群がるようなものはいない。
良くも悪くも、もう彼女みたいな存在自体が珍しくないのだ。
道を歩いてる存在が、たまたま神様だった時だってある。
変容した時代は、彼女が知る世界より大きく変わってしまった。
だからこそ、その冷たい偏見を取り除くべきだ。
少年は真っ直ぐと目をそらさず、そう告げた。
この時代に生きる、変容後の世界に生まれた若者だからこそ出た言葉だろう。
■クロメ >
「……気狂れか?」
優しい。優しいといったか?
どこをどう取ったら、そういう感想になるのだ。
この男はどうかしている。
いや、考えてみれば最初からどうかしていたのだ、こいつは。
「蟻の一部が厄介だったからと言って、あらゆる全てを潰して回るのは面倒だろう。
それだけの労力をかける価値もない。それだけのことだ」
滅ぼす、というのはそういうことだ、と。
そして、それをするだけの意味を感じなかったのだ、と。
……そうしてやるだけの思い入れもなかったのだ、と。
そう、主張した。
「……人が、化け物に近づいた、か」
今の世の中への認識を端的に表せば、そうである。
確かに、それならば自分になにかを求めることも減るだろう。
「……度し難い、ことだ」
小さく、息を吐く。
つまらないことを、いうものだ、と。
「……好意など、要らぬ」
別に、そんなもの欲しくもない。
あったところで……
「……が。私が現世を知らないのは確かだ。
それくらいの学びはしてもいいだろう。」
その程度、であれば。多少は関わってもいい。
嫌でも、目覚めてしまったのだ。今更寝直すのも業腹ではある。
■橘壱 >
その言葉には思わずハン、と鼻で笑ってしまった。
「どうかしてるって意味なら間違いないじゃない。
クロメみたいなのが"当たり前"にいるせかいで、僕は非異能者だ。」
「それでも尚、僕は力で頂点になろうとしてる。
……自分の得意なジャンルでは、1番じゃないと気がすまなくてね。」
昔からそう言われてるのは慣れている。おかしくなければ、一番にはなれない。
それはゲームの中とは言えど、一時期常に頂点にいたからこそ言われ慣れている。
おかしくて結構。でなきゃ、きっと此処まで付き合ってない。
「…………。」
少年は静かに首を振った。
「……僕も最初はそう思ったさ。でも、意外とそうでもないらしい。
意外とそういうのがないっていうのは、一人で何かをするっていうのは出来ないもの……なんだってさ。」
頂点とは常に一人だけ。
だからこそ少年は他者を軽んじ、一人で生きていこうとした。
どうせ何れ、全て踏み台にするんだから、それが当たり前だと思っていた。
だが、少年は何時しかそうではないことに気づいてしまった。
人の温かみに絆され、人と共に歩むことの意味を知ってしまった。
自然と少年の口元は笑みを浮かべていた。
「だから、僕はクロメの事を気にかけてるよ。心配だ。」
だから今度は、それを他者に向ける番。
ストレートな言葉を、飾りっ気のない言葉を投げかける。
■クロメ >
「……頂点か。よく吠えるものだ」
猿山のボス争いに興味はない。実に下らない、とも思っている。
が。当の本人たちにとっては人生を賭けるに値する一大事なのだろうことも想像はつく。
だから争いは起こるし、大きなことを連中は後を絶たない。
そうやって嘯くのは、本当に――
「度し難いな。やはり、人の性は変わらんと見える」
ため息のような吐息を吐き出す。
確かに、どうかしているやつだ。
「それは、実感か?」
一人で何かをすることはできない――
おそらく、最初に会ったときのこの男ならそんなことは言わなかったのではないだろうか。
ならば、心変わりするなにかがあったのだろう。
それ自体に興味はないが、予想を確かめるために尋ねる。
「……心配、か。」
その言葉を確認するかのように、繰り返す。
この男にしては殊勝な言葉だろう。全く以て
「度し難いな」
わざわざ怪異の心配をするような馬鹿さ加減
上位に対して心配するような傲慢さ加減。
「それくらいの奇人でもなければ、か」
そうでなければ、わざわざ自分の相手などしまい。
とんだ貧乏くじではなかろうか。
「私も、心配だ。お前の頭が、な」
■橘壱 >
「良く言われるけど、チャンピオンってのは後ろ指指されるものさ。」
出来っ来ない、無理な話だ。そんな事をして何になる。
特にゲームだからこそ言われた台詞はごまんとある。
だから何だって言うんだ。そういうのは全部一蹴してきた。
響きもしない。そういうのを全部呑み込んで、上に立ったときが最高なんだ。
そういう少年の顔は清々しく、どことなく無邪気なものだった。
「……まぁ、実感かもね。まだよくわからないけど。」
たしかにそうかも知れないという感じはある。
その正体が何か、わかりかねているのも事実だが
そうであるかどうかと聞かれるなら、少年は小さく頷いた。
「今僕のこと馬鹿にしたなかったか???
