2024/11/17 のログ
ご案内:「常世港 防波堤」に武知一実さんが現れました。
ご案内:「常世港 防波堤」にリリィさんが現れました。
武知一実 >  
休日――今日は朝から天気も良く、そのお陰か気温も高い。
こんな陽気には釣りでもするに限る、と港へと向かう途中で暇を持て余していた淫魔(リリィ)とばったり出くわした。
釣りに行く旨を伝えると、何故かそのまま憑い――付いて来たのがここまでのハイライト。

「いいか、必ず何か釣れるって訳じゃないからな?
 オレぁあくまでも天気が良いから海眺めてボーッとするのを主目的として釣りに来てんだからな?」

港に来るまでに三回くらい話した目的をもう一回伝える。
興味本位で同行したのなら、途中で飽きてぐずったりするかもしれねえし。

「あんまり騒いだりはしゃいだり、走り回ったりするなよ?
 いくら今日は暖かいからっても、この時期に海に飛び込んでまで助けたくねえからな?」

我ながら同世代(……だよな?)にする注意かと思わんでもねえが、一応注意喚起はしておくに越した事は無い。

リリィ >  
憑いてきました、防波堤。
日差しのあたたかさのおかげで、潮風の冷たさは許容範囲内。
おかげでニコニコした呑気な顔をしていられる。

「はーい。もう、かずみん様ったら、それ言うの三回目ですよ?」

間延びした返事も、膨らませてみせる頬も、何処か機嫌良さげな様子。
今のところグズるような兆候はない。

「かずみん様……いえ、ママと呼ぶべきでしょうか。
 ちゃんとママの言うこときいて大人しくしてますから、安心していっぱい釣っちゃってください!」

拳を握って鼓舞するが如く。
必ず何かが釣れると信じきっている顔だ。

武知一実 >  
「ホントにオレの話、聞いてたのか?」

必ずしも釣果があるとは限らないって言ったばっかりだぞ?
なのにその返しで『いっぱい釣っちゃってください』になるか?オレ日本語間違えてた?
……と自問自答してもしょうがない。要らん事で気疲れを起こすのは本意じゃないのでさっさと釣りを始めるとしよう。

「……この辺で良いか」

防波堤を進み、外海を眺めながら場所を決める。
風も波も穏やかでやっぱ絶好の釣り日和だ。
持参してきた折り畳みの椅子を設置し、ついでにクーラーボックスを置いて一息つく。
用途に応じた竿も何本か持って来てるから、どうしてもって言うならリリィにも試しでやらせてみるのも良いかもしれない。

「アンタの分の椅子はねえから、立ってるの怠かったらクーラーボックスにでも座れよ?」

と、リリィへと声を掛けて竿に仕掛と餌を取り付けていく。

リリィ >  
「きいてましたきいてました。四回目だったかな?って丁度思ってたところです。」

後ろ手を組んでのんびりとした歩調で後ろに続く。
潮風に前髪がチラつくのは少々落ち着かないが、冬間近の海というのも中々にオツなもの。

「はーい。
 こういうところで今の季節だと、どういうお魚が釣れるんですか?」

素直に頷き、今はその傍らに立つ。
落っこちないように気をつけながら端っこににじり寄り覗き込めば、波間に魚影は見つけられるかどうか。

次いで手慣れた様子で準備を整えていくのもチラ見。
主にどんな餌をつかうのかな、っていう好奇心。

武知一実 >  
「………」

今日は誰にも会わずにここまで来たって事にしたろかな。
そう本気で思いかけた。駄目だ駄目だ、要らん事で気を立てたらこのあと釣れるもんも釣れなくなる。
平常心平常心……淫魔に惑わされるな。淫魔要素一切関係ない気がするけど……。

