2024/11/08 のログ
ご案内:「職員寮 第四アパート」に焔城鳴火さんが現れました。
ご案内:「職員寮 第四アパート」に黒羽 瑠音さんが現れました。
■焔城鳴火 >
「――ったく、あのガキ共ときたら」
養護施設の院長代理として、子供たちに夕食を用意し、学園から帰ってきた年長組に後を任せるつもりが。
幼い子たちが揃いも揃って鳴火を放さないもので、予定よりも随分遅くなってしまっていた。
(遅くなるとは言ったけど――ほんとに来るのかしらあいつ)
と、すっかり慣れ親しんだアパートの部屋まで来ると、中から慣れない匂い。
それに釣られるように扉を開ければ、美味しそうな匂いが部屋を包んでいた。
「――ほんとに来たのね」
誘い誘われと言った形であったが、すでに日も沈んだ時間。
内心、声を上げたいくらい嬉しかったものの。
一息堪えて、靴を脱ぎ捨てるように、部屋に上がった。
■黒羽 瑠音 >
こんばんは、黒羽瑠音です、今日は先生のお家に『お泊り』に来ています
最近、先生は保健室じゃなくて、何だっけ……
そう、保育士の先生みたいな事をしているそうです
そうでなくても、ちょっと見る度に疲れが見える気がして…
『ごはん、ちゃんと食べれてます?』と聞いたのが切欠だっけ
それにしても、やってきた身の上で言うのもなんだけど
先生がOK出したとはいえ割と顔パスで入れる職員寮もどうかと思ったりするのは私だけだろうか
「~~~♪」
鍋に入った料理をかき混ぜる、ふんわりと香るお味噌の匂い
酒粕を混ぜているから、少し鼻に抜けるような感じがする
「… ん」
ずず、と一口味見…、母さんの味…にはまだ及ばないかなぁ
何て考えていると、丁度先生が帰ってきたみたい
「おかえりなさーい」
部屋はある程度お掃除して、ごはんが出来ればいつでも食事に出来る
お風呂は… ちょっと沸かすの早かったかも、追い焚きすればいいかな
「上げて貰ってます!もう直ぐごはん出来るからゆっくりしててくださいね
あ、グラスは冷凍庫に冷やしてありますから」
■焔城鳴火 >
――おかえりなさい――
その言葉に眩暈がして、胸が詰まり、少女に返事が出来なかった。
のろのろと、ふらつく様にキッチンを覗けば、いつものように明るい少女の姿。
気づけばその背中に手が伸びていて――
「――ただいま」
少女の背中に縋りつくようにして、小さな声でぼつりと。
うっかりすると、涙が溢れてしまいそうだった。
『あの日』以来、感情のコントロールが利かない日が増えた気がする。
「ごめん、邪魔になるわね」
そう言いながらも、離れるのを惜しそうにしつつ。
もし、今少女が振り向けば、鳴火は瞳を潤ませながら顔を赤くしている事だろう。
まるで思春期の乙女の様に。
■黒羽 瑠音 >
「わわっ、もう、料理中ですよ~~?」
後ろから触れてくる先生、こうしてくっつくと…
やっぱり先生、私より小さいんだなぁ、と少し変な気持ちになる
普段はあんなに頼りになるのに、ふと目を離すと何だか消えてしまいそうな軽さがあって
「ふふ、そう思うなら食器出してもらっちゃってもいいですか?
先生も早くご飯食べたいでしょうし、ごはん、もうできますから」
頭につけた三角巾を外しながら、エプロンを翻す
汁物はできたし、ごはんを持って、おしんこを添えて…
「おしんこは出来あいのですけど……あ、先生納豆は食べます?
私、納豆は好きなので毎日食べてるんですよ、ちょいアレンジも良くして…」
何てどうでもいい話をしながら先生に笑いかける
……先生、顔真っ赤、熱でも、いや、ちょっと疲れてるのかな?
