2024/07/10 のログ
ご案内:「職員寮 第四アパート」に焔城鳴火さんが現れました。
ご案内:「職員寮 第四アパート」に黒羽 瑠音さんが現れました。
■焔城鳴火 >
「――あ゛~~~」
――暑い。
火を司る渾名を預かろうと、祖先に火の神が居ようと、その神に気に入られていようと。
この、焔城鳴火は、どこまで行ってもただの人間なのである。
つまり、暑いものは暑い。
むしろ、暑さが苦手まである。
なにせ、冷房を16℃設定で最強風力で利かせているというのに、暑いと感じるのだ。
それはなぜか。
医学的には、鳴火の代謝が非常によく、基礎体温がかなり高い事と、自律神経系があまり丈夫でないという点が関係していると診断されていた。
「あ~~――のみもん」
ベッドの上で適当に手を伸ばして、適当な物を手に掴む。
一升瓶だった。
「――まあいいか」
いや、よくない。
なんなら、この部屋の惨状がよろしくなかった。
一升瓶を寝転がったままラッパのみする、自堕落、ダメ人間のお手本のような干物女の部屋だが。
そこら中に、洗濯したのか、脱ぎ散らかしたのか、判断が付かない衣服が外着から部屋着、下着まで無秩序にベッドの上に積み重なっている。
それどころか、その上に寝転がっているようなありさまだった。
「あ――飽きた」
一升瓶を飲み干すと、ベッドの上から投げ転がした。
そして鳴る、カツンという音。
床の上には空き缶や空き瓶、どれもお酒ばかりが埋め尽くしているのだった。
ところどころに、気休めの様にスポーツドリンクの2リットルボトルが点在してるが。
「はあ――だ、っる」
そんな、完全に無気力で堕落しきった女は、まさかこの後。
教え子が訪問してくるなどとは、露とも想像していないのであった――。
■黒羽 瑠音 >
「あっつぅ~~~」
からんからん、と片手に下げたビニール袋から音を立てる
手ぶらというのもアレかなーと思って途中で買ってきた冷えたラムネだ
やっぱりこの時期の飲み物と言ったらラムネだよね!
「先生、干物になってないかなぁ……」
最近日課になった素振りを含めたトレーニングを終えて、ちょっと心配になった私は先生の所にやってきたのである
「また散らかってたら掃除してあげたほうがいいかな……」
「いやでも、散らかってる人はその人なりに片付けてるつもりだって聞いたことも」
何て言いながら部屋のドアをノックする
流石に前回程酷い事にはなってないだろうと思いながら
「せんせー、瑠音です、いらっしゃいますかー?」
その瞬間、何だか中から得も言われぬ雰囲気を感じ取った気がするけど、きっと気のせいだろう
私の中の第六感、危険信号がなった――なんてことはないはずだ、多分
■焔城鳴火 >
――少女の危険信号は間違っていなかった。
「んぁ――あ゛ッ!?」
大慌てで立ち上がり、ベッドから飛び降りたら、空き瓶を踏んで思いっきりすっ転び、筋力で無理やり飛び起きつつ、乱暴に廊下の扉を開け――
「あ゛ッッつ゛!?」
大抵、女性が出してはいかん声を出しつつ、必死で廊下をドタバタ走り。
ガチャ、とロックを外すと。
何か物凄く、罪悪感を覚えながらそ~っと扉を開けて、訪問者を見上げる。
その目元はどことなく赤く、ついでに、額と鼻の頭も赤く、視線が滅茶苦茶泳いでいた。
「あ~――よく来た、わね」
とても歯切れの悪い出迎え。
なお、少女の視線から見ると、サイズの合わない部屋着からは中身が溢れ出そうになっていたり、肩ひもがズレていたり、ショートパンツが若干ずり下がっていたり。
ついでに、部屋の中からは猛烈なアルコール臭が漂ってくるという、とんでもない有様であった――。
■黒羽 瑠音 >
「ひゃっ!?」
思わずそんな声がでるのはきっと仕方ないと思う
だってまるで何かに襲われてるような声とドタバタ音がしたんだし
「せ、せんせい…?」
そしてやっと出てきた先生は……なんというか
「……くさっ」
しまった、私の口が耐えられなかった!?
「じゃない、え、えーっと、暑いですよね~あはは」
「ラムネ持ってきたんです、一緒に飲みましょう?」
冷や汗交じりにビニールに入ったラムネを持ち出す
ちなみに一本だと少ないかなーと思って奮発して4本買ってきました
「ほ、ほら早く入りましょ、わーい久しぶりの先生の家だー!」
というか先生の恰好、明らかに人前に出る恰好ではないよね
うん、私やっぱり第六感に目覚めた?
とか思いつつ部屋にごそごそと入り、私以外が先生のあられもない恰好を見る前に扉を閉めてもらうのでした
うっ、中に入ると一段と匂いが……くらくらしそう
■焔城鳴火 >
「え゛ッ――あ、いやっ」
やべえ、と珍しくマジで焦った顔をするものの。
完全にオフスイッチが入っていた干物女と、勤勉な少女とでは、動きに差があるのである。
のろのろと少女を止めようとする干物を、するりと交わすうら若き乙女。
その時点で、この勝負の決着は――完全に着いたのだった。
「――なんか、うん、ごめん」
とんでもなく素直に謝る干物。
激レアではあるが、廊下の奥から漂うキンキンに利いたエアコンの冷気と、あまりにも濃いアルコール臭。
そして、開きっぱなしの廊下の扉から見える、凄まじい参上の部屋。
――ええ、干物にはもう、謝るしかなかったのです。
ただでさえ、先日ダメなオトナの手本を見せたようなものだというのに。
その上を行くものを見せてしまっては――!
