2024/07/18 のログ
ご案内:「【期間限定】海水浴場」に八坂 命さんが現れました。
八坂 命 >  
海の家「琉瑠家」。
「海神の宮」よりは小規模な海の家だが、個人的にはこちらの方が「海の家」って感じがして好きだ。
そんな琉瑠家のテーブルに突っ伏して、恨めしそうに海で遊ぶ人々を眺めている。

「青い空に白い雲。
 絶好の海水浴日和。
 でも僕は怪我で遊べへん……」

ぐんにゃり。
先日の秘密活動で負った怪我は未だに完治していない。
日常生活には支障がないところまでは回復したが、当然海で遊ぶなんてもってのほか。
なのでこうして気分だけでも味わおうと海の家で焼きそばを食べたりしているのだけれど、当然気なんて晴れるわけもない。
部員のみんなには心配をかけたし、助けてくれた人には活動を内緒にしてもらうことをお願いし忘れたし。

「べつにええけどぉ。
 どうせ泳げへんし、水着にもなりとおないし……」

強がりを口にしてもやっぱりつまらない。

ご案内:「【期間限定】海水浴場」にヴィシアスさんが現れました。
ヴィシアス > 2本ツノの生えた、実に形相の悪い巨漢。

―――悪魔が、

海の家でぐんにゃりしている貴女の視界に現れる。
人によれば威圧感満載の、雰囲気。

に反して。

何やら…心配そうな表情をしている。

暫く…貴女を見つめて話しかけるか逡巡したのち。
こう言った。

「あ。あー…失礼。」
「急に声をかけて申し訳ないのだが。」

「余計な世話ならすまないが。」
「……どうも、怪我をしているように感じられる。違うだろうか。」

この悪魔は。
やけにお節介であり。
何となく、他人が怪我している事が、生来の能力故に分かるのだ。
―――無論、隠そうと思えば隠せようし、
気のせいであると言われれば、きっとそれまでだろうけれど。

八坂 命 > 「えっ」

なんかめっちゃいかつい人に見られてる。
えっこわ。
なになに、めっちゃ見てる。
えっこっち来たえっこわ。
思わずぎゅん、とテーブルに突っ伏したまま顔を逸らす。

「――ぴっ」

が、無駄な抵抗もむなしく、声を掛けられた。
ぎぎぎ、と顔をゆっくり向けて、

「――――キノセイデスヨ」

ガクガクブルブル震えながら片言で答えた。
冷や汗だらだらの顔で。

ヴィシアス > 「あっ」   挙
「その」   動
「……」   不
「ええと」  審

「いやっ」

「あのっ」

「聞いてほしいんだっ」

「私はただねっ」

「あの、怪我をしていないかその、心配であの。いや、その…」

挙動不審。
そうとも。
見るからに悪魔ですよというこの形相。

それはそうだ。
その反応は正しい。
この間の子がたまたま肝が据わってただけで、
普通そうである。

やっちまったか…
そんな顔で。

お互いに、きまずそーな顔を向け合った。

ヴィシアス > 「す、すまない…」

小声。
実に。小声。

八坂 命 >  
「へぁ」

ケガヲシテイナイカシンパイ。
その言葉の内容がわからない。
しばらく威圧感に震えていたが、

「――怪我をしていないか心配?」

ようやくそれの意味するところに思い至る。
確かに怪我はしているし、なんならタイツ越しとは言え包帯も見えるだろう。
一度右脚のふくらはぎに視線を落とし、戻す。

「……新手のナンパ?」

今度は目を細め、眉を寄せてけげんな表情。

ヴィシアス > 「怪我をしていないか心配。うむ……そうだが。」

なんか、やっと意味が伝わったようだ。
そんな怖いか?
冷や汗垂れ流して震えるくらい怖いか?
いや怖いよな、普通そうだ。
若干呆気に取られて間抜け面を晒す悪魔は、しかし。

「ナンパ……ぁ゛ッ」

確かにそうともとられかねない。
誤解を解かねばならぬッ

「っすすすすまない、決してそういう意図があったわけではないッ」
「私は病院勤め故、少々怪我人の気配に敏感なのだ」
「とりわけ…怪我をして嫌な思いをしている者にはね。」

