2024/08/08 のログ
ご案内:「【期間限定】海水浴場」に橘壱さんが現れました。
ご案内:「【期間限定】海水浴場」にクロメさんが現れました。
■橘壱 >
夏といえば海。海といえば夏。
現在常世島も海開きの時期。
ご家族、カップル、或いは一人で海へと来た人々が沢山いる。
いわゆる夏休みなためか、特に人が多い。和気あいあいとした雰囲気にまみれている。
「……思ったよりも人が多い……。」
陰キャオタク、理由あって海へと来た。
インドア派の男にとっては余りにも無縁な場所。
だがとある隣人の思い出づくりに意を決して海デビュー。
ご覧の通りの水着姿。但し、不釣り合いな重厚なトランクは忘れていない。
レンズ越しに移る多くの人々に気圧されながら、軽く息を呑んだ。
「拙いな……思ったより人が多いしキラキラしてる。
僕も浄化されそうだしワンチャン帰るのもあるな。」
夏祭りの頃より気圧されてるぞ。
人は…同じ過ちを繰り返す…!
「……ところで今更だけどクロメって泳げるのか?」
連れて来といて今聞くのか。
■クロメ > 夏。
この島の夏は、それなりに暑い。
暑さそのものでどうこうなるようなほど、弱い存在ではないが鬱陶しいのも確かだ。
できれば、静かに過ごしたいのだが……
「……おまえは、私に怨みでもあるのか?」
最近、自分を引きずり回してくる男をじろりと冷たい目で見る。
しかも、図ったかのように嫌いな人混みに向かって、だ。
嫌がらせ以外の何物でもないだろう。
「そうか。では、帰らせてもらう」
帰るのもあるな、という言葉。
そうかそうか。なら帰っていいということだな、と真顔になる。
「……段取りが破滅的だな、お前は。
その質問の意図を問い詰めたいところだが。」
感情を見せない怪異が呆れたような感情を見せた気がするのは気のせいだろうか。
「そこらの吸血鬼であれば、そもそも不可能だが。
別に水に入るくらい問題はない。その気はないがな」
■橘壱 >
「いや、怨みはないけど……寧ろお前と遊ぶために駆け回る位してるんだけどな。
待て。帰るな!僕だって帰りたいし海って来る以外なにするのかわからないけど待て!」
ご覧の通り段取りは終わってます。
計画を組むこと自体は得意なのだが陰キャオタクだ。
こういった経験がないせいで上手く計画を組めなくて行き当たりばったり。
最初から背伸びせず、普通にお茶会程度から始めればよかったものを。
ある意味での空回りである。どうどう、と両掌を向けて平に、平に、と……。
「……にしても……まぁ、そうか。そうだな……。」
せっかくこっちは水着で来たというのに、彼女は何時もの格好。
彼女がそういう事するとは思わない。思わない、が……。
思わず、膝から崩れ落ちる。砂浜があったけぇ……。
「くっ……!わかっていたさ……一応言ったけど着てこない事……!
だけどちょっとみたいだろ……!水着……!せめて着替えろよ……!!」
水着用意しろよとは事前に言ったが期待はしていなかった。
そのうえでやっぱり見たかったスケベ心とクソオタク。
なんか悔しそうに握り拳を作ってる。そんなに見たかったのか、イチトラマン。
「え、お前吸血鬼なの?まぁ言われるとそれっぽいか……
……吸血鬼でロリで傲慢とか盛りすぎだろキャラ……今の時代じゃ設定過多だぞ……。」
怪異とは聞いてたけどそういうタイプなのは初耳。
顔を上げてまじまじと相手を見やってまさかのぼやき。
海に沈められても文句は言えない。
■クロメ > ばさり、と翼をはためかせ……僅かに宙に浮く。
この怪異、本気で帰ろうとしている。
「なんだ? 申開きでもあるのか?
聞くだけ聞いてやろうか。さあ、囀ってみろ」
ふわりとちょうど視界の高さに浮いて、宙に座るような格好で浮かぶ。
まるで女帝と臣下のような空気感であろうか。
「……おまえは、何を言っている?