「あァ?
 ……今の季節だとカワハギなんかが狙いどころだな。
 船で沖に出ればもっと釣れるんだろうが、まあ絶対何か釣って帰りたい訳じゃねえし……」

解凍した冷食アサリを餌として針に取り付けつつ、リリィの問いに答える。
釣れたら持って帰って捌いて飯の足しにしよう、くらいの気持ちだ。
釣れなくとも元より何か失う訳でもねえし、気楽に行きたいところではある。

「まあ、その他にもいろいろ釣れたりするかもな。
 魔物とかも居ないとも限らんし……」

リリィ >  
「カワハギ……。」

どんなお魚だったっけ。ぶさかわいい系のお魚だったような。
首を捻れど正解はわからないので、是非釣ってもらって正しいお顔を知りたいところ。
ついでにどんなお料理になるのか。考えてたら久々にお腹がぐーって鳴いた。

「“ぼーっとしにきた”んですもんね?」

わかってますよと言わんばかりにひとつ頷く。

「えっ……ま、魔物なんて釣れるんですか?大丈夫?戦闘準備とかしておいた方がいいですか??」

そんな物騒なモノがつれるのかと、仰け反るようにしながら縁から離れる。
淫魔が魔物にびびっている図。

武知一実 >  
「スマホ――生徒手帳か、で調べてみりゃ良いだろ」

まあ持ってなかったら調べ様が無いけれども。
今日は休日、オレもリリィも制服でもないのだから生徒手帳を持ってなくても咎められる筋合いはない。
一応オレは持ってるけど。紙製の生徒手帳。
と、そんな事考えていたらリリィの腹の音が聞こえた。

「……港に居る間は精気やらんからな?」

そろそろ吸精のタイミングかあ……ボウズで帰ったらそっちくらいは満たしてやるかなあ。

「まあ大抵の魔物なら何とかなるから、アンタは心配せず自分の身を守れる程度に考えとけよ」

さてそんなことを話している間に準備は整った。
常世島での釣りは仕掛も餌も関係無い、ある種の無法地帯だとも聞いたことがあるが、果たして―――

【2d6で釣れたもの判定10の位が1・2が小型 3・4で中型 5・6は大型
 1の位が1~3で魚類 4・5でイカタコ貝類 6で魔物
 数字に限らずゾロ目でハズレ。Let's Fishing!】
[2d6→5+5=10]
武知一実 >
ぽーん、と沖へと投げて糸を飛ばし、ちゃぽんと着水したのを見届けて少し待つ。
アタリが来たら糸を巻いて、巻いて……巻いて……あ。
 
「―――チッ」

引いてる途中で手応えが消えた。
こういう時の巻取りが一番つらい。だって掛かってないの分かってんだし。
……案の定、餌も取られてるし最悪な結果だ。 ま、餌が摂られたって事は確実に餌食う奴は居るって事だし。前向きに行こう。

リリィ >  
「釣れた時の楽しみが薄れちゃうじゃないですか。
 今回釣れなくても、次回釣ればいいんですし。」

事も無げに告げる。次回も憑いてくる気らしい。
まあ、今日みたいにばったり会うこともなく、声をかけられることもなければポンコツ淫魔がカワハギの顔を知る機会もなくなるわけだが。
そこらへんはママ……もとい、少年を信じている。

「あう。ち、ちがいますもん、これはその、ちょっと、お魚料理のこと考えて……つい。」

腹の虫の主張は久々だから少しだけ気恥ずかしい。
もごもごと口を尖らせるが、ならば帰ってから吸精はなしと言われたらものすごく悲しそうな顔をするのだろう。

「いえ!もしも魔物が釣れた時はわたしがかずみん様をお守りしますよ!」

フンス!と鼻息荒く拳を握る。我が役目を見つけたり、といった心地か。
そうこうしていると少年の握る竿に変化。ポンコツ淫魔はそちらはよくわからないので、少年の様子でヒットを知るが。

「ち?……あら、餌とられちゃいましたか。残念。」

どんまいです、と慰める声。

武知一実 >  
「別に釣れたものを調べるのは楽しみに含まれて無ェ気がすんだけどよ」

そういう楽しみ方もある……のか?
あるかもしれない、そういう事にしとこう。あまり、こう、と決めつけるのもよくねえしな。

「へいへい、そういう事にしといてやらぁ」

まあ実際問題、リリィが精気方面で飢えてて、この場で吸精されるかと言われるとまだ昼にもなってない時間帯で、かつ屋外は勘弁して欲しいと思う。
屋内ならまあ……人目が無ければ?

