2024/07/15 のログ
ゼア >  
「ゼアのはね、魔術じゃないよ。異能。
 種族……のそれとは、ちょっと違うと思うなー。ゼアも別の世界から来たんだけどー、ゼアと同じことが出来る子はあまりいなかったし」

ゼアの住んでいた世界の妖精族は、皆何かしら不思議な力を持っていた。
ゼアは、それが《巨人化》《小人化》というだけの話。皆が皆、ゼアのようなことができていたわけではなかった。

「んー。でももうちょっと頑張るよ。
 早く終わらせて、かき氷をいただくのです。海にも行きたいしー」

海水浴場にはそれなりに人がいて、思い思いに楽しむ姿が見える。
それの一つになりたい。ゼアがたった今抱いた願望だった。

マト >   
「異能、つまりゼアのオンリーワン、みたいなものか」
「大きくなったり小さくなったり……少し前に読んだ本の主人公みたいだね」

くすくすと笑いながら楽し気に作業を進める
あなたの能力について話を聞けば興味深げに頭を傾けたり、ふんふんと相槌を打ったり

「そっか、そうだね、いたりして疲れた後に食べるものはもっと美味しく感じるらしいし、後ひと踏ん張りしようか」

「海、かぁ……」
「泳ぐのは苦手みたいだけど、砂で色々作るのは楽しいと思う」

以前に友人と海に来た際、軽すぎて波に浚われそうになったりしたため、自分が泳ぐの苦手なのではと考えているマトであった

とはいえ、砂で城を作ったりするのは中々に楽しかったので苦手とまではいかないようだが
ともあれ目下の最大の楽しみは仕事上がりのかき氷、それに尽きるのだった

ゼア >  
「おぉー、主人公?
 ゼアみたいな子の本があるの? 何それ気になる」

と、そこで。興味をひかれたフレーズ。
それほど読書というものにこれといった興味も感情もなかったのだが。ちょっと前向きな心がゼアの中に芽生えた。

「泳ぐのダメなの? でも砂遊びも楽しいよねぇ。
 ゼア、公園の砂場で、で――――っかいお城作ったことあるよー。人が入れちゃうくらい。すぐ崩れたけど」

人間の子供たちにせがまれて、作ったはいいものの。そのうちの一人が中に入ってはしゃいだら、秒で崩れた――そんなエピソードがある。
砂の一夜城、五分で陥落。砂まみれの子供を囲んで大盛り上がりだったので結果オーライかもしれないが。

さて、そんなふうに仕事を進めていれば、山もそれなりに小さくなっていき。

「あと少しだねえ。もうひと頑張りだー。
 かき、ごお、りーっ」

欲望がダダ漏れの掛け声とともに、少なくなった山から荷物を抱え上げた。

マト >   
「うん、『不思議の国のアリス』って言うんだけれど……」
「主人公の子も中々面白い性格をしていて、本の内容もいろんな意味で飽きなかったな」

大きくなったり小さくなったりは本の中の一幕でしかないが、兎を追って穴に飛び込むくらいにアクティブな子の話だ
意外とあなたも読んでいて通じるところがあったり……するかまでは分からないが
ともあれ、興味を持った様子のあなたに対し、マトも嬉しそうに笑みを浮かべている事だろう

「ふふ、もし図書館に来たら図書委員の誰かに聞いてみれば直ぐ見せてもらえると思うよ」

「おぉ、それは凄いね、僕は一緒に来た友達の姿を砂の像にしてみたんだ、結構力作だったんだけど……」
「流石に人が入れる砂の城には負けそうだね、凄いねゼア」

素直に目を瞬かせて尊敬にも近いまなざしを向けつつ
仕事もようやっと終わりに向かいそうだ

「かーきーごおりっ、と」

荷物が入っていた段ボールを畳んで纏め、最後の仕上げを――
終わらせた

「よし、終わりだね、おつかれさまゼア♪」

無事に仕事終わらせれば、うーん、と大きく背伸びをしつつあなたに朗らかに笑いかけるだろう

ゼア >  
「『不思議の国のアリス』……聞いたことある!
 へええそうなんだそうなんだぁ。そんなお話なんだねぇ」

ゼアでも名前だけは聞いたことがある、そんな本。
そんな物語とは知らなかったものだから、目に輝きが灯る。

「今度行ってみよー、図書館」

やりたいことがどんどんと増えていくゼア。
――果たして活字を読みなれていない少女が、最後まで読み切れるか。

「どやぁー。がんばった。崩れちゃったけど。
 砂の像、かぁ。それもすごそう。見せてほしいなー」

「おつかれさまー、ゴーレムちゃん。
 すーっごく助かりましたっ。ありがとーっ」

達成感、解放感。人の役に立てた喜び。
それら喜びの感情を振りまきながら、今日の仕事仲間にお礼を言った。

マト >   
「ふふ、それは何よりだ、僕がいたら案内してあげるし、他の図書委員も皆親切だと思うから直ぐ見つけられると思うよ」

興味を持ってもらった事に心の中でガッツポーズをしているだろう
有名なお話なのもあって媒体や本の形態も様々あるはずだし
活字だらけのものは難しくても、挿絵が多いものや絵本の体形をとっているものを探せば読破も可能、かもしれない

「ふふ、もし一緒に海に遊びに行く機会があったらゼアのも作ってあげるよ?」
「僕もゼアの砂の城はみてみたいな、実際に入れる砂の城なんて中々見れるものじゃなさそうだからね」

「ん、此方こそ、お陰で無事終わったよ、出来る事ならまた協力したい所だね」
「ふふ、じゃあ――」

心地よい疲労感に包まれながら、お互いにお礼を言いあう
とても心が温まる時間だ、そして――

「ご褒美タイム、だね♪」

此処からがお楽しみである、適度に汗をかいた体は、今こそ冷えたものを欲していた
そう、バイトは終わったが、かき氷の時間はこれからだ

ゼア >  
「うん。もしそうなったらよろしくねー」

さて果たしてそう言って図書館に来るのはいつになることだろう。
来る気がないわけじゃないんです。マイペースで気分屋なだけなのです。

「ゼアのも? わあ、楽しそう。
 お城もリベンジしたーい。今度は崩れないようにしたいなー」

自重で崩落しない、巨大な城。
作るのは困難だろうが、ゼアはゼアなりに燃えていた。

さて、仕事も終わらせ、喜びの感情と共に欲望を爆発させる。

「ご褒美たーいむっ♪
 ゴーレムちゃんはブルーハワイだっけ? ゼアはどうしようかなあ。メロンとか、おいしそうなんだよねぇ。
 ふふ、かき氷、かっきごーおりー♪ 一口ずつ交換こしようねぇー♪」

ゼアは小躍りしながら、今日の雇い主のところまで、二人並んで戻ることだろう。
太陽は相変わらず容赦なく地上を照らすけれど。
今のゼアにとっては、それすらも楽しかった。

海開きが早まって、人で賑わう海水浴場。
常世の夏が、もうすでに始まっていた。

ご案内:「【期間限定】海水浴場」からゼアさんが去りました。
ご案内:「【期間限定】海水浴場」からマトさんが去りました。