確かに囀れとは言ったが……まさか、本当に理解のできない鶏の如き囀りを吐くとは思わなかったぞ。」
冷たい目が、ますます冷たくなったように思える。
真夏だというのに、絶対零度の結界が張られたかのように空間が凍りついた気がする。
この男が叫んでいる言葉の意味が全く以て理解できない。
まるで異世界の異なる言語でも聞かされているかのような気分だ。
なお、端から聞いている他の海水浴客の一部が眉をひそめていたりするのだが、それはそれ
「厳密には、少々異なるがな。そういう類の存在だ。
現代の伝承ではどういわれるかは、知ったことではない、が……
……何を言っている?」
設定だのキャラだのという言葉は古い怪異には通用しなかった。
お陰で海に沈められなかったのは僥倖と言える……のだろうか。
「今日は一段と狂ってないか、おまえ」
思わず、口に出た
■橘壱 >
「狂っている方だとは思うけど……待て、本当に帰ろうとするな!」
少なくとも非異能者で世界No1を目指そうとする辺り狂人ではある。
そもそも、いくらゲームとはいえその玉座に居座り続けたのだ。
玉座に居続けれるのは、それこそ狂人たり得なければ成し得ない。
だが、帰られるのは困る。待て待て、と両肩に両手を添えてストップ!
「いいか、良く聞いてくれ。此処は海であり、その場に見合った格好が必要なんだ。
高級レストランでドレスコードが必要なように、海には海の格好がある。
それが水着なんだ。いいか、お前だって場違いな格好の奴がいたらどう思う?
ちょっとなんかこう、目に付くだろ?そういう意味で必要なんだよ、水着。」
囀りどころか死ぬほど熱弁してきました。
水着の必要性を問いてくるこのクソオタク。
ちょっと理屈としては嘘を言っていないところが悪質である。
だが、傍から見ると両肩掴んで幼女に熱弁する怪しい少年である。
もしもし風紀委員、コイツが風紀委員です。
「いや、怪異としか聞かされてないからそういうのとは思わず……
……もしかしてお前、泳げないのか?なんだよ、先に言えよ……。」
からの無自覚煽りである。
厳密には違うと言っているのに泳げない認定。
まぁ仕方ないよな、吸血鬼って水に囲まれて封じられるような存在だし。
いや、実際そうなのかは知らないけど、何か水いやっぽいし、しょうがない。
スン、とヘンに落ち着いて眼鏡をカチャリ。
"僕はわかってますよ"感出すのが中々腹が立つ。
■クロメ > 「……」
頬杖をつき、足を組んで宙に浮く。豪奢な王座に座っている姿を幻視してしまうような佇まいである。
その女帝が、冷たい目つきで男の主張を聞いている。
傍から見たら、どういう関係だろうと思われるかも知れない。
大丈夫か、この男。
「ほう、そうか。」
冷たく言い放った。
言い分は理解した。だからといって、それに従う理由があるのか?
しかし、この妙な熱量で迫ってくるこれは、大変にめんどくさいと思った。
「要するに、水に入るための格好ということだな?」
ぱちり、と指を鳴らすと……服が豪奢なゴシックドレスから簡素な町娘のような姿に変わった。
もう一度、改めて。着古したような町娘の格好である。
だいたい、中世あたりの服装だろうか。服飾の歴史を嗜んでいればある程度のことは分かるかも知れない。
なお、余談だが露出度の高い水着は近代になってようやっと受け入れられ広まってきたらしい。
「聞いてなかったか? 吸血鬼とは似て非なるものだ。
別に、水に入ることに問題はない。」
煽りに対して、冷たい声が返ってくる。
このきぶれ、とでもいいたいのだろうか。
「……しかし、妙に熱が入っていないか?」
■橘壱 >
そうこう言っている内に彼女の服が変わった。
今の時代とは大分違う古めかしい格好だ。
確か授業で見たことある。相当昔、中世時代の格好だろうか。
「結構何でもありだと思ってたけど、すぐ格好も変えられるんだな……。」
彼女は所謂超越者。
非異能者の自分とは比べ物に成らないデタラメな力を持っている。