「変に頑張られて空腹を加速させられる方が厄介だっつってんの。
 ……なるたけアンタは省エネで居ろ。前の吸精から日は空いてんだから」

何故か息巻き始めたリリィを宥める。
別に戦闘になんてならないのが一番だ。平和に釣りしてそれなりな釣果を上げて帰って食う。これが一番だ。

「まあ、よくある事だからいちいち気にしててもしょうがねえ。
 アンタもやってみたけりゃ縁から垂らすだけの仕掛けもあるからよ、言ってくれりゃ竿貸すぞ」

餌を付け直して、さーて気を取り直して第二投。
[2d6→5+6=11]
武知一実 >  
勢いよく飛んで行った錘が、海面に浮かぶ何かにスコーンとぶつかった。
……そこはかとなく嫌な予感がするが、全力で糸を巻き取っていく。幸いにも針には何も掛かってないのか、手応えは無くするすると巻き取られていく糸。

そして、それを追う様に迫る何か。
明らかにデカい。鮫か?いやこんな近海にあのデカさの鮫が居るか?
けどまあ、本土じゃ海水浴場にも出没するって聞くし……いや、あんな水面に鮫が……

とか考えながら糸を巻ききれば、間近に迫った影がザッパァァァと海中からその身を露わにする。

【▼クラーケン を 釣り上げ(?)ました】

リリィ >  
「楽しみはいっぱいあった方がいいじゃないですか!」

ぽじてぃぶしんきん。
謎の魚を釣ってゲラゲラ笑うのだってきっと楽しいに違いない。

力強く語る一方で、如何考えても納得してない様子に頬を膨らませる。
しかし、張り切った結果少年に迷惑をかけるって話にはぐうの音も出ずに口をへの字に曲げるしかない。
実際、動けば動くほどに腹は減るのだから、それならば最初から任せた方が少年の為なのかも……。

そう考えていたのがフラグだったのだろうか。平和なんてなかったんだ……。

「む、どうしようかな、見てるだけでも十分楽しいんですけど――……」

と、悩ましげに首を捻っていると何やら不穏な様子。

「か、かずみん様?あの、あの、あれって……すごく、嫌な予感がするんですけど……!」

腰を引いて怯えているんだか備えているんだか。
盛大な飛沫をあげて飛び出したそれはまさかのクラーケン。見上げる程の大きさに、ぽかんと口を開いてしまったのは仕方ないことじゃなかろうか。

咄嗟に前髪を払って瞳を露わにするも、大人しくしろと言われていたのを思いだして少年を窺う。

武知一実 >  
まさかこんな大物と対峙することになるとは思わなかった。
海水浴シーズンも過ぎて、海への警戒が薄まっている所為か、割と魔物がポップする、とは聞いていたが。
見上げるほど大きなクラーケンが、触腕を2本、海面から防波堤へと伸ばしてくる。

「……さすがにここまでデカいと笑えて来るな」

いや笑い事ではないんだが。
横目でリリィを確認すれば、前髪に手をかけてオレの様子を窺っていた。
……というか、私が守りますって言ってたけど何かそういうスキルあるのかコイツ。戦闘向きにはこれまでの様子から見ても思えないんだが。