包帯が見えた。
それに、妙に嫌そうにしてるのもなんとなく察せられる。
それにしたってそりゃあ怪しまれるのも無理はない。
どうするか…

「…そうだ、名乗ったほうが良いな」
「私はヴィシアス」
「癒しの契約を司る悪魔だ。」

とりあえず…不審者でない事を示すには名を示すのが良い…のではなかろうか。

八坂 命 >  
「癒しの契約ゥ?」

うさんくせー。
明らかに顔にそう言うセリフが浮かんでいる。
完全に不審者を見る目。

「怪我はまぁしてるけど。
 えぇ、じゃあコレ治してくれる代わりに魂を寄越せとか、そう言うアレ?」

上から下までじっくり眺める。
めちゃめちゃ身長が高い。
自分より頭二つか、もしかしたらそれ以上。

「もしくは契約とか言うて代わりに身体を、みたいなそういうやつゥ?」

前髪の向こう側からじとっと見る。

ヴィシアス > 「ふッ……その反応は、正しい。
 悪魔を名乗る相手に対して、契約を疑ってかかる。
 対価を確認する。絶対に必要な行為だよ。
 魂を奪われるかもしれない。体を奪われるかもしれない。
 その感覚は持つべきだ。」

見た目への恐怖ではない、
悪魔の自分への懐疑。それに対しては嫌な気持ちはしない。
何故なら悪魔の契約とはそういうものだから。
そういう意味では…その視線も気分が良い物でも、ある。

「だから私は契約の際、古臭いと言われようと、
 必ず契約の内容を記した"書"を交わす。
 書の内容を破ることは出来ぬ。お互いに。」

契約については、随分しっかりしたこだわりがあるようだ。

「対価はそうだな――普段は金銭を要求するが―――」

きょろ、と海の家の商品とか見てる。

「ここの一番高いかき氷と、コーラと焼きそば奢ってくれたらそれで良いよ。」

ちょっとがめつい。

「…うぅん…まぁ。」

沈黙。

「最悪コーラは自分で買うよ。」

答えを聞く前に妥協した。

八坂 命 >  
「ふぅん」

こういう島だ。
そんな悪魔もいるだろう。
悪魔にナンパされるとは思わなかったが。

「そらお買い得やけど、やめとく。
 ほっといてもそのうち治るし」

ひら、と手を振って。

「治るまでは不便やけど、これは僕がヘマしたから出来た怪我やし。
 それを簡単に治してしもたらあかんと思う」

お断りする。
確かに不便だし、毎日のお風呂が地獄だけども。
けれどある意味でこれは罰のようなものだ。
だからちゃんと自分で治さなければいけないと思う。

「ところで悪魔なんにお金ないのん?」

コーラと焼きそばぐらい自分で買えばいいのに。

ヴィシアス > 「ふむ。そうか、お断り…分かった。
 手軽に直したとて、それが本当に君の為にならない事もあるだろう。
 余計な世話ですまなかったな。」

簡単に直したらダメな傷、か。
疑われている、というよりは――本心からそうなんだろう。
悪魔は契約を提案するが、
契約を拒まれたらそれ以上求めることをしてはならない。
そういうものなのだ。

「金か?
 …ああ、金欠というわけではない。
 海開きだからと、はしゃいで手ぶらで見に来たら、
 コイン2枚しか持ち合わせがなかったことに今気づいただけだ。」

見た目よりは、おまぬけなようだ。

八坂 命 >  
思ったより簡単に引き下がってくれた。
怪我を治そうとすることもそうだが、随分お人好しな悪魔もいるもんだな、と。

「いやアホやないの。
 ナンパするならお財布忘れたらあかんでしょ」

思わずツッコミを入れる。
お人好しなのではなく、単に抜けているだけなのでは?