多分、此の程度はお茶の子さいさいなんだろう。
一見他愛ないようなものだが、息をするようにすることが凄い。
「(改めて思うけど、こういうのが出来る奴はもっと自信持つべきだよな……。)」
世の中、こういった超常現象が当たり前になり始めている。
科学の発展に魔術や怪異、本来ありえない幻想が現実になっている。
そういう時代に生まれているからこそすんなりと受け入れている少年である。
だが、非異能者としては、それは当たり前ではなく凄いことだと認識して欲しい。
羨ましい…とは少し思うけど、なんだかな。
此処まで来るとちょっと圧巻だ。嘆息さえ出てしまう。
「まぁ、その、せっかく来た海だし少しは浮かれてるのはあるかもな。
似て非なるもの、ね。泳げるならまぁいいか。とりあえず、あっち行かない?」
レジャーな雰囲気に浮かされたのはあるかも、少し反省。
それはそれとして漸く服装はそれっぽくなったんだ。
少しくらい海水に浸かるくらいはいいだろう。
浜辺の方を親指でさして、またしれっと手を差し伸べる。
「にしてもなんかこう、座ってる様が結構サマになってたな。空気椅子。
なんていうか……女王様?結構いい身分だったりしたのか?」
■クロメ > この怪異にとっては、魔法も、異能のような力も当然のように在る。
凄いと言えば凄いが、日常の一部であればそのような意識もない。
……が。その力を振るうことも少ないように、思える。
「魔力で編んでいるからな。」
要するに、着替えたというよりは変形させた、に近い。
なお、魔法少女アニメなどでありがちな謎の光だったりそういう物は一切なし。
気づけば違う姿になっているという、情緒のかけらもない変形であった。
「浮かれるようなものか?そもそも、海なぞ周り中にあるだろう」
その気になれば海に行くことなど容易いだろう、とそう言う。
実際、島ゆえに周りはすべて海である。行きたければ、気軽に行ける……だろう。
だが、そういうことではない。その辺りの機微を理解できていないようである。
「……」
差し伸べられた手を、また見なかったことにして。
宙に浮いた姿勢のまま、横に並んで移動する。
「……身分?」
ほんの僅かだけ、言葉が途切れる。
「……下らん」
そして、それだけを吐き出して、進む
■橘壱 >
「要は変形させたってことか、成る程……便利だな……。」
ある意味着替えいらずだし服もいらない。
おしゃれに頓着がないオタクにも優しいものではある。
つまり、その気になればあんな格好やこんな格好もさせられるわけだ。
邪念である。せっかくだから現代っぽい水着に変えて頂きたい気もする。
顎に指を添え、じぃ、とその姿を見やる。うん、時代が時代だから仕方ない。
多様性の時代だし、そういう海水浴の姿もなくはない。
「……なぁ、その姿もいいと思うんだが、ああ言うのにはなれないのか?」
と、顎で差したのは所謂フリルタイプの現代版水着を着た女性。
よくある可愛らしいタイプの奴だ。オタクくんの好み。
無駄に度胸はある。操縦士だから。
「泳げる場所は選んでるんだよ。
周りは海ばかりだけど、安全確保が出来なきゃね。
それに、みだりに海域を荒らしたら自然に影響がでるしな。」
それこそ毒性、凶暴性を伴う海洋生物だっている。
それらが住み着かない、或いは排除出来るような海域でなければダメだ。
人間は頑丈だけどデリケートだし、自然との共存する必要がある。
こう見えて考えられたうえで、海開きがされているのだ。
「……、……喋りたくなかったらいいんだけどさ。」
スルーされた手は引っ込めた。
くだらん。否定ではないと言うことは、多分そういうことだ。
「人間に排他されてたって事は、身分や肩書だけで狙われてたりしたのか?」
臆せずして踏み込む。彼女の事情に。
■クロメ > 「大したものでもない」
魔力で編んでいるということは、洗濯すら必要ない。
大変便利である。一回に一着(?)