「――いいから、アンタは自分の身を守るのに専念してくれ。
 大丈夫、これくらいの奴ならバリバリッと半焦げくらいにすりゃ帰ってくだろ……!」

既に右腕は帯電状態だ。このまま放電するもよし、触腕に一発叩きつけるもよし。
……ん、後者で! とオレは防波堤に掛けられたクラーケンの触腕に雷を纏った拳を打ち付けた。
良く晴れた空の下でも眩いほどの蒼白い雷が爆ぜる。

リリィ >  
「わかりました。」

いざとなればパーカーを犠牲に空へ逃げる択もある。
我が身を守れ、というならばそのようにする心算で、見合わせた顔をコクリと頷き前髪を抑えていた手を退かし、邪魔にならないように数歩引いて様子を窺っていよう。

いざという時は淫魔パワー(物理)で多少タンクめいたこともできなくもないが、既に臨戦態勢を整えている様子を見れば必要もないだろう。
ただ、力を使うと色素が抜けてく。或いは、みたいな話をしてたのを思い出して唇がちょみっとだけもにょついた。
それも蒼白い光に呑まれて見えなくなるんだろうが。

轟音。
雷の余波を全身に浴びる。叩きつけるような風から顔を庇い、腕の隙間から覗き見るクラーケンはといえば――、

武知一実 >  
あんまり盛大に雷ぶっぱなすと、海にまで影響が広がってこの後の釣りが絶望的になんだよな……。
と、そんなことを考えながら触腕に重めの一発、そしてそのままぬめる触腕を掴んで電気を流す。
バチバチと空気と触腕の表面が爆ぜる音が響き、耳障りな悲鳴を上げたクラーケンがすごすごと海中へと消えていった。
どうやら相性の悪さを察してくれたらしい。 へっ、水棲生物が雷電に勝てるわけねえだろ。

「よし、よーし……大人しく帰ってくれたみてえだな」

こっちもある程度雷の消費も抑えられた。
あそこで相手が怯まずに掛かってくるようなら、今日の釣りは諦めて盛大にぶちかますところだった訳だが。

……まあ、そうすると自然と誰かさんの吸精も今日はお預けになるんだよな……。

「大丈夫かリリィ、怪我とか……は無ェよな。
 えーと竿も椅子もクーラーボックスも無事、と……何か釣り上げる前で良かったわホント」

リリィ >  
「おぉ……。」

すごすごと引き下がるクラーケンの背中が見えて、少しばかり間抜けな声をあげる。
ほんのりとスルメちっくな香りがするのは気のせいだろうか。
とぷ、と最後に描いた波紋も波に上書きされて漸くと少年の方を見る。

「かずみん様って戦えたんですね。」

ぱちぱちと拍手をしながら、先程少年がポンコツ淫魔に抱いたような所感を零す。

「はい、おかげさまで傷一つありませんし、お腹もすかせてません。」

微笑みを浮かべて手を下ろす。道具のチェックも抜かりない様子。
ポンコツ淫魔は再度クラーケンの消えた海を見て、

(あれ、仕留められたらすごく食べ応えがあるだろうなぁ。)

なんて考えていたりする。じゅるり。

武知一実 >  
「今更……?
 いやまあ、戦えると言うか喧嘩はしょっちゅうしてたしな……」

今だってたまに売られる喧嘩は買うし、怪異討伐のバイトだってしてる。
と、そういやリリィには怪異討伐のバイトは言ってなかったっけ。それ以前にバイトの内容をいちいち説明した覚えがねえや。

「まあ、怪我がねえなら何よりだ。
 で、どうする? 釣り、してみるか?」

今の騒ぎで周囲の魚が逃げちまってねえと良いんだが。
まあ常世島近海の魚だ、この程度でビビって逃げる様ならそもそも棲んじゃいねえ気もするし、大丈夫だろ。

リリィ >  
「なんとなく察してはいましたが、直にどうこうっていうのは初めてですから。
 でも、相性があるとはいえ一撃とは。お見それしました。」

感動か、或いは謝罪か、軽い目礼をひとつ。

クラーケンの味に思い馳せていると、誘う声が聞こえてくる。
ぱちりと前髪の下で瞳を瞬かせ、ゆっくりと首を傾げて数秒。

「じゃあ……折角なので、チャレンジしてみます。」

頭を元の位置に戻して頷く。
仕掛けのやり方なんだはぜんぜんまったくちっともわからない上に、餌をつけようとするとアサリじゃなくて自分の指を仕掛けそうになったりする不器用さを披露することになるか。

