2025/05/23 のログ
■鶴博 波都 >
「いや、出来ないです。何かの漫画で読んだ気がしますが……」
もきゅもきゅと食べながら、首を横に振ります。
テレビの映像は──。
『常世島の霊障・災異・怪異・神祟に関する情報をお伝えする「霊的島防ニュース」をお伝えします。
このコーナーは《祭祀局》および《風紀委員会》の協力・提供でお送りします――』
『──この事件は、妖精の恋人となった部員たちが、強い詩的霊感や詩才を得る代わりに妖精の恋人リャナン・シーに命を吸われた事件であることが公式に発表されました──』
『──突如神憑り的な詩才が芽生えたと思われる者が周囲にいた場合は、《祭祀局》や《風紀委員会》に相談を行って欲しいと──』
──常世島ではありふれた、霊的な事件に纏わるニュースの一つ。
良くも悪くも、よく見る類の報道。詩才と引き換えに生命を奪うものらしい。
恋人も芸術も、波都にとっては縁のなかったもの。
それらを求める──と言う感覚はつい最近まで、理解のし難いものであった。
今は──。
「──芸術と命って、引き換えになるものなんですね。それとも……」
何とも言い難い。
不理解と言うにはもやもやとしたものを感じながら、ケーキを口に運んだ。
■神樹椎苗 >
「むむ、それは残念。
賭け麻雀で搾り取ってやろうと思ったのですが」
本当に性格の悪い子猫でした。
チーズケーキを頬張りながら、テレビから流れる最近のニュースを眺めつつ。
それ自体は、珍しくはない事件の一つではありました。
対価として命を奪っていく怪異は、世界各地に数多く、島の中で学籍を得ている者だけでもそれなりの数がいるのです。
「芸術に限った話じゃねーと思いますけどね。
――お前には、命と引き換えにしてもいい願い事、とかはねーんですか?」
そう、釈然としていない様子の少女に訊ね返すのでした。
■鶴博 波都 >
「しぃちゃんが包帯を巻かなくていい位に傷が綺麗になって欲しい──とかでしょうか?」
本気なのか冗談か、そうと告げる。
冗談にしては真面目すぎるし、本気にしてはピンポイントすぎる程度。
「なかなか、自分の命でどれだけの対価を得られるか計ることは難しいです。」
ごちそうさまでした、と、出していたケーキを平らげる。
「一旦、お皿は下げますね。この後はどうしますか?」
■神樹椎苗 >
「命を対価にそれは、自己犠牲って次元の話じゃねーですよ?
もっと自分にとって大事な事に使うべきです」
『鉄道公安に移ったなら、ちゃんと考えとくといーですよ』と、少女の頬をぷにぷにと小さな指先でつっつきました。
「ふむ――しかし、われながら八号は大きすぎたかと思いましたが。
意外と二人でいけるもんですね」
半分ですら、随分と多い量なのです。
晩御飯が要らなくなってしまいそうな。
まあ、椎苗は甘いモノであれば際限なく食べられてしまうのですが。
「ん~、そうですねえ」
するん、と少女の腕の中に滑り込んで、そのお膝に頭をのっけてしまいます。
「今日もお泊りさせてもらいましょーかねー。
早朝に出ていくお前に、朝食を作って見送ってやるの、けっこーすきなんですよ」
なんて、膝の上から少女を見上げて、微笑みました。
ご案内:「常世寮/女子寮 部屋」から鶴博 波都さんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 部屋」から神樹椎苗さんが去りました。