「もー、しゃーないな……
 店員さーん、焼きそばとコーラ一つー」

お腹の空いてそうな悪魔を放置も出来ない。
店員さんに注文をぶん投げて、自分は手元の焼きそばをすする。

ヴィシアス > 「…あの。何か勘違いされているようだが、私は君の怪我を直して、
 あわよくば海の家のを楽しんだら帰るつもりだったのだ。
 本気でナンパするならもっとこう、あるだろう?!
 まあ。なんだ、君はそういうのされそうな美人さんなのはそうだが。」

ずっと、何か良からぬ勘違いをされていないだろうか?
とりあえずその疑惑は否定しておこう。

「えッ、いいのか…?」

……勘違いされてる割に。
焼きそばとコーラをくれた。
目の前に届く海の家の風物詩。

「悪魔がモノをただで恵まれるというのも、おかしな話だ…
 私から君に出来る事といえば癒しの契約位で、それも不要と言われた。
 どうすればいいのだろうか。……受け取って良い物なのか?」

八坂 命 >  
「はいはい、わかってるからナンパの悪魔さん」

にっこーと笑う。
勿論ナンパが目的ではないと言う彼の言葉は本当なのだろうとは思う。
思うけれどもナンパと言うことにしておいた方が面白いのでそう呼ぶことにした。

「ええて。
 お腹空いてる人前にして僕だけ焼きそば食べるなんてこと出来んよ。
 その方がよっぽど悪魔やろ」

もしゃぁと焼きそばを口に詰め込む。
これは自分が気持ちよく焼きそばを食べるために必要な経費なのだ。

ヴィシアス > 「…ヴィシアスだ。二度目だぞ。
 妙ちくりんな名前で呼ばないでくれ。………ええと。……なんでもない。」

すっごい嫌そうで、どんよりしている悪魔。
対象的だ。

強烈な威圧感のある顔に似合わず、黒線3本縦向きに惹かれてそうなコミカルな落ち込み具合。
とりあえず、名前くらいは聞いておこうかと思ったが。
…名前聞いたらまた"ナンパの悪魔"とか言われそうだから、ええと。でとどまった。

「んん、んむ。そうか…それは…どうも。」

対価を出さずに恩恵を得るのは、何とも釈然としない。
しないが…ほっといても焼きそばは冷めるし、コーラは熱でマズくなる。
頂くとするか、とやけにでかい手で箸を手に、食事を始める。

「頂きます…ッ」

八坂 命 >  
「……悪魔に名前教えると魂取られるって噂、ほんとなん?」

彼が言葉に詰まったところは、なんとなく名前を呼ぼうとしている気がした。
にんまりとしたまま顎を両手に乗せて。

「僕が心置きなくご飯食べるための対価やと思ってもろて」

頂きますと律儀に言う彼にどうぞどうぞと手で示して見せる。
そのまま焼きそばを頬張りコーラを流し込むのをなんだか楽しそうに眺める。

「おいし?」

こてんと首をかしげて聞いてみる。

ヴィシアス > 「派閥によるな…。だが、真なる名は悪魔にとって重要なモノだ。
 扱いによっては名から魂を奪う事も可能なにもなり得る。
 もっとも…奪われる側も、黙って奪われるものばかりではなかろう。」

真面目に答えるが―――

「…んなっ…なにがおかしいッ?!」

…随分機嫌が良さそうだ。貴女の笑顔を見ると、
まるで悪魔の此方が掌の上で転がされているような気さえしてしまう。

「あぁ…そうだな。お陰様で。空腹とは最高のスパイスだ。
 そして暑さと渇きは、コーラを極上の味わいにしてくれる。ふぅー…」

―――まあ、でも。

「……礼が、遅れたな。ありがとう。」

それも、対価になるなら、良いだろうか。
今は喜んで掌の上で転がされよう。

八坂 命 >  
「えー、じゃあナンパの悪魔のヴィシアスくんに名前教えたら、魂ナンパされてまうって事?」

くすくすと笑う。
あくまでナンパの悪魔として扱おうとするらしい。

「いやぁ、随分美味しそうに食べるなぁ思て。
 奢った甲斐があったなぁ、って」

前髪の奥でにこにこ笑顔を浮かべて見せる。
悪魔だろうが人だろうが、自分がご馳走したものを美味しく食べているのを見るのは好きだ。

「いーえーどういたしまして。
 ――僕、八坂命。
 命でええよ」

ヴィシアス >  

   「ぶっ」

    こーらふいた。


 