……まぁ、いい。まぁ、そういうことだから。」
だからなるべくは一人にはさせない。
せめて、彼女を含めて、関わろうとした全てには関わり抜いてやる。
そう話し込んでいる内に夜も更けてきて、大分ポテチも減ってきた。
時間も時間だ。ルームメイトは皆夢の中。今帰るのも少しあれだな。
何より、誰かに見られるのが面倒くさい。
「……なぁ、ちょっと変なこと聞いていいか?
今晩だけ此処で寝ていいか?今帰るのもルームメイト起こしちゃいそうで……な?」
おずおずと訪ねてみた。
■クロメ >
「……子どもだな」
ぼそり、と口にする。
なるほど、そういうことか。少しだけ、納得した気もする。
これはそういう類の愚か者なのだろう。
そして
「誰かに説諭するなら、わかるようになってからにしろ」
なんとも半端な話だ。締まらない。
全く以て度し難い。
これだから人間というのは……総じて鬱陶しい
「ああ。気づいたか」
どうやら馬鹿にされたことを理解するくらいのことはできるらしい。
よかったよかった。おめでたいことだ。
ただの猿ではなかったな。
「……厄介な」
心配も、様子見も無用、といったところでこの男は今の態度を改めないだろう。
無理にでも関わってくることが目に見えている。
本当に、度し難い
「……」
厚かましいやつだ、と思う。
とはいえ、この部屋の主、とはなっているがさして使うでもなし。
規定に何かあった気もするが……
「厚かましいな。何も出ないぞ」
まあ、貸すくらいいいだろう。
どうせ自分は寝ることもないのだし
■橘壱 >
「……煩いな。僕だってまだそういうの言われたばかりなんだ。
だったらそんなガキに言われるようなマネするなよ。」
しっかり聞こえていたらしい。
売り言葉に買い言葉。このあたりはしっかり子どもっぽい。
む、と唇を尖らせて言い放てば肩を竦めた。
「……、……さてはお前、僕に対して結構厳しいな???」
随分と口が回るようになったがちょっとさっきよりも当たりが強いぞ。
ある程度態度が砕けたと見るか、それともさっきので見下したのか。
余りいい気はしないが、今回は良しとしておこう。
彼女との関係性が、少しは前進した気がする。
厭世的で人を見下す超越者。人間相手のあれこれにさえ四苦八苦してるんだ。
これから人間目線、長い付き合いになるから此れくらいは許容してかないと。
今の自分の怒りは、此のサイダーと共にぐびっと飲み干した。
「どうせ何も持ってないだろ。期待してないし、いらないよ。
床でも寝れる方だし、一晩だけだ。寝てる間に一々僕にちょっかい掛けたりはしないだろ?」
一応そういう信用はある。
睡眠を必要としないなら、ちょっと位借りてもいいだろう。
白衣を軽く脱ごうとした時、ふと脳裏を過る考え。
「…………。」
これもしかして一晩泊まったほうが拙いんじゃないか……?
■クロメ >
「さてな。」
厳しいな?と言われれば、それは果たしてどうなのか
そもそもにして、冷淡で冷血なこの怪異は概ね人に対する当たりが悪い。
「ただ。子どもには躾が必要だろう?」
砕けたのか、当たりが強いのか、それとも……
その応えは出ぬままに、冷たい眼をした怪異はそう宣った。
変わらない、冷淡な声で。
それが躾なのかどうか、については議論がいるかも知れない。
「そうか……では無用だな」
自分は使わないが、女子寮に元々備え付けてあった布団くらいはある。
しかし、いらないというのならその意思を尊重すべきだろう。
一々ちょっかいはかけないことにする。
「邪魔はしない。
用があれば対応くらいはしてやる」
子どもの睡眠を邪魔するほど野暮でもない。
そもそも、そんなことをする理由もない。
壱の疑問を他所に、怪異の姿はだんだんと影に溶けていく。
■橘壱 >
「子ども子どもって……いや、そうだけどさ……。」
実際まだ成人さえしていない。
親の教育だってまともに受けてないまだまだ子どもだ。
反論しようにも事実である以上は受け入れるしか無い。
やや不服ではあるが、言い返す要素もないしとりあえずその場で横になった。
「……いや、布団は一応クロメのだからな……。」
寝る寝ないの問題ではなく、一応此処は彼女の部屋。
備品も彼女のものであるという考えはあるので、そういうのは尊重する。
いや、確かに魅力的だがそれはよくない。一応女子寮だし。
……一応女子寮なら泊まるのが拙いんじゃないかやっぱり???