結局大部分をお願いして、恐る恐ると糸を垂らし、待つこと暫し。
[2d6→2+4=6]
リリィ >  
ぼーっとしていると、何やら手応えがあるようなないような?

「わ、あれ?え?なんか……なんだろう?食いついてる?食いついてますか?
 か、かずみん様~!」

助けてママ~!な雰囲気で助けを求める。
仕掛けのみならず、釣り上げる際も大部分をお手伝いしてもらって釣り上げたのは、ちいさいイカだった。
さっきのクラーケンの子供かもしれない。

武知一実 >  
「ああ、それもそうか。
 言われてみりゃ確かにな……ま、こんな異能持ってて戦闘がからっきしって事は無いって分かっちゃいたろ?」

研究施設時代に戦闘訓練も受けてた……って話はしたっけか?
まあ、何にせよこれでオレの戦闘能力は知って貰えたわけだ。……いや、何か意味あるのかそれ?

「おっ、じゃあ竿はこれで……ええと餌はー」

まあ初心者にいきなり仕掛け付けろとか餌付けろとは言えねえので説明しつつ代わりに取り付けていく。
でも、次から自分でやれって言っても難しそうな気がする。特に糸の結び方。
とにかく、準備を整えてやってからリリィが釣りをしているのを見守っていたわけだが……

「おぉ、引いてるな。
 そんな慌てなくとも、落ち着いて糸巻いてきゃ良いんだよ。逃げられたらそん時はそん時だからよ」

小さくパニクったリリィを宥めながら釣り上げるのを手伝う。
色々と骨が折れたけれども、どうにか釣り上げる事が出来て一安心だ。

「……やったなリリィ、初めてでイカ釣るなんて中々無いと思うぞ?」

さっきバカデケェの見たばかりだからか、なおさら小さく見えるけど。釣果は釣果。

リリィ >  
「そうですね、しゅわしゅわパチパチするだけじゃなかったみたいです。」

こうしてこのポンコツ淫魔が時たま漏れるパチッと感を炭酸感覚で楽しんでることがバレるのである。
という冗談はおいといて、何かと物騒なこともある島に在する以上、身を守る手段があるというのは安心にも繋がる話。
もしもわるいわるい淫魔に憑かれたって大丈夫だなとしたり顔。


そんなこんなで釣り上げたイカは、先程のクラーケンとは違い、ぱたぱたと一生懸命暴れて逃れんとしている。ちょっとかわいい。
だがしかし世の中は弱肉強食なので、針を外してもらってクーラーボックスへとしまわれ、後に少年の腹へおさまることになるのだろう。南無。

「本当ですか?わたし、才能あります?」

そしてこのドヤ顔である。
すぐ調子にのるぞ、気をつけろ!

武知一実 >  
「……アンタ、今までオレを炭酸水か何かかと思ってたのか」

よーく分かった。今度はちょっと麻痺するくらいのお見舞いしてやろう。何故かしたり顔になっているリリィを見て決心する。
……それはそれとして、無用な心配の種が減らせれば幸いだ。
やたらとオレの身の安全を不安視してた節もあるしな、コイツ。