ヴィシアス > 「やッ
 やめろッ!
 ヴィシアスと付ければ良いと思うなよ?!
 私は"癒し"の悪魔だ。"ナンパ"の悪魔ではない!!」

だめだ。
この笑いに、やっぱり転がされてる。
でもなんかこうやってツッコミ入れるのも…結構楽しい。
おかげで怒ってるように見えて半分くらい笑えて来てる顔してる。

「ああ……命。よろしく。
 先に言っておくが今ので"魂をナンパ"などはしない。」

八坂 命 >  
「うわっきったな。
 なにやってんのもう」

思わずガタガタっと椅子ごとテーブルから身体を離す。
テーブルに備え付けてある布巾でそのコーラを拭いて。

「はいはいわかったわかった。
 "卑し"――じゃなくて癒しの悪魔のヴィシアスくんね」

コーラと焼きそば奢ってあげたし。
いちいちいい反応が返ってくるので、からかい甲斐があってとても楽しい。

「ん、よろしゅー。
 ――しかし、暑いなぁ」

首まで覆うインナーに、長い黒手袋。
タイツまできっちり履いてしかもミニスカとは言え着物を着こんでいるのだ。
冷感魔術的なもので対策はしているとはいえそりゃ暑い。

ヴィシアス > 「す、すまない。」

ふいーっと、赤黒い瞳が横に反れた。
……えッ?掃除してくれた今?意外と優しいなさては?


「ふう、やっと分かってくれたか。まるでナンパ師のような悪質な異名をつけられては、
 この先どうなるかとずっと心配だった。」

「その、重ねて余計な世話だろうが。」
「この季節に…分厚すぎないか?装い。特に着物に…手袋まで。その。ああいや。」

あっ
やっべ
って顔

「…違う。そうではなく。」

これ遠回しに脱げって聞こえないか。
またナンパだ卑しだ言われないか。

「す、涼めることをしよう。うむ。」

言い直した。

「私は悪魔故ちょっとした魔法も使えるのだよ。見せてみようか。」
「例えばそう…」

「ミントとレモンの氷風~、とかな。浴びるとヒンヤリ爽やかな気分になれるぞ。」

変な魔法でごまかした。

八坂 命 >  
ささっと拭いて布巾は畳んで元に戻しておく。

「……んー?
 いやらしなぁ、もー♡」

今日一番の笑顔。
口の両端をにまーっと上に釣り上げながら、もうほとんど袖を通しているだけの着物を掴んで更にはだけさせてみせる。
インナーがあるし別に露出が増えるわけではないのだが、妙に煽情的な仕草。

「あーほんまや、すずしー。
 そのままそのまま、あ゛ー」

彼の出す冷風を顔に当てる。
別に扇風機ではないので声が宇宙人になったりはしないのだが、顔に風が当たると条件反射で声を出してしまう。

ヴィシアス > 「……」

ごくり。
あーやッべ。
見ちまった。
めっちゃ、見ちまった。
何ならはだけたとこ覗きこむレベルで見てしまった

(大変素晴らしいものをおもちだ。)

ヴィシアスはでかいほうが好みである。
何がとは言わんが

「……」

黙っちまった。


「……ぶおーーー……」

とりあえずレモンとミントの爽やかな風を出し続けて
何もなかったと誤魔化しておこう
浴びるとその部分が凍り付いたように冷たくひんやりするのだ

そうだ

私は何も見ていないのだぁッ

八坂 命 >  
「ちょお。
 なんかいいや」

じとっ。
前髪から僅かに覗く、極低温の視線。
はだけさせた着物をさっと戻す。
なんならはだけさせる前よりもしっかりと。

「ほんまに"卑し"の悪魔やん……」

ぷい、と横を向く。
頬杖付いて顎を乗せ、むすっとむくれながら。

ヴィシアス > 「すまない。許せ。いや、許してください。」

平伏。
つめたい。

多分私がさっき出したレモンとミントの風より冷たい。

この暑さには丁度いい。

いや。

この暑さをもってしても極低温であると理解できる視線。
悪魔は負けたのだ。

八坂 命 >  
「――」

ちら、と横目を向ける。
そのままじとーっと冷たい視線を送り、

「っぷ、くはは。
 もう、おっきい図体して、子供みたいな悪魔やなぁ」

けらけらと笑いだす。
我慢しきれなかった。

ヴィシアス > 「……は…?」

笑って、居る…?
呆気にとられる悪魔。

…!