■黒羽 瑠音 >
「……うん」
「その、いきなり来た私も悪かったですし、はい」
焦りまくる先生をみると、何だかこっちの方の頭が冷えてくる
というかクーラーも凄い効いてる……結構熱がりなのかな先生
「えっと、取りあえずラムネは冷蔵庫に入れて……」
「ちょっとだけ、お片付けしましょう、先生!」
腕まくりしながらすたすたと冷蔵庫にラムネを仕舞いに行く
中にもお酒らしきものが沢山はいってそうだけど気にしないことにしよう
「私、缶とペットボトル分別するので、潰してビニールにいれちゃってください」
「アルコールあります?飲むのじゃなくて消毒用の、床に染みついてるの拭くので」
「暑いでしょうけどちょっとだけ窓開けますよー、流石に換気しないとっ!」
「あ、ベッド染みになってる……シーツカバー外して洗濯いれちゃいますね、他に汚れてるのあったらまとめて回しちゃいましょう!」
矢継ぎ早に片付けの方針を告げて動いていく、こういう時には先手をとったものが勝ちなのだ
いや何の勝ちなのかと言われても困るけど、とりあえず母さんに仕込まれた掃除テクニックが役立つ時が来たぞ!
■焔城鳴火 >
「――うん」
なんかしょんぼりしている干物は、少女の言葉にへにょりとした、力ない返事。
ゴミ袋を掘り出して、頼もしい少女に言われるまま、ゴミ袋に放り込んでいく。
「あ、えっと、消エタなら――」
一応医者の部屋なので常備薬セットがある。
――どこに?
幸いテレビの下のテレビラックの見える場所にあった。
「え゛っ、換気――あ、はい」
超素直だった。
ほんの少し抗おうとしたが、もうこの干物に威厳も尊厳もないのである。
そして、ベッドに手を付けた少女――
「――あっ、ちょ、ま」
干物が止める前にベッドの上の物をどけ始めてしまう少女。
脱ぎ散らかした服や、乱れたシーツ、丸められたタオルケット。
そこに混じり――アダルトなグッズが無造作に幾つかおかれていた。
仕方ないよ、成人女性だもん。
割とソフトなものからエグメの物まで色々ある辺り、それなりに使っている事が伝わってしまう。
いや、少女なら、「なんですかこれ?」くらいの反応をしてくれる可能性もある――!
そんな淡い期待をしつつ、凄まじい冷や汗をかく干物であった。
■黒羽 瑠音 >
「いいんですよ、先生ってお仕事大変でしょうし」
「家でくらいリラックスしてだらーんってしてたいでしょうし……」
「でもほら、あんまりふえーせーだと、医者の不養生ってやつが、あるかもですし」
しょんぼりしている先生、何だか新鮮……と思いながらフォローしてみる
実際押しかけて来たのは私だからそこまでしょんぼりする事は無いとは思う
「あ、ならそれで大丈夫です」
テレビラックの下の箱をとる先生、常備薬がぎっしり詰まっている辺り、やっぱり保険の先生だなぁと安心
とりあえず消毒用エタノールを確保してもらいつつベッドへ
「よっせ、っと」
少し勢いをつけてベッドの上を片していく、うーん、でるわでるわ
下着にシーツ、タオル、之は全部回した方がよさそう、お酒の匂い染みついてるし……?
いや、下着は前回で履修済みだし、タオルとシーツはいいんだけど
「……ぁー」
少し前の私なら「何ですか之?」ってなっていたに違いないだろう『それら』
良く分からないものもあるけど、一緒にあるって事は多分『そういうもの』なんだろう
「せ、せんせい……」
「その~~~……」
「えっと……」
「 使ったら、ちゃんとしまった方がいいと思いますよ?」
少しだけ大人になってしまっていた私は、顔を真っ赤にして大人用のアイテムから目を背けるしかなかったのである
流石にこれは先生に片付けてもらうしかないよねと思いつつ、そのままシーツやタオル類を網に入れて洗濯機に投げ入れていくのだ
■焔城鳴火 >
「――うん」
BOTかな?