「あ、いや、待っ……!」
起き上がって引き留めようとした時にはもう影に溶けてしまっていた。
これ以上言った手前はもう気まずい。畜生、自分の軽率な発言を恨むぞ。
こうなっては仕方ない、腹をくくろう。眼鏡を外し、目をつむることにした。
……その後ちょっと女子寮を出るのに色々あったとかなかったとか。
ご案内:「常世寮/女子寮 部屋」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 部屋」からクロメさんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 部屋」に八坂 命さんが現れました。
ご案内:「常世寮/女子寮 部屋」に竜胆 襲さんが現れました。
■八坂 命 >
掃除機も掛けた、洗濯も終わらせた。
お風呂は沸かしてないけれど、いつでも入れるように掃除もした。
洗濯ものも畳んで片付けたし、あとはご飯を作るだけ。
「あ゛ぁ゛~~~~、つっかれたぁ」
部屋着のまま汚い声を出してぐぐーっと伸び。
いつ部室に行っても部長がいるので、部屋にはいつ帰っているのかと聞いたら帰っていないと返事が返ってきた。
それを聞いた瞬間世話好きスイッチがバチンと入り、その日のうちに引っ越しの手続きをして、次の日には部長と同じ部屋に引っ越して来た。
勿論部長の許可は貰っている。
つまりここは自分の自室でもあり部長の自室でもある。
もう一人ルームメイトいるのだが、今日は出かけているようだ。
「襲ちゃんは今日も部室でゴロゴロしてんやろなぁ
後からごはんと着替え持ってってあげんと」
何を作ろうかな、と冷蔵庫を開ける。
もうすぐご飯時の夕方。
お腹は空いているけど凝ったものを作るのはめんどう。
そんな気分。
■竜胆 襲 >
「……?」
今日は夜間活動のない日。
久しぶりに帰って掃除でも…と寮の部屋に帰ってきたら。
自分の部屋から人の気配がして、足を止める。
鍵は開いていた。…そっと入口のドアを開けて、部屋の中を伺うと……。
「…あれ、そっか。引っ越してきたって」
ふと思い出し、見覚えのある姿を見つける。
「こんにちわ。お部屋、お掃除してくれたんですね」
スクールバッグを降ろしながら、そう声をかけて部屋に入る…。
■八坂 命 >
扉が開く音。
ん、と思ってそちらを見ると、まさにその部長がいた。
「おぁ、襲ちゃん。
おかえりぃ」
ぽやんとした笑顔を向ける。
そう言えばこっちに引っ越してから彼女が帰ってくるのは初めてだった。
冷蔵庫を閉めてぱたぱたと駆けよる。
「掃除はしたし洗濯も終わらせたるよ。
お風呂入る?