気付く。

「そうか…」

「また、私は…」

「君の掌の上で…」

「転がされたんだ…」

「ふ、ふふ…そうか…」

最初は私にビビっていたのに。
随分強かなものである、と思う悪魔だった。

八坂 命 >  
「はーおもしろ」

けたけた笑って、涙を拭う。
ここまでからかい甲斐のある相手は久しぶりだ。

「まーまー、焼きそば奢ってあげてんから。
 気ぃ悪くしたんなら謝るし、ごめんごめん」

ひとしきり笑った後に一応、と言った感じで謝る。
皿を持ち上げ、僅かに残った焼きそばをがさがさと口に流し込んで。
もぐもぐ、ごくん。

「――ところでヴィシアスくん。
 さっき海に遊びに来た言うとったけど、泳がんの?」

せっかく海に遊びに来たと言うのに、こうして海の家でだらだらしていていいのだろうか。
自分はそもそも泳げないし泳ごうとも思わないので良いのだけれど。

ヴィシアス > 「命…!」
「……悪魔を愚弄するかッ!!」
「代償を支払ってもらうぞ!」
「喰らえ、暫くはひんやりするがいい……!!」

めっちゃミント感の高い冷風が貴女に吹いてきた。
ほんのりと長い前髪を揺らすだろう。
そしてほんのりとひんやりミントエキスをお顔に浴びせまくるだろう
ただそれだけである。

「まぁ、うん―――奢られた手前、何とも云わんさ。
 存外、楽しめたし、…な。」

「ああ…そのなんだ。海開きだと思ってはしゃいで、
 何のプランニングもなく手ぶらで覗きにきたものだから。
 泳ぐためのアレコレもないんだ。コイン2枚とオモイカネ8しかないんだ。
 流石に裸で泳ぐのは色んな意味でまずかろうて。」

何とも行き当たりばったりだったことが明らかになった。

「モザイクをかける魔法ならあるがな。」

八坂 命 >  
「あーーーー。
 ひどいーーーー。
 こんなんだめんなってまうーーーー」

ひんやり涼しい。
流石悪魔、人を堕落させることに定評がある。
しらんけど。

「あーそう言えば手ぶら言うてたな……。
 ってオモイカネ8あるん?
 ほんならそれで電子決済使えば色々帰るんちゃうの?」

口座にお金が入ってさえすれば、決済機能が使えるはずだ。
色々設定はしなければいけないけれど。

ヴィシアス > 「でんしけっさい…?
 なんだ、それは。」

きょとーん。
何を隠そうこの悪魔
オモイカネ8はつい先週手に入れたばかりなのだ。
ついでに言えば魔法文明の出身なので機械は全くよく分かっていない…!

「便利な地図アイテムと電話機能、備忘録用具くらいに思っていた。
 これのおかげで行きたいところに最短ルートでいきやすくなったよ。
 しかし…これで?モノが?買えるのか?どうやって?金が勝手に出ていくのか?
 何かの魔術なのか…?」

まるで理解が追い付ていないようだ…。
信じられないような顔をしている。

八坂 命 >  
「えっ電子決済しらんの?」

ホントに現代の人?

「あー、えーと。
 ――ほら、こう言うの」

自分の端末(オモイカネ8)を操作し、電子決済アプリの画面を見せる。
使える金額やらチャージボタンが表示されているそれ。

「これ入れとけばタッチ決済とかバーコード決済とかで支払い出来るんよ。
 あらかじめチャージはしとかなあかんけど、口座引き落としとかも出来るし」

ヴィシアス > 「はぇぁ…。」

この悪魔、機械に疎いのだ。

「え。…なにこれ。」
「……?」
「どういう事だ?」
「すまない。けっさい……」

一口に説明された言葉。
貴女には簡単な事だろうが、この悪魔は見せられる画面を眺めて
???と頭の上に疑問符を浮かべている。

「……???」
「ええと。……これを、入れる?ふむ。」
「とにかく、君と同じようにすればいいんだな。」
「……チャージ、チャージか。む。私のは……0だな。」
「…使えない……事を、意味する?」