目が死んでますね。
言われるがまま、ゴミを纏めていく。
干物にはもうそれしか、自分を保つ方法が思いつかなかったのである。
――しかし。
恥ずかしそうに『大人の玩具』を指摘されてしまうと。
ただでさえ小さい干物女は、ますます小さくなるしかなかったのである。
言葉すら出ない。
立派に成長した少女を誇りに思いつつ。
ぷるぷると震えながら、今にも泣き出しそうに目を潤ませながら、顔を真っ赤にしている事しかできなかった――。
もちろん、『玩具』を片付ける事も出来ず、正座である。
――心が折れかけていそうだ。
■黒羽 瑠音 >
大人って大変なんだなぁ
そんな様子を見て思うのは一つ
そういえば父さんが母さんにしこたま怒られてる時もこんな感じだっけ……
いけないいけない、小さくなってる先生を見ると、なんだか妙な気持ちになっちゃいそう
何とか元気を出して貰わないと……でもその前に、簡単にでも掃除を終わらせて、っと
「よし、と」
一先ず集めた洗濯物を確認してから洗濯機のスイッチON
更に室内用の消臭スプレーを強めにプッシュしてから窓を閉める
短時間だけど換気してるだけで大分変るはずだ
「先生?せんせー…… ふぅ」
残ったのはまるで借りて来た猫みたいに正座でぷるぷるしてる先生、そういうことで……
此処は一つ、ちょっと無理にでも気分を復活させてもらう事にしよう
「せんせっ!」
冷蔵庫にキープしておいたラムネ弐つを取り出して、後ろから先生のほっぺたを挟むようにぎゅーっと押し付ける
「ほら、御褒美ですよ?好きなだけ飲んでてください、丁度今日缶とペットの日みたいですから」
「ささっと捨ててきちゃいます!」
そういってからん、と涼し気な音を立てるラムネを置いて少しだけ部屋から出る
こういう時にはほんの少しでも一人で息を整える時間が必要だと思うのです
勿論そのほかに、これだけ体を動かした後のラムネは美味しいだろうなぁ~~って打算もあったりするんだけどね!
■焔城鳴火 >
砕けそうなメンタルを辛うじて、半泣きになりながら保っている干物。
しかし、そこは立派に成長した自慢の生徒。
干物には勿体ないくらい言い娘な生徒の気遣いに。
「――ひょわぁっ!?」
またも、レアな女性らしい悲鳴が出た。
頬っぺたが冷たい。
慌てて受け取ると、よく冷えたラムネだった。
そして、あまりにも気が利く少女は、干物を一人にしてくれるのである。
泣きそうだった。
というか泣いた。
――少女が戻ってきた時に見たのは、ラムネを一口飲んで、テーブルの上に泣き崩れている干物女だった。
「うぅぅぅ゛」
生徒の優しさに挫けかけていたメンタルが崩壊したらしい。
割とガチめに泣いていた。
■黒羽 瑠音 >
大人って大変なんだなぁ(10分ぶり二回目)
帰ってきたら先生がまるで漫画で飲み潰れた人みたいになっていました
流石にこうもなると私にも手がない、というかどうすればいいか分からない
取りあえず中に入って、先生の傍にそっと座り……どうしたものか少し考える
「大丈夫ですから、私、全然気にしないですし、ほら、前に来た時だって…」
大分アレでしたし、とまで言いそうになったのを抑えつつ
ぽんぽんと肩に触れながらさする、流石に頭をなでたりは失礼だろうし……
「一通り綺麗にしましたし、ゆっくりしましょう、あ、私も飲み物のみたいなー、先生、何かオススメとかあります?」
「ラムネも持ってきたんですけど、他にも冷蔵庫に色々冷えてそうなのありましたし」
「ちょっとつまみつつ疲れた体にご褒美あげましょうよ」
このまま泣いていたら先生の顔が真っ赤に腫れてしまう……!
という危機感を拭い去るために、多少強引でも別の、先生が自主的にできそうなことを進めるのである
いや本当、もう一日来る日が違ったら違ってたんだろうか、次からはアポとってから来たほうがよさそう
■焔城鳴火 >
「――るぅぅねぇぇぇ」
隣に座って気遣ってくれる少女に、干物が完全に陥落した瞬間だった。
泣きながら、すぐ傍の少女に縋りついた。
もう、大人もヘったくれもなかった。
いやうん、だって大人って言ってもまだ二十代だもの。
「ほんとありがとうぅぅぅ、ごめぇぇぇん」
普段と違い、普通の女子みたいな崩れ方だった。
優しさがあまりにも心に染みてしまったようで。
生徒と教師、という肩書は吹き飛んだらしく、今は頼りになる優しい少女に、ダメな大人が泣き付いていた。
■黒羽 瑠音 >
「ひゃっ、先生!?」
抱き着かれて目を見開いてしまう、そういえば先生、私より小さいんだったなぁ
だけど抱き着かれて思うけれど、体はやっぱり私よりもずっと大人な気がする
そんな人に抱き着かれたら、流石にちょっと慌てざるを得ないのです
「いいんですって……あはは、先生、こんな日もありますって」
微妙に罪悪感を感じながら、泣きついてくる先生の肩を抱くようにしてあやしてみる
昔、何度か母さんにこうしてもらったっけ、まだまだ子供の私の体で安心感を与えられるかは分からないけれど
きゅーっと、暑くなりすぎないように適度に力を籠めつつ、ぽんぽん、と手のひらで後頭部を撫でてみる
「もう、之じゃどっちが子供か分からないじゃないですか」
そういって冗談めかしながらも、今の状態の先生をほっとくわけにはいかないよねぇ、なんて気持ちで暫くぎゅっとしていた
■焔城鳴火 >
「うぅ――こんな、ダメな大人でごめんん」
ぐずぐず、と、少女にあやされながら、ガチ泣きする。
抱かれると安心感を感じるのは、本心では、いつも人の温もりに飢えているからで。
ひとしきり泣いた後も、離れがたくて、少女の胸に顔を押し付けていた。
「――私だって、大人になりたくてなったわけじゃないもん」
もん、とか言ってしまうあたり。
相当にいろんなものが溜まっていたのかもしれない。
無意識に、ぎゅう、と少女に抱き着いて、ぐすぐすと、ぐずってしまう。
色々とあまりにも駆け足で生き急いできてしまった、鳴火という娘には、この少女の温もりがあまりにも手放しがたかった。
■黒羽 瑠音 >
「ダメなんかじゃないですよ」
「先生はもう幾つも、私に教えてくれてるじゃないですか」
少なくとも、先生とこうしている時間が私にとって『良い』時間なのは確かで
そうでなければ態々遊びにも、片づけをしよう!なんて思ったりもしないのです
胸が少し冷たく感じるのは、それだけ先生が頑張っていた証拠なんだろうな
「私は先生と、生徒で出会えてよかったと思いますよ」
「そりゃあちょっと……お酒とかは気を付けて飲んでほしいとは思いますけど」
「こうやって会えたのは間違いなくその縁ですしね」
ぐずるようにする先生が、今だけは不思議と、妹みたいに思えてしまう
後で言ったら怒られそうだなぁ、なんて思いながらもこの時間がちょっとだけ心地よく感じてしまった
腕の中の小さなぬくもりは夏の暑さの中でも、もう少し味わっていたくなるもので
それでも、頭の中で持ち上がってくるものは――
「ふふ、せーんせ?」
くい、と顔をあげさせたところで、こつん、と額をぶつける
「隙あり、です、私が男の子だったらキスしちゃいますよ?」
ちょっとした悪戯である、実際、漫画や小説だったら、勢いでキスしたり、その……押し倒したり?