「ふふ、こういうの本当は『ごはんにする?お風呂にする?』なーんて奴ですよねえ」
今日はご飯一択だけどね!折角なら出来立てを食べてもらいたいし
その間に追い焚きをしておきたいから、うん
炊飯器にも既に炊けたごはんが保温してあって
これまたタイムセールでお安く買えたコロッケにはキャベツが添えてある
出来あいが多いって?汁がメインだからいいんです!
■焔城鳴火 >
明るくて暖かく、優しい少女。
きっとこんな子たちこそ、鳴火の『兄姉』達が残そうとした火種なのだろうと思う。
そう思うと余計に、気持ちが高ぶってしまいそうで、落ち着かない。
「――だから、でしょ。
ちょっと、顔、見ないで」
今自分がどんな顔をしているのか想像すらできない。
左腕の手枷と鎖が、かちゃり、と音を鳴らすが。
少女が振り向いたら少しだけ逃げるように身を竦めて、視線を泳がせた。
「ん――、わかった。
でも、納豆はちょっと苦手。
味は好きなんだけど、匂いが、ね」
そんな風に答える鳴火は、鎖の巻かれた左手で、自分の髪を弄りながら、もじもじとしている。
それこそ、どちらが少女かわかったものじゃない。
この少女を前にすると、どうにも、こうなってしまう自分が情けないやら、恥ずかしいやらで。
「それは、ん――」
少女の明るい冗談に、胸が痛くなる。
髪を弄りながら、上目遣いに出た言葉は。
「――瑠音がいい」
そんな、少しだけぶっきらぼうな、けれど、多分に照れの混じった言葉だった。
■黒羽 瑠音 >
「え~~くっついてきたの先生なのに…」
ぷぅ、と業とらしく頬を膨らませてみる
この位の方が疲れもほぐれるかなって思うし
手に巻かれた鎖をみて、思わず目を瞬かせる
……ファッション、じゃないよね、うーん…
いっか、取りあえずご飯にしよう、私もお腹すいたし
「ふふ、なら納豆は今度にしておきましょうか、他にも
色々健康にいいものは冷蔵庫にパックの入れといたので…」
さ、後は『これ』を盛り付けるだけ――
「へっ?」
な所で、先生の声に思わずあっけにとられた声が漏れて、汁を零しそうになる
あ、あぶな… もう、先生、流石にそれは私でもわかるよ!?
「もう、私はもうここにいます、よ~~?
ほら、折角作ったんですし、ごはんにしましょう、ね!
故郷から母さんが里芋と岩海苔を送ってくれたので…
今日は芋煮にしてみました、じゃーん!」
メインはまるっこい里芋に豚コマ
千切ったこんにゃく、ネギ、しいたけ、ゴボウ等が入った味噌仕立ての芋煮
中には酒粕が入っていて、好みで岩海苔もふりかけるのが我が家の味だ
「ふふ、一応お酒も用意してありますよ、そうですねえ…
なら、取りあえずお酌はしてあげますから、それで我慢してくださいね?」
と、驚かされた分、口元に指をあてて、にっ、と笑って冗談を返してみる
…… もう、本当にびっくりしたんですからね?
■焔城鳴火 >
一瞬あっけにとられた少女を見て、自分が零した言葉に、顔を火よりも赤くしつつ。
「ん、良いわね、芋煮。
すごくいい香り」
そう言いながら、そそくさと逃げるように食器棚から、食器を降ろして、手に抱える。
顔が熱い。
胸が痛い。
「お酌してくれるの?
それは、ふふっ、嬉しいわね」
そんな言葉は、普段の様に含みがある言い方ではなく。
妙に素直な声音だった。
けれど――
「――ばーか」
食器を持ってキッチンから離れる時に、ぼそっと。
誤魔化されたのを不満そうに呟いて。
食器をテーブルに置きながら――
(――馬鹿か私は!?)
茹るような顔の熱さを感じつつ、落ち着かない様子で皿や箸を並べていた。
■黒羽 瑠音 >
「あ、はい、母さんに作り方を聞いたんですけど…
そこそこうまく言ったと思います、レシピ通りだし!」
酒粕をいれてるんですよー、何て拘りポイントを伝えていく
一人で食べるのもいいけど、やっぱり誰かと一緒の方が暖かいよね
「先生、最近大変そうですしねー、私でよければ
労わせてください、何時も皆の健康の為に頑張ってますもん」
ごはんも盛り付けて、私用のお茶と、先生用にお酒…ビールでいいかな?