その御蔭で、常に同じ服装で居られるわけである。
「確かに……魔の匂いもするな」
かつて、喚んではいけないようなものが喚ばれた経緯がある。
分かるものにはわかる、危険の残り香があった。
「……人は度し難い、というだけの話だ。」
はっきりと答えない。
それが身分に関わったことなのか、そういう話でもなかったのか。
何も語ることはなかった。ただ、どこか諦観に似た感情が見えたかも知れない。
「……」
男が指さした方を見る。
現代では多くの人が見慣れている水着だ。
その中でも、フリルをあしらったどちらかといえば可愛い系のもの。
そして……当然では在るが、手足が露出している。
「……」
視線を男に戻す。
「露出狂か?変質者か?」
怪異は価値観が古かった。それはそうだ、千年ものの存在なのだから。
その上、百年単位の空白が在る。心なしか距離が離れた気がする。気のせいかも知れないが。
■橘壱 >
「僕から見たら十分凄いけどな。
……え、洗濯もいらない?もしかして?」
クソ、二次元キャラが同じ格好してるレベルで羨ましい。
こっちの白衣は制服、仕事着代わりだからいつもしてるけど
洗濯がこれが結構面倒といえば面倒なのだ。洗い物が減るのはとても羨ましい。
「……相変わらずそれだな。
別にお前の価値観がどう、って今更言う気はないよ。」
半ば口癖みたいな聞き慣れた答えだ。
それを正そうとか、矯正しようという気は今はない。
少しでも人を見直すような事があれば変わるかもしれないが
受けた仕打ちを考えればそうなるのも当然だ。
それでもそう、ふぅ、と一息吐いて彼女を横目で見やった。
「けどそんなことばっかり言ってるのも良くはない。
僕が信用出来ないなら別にいいけど、吐き出す位で結構スッキリするモンだぞ?」
溜め込んでばかりだから何でも腐っていくんだ。
愚痴でも何でも、吐き捨てる場所さえ間違えなければいいんだ。
凝り固まった、まるで煮凝りのような底に見えてきた。
少年は吹っ切れた側だからこそ、あの時よりより深く、深くと踏み込むのをやめない。
「」
それはそれとしてずっこけかけた。
確かに、まぁ、そうか。その水着と比べればそうだ。
「違う!よく周りを見てみろ。皆そんな感じだろ?
今はそういうのがポピュラーだから、ちょっと合わせてみたらって話だよ。」
「温故知新……ってやつだよ、うん。」
実際彼女以外にも今海水浴に来ている人々は昔に比べて大分露出している。
男女共に、というかパーカーを一応来てるかアレだけど、自分だって海パンだし。
まずは形からということで(上手いこと自分の欲望を混ぜた)進言だ。
■クロメ > 「不要だな。」
そんな面倒なことはしない、と言わんばかりであった。
本気で便利である。
「……」
なるほど、男の言うことには一理あるのかも知れない。
いかにも、傷を舐め合う人の好みそうなことだ。
「事実は変わらん」
何を言ったところで、過去が変わるわけではない。
何を嘆いたところで、定まったものが変わることはない。
「私は人を救わない。人を許さない。」
いつもよりさらに低く、凍りついた声で、それだけをこぼした。
「……度し難いな」
見ない間に人はだいぶ変わったようだ。
まさか、こんな趣味趣向に走るとは。もはや奇行といってもよいのではないか?