入るんやったらすぐ沸かすし。
あ、ごはん今から作るとこやけど何がいい?」
ぺらぺらと捲し立てる。
因みに冷蔵庫の中身は何も入っていなかったので、昼の内に買い出しを済ませておいた。
食べたいものを言えば大体は作れる程度に。
「僕の部屋は適当に空いてる部屋使わさしてもろたよ。
襲ちゃんの部屋は、一応軽く掃除機は掛けてお布団干したけど、家探しみたいなことはしてへんから」
布団の匂いは嗅いだけど。
■竜胆 襲 >
「…ただいま。ごめんなさい。あまり寮には帰ってこないから…」
埃、溜まってたでしょ?と付け加え口にして。
捲し立てる様な彼女の言葉にやや気圧されたように眼を丸くする。
「お、お風呂はまだいいです。
ごはんは…ええと、なんでも…」
好物はあるけれど、毎日食べたいと思うようなものでもないため。
答えを返しつつリビングに移動すれば、見違えたように片付いた様子にほぇー、と声をあげる。
「ミコちゃん。もしかしてこういうの得意…?」
こういうの、とはもちろん家事まわりのこと。
■八坂 命 >
「ええよええよ。
僕こう言うの結構好きやし」
家事をするのは苦じゃないし、それが誰かのためになっているなら尚更だ。
ぺやんと笑って彼女とリビングへ引き返す。
「得意……なんかなぁ。
いつもやってることって感覚やから、得意かどうかって考えたことなかったわ」
台所に行ってまた冷蔵庫を開ける。
炒め物野菜セットが見切り品だったのを思い出し、それと肉、焼きそばの麺を取り出す。
今日は焼きそばだ。
「そこの空いてる部屋、僕の部屋にしたわ。
隣が飛鳥ちゃんの部屋。
使ってなかったっぽかったから使ったけど、よかった?」
コンロに中華鍋をドカンと置いて火を付ける。
両手にゴム手袋をして、麺をレンジに放り込んで肉を切り始めて。
自室にしたと言った部屋の扉は少し空いていて、覗けばビッカビカに光るパソコンやら機械部品やらが割と煩雑に置かれているのが見えるだろう。
■竜胆 襲 >
「得意なんだと思いますよ。
私なんか、学業と部活だけで全然気が回りませんから。
…うん、空いてる部屋は使ってもらって、大丈夫……」
自分自身がほとんどこの部屋にはいないのだし。
変なことさえしてくれなければ基本的には構わない。
むしろ掃除なんかをしてくれるのは助かる限り。
「栖鳳院先輩も…。
寮暮らし、窮屈じゃないのかな…」
リビングのソファに腰を降ろし、様変わりした部屋を眺める。
栖鳳院飛鳥…先輩は、いかにもなお嬢様だ。なんだかこんな寮の部屋で過ごすのはイメージになかった。
■八坂 命 >
「僕も切った張った立ち回るのそんな得意やないし、結局実働は襲ちゃん任せみたいなみたいなとこあるしなぁ。
出来る人が出来ることやって、助け合って生きていけばええと思うよ」
中華鍋に油を入れて野菜を炒めながら。
ジュワーといい音が部屋に響く。
塩胡椒を振って、がこんがこんと揺する。
「飛鳥ちゃん、あれで結構庶民の暮らしを楽しんでる、みたいなとこあるし。
いつも珍しそうな楽しそうな顔してるから、あんま気にしてないんちゃうかな」
割と俗っぽいところがあるお嬢様の普段の様子を思い出しながら。
少なくとも漫画でよく見る嫌なお金持ちな感じはしない。
野菜を一度取り出し、肉を炒め始める。
「あ、もし襲ちゃんがおうちデートする時は言ってな。
その日は僕ら部室で寝るから」
うひひ、と下世話な笑顔を向けて。
■竜胆 襲 >
今はまだ夕暮れ時。
まだ夜には早い時間。
学園の中なら、極力そういう話題も避けるのだけど…ここはプライベートな空間だ。
静かなリビングには彼女の声と、調理をする小気味の良い音が響く。
切った張ったが得意でない、という彼女。
彼女の占星術に夜間活動のいうらも助けられてはいる現状がある。
…折角のタイミングだったから。
「誂わないで下さい。それより…」
「ミコちゃんはどうして、その…占星術部を選んだのか、気になってます。
怪異を掃滅する…手助けなら、それこそ祭祀局に入っても良い…ですよね?」
自分は、もちろん大きな理由と理念がある。
彼女はどうなのだろう…と。
そんな雰囲気じゃないのは承知の上で、問うてみた。
直接二人で、聞いたことはなかった気がしたから。
■八坂 命 >
「えーでもせっかくのデートやのに僕らいたら困るでしょー。
イチャイチャも出来んやん」
にまにましたまままた肉を取り出し、次にレンチンした麺をぶち込む。
今度は鍋は動かさず、じっくり焦げ目を付ける様に。
「んー?
んー、まぁ正直なこと言うと、そういうことしたくて入ったわけやないのよ」
何故この部活に入ったのか。
言ってしまえば目の前の彼女に誘われたからだが、そういうことを聞いているのではないのだろう。
そもそも何故誘いに応じたのか、そう言うことを聞かれているのだと。
「なんていうんかな。
襲ちゃん、余裕がないような気してな。
あんまりおうちにも帰って来んし、特に良くない怪異見ると突っ込んでってまうし」
鍋の中の焼きそばをひっくり返す。
ちょうどいい焼き色。
「ほっとけんなぁって思ったんよ。
言うたら、襲ちゃんがおるから入ったって感じ」