持ち出して、冷凍庫から冷やしておいたグラスをとんとん、と置く
――何か後ろから小さく声が聞こえた気がする
振り向くけれど、其処には食器を並べる先生しかいなくて
少し動きがふわふわしているのは、やっぱり疲れてるからなのかな
「じゃ、いただきますしましょう!私もお腹ペコペコ~~」
並んで座って、手を合わせる
横にいる先生に、にこーっ、と一番の笑顔
多分今日は、美味しいって言ってもらえる自身はあるもん
「いただきまーす!!」
そういう訳で、冷めないうちに、熱々のご飯を頂いちゃおう
■焔城鳴火 >
少女の気遣いが、暖かくて、胸を締め付ける。
家族の味を分けてくれるのも、とても嬉しくて、泣いてしまいそうだった。
「ありがと、大変だったでしょ」
一足先に腰を下ろしていたら、少女がすぐ右隣に。
その笑顔に、頭の奥が燃えるように熱く、胸が苦しい程に痛い。
「い、いただきますっ!」
少女の声を追いかけて、慌てて大きな声を出して、気持ちを誤魔化す。
――この感情は、少女相手に抱えてはいけない。
それこそ、今の鳴火が抱いてはいけないと、冷たい理性が燃えるような熱を凍えさせようと必死で。
「っ、それじゃ、早速、腕前を見せて貰おうかしらね」
熱を振り切って、そんな風に、味噌の香りが優しい、里芋を器用に箸で取って、皿の上で小さくする。
鳴火は底なしの酒飲みではあるが、物理的に体格相応の口の大きさなのである。
そして、鳴火の一口大になった芋を口に含んで、ゆっくりと咀嚼し。
――鳴火の両目から、大粒の涙があふれだした。
鳴火自身にも自覚が無かったのか、ぽたぽた、と手を濡らし始めて、やっと気づく。
「んぅ――っ!?」
慌てて口元を押さえつつ、右手で焦ったように乱暴に涙を拭い始めるが。
まるで、涙は止まらない。
(なんで――どうして――)
混乱しつつも、涙が止まらない理由に、説明がつかない。
自分の感情が暴走しているのは、よくわかったが。
ただ、一つ明らかなのは、少女の料理が十数年ぶりに鳴火に鮮やかな味わいをくれた事。
鳴火は痛覚の大部分が欠落しており、痛みに非常に鈍い。
そのため、味覚も一部に味気なさを覚えてしまう。
だからいつも通りのつもりで口にした芋が、まるで知らない味に思えて、驚いた事は確かだっただろう。
■黒羽 瑠音 >
「このくらいへっちゃらですよ、私も食べたかったし」
事実である、何なら一人で食べきるのが大変だったというのもあり…
之で上手くできたら、今度はシェアしてる友達にもご馳走してみようかな?
何て考えながら一口、ほこほこしたお芋は懐かしい味で
それなりに再現できたと知ってほっとする
「ふふぅ、これなら及第点はくれますよね?せんせ……」
横目で先生を見る、さて、どんな評価をくれるのか、
何て思ってたら、そこにあったのは予想外の先生の姿で
零れ落ちるものをぐしぐしと拭こうと…あぁ、服が、服が!
「だ、大丈夫ですか?熱かったですか?」
咄嗟にハンカチを取り出して、渡す…いや
思わず身を寄せて、無理に涙を拭おうとしている右手に手を添えて抑える
そのままもう片方の手で持ったハンカチでそっと涙を拭いたいな
何と言うか、先生はとても、困っているように見えたから
幸い、アジがまずかった… って感じじゃなさそうだけどね、あはは…
「……やっぱり、今してるお仕事、大変なんですか?
私、何も知らないけれど……愚痴くらいなら幾らでも聞けますよ
それくらいしか出来ないとも言えますけど、なんて」