「脆いくせに」
弱いくせになぜわざわざ弱い部分をさらすのか。
やはり、人類は頭が弱いのだろう。度し難い存在だ。
■橘壱 >
なんだかんだ興味がないと言ってはいた。
それこそ上に立つからこその俯瞰的気持ちかと思ってたがそうではなかった。
低く、凍えるような声は恨み辛みさえ感じる。
その気持を軽んじたわけではない。
漏れた言葉にきょとんと目を丸くし、思わず口元が緩んだ。
「なんだ。悪い方向ではあるけど、無関心じゃないんだな。
……ああ、いや、笑うようなことじゃないけどまた一歩クロメのことがしれたな、って。」
無関心を装っていたが、結局其の実はもっと単純なようだ。
此処まで聞いてきた掻い摘んだ内容からすれば、ある意味当然ではある。
気づけば波打ち際。静かなさざ波と楽しむ人々の声が周囲に乱反射している。
「まぁ、肌を出してりゃそうだけどさ。
昔よりも殺伐としてないだけじゃないかな。」
技術も何もかも、あの頃よりも進化した。
まぁ、言われると確かに肌を出したのはなんでだろうな。
おしゃれのためなんだろうか。吹き抜ける夏風にパーカーを揺らしながら、彼女を見やる。
「……僕が言えた立場ではないかもしれないけど、そんなにムカつくならいいんじゃないかな。
別に今すぐ心変わりしろ、とかそういうのを強要したって仕方ないしさ。」
「クロメは、僕のことだってその許されない人間に含まれてるのか?」
■クロメ > 「……」
低く冷え切った声をこぼしてから、少し黙る。
余計なことを言ったな、と思ったところに男の言葉がかかる。
「……悪趣味だな」
冷えた眼と冷えた声で、男を見る。
人の内面に触れようと、ずけずけと入り込もうとしてくる。
それで満足して笑みを浮かべる。なんと最低なことか。
これだから、人は度し難いのだ。
「技術、というものか」
人はどんどんとそういう物を増やして、色々なものを変えていく。
かつてあったものを置き去りにして。
「……許可など求めていない」
この思いは自分だけのもので、誰に認められたいものでも、誰に否定されたいものでもない。
「……答えるまでもない」
男の質問に、それだけを答える。
■橘壱 >
「悪いね。お前が何も言わないからコッチも手探りなんだ。
……宝物とは違うけど、別にそういうなんだ。嫌味とかじゃないんだ。」
今更彼女にだったらもうちょっと話せよと言うつもりはない。
そんな事言ったって答えないだろうし、意味もない。
悪い意味でも少し嬉しかったし、とは言え場違いなのは反省点。
そこはごめん、と素直に付け加えて謝った。
「……そっか。」
そういうのであればそうなんだろう。
さざ波に紛れた夏とは正反対の冷えた声。
それでも別に凹むこともなくただ彼女と向き合おう。
「別に憎まれても何でもいいんだけど、僕は味方でいるつもりだ。
お前が変に人類滅ぼすとか、そういう極端なのに走らない限りは、だけど……。」
「さっきも言ったけど、別に何時だっていい。
話したくなったら吐き出したほうが楽になるだろうしな。
まぁ、今話してくれるなら全然それでもいいんだけどね。」
監視対象に監視委員。
そんな関係性ではあるが、飽くまで少年は対等に接する。
まだまだコミュニケーションをし始めたばかりのひよこではある。
でも、それなりに、自分なりに何処まで行くつもりだ。
一度関わると決めた以上は、中途半端な真似はしない。
数千年が、溜まった泥土が何だというのか。
何れ世界を股にかける操縦士になるなら、それくらい受け入れて見せる。
海に吹かれる涼しげな風に軽く首を回した。
「ま、泳ぐとは言わずとも海に浸かろうよ。
せっかく来たんだし、ちょっとは特別感あるぞ。きっと。」
「濡れるのが嫌なら別だけどさ。」
■クロメ > 「踏み込まなければいいだけのことだ」
なぜ、わざわざ入り込もうとするのか。そんなことをしなければ、この会話も不要なものだった。
そうして、どうしようというのか。また……
冷血の女帝の眉が僅かに歪む。
「そこまで関わる気もない」
人に対して、そこまで手をかける気はしない。
一々潰して回るのも手間だし、そこまで懸命に向き合う気もない。
ただ、救わない。ただ、許さない。
それだけで、もう十分だ。
「そうだな。
おまえの、その無礼が気に入らない」
吐き出せというからには、ならば吐き出しておこう。
ずけずけと自分の内に入り込もうとするな。度し難い。
……なるほど、少しすっきりしたかもしれない。
「その程度のこと」
別に、濡れる程度を厭うような脆弱な存在ではない。
大した問題ではない、と……ふわふわと波打ち際まで飛んでいき……足を下ろす。
■橘壱 >