リリィが釣り上げたイカは電気ショックで〆てクーラーボックスへ放り込む。
海に帰すことも考えないでも無かったが、せっかくだから持って帰ろう。

「才能は分からん、ビギナーズラックは割とあるしな」

そういうわけで、ハイもう一回と餌を付け直してリリィに竿を差し出す。
まあ、これで少しは退屈を紛らわせられれば良いんだが……。

リリィ >  
「いえ、ジンジャーエールみたいだなって思ってます。」

きりりと表情を引き締めて断じた。
少年武知一実はジンジャーエール味。

そんな戯れを経て再度差し出された竿を受け取り、釣り糸を垂らす。

「そこは褒めてくださいよう。
 かずみん様がこのままボウズだったら思いっきりバカにしますからね!」

やーいやーいって言ってやる。なんなら今も言ってやる。やーいやーい。
魚が逃げないように細やかなじゃれ合い程度に済ませる心算だが。
[2d6→5+6=11]
クラーケン >  
た だ い ま 。

リリィ >  
ずももももと海面が盛り上がり、再びクラーケンが顔を出す。
なんで?少年をあおったから?ライバル視でもしてた??

武知一実 >  
「じ、ジンジャーエール……」

そうなの?オレってジンジャーエールなの?
いや、オレがと言うか、あくまでオレの精気がジンジャーエール風味って事だよな?別にショウガ臭くないよなオレ。
ちょっと飲み込み切れない衝撃を抱えたまま、リリィが再び糸を垂らすのを見届ける。

「褒めたら調子に乗るだろアンタ。
 そういう時は大抵碌な事にならないって相場が……相場が」

別にボウズも想定内なので何にも悔しくは無いところだが、悔しくなくとも腹は立つ。この淫魔ホント後で憶えとけよ……
なんて思う暇もなく、クラーケンが再度姿を現した。何で?
これにはさすがのオレも白目を剥かざるを得ない。さっきの小イカがやっぱり子供だったりした?いや、普通のイカだったわどう見ても。

リリィ >  
「褒めなくてもろくなことになってないんで折角なら褒められたかったですぅ!」

竿を抱いて一息に喚く。
振り上げられた触腕に焦げ跡は――ない。恐らく別個体なのだろう。
それはそれでここら辺クラーケン居過ぎィ!という話になるのだが。

「きゃんっ!」

傷一つない触腕が防波堤を打つ。
直撃こそないものの、揺れる程の衝撃に尻もちをついた。

「うーっ、もう!オイタはだめですよ!」

大人しくしていろと先程は言われたけども、ちょこっと腹が立ったので前髪をあげて瞳を晒す。
――耳鳴りのような音を、もしかしたら聞くかもしれない。
淡く発光する瞳に射抜かれたクラーケンはといえば、追撃の触腕を振り上げた状態で金縛りにでもあったが如く硬直。したかと思えば、ゆるゆると攻撃を引っ込めて海へと帰っていく。
前髪を下ろして一息。

「かずみん様ぁ、呪われてますよここら辺。」

はい、って竿を返して一言。あと、カワハギ釣ってください。

武知一実 >  
「次から考えとく」

これはさすがに認めざるを得ない。
現れたクラーケンは先ほどとは別個体の様で、こっちに対する警戒心とかは窺えない。
であれば、また一発バチッと脅して帰らせる手を……っとと。

「リリィ、大丈夫か!?」

触腕が防波堤に叩きつけられ、衝撃で足元がふら付く。
尻餅をついたリリィが追撃を受ける前に雷撃をクラーケンへと打ち込もうとするが……

「……ん、ンン?」

何だ、今の。
突然耳鳴りがしたかと思えば、クラーケンの動きが停まり、そのまま海中へと帰っていった。
何かしたのか……リリィが?と訝し気に見るオレを他所に、当の淫魔本人は釣竿を此方に返しながら泣き言を言っている。

「今のは……、あ、ああ。さっさとまともなもん釣って帰ろう」

まあ今の事は帰りがけに聞くとして、せめて一匹だけでもカワハギ釣って帰りたい。
リリィから返された竿を脇に置き、遠投用の竿を手に取ると気を取り直して再度沖へと放る。
[2d6→1+4=5]