そんなイベントが発生しそうだなぁ、なんて頭の片隅で考えていた
「ほら、私でよければ幾らでもぎゅっとしてていいですから、飲み物のみましょ~~私もう喉からからですし!」
■焔城鳴火 >
「そう、だといいけど。
私なんか、ほんと、なんもできないし」
いつも自信満々な様子で教師をしているが。
それが虚勢とまでは言わないものの、本質は、いつだって不安で自信がないのである。
目の前で大切な人達を、幾度も失ったのもあり、誰かの優しさや温もりに弱くなっていたのかもしれない。
「ほんとに――?
ぐす、私、ちゃんと、先生、やれてる?」
そんな自信のなさが、甘えるように言葉に出てしまう。
それだけ、普段から気を張っていたのかもしれない。
「ん、え――」
顔をあげられ、目の前に優しい少女の微笑み――
「――――」
気付けば。
飲み物を、と言い始めた唇を、思わず塞いでしまっていて。
それもたっぷりと時間をかけて、瑞々しい柔らかな唇へ、しっかりと重ねてしまってから――
「――あ」
唇を放してから、腫れた目と、顔を耳まで真っ赤にして。
「その――ごめん」
なんて、とても恥ずかしそうに目を逸らした。
■黒羽 瑠音 >
「不安になるの、分かります、私もこっち来てから勉強も大変ですし――」
「異能の方だって、まだいい感じの成果が出てるわけでも無いですし」
「だけど、それでも自信を持って教えてくれる先生がいるだけで」
「勇気、貰えるんですよ?」
一年生で編入したての私に、心細い時間が無かったなんてことは言えないけれど
友達や先生たちとの触れ合いが何時も元気と勇気をくれているのです
「はい、寧ろ、今日もっと先生が好きになりました」
「そんなに不安でも、頑張って私たちを導こうとしてくれてるんです」
「そんな人、立派じゃない訳がないじゃないですか」
自信が心からある人も、自信がなくても、誰かのためにそう振舞う人も、どっちも立派だと思うのだ
だから、今くらいは甘えて、弱い所を見せていいと思う、まぁ……
その相手が私でいいかどうかは割と疑問なんだけど!
「ふっふー… ふぉぅっ!?」
一瞬、何が起こったのかわからなかった
「ぉ、… ふぇ……」
いや一瞬じゃないな、十数秒だな、気づいた時には近づいてきていた先生の顔が離れていて
「……」
「せ」
「せ、ん、せ、い~~~!?」
思わず耳まで赤くなりながらぽかぽかと先生の胸を叩く
「わ、わわわわ、私のファーストキスぅ!?」
「いやそりゃ、先行は私だったかもしれませんけどぉ!」
ちょっと涙目になりながら唇に指をあてる
柔らかかった……じゃなくて!頭の中で?と!が整列してるぅ
「と、とと、とにかくっ、休憩、しましょっ!」
何とかそれだけ言って、きゃあきゃあしながら冷蔵庫へと向かい、適当な飲み物を引き出そうとする私がいた
■焔城鳴火 >
――少女の言葉が、じんわりと暖かく、空虚だった胸にしみ込んでくる。
お世辞やその場しのぎでない、本心からの言葉だと伝わるからこそ、目の前の少女が生徒としてでなく。
――一人の娘として急激に愛しくなってしまった。
「――あ、え、ごめ」
自分でも理性を飛び越えてしまった行為だったので、少女の可愛らしい反応にも、鈍い。
あたふたとキッチンへと向かっていく少女が、涙目になっていたのを見て。
「――やらかしたぁぁぁぁぁぁ」
急激に冷静になって頭を抱えていた。
いや、冷静ではなかったが。
(なにやってんのよ鳴火!?
相手は14歳の子供でしょ!
しかも生徒じゃない!?
それも最初の思い出が同性!?