とりあえず…見よう見まねでやってみる悪魔。
当然、入れてすぐの状態なら金額は0になる。

八坂 命 >  
「あーあー、えーと」

説明が難しい。
このサービス自体の、と言うよりは、それを説明するにあたって必要な前提知識を説明するのが。

「んー、えー。
 そうやね、言うたら先払い方式の買い物チケットをみたいなもんで。
 その使える買い物チケット分の金額がここに表示されるって感じ」

多分この説明であっているはず。

「チャージするってのは買い物チケットを買うってこと。
 この払い方に店側が対応してないと使えんけど、まぁ多分大体対応してると思う。
 ヴィシアスくん、口座にお金入ってる?」

まずそこだ。
クレカを使ったチャージもあるが、手ぶらなので無理だろうし。

ヴィシアス > 「はあ。なるほど。……無形のチケット。
 魔力の前借。ああ、分かってきた。そういう契約をコレで出来るのだな。」

チケット―――つまり、代価の先払い契約ってわけだ。
それでいつでも買い物が出来るようにしてくれる…それが数字になるわけだ。

「口座にお金…ああ、それなら。
 病院勤めをしているから、それが入っているだろう。
 そこで、嗚呼、分かったぞ!何かしらをこう……なんか、するんだ。」

要領を得ない理解。

「そうしたら、私の口座から、その、チケット?と勝手に化してくれるわけだな。
 どうしてそんなことが出来るのか、仕組みは全くわからないが……」

八坂 命 >  
「うん、そう、口座からお金引き落としてここにチャージする、ね」

なんかすごいふんわりした理解をされている気がする。

「仕組みはまー、チャージの操作するとネット経由でこのアプリの運営会社がアプリに登録してある口座の情報からそこに引き落とし請求を掛けてそれが通ったら口座からお金がその運営会社に送金されてその分の金額のチャージ処理が終わって結果このアプリにその金額分が加算されて表示されるって感じやけど、まぁわからなくても使える!!」

そう、仕組みなどわからなくても使えるのだ。
やり方さえ覚えてしまえば便利に使える、それが科学技術である。

「せやからまずは口座情報……。
 ――口座番号、覚えとる?」

一番大事な情報。

ヴィシアス > 「う、ぅむ…」

説明してくれているのを、赤黒い色彩がちょっと困った様子で見て…

「今、命が説明してくれた内容の2割ほどは理解できた。
 …"分からなくても使える"。これがわかっていればいい。そうだな?」

あまり、頭に入ってはないようだ。
だが、一番重要なのはそこだから。

「…すまない。口座番号、覚えていないな。通帳もない、か。
 ふむ……。」

思考中。
折角だし、試してみるのも良いだろうか…

「折角だ、これを機会に学んでみるとする。
 口座番号を用意出来れば、次のステップに踏み出せるようだし―――
 病院に戻ってみてくるとするよ。設定がいるんだろ?」

「良い事が聞けたよ。私も、電子決済とやらを新たに身に着けてみるとしよう。
 手ぶらで来たのが良くなかったな。はしゃぎすぎたようだ。
 ……出直すとするよ。」

「…では、一食の奢り、感謝する、命。
 魂をナンパなどはしないが、また会えたら話くらいはしておくれ?では、失礼…」

海の家から立ち上がり、
平らげた焼きそばのトレーとコーラの空ボトルを
やけに綺麗な軌跡を描かせてダストボックスへ投げる。

妙に強調した言い方でナンパを否定しつつも、その場を立ちあがると。

「それとだッ」
「怪我の方、お大事にな。」

一言、言い残して立ち去って行った…。

ご案内:「【期間限定】海水浴場」からヴィシアスさんが去りました。
八坂 命 >  
「うん、仕組みやなくて使い方がわかってれば使えるから」

とりあえず一番大事なところは理解してくれたようだ。
よかったよかった。
そしてやはり口座番号は覚えていないようだ。
そりゃそうだ、自分の口座番号を覚えている人はそうそういないだろう。

「そっかぁ。
 じゃあまぁ、出来る時にしとくとええよ。
 電子決済使えると色々楽やし」

いちいちお金を下ろしに行かなくていいと言うのは間違いなく楽。
勿論端末を失くした時とか、電源が切れていると使えないとかの問題は別にあるけれど。

「んー、次のナンパ楽しみにしとくなー。
 おおきに」

何て笑顔で手を振って見送って。
その後しばらく海の家でだらだらしてから自分も飼えるだろう――

ご案内:「【期間限定】海水浴場」から八坂 命さんが去りました。