「そういうわけにも行かないからね。
まぁ、僕が勝手に決めたことではあるんだけど。」
それこそ互いの立場に応じた態度で十分と言えばそうだ。
けど、自分がそう決めた以上は半端なことはしない。
普通のコミュニケーションでも難儀しているのにこれだ。
壁が高いほど燃えると言うものだ。何時か、コイツを笑わせてやりたい気もする。
「……僕に対して結構雑多に扱っておいて???」
思わず顔をしかめて苦言を呈した。
散々人に冷たく当たっておいて礼節をまた説かれるとは。
夏祭りの時といいよくぞ言ってくれるなコイツ。
まぁいい。その程度くらい何とでも言えばいい。
腕を組んだまま溜息を吐いて、眼鏡を上げる。くぃっ。
地に足をつけ、波打ち際の少女。
なんというか、絵になると言うんだろうか。
黙ってれば確かに見てくれはいい。
だからこそ、だろうか。じぃ、と暫く彼女の事を見ていた。
「やっぱり見た目はいいよなぁ……。」
ぼそり、無意識に言葉に漏れた。
■クロメ > 「それが度し難いというのだ」
勝手に決めて、勝手に入り込もうとしてくる。
鬱陶しい、煩わしい、邪魔くさい、面倒くさい。
そういうタイプではなかったはずだろう、お前は。
「当然だ。
人の決め事に関わるものに礼など最低限で十分だ」
勝手に監視などと言って、勝手に内に入り込もうとして、勝手に関わってきて
勝手に自分を連れ回してくる。
そんな厄介な相手、最低限の礼儀で十分だろう。
それに、これでも礼節はある程度保っているつもりだ。
「そもそも、此処にいる」
本当に粗雑に扱うのであれば、此処まで来ていない。最初から話など聞くこともない。
わざわざ波打ち際まで来ていない。
「……ん?」
浜辺に佇めば、波が足を洗う。日差しが暑く、降り注ぐ。
海風が吹き込んで、髪を揺らす。乱れた髪をわずかに手で治す。
視線を感じて、男の方を見た。
「おまえが呼んだのだろう?」
言ったくせに入らないのか、と
■橘壱 >
「……もし本当に嫌なら、今すぐ学園の外に行けばもっと自由だと思うぞ。
国によって結構色々違うから、そういう面では面倒だし、そこまでされた僕もどうしようもないけどな。」
そういう意味では、此の島は秩序が取れている。
此の島の外は国ごとによって決まり事が違うし、風土も、文化も違う。
ある意味彼女のような存在が普通に受けいられているのは此の島だからこそだ。
そもそも、魔術さえ排他的な国さえあるくらいだし、住みやすさの意味では常世島は凄いかもしれない。
勿論、どうしてもというならの進言だ。
手はずは組めないし、彼女ならその必要もなく出ることは出来るだろうけれど。
「何時も付き合ってもらってるのは感謝してるよ……。」
確かにそういう意味では付き合いはいい。
面倒なら拒否すればいいのは本当にそうだ。
なんだかんだ、そういう面では信用を勝ち取って入る…のかな。
「あ、ああ……そうだな。」
いけない、思わずちょっと見惚れてしまった。
にしてもやっぱり、何か仕草がサマになっていると言うべきかなんというか。
長く生きている分、そういう身分なのだろうか。
とにかく今は、海を楽しもう。彼女に続くように、海へと入っていく。
何年ぶりかもわからない海。なんだかんだはしゃいで楽しんだとか。
……その結果はまぁ粗相を働いて後日なんか大変な事になったとかならなかったとか。
■クロメ > 「それも考えたがな」
軛から逃れ、この島を離れ、生きていく。
そういう先も考えたことはある。どこか奥地にひっそりと暮らすことも。
だが、人間に遠慮するような生き方も癪である。
かといって、滅ぼして回るのも違う。そこまで関わりたくもない。
そうなると、この狭い世界で適度に生きるほうがマシだ、と思っている。
本当に、我慢ならなければ……そのときは……
「嬉しくもない」
腹立たしいが、やむなく付き合っている。感謝されても、あまりありがたくもない。
が、まあ。感謝する気持ち程度は持ち合わせているらしいことはわかった。
「……」
男もこちらにやってくる。
何が楽しいのか、本当に。
まあやむないので、男の言葉を聞いて、海の遊びとやらをしてみる。
さっぱり、なにがいいのかわからなかった。
が
「……ほう?」
悲しいかな、所詮一般人類並の運動能力しかない男は、バランスを崩した。
その手が、空を……掴まず、布地を掴み……
氷の眼と向かい合うことになったとかならなかったとか。
ご案内:「【期間限定】海水浴場」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「【期間限定】海水浴場」からクロメさんが去りました。