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――)
「――死のう」
罪悪感がオーバーフローしていた。
■黒羽 瑠音 >
「おちつけー瑠音、同性だし、生徒と先生だし、ノーカン、あれはノーカン」
「先生も心がぐだぐだしてたせいだろうしぃ、うん、忘れる方向で……」
「取りあえず飲もう、お酒じゃないけどっ」
小さくぶつぶついいながら、適当に美味しそうな… オレンジのジュースらしきものを手に取る
ラムネも一本、こうなりゃヤケ飲みである
「あ、なんかおやつに食べさせてもらいますねっ!」
気兼ねなく飲ませてもらうために、適当にお菓子なんかが無いかあさる、柿の種とかならあるかな?
よし、後はジュース用にコップを用意してっと
ラムネはこっちで空けちゃおう、うぉお!
*ぽんっ*
「よし、これで……いやいやいや、死んじゃダメですって!?」
「まだまだ教えてもらいたい事ありますし、ほら、乾杯しましょ乾杯」
二人分のコップを手に取り、ラムネを開けた時の指先の冷たさを感じながら戻ると
先生がまだ死にそうになっていた、うんまぁ、うん
「飲んで、わすれま、しょう!」
どんっ、とコップを置いて、とぽとぽとジュースを注ぎ、無理やりにでも持たせて乾杯しようとする
その後一気に飲み干したオレンジジュースは、何時もより少しすっきりした味がしたかもしれない
――初めて飲むかも、こういうの
■焔城鳴火 >
「うん、その、ほんとごめん」
やらかした本人も顔が真っ赤なままである。
衝動的だったとはいえ、今、一緒に居る少女があまりに愛しく感じてしまっている事実は変えようがないのだった。
壁こそ分厚いのだが、崩されると途端に惚れっぽいのが鳴火だった。
「ああ、うん、うん、そうね。
飲みましょ、飲んで忘れ――」
ようと思っても、酒で酔えない体質の鳴火の視線は、コップを飲み干す少女の口元に釘付けであったり。
そんな少女から目を離せなくなりながら、ちびちびと、オレンジジュースらしきものを呑み――
「――ちょ、瑠音、これオレンジハイ!?」
しかも飲みやすいわりにアルコールがきついやつだった。
■黒羽 瑠音 >
「まぁ、その、お互い様ってことでぇ……」
「急に来た私が元はといえば、ですし、うん」
そういう事にしておこう、という気持ちでややしどろもどろ気味だけど言い張りつつ
「それにまぁ、ほら、うん、ちょっとしたお遊びって事ならノーカンってことで……」
「ギリギリセーフにしておきます」
にへら、と笑って見せつつ、ジュースをくぴり
それにまぁ、嫌かどうかって言えば……
「嫌な気分自体は、なかったですし」
と小さく呟いたりしながら、照れ隠し代わりに一気に飲み干す
余程喉が渇いていたのと、飲みやすいからか一気に二杯、缶一つ分一気に飲み干して
「ふはぁ~~」
何だか、胸のドキドキがもっと大きくなった気がするけれど…?
「え、オレンジパイ?私食べたことないですね」
きょとん、と首を傾げつつ、空けたてのラムネをぐびぐびする私だった
■焔城鳴火 >
「あぁ――」
早くも酔いが回ってしまっている。
とはいえ、ラムネも飲んでいるし、急性症状の様子もないし、缶一杯くらいならちょっとしたヤンチャの範疇だろう。
なんて、冷静に考えてる脳の割合が三分二厘と言うところ。
あまりにも低かった。
「ふぅん、嫌な気分じゃ、なかったんだ」
そう言いながら、すりすり、と少女との距離を詰め。
「そのジュース、美味しかった?
実は、もっと美味しい飲み方があるんだけど、試してみる?」
そう言いながら、少女の頬にやんわりと手を添えながら、少しだけ潤んだ瞳と、さっきまで泣いていたが故のほんのり腫れて、羞恥で赤くなった顔で少女に上目遣いを向ける――!
■黒羽 瑠音 >
「ふぃ~~」
頭がぽかぽかしている、なんとなーく気分がいい
さっきまでのどぎまぎした気持ちから、寧ろどんとこい!って感じになってるかもしれない
「そりゃ~~そうですよ」
「まぁ?やっぱり私も~恋とか興味ありますけど~、キスとかはまた別って言うか……」
「かっこいい男の子にデートでリードされてみたいとかありますけどー」
「そもそも男の子の知り合い、まだあんまりいませんし~~」
口が軽くなっている気がするけどきっときのせいだろう
「はふふ、くすぐったいですよせんせー?」
すりよってくる先生を不思議そうに見える
「え、そうなんですか?ぜひぜひ、結構気に入ったかもです!」
ぱぁ、と笑顔を見せながら頬に当たる先生の手の暖かさを感じる
なんだかびみょーに既視感がある気がするんだけど……
「―― せんせー、かおあk… か、かかかっ!?」
「ちか、近いです先生!?」
緊急地震速報!震源地私の脳内!エマージェンシーコール発生、はりーはりー!
「今絶対変な事に、なってましたって!ていうか、あっ、おれんじ… ハイ、あー、ハイ、」
「ハイになってましたね今の私ってやかましいわ!これお酒ぇ!?」
真っ赤になった先生の顔で一瞬正気を取り戻した後は、そのまま大混乱に陥る私、うぅ、何時もの先生だったら
これ、完全に笑いながらお酒飲まれてた気がするよぉ
「そ、その飲み方は―― また今度でっ!」
いや多分想像通りなら今度でもまずいが?
先生の授業の成果が脳内で渦巻いてるんだが?(続)
■黒羽 瑠音 >
「そ、それと、そうだっ」
「先生、実は今日、ちゃんとした用事も、あって……」
こほん、と、顔を真っ赤にしたまま
「ちょーっとだけ、私の異能の実験に付き合ってもらいたいんです」
「私が自分じゃなくて誰かに『飲んでもらうために』異能を使った結果を集めてるんですけど……」
「先生も協力してくれませんか?」
何て、もう忘れかけそうになっていた異能の話を何とか絞り出して、状況の変化を試みるのだ
■焔城鳴火 >
「――あーあ、我に返っちゃった。
残念ね」
そう言いながら顔の距離は離さずそのまま――少女の柔らかい頬にそっと唇を触れさせた。
「瑠音、気を付けなさい――あんた、私を惚れさせる才能あるわよ?
なんて、生徒に手を出したら流石に免職かしら」
そして、普段と違う少女のようなくすくすとした笑みを浮かべて、少女から――大事な生徒から離れた。
「まあ、瑠音が興味あるなら――今度ね?
色々と、実践授業してあげちゃうけど」
普段の口角を挙げて鼻を鳴らすような笑い方ではなく、素直に『あはは』という笑い声が零れた。
「ん~?
なによ、私を惚れさせることよりも大事な事?」
にやにや、と笑いつつ、それでも余程穏やかで柔らかな笑みを浮かべつつ。
自分も顔が赤くなってるのを感じながら、冗談半分――本当に半分かはともかく――で揶揄い。
「あー、あんたの異能ね。
試行錯誤してる結果は、レポートになってる分は見てるわよ」
自分の能力を、授かったものだからとあきらめずに、一生懸命な事は、実はよく知っていたりする。
ついつい、暇が出来ればこの少女の記録を眺めてしまっていたりと。
今日の事件が起きる前から、すでに『ただの生徒』以上に気にかけてしまっていたのだった。
「そういえば期末考査もあるしね。
実験結果のレポートでも提出しておけば、とりあえず単位も取れるだろうし。
そうね、協力はいいけど――」
少し考えて、お互いのまだほんのり赤い顔を眺め。
「――キス、一回」
なんて、いつもでは感がられないような、悪戯っ子のような笑顔を向けていうのだった。
■黒羽 瑠音 >
「我に返るっていうか、返させられたっていうか~~」
「ひゃんっ!?」
結局された、頬だけど、うぅ、何だか変な気分が抜けないじゃん……
「え、遠慮しときます!」
うん、興味がある、何て言えるわけないでしょ!というかこのままいくと完全に先生のペース――
でも、うん、元気になったみたいでよかった、何時もの調子に戻った先生を見るとホッとする
「というか、寧ろ惚れるより惚れさせてほしい側なんですけどねえ……」
「単位はもうよゆーらしいのでそっちは一安心です、普通の授業の方が大変かなぁ」
「向こうと違って全員一斉に進めるから勝手が違って……」
今まで受けてた中学校の授業とは大分勝手が違う講義というものに、少しずつ慣れてきたところなのです
ともあれ、OKを貰ったので持ってきたラムネを小さめのプラカップに…
「きすぅ!?」
濯ごうとしたところの爆弾発言のせいで、こぽっ、と中身を少し零してしまった
「えぇ、本気ですか先生??」
顔を耳まで赤くしてしまいながら、ハンカチで零れたラムネを拭くのです
■焔城鳴火 >
「あら、フられたわね」
なんて言いながらも、楽しそうに笑う様子は、やはりいつもよりも穏やかだ。
「あー、そうか、講義形式、しかも科目も自由選択ときてるしね。
一般教養はまあ、ほぼ必修みたいなもんだけど」
そりゃあ、外の中学生がいきなり大学や専門学校に放り込まれたようなものだとしたら、慣れるのも大変だろう。
それにしては、随分と上手にやれてるのは、この少女のひた向きさがあるからか。
「あははっ、瑠音ってば、真っ赤になってるじゃない。
なによ、嫌なの?
私は、正直、よかったわよ、瑠音とのキ、ス」
声を上げて笑いながら、少しだけ、悪戯に艶の出した声で、つい先ほどの事をわざと思い出させ――
「――なんて、次やったら、私、絶対あんたのこと押し倒すからダメね。
そのまま大人の階段スキップで登らせて、明日になっても絶対帰さない自信あるわ」
なんて、けらけら笑って言うのだから。
少女からしたら困った先生だろう。
「部屋の掃除もしてくれたし、お礼くらいさせてよ。
あんたのための協力なら、少しだって出し惜しみしないわ」
と、とても柔らかく優しい声で微笑みながら答えた。
■黒羽 瑠音 >
「振られた、って……もう!」
ぷんぷん、と頬を膨らませてからかってくる先生に怒ってみる
――いや、そうしないと何だか流されちゃいそうだもん
「体育とかならまだ、なんですけど、あんな広い教室で皆で授業……講義を聞くって」
「やっぱり勝手が違いますね、先生も皆さん丁寧に教えてくれますし」
「偶に他の友達と勉強もしてますから何とか……」
ついていける、といった所である、自分でいうのも何だけど頑張ってる方だと思うよ、私
「う~~~、もう、何処までが本気か分からないのが性質悪いです」
「それもこれも、この前の先生との『勉強』とのせいでもあるんですけどねっ」
少しだけ意趣返しに頬に手を伸ばしてむにーっと引っ張ろうとして見る、これくらいは許されるはずだ
「とーにーかーくっ、OKなら早速やってみましょう!」
「えいっ」
ラムネに異能を使ってみると、炭酸が消えた……けど色は変わらないみたい
「さ、先生、飲んでみてください♪」
そんなわけで、プラカップの中身を渡してみるのである(続)
■プラカップの中身 >
微かにフルーティな風味に喉を抜ける心地よさ、きりっとした刺激の辛口、それも上等な日本酒のように感じる
度数も恐らくそれなりに高いのではないだろうか?
■焔城鳴火 >
「なんとかだって、ついていけてるだけ大したもんよ、えらいえらい」
なんて頭を撫でてしまう。
仕方ないだろう、少女へはもう、『特別』を自覚してしまったのだから。
「ん、言っておくけど全部本気。
私、好いた惚れたで適当を言うつもりはないし。
まあ、それで恋人になれとかせまるつもりゃにゃふぁ――」
むにむにと、頬を引っ張られる。
無駄な肉のない頬はハリがあるが柔らかく、むにぃっと伸びるだろう。
「――まふ、なに、ラムネに使ったの?」
ヘンな音を出しながらほっぺを解放されると、炭酸の抜けたラムネ(仮)を眺める。
「んー?
なにこれ、なんか覚えのある匂い――」
そう言いながら受け取ったカップの中身を味わうように一口含み。
んー、と考えるように唸りつつ、呑み込んだ。
「――うん、私好みの日本酒ね。
んー――日本酒度は10ちょっとくらい?
度数は20くらいかしらね。
あんたが呑んだら、一発でふらふらっといきそうなヤツだわ」
と、詳細な感想を告げつつ、二口目を味わう。
やはり、この干物、味覚だけは凄まじく繊細なようだ。
■黒羽 瑠音 >
「… えへへ」
撫でられると素直に嬉しくなって、頭をすりすりとしてしまう
小さい頃に母さんにはよくこうしてもらったけれど
流石に一人でこっちに来てからはご無沙汰だった
「~~~ もう、先生、そーいうのタラシっていうんですよ!」
全部本気、と言われると逆に困ってしまう、何だか、これから会うたびに意識してしまいそうで…
何て言ってる時点で意識してるじゃん、もうっ!
「はい、元々そのために多めに買ってきたのも……日本酒、ですか?」
「父さんが良く飲んでたけど、透明だし匂いもちょっと甘い感じでよくわかんないんですよね」
「さっきのは……本当にジュースみたいでしたけど」
「まさか、流石に一口じゃよっぱらったりしませんよー……多分」
「でも、美味しいならよかったです、今のところ皆美味しいっていってくれてるなぁ……」
先生の反応をメモしつつ、ちらちらとプラカップの中身に目を向ける私
……実は日本酒も、飲んでみたら美味しかったりするのかな
既にオレンジでお酒の味を知ってしまった私は、そんな事を頭の片隅で考えてしまっていたりして
■焔城鳴火 >
「なーに言ってるの、私をタラシたのは『瑠、音』、でしょ?」
と、わざと色気を出して言うのだから、こればかりは経験値の差だろうか。
――さてさて。
「ふうん?
まあ、さっきのはほとんどジュースみたいな味に作ってる酒だからね。
んー、慣れてないと酔う前に喉が焼けるかしら。
私が呑んでる酒なんて、身体に悪いもんばっかりだし」
そう言いつつ、貰ったカップのお酒は大事に味わう。
うっかりとは言え、『惚れて』しまった相手から貰ったものなのだ。
じっくり楽しみたくもなるのである。
「不思議なもんね、あんた、自分で呑むものにやったら、また大変な事になるんでしょう?
でも、私に渡したものは、こうして美味い酒になったわけで」
そう話しながら、すす、とさりげなく少女の隣に座り、距離を詰める。
ほら、と飲みかけのプラカップを少女の鼻先へ向けてみれば、しっかりとアルコールの匂いがするだろう。
■黒羽 瑠音 >
「う~~」
「そんなつもりはないんですけど、ねぇ」
少ししなを作る様に言う先生は様になっている
う~身長だけなら私の方が上なんだけどなぁ!
「へぇ……私としてはせんせーにはごじあいしていただきたくおもうんですけどね」
「でも、体に悪いものっておいしいですからね、こう、あぶらとか……すいーつとか…」
じゅる
「そうですね、今のところ他の人に使った時も美味しいのばっかりで……ちょっとうらやましいという…」
「ふぇ、ふぇっ」
近づいた先生、鼻先に香るものが鼻をくす、くすぐりーー
「ぶぇっくしょい!!」
勢いでくしゃみをし、大きく頭が揺れる、思えばさっきのお酒で『酔い』が少し回っていたんだろうか
私はその時、思わず自分が持っている方のカップにも異能を使ってしまった事に気づかなかったのである
「あ~きつ、たしかに之は飲んだら大変そうですね……」
そしてその変わった先が、偶然か必然か、先生の持っているお酒と同じ中身になっていた事も――
照れ隠しに、それを一気に飲み干したことも――
結果
「!!!?!!?!?」
「かっっっらぁ!!?」
辛い、としか言いようがない、文字通り喉が焼けるような感覚が喉奥に拡がったのであった(続)
■黒羽 瑠音 >
「こほ、こほぉっ」
思わず涙目になる私、うう、これ大分恥ずかしいぞ…!
「あ、あれぇ……あ」
「あ、あはは、うっかり自分のまで"変えちゃってたみたいです…"」
色んな意味で失敗に気づいた私は、飲みかけのプラカップを持ち上げながら耳まで真っ赤にして先生にひくついた笑みを向けるのであった
■焔城鳴火 >
「私、アルコールじゃ酔わないし、身体も悪くならないのよね。
ある意味、特異体質みたいなもんか。
そうねえ――私はあんまり甘いものには詳しくないけど、脂ものが美味しいのはわかるわ」
そして実験の経過を聞いていたら、大きなくしゃみ。
「ぷっ、あははっ!
なにいまの、漫画みたいなくしゃみ!」
可笑しそうに、声を上げて笑う。
そして笑いながら、自分のカップを飲み干す様子を見守り――
「瑠音っ!?」
流石に悲鳴が上がれば驚きもする。
心配そうに顔を覗き込んだ。
「うっかり、ってあんた――もう、心配させるんじゃないわよ」
そう言いながら、安心したように息をついて、また少女の胸に体を預ける。
本気で焦った顔を見られるのが恥ずかしかったのと、恥ずかしさで赤くなった顔を見られるのが上塗りで恥ずかしかったからである。
しかし――耳から首筋まで真っ赤になってるから、『アルコールで酔わない』という話をしてしまった以上、別の理由で赤いのはまるわかりになってしまうのだが。
■黒羽 瑠音 >
「そ、そーなんですか… 」
うらやましいのかどうなのか、酔うという経験が無い私にはいまいちわからなかった
まぁいまその初めてなくなりそうなんですけど
「う~~ 先生、流石にアルコールはこれ以上やばいんでこっちも飲んでください……」
何時もは変えたものは気合で飲み干すが、流石にアルコールはまずいので先生におすそ分けする事にした
「あ、ちょっ……もう、先生、今日本当……なんだろ」
「まぁいっかぁ」
ちょっとまたぽかぽかしてくる頭ではうまく考えられず、何となくぽんぽんと先生の後頭部をなでてしまったりして
「まぁ、実験もぉ、之でOKですし、今日はもうゆっくりしましょ……ふぁ」
何て、安心したら欠伸がでてきちゃったのでした
■焔城鳴火 >
頭を撫でられると、胸の奥が温かく満たされるのを感じてしまう。
自分がどれだけ、人の温もりに飢えてたのか、嫌でも自覚させられてしまった。
もちろん誰でもいい訳でなく――
「――んんんんん゛ッ!」
少女の胸に顔を押しつけたまま、ヘンな声で唸る、思春期を拗らせた干物女。
「――ばかっ、あんた、ここで寝たら私の理性が持たないでしょうがっ」
そう言ってがば、と顔を上げて、プラカップを奪い取って一気に飲み干す。
「――はあっ!
もう、瑠音、あんた、私に襲われたい訳!?」
と、言いながら、真っ赤な顔で、欠伸をする少女の両肩に手を置いた。
抵抗されなければ、このまま押し倒してしまいかねない勢いだ。
■黒羽 瑠音 >
「……」
「……?」
「いや先生、何言ってるんですか」
唸った後に襲われたいの?とかいう先生に思わずそう返しつつ
「あ、ありがとうございます……いやいや」
「ちょっとぼーっとしちゃっただけですって、これが『酔っぱらう』って感じなんでしょうか?」
「もー、…」
ゆさゆさされて少しだけ目が覚める
「しかたないですねー」
肩を掴む先生の両手にカウンターする形で私からもくっついて
そのまま頭を抱え込むようにぎゅーっとする事で押し倒されるのを防いじゃおう
「ふふ、私結構鍛えてますから?先生が襲わないようにこうしちゃいます!」
まだちょっとだけ酔ってるのかもしれない、でもまぁ
このくらいならいいよね、先生も、いつも大変だろうから
枕になるくらいは――うん、どうせ今日は休みだし
「休んだら、もうちょっとお部屋片づけましょう?」
「流石にこのままだと~~直ぐまたお部屋が汚部屋になっちゃいますし?」
くすくす、と笑いながら撫でる仕草は、ちょっとだけ様になってる……といいな
■焔城鳴火 >
「――――」
通じてなかった。
天然なのか、アルコールのせいなのか。
「ああもう、る――っ!?」
不意打ちで抱きしめられれば、胸がぎゅう、と締め付けられるような感覚があった。
「――はぁ、もうこの子は」
そんなふうに言う声に、嬉しさが全く隠せておらず。
そのまま、また少女に体をすっかり預けて。
その温かさに、どこか、とても遠い記憶――懐かしさを感じて――
「ん、そうね。
――ありがと、瑠音」
そうして、心から安心できる温かさに身を預けて。
ほんの少しだけ、穏やかに目を閉じるのだった。
――その後。
14歳の少女に、完全に誑かされてしまった自分への凄まじい羞恥心に悶え転がる干物女や。
掃除のお礼に、特製のカレーを一緒に作って嬉しくなってしまってまた悶えたり、と。
年下の少女に、散々、調子を狂わされてしまうのだった。
ご案内:「職員寮 第四アパート」から焔城鳴火さんが去りました。
ご案内:「職員寮 第四アパート」から黒羽 瑠音さんが去りました。