2026/02/21 のログ
コトハ > 「……ああ、まあ……そう、だな。
 風に当たる、みたいなもんか。」

そういうときもある。相手の少女の言葉だ。
潮風に当たりたかったのだろうか。
そう納得して、頭をかくように髪に付けたリボンのような髪飾りに触れる。

「水に所縁?変なこといいやがるな。
 水だらけのとこにでも産まれたのかよ。」

異能や神霊。そういったものと縁薄かった少女は想像も及ばない。
相手の言葉が真に意味しているところには。

「ああ、それともあれか。異能か。水っぽいチカラが使えるとかか?
 そういうアレなら、そんなモンなのか」

一人、勝手に納得する。

「あ? ん……あー……久森琴葉。」

名乗られてから、少し考えて応える。
それは、躊躇と言うよりは照れのような色合いの声。
勘違いを晒した相手に名乗るのに、やや恥ずかしさを感じていたのだ。
それから、少しだけ付け加えた。

「はじめまして……あー、そうだな。
 はじめまして、だ。」

はぁ、とため息を付く

「ったく、ホントこんなところで紛らわしいことしやがって。
 っと、冷たッ。クソ、この時期の水はやっぱりウザってぇな!」

一際強い波の運んだ水しぶきに悲鳴を上げ、腕を振る。
それだけで、水が避けていった。

「アンタ、変わり者って言われたりしねえ?」

 

御雷 天華 >  
「当たらずとも遠からず、ですね。
 水に通じる力は事実、持っておりますし」

異能でこそないが、事象だけを見れば似たようなもの。
出身こそ一般家庭だが、水だらけというか水そのものな魂だ。

それをわざわざ口にはしないが、凡そあっていると彼女に告げて。

「琴葉さん、ですね。
 よろしくお願い致します」

ぺこりと一礼。名を交わし合えば微笑を携えて──
その飛沫が、少女を避けていく様に僅かに瞳を丸めた。

「……うーん、どうでしょう。
 堅物だと言われることはありますけれど」

しばしの思案。
彼女の問いに応えながらも、先ほどの事象がやはり気になるのか。

「……琴葉さんは、海はあまり好きではないのですか?」

コトハ > 「ふぅん?」

当たらずとも遠からず。その言葉が示すのは、少女の推測が正鵠ではないということ。
誤魔化している、というわけでもないだろうが一々説明することでもないのか。
といって詮索するようなことでもないか、と少女は流すことにする。

「ああ、まあ……よろしくお願い……するか。」

ここで挨拶を返さないほどにひねくれてはいない。
笑顔だけは浮かべずなんとも言えない顔で、礼を返す。

「堅物、ね。はは、マジメちゃんっぽくはあるな。
 ……ん?」

堅物だ、という言葉に少し笑ったところで、相手から思わぬ質問が飛んできた。
少女はしばしの間、凍りつく。
それから、頭を抑えるように手をやってほんの少し天華から視線を逸らす。

「……別に。ただ、なんか水が嫌なんだよ。
 水使いのアンタにゃ気に入らねーかもしれねーけどな」

ぶっきらぼうに答えた。

御雷 天華 >  
「ふふふ、気に入らないことはありませんよ。
 ただ、波と戯れるのは無理だとおっしゃられたのが気になりまして」

なんとなしに水が苦手、という事かと。
苦笑こそしても、だからそれがどうとは思わない。

人は大なり小なり得意不得意はあるものだ。
中でも水や海が苦手だ……なんて者はそう珍しいものでもないのだから。

ただ、その上で"飛沫が退いていった"のは不可思議な事象ではある。
推測するなら彼女の異能やそれに準じたモノの発露だろうが……

「しかし、それで海辺に来るとはまた……
 これも何かの縁、ということかもしれませんね」

コトハ > 「あ?んなこといったか、私?
 恥ずいな」

無自覚に発していたらしい。
頭を抑えた手でやや乱暴に髪をかき乱す。
かちゃかちゃと髪飾りが揺れる。

「縁といえば、縁なのかもしんねーな。
 まさか冬空の海で人に会うとは思わなかったぜ。
 ま、そりゃお互い様か」

思わず肩を竦める。

「運命、なんてやつを信じる気はしねーけど。」

御雷 天華 >  
乱れる髪に引きずられて揺れる髪飾り。
一瞬目に入ったそれに、僅かながらに瞳を細める。

「えぇ、人に会うと思ってなかったのはお互い様のようですし」

少女はそっと、その手を差し出す。
なんとなく、そうしたいと思ったからだ。

「……近しいようで反対に思えるところも、余計にそう感じさせますしね」

コトハ > やや視線をそらし、天華を正面からは見ていなかった。
それゆえに、視線などの細かいことは気づく由もない。

ただ、差し出された手には流石に気がつく。
思わず目線を戻して、まじまじと見てしまう。

「近しい?反対成分の方が絶対多くねーか?
 あー……」

ガリ、と先刻齧った飴の残りを全て噛み砕く。
代わりにポケットから取り出した飴を咥え直し

「……これで、いいですか?」

穏やかな口調。
そして差し出された手に、同じく手を差し出し返す。
ただ、その手はどうしたものかというように彷徨う。

御雷 天華 >  
「ふふ、そうかもしれませんね」

何を指して少女がそのように言ったのかは定かでない。
ともあれ少女は彷徨う手を優しく握り、はにかむように口角を歪める。
寒空の中でも不思議と、少女の手は暖かなものだった。

「……ちなみに、そちらが素だったりします?」

なんて、手を握りながら僅かに揶揄うように口にして。
程なくしてそっと手放すのであろう。

コトハ > 「……」

優しく握られた手を、笑顔ともつかないなんとも言えない顔で見つめる。
天華の手は暖かであり、コトハの手はほんのりと冷たかった。
じわり、と手に熱が伝わってくる。

「素もなんもねーよ。私は私なんだから」

揶揄うような言葉に、答えともつかない答えを返す。
その言葉はまた荒かったが、きつくはない。

「やっぱ変なヤツだな、天華は」

しばし、手に伝わる熱を感じて……やがて、手が離れた。

「急に握手なんざするし。まあ、いーけどさ」

御雷 天華 >  
「成程、それは確かにその通りで」

少女にだって相手次第で口調や態度は変わるもの。
今の丁寧な振る舞いですら、教え込まれた社交性故のもの。
だからといってそれが自分でないかと言えば否であろう。

「なんとなく、ですよ」

それが変に映るのは、まぁ仕方の無い事なのだろう。
だが、自分でも明確な理由がわからぬ行動なのだ。
だったらそういう評価をされても、悪い気はしなかった。

「と……改めて、心配をおかけして邪魔してしまいましたね。
 それではまた何処かでいずれ……私は暫くはこの島に居るでしょうから」

コトハ > 「そうだろ?」

頷く。
この言葉も、性質も、今の自分を形作るものだ。
どうあろうと自分の核は変わらない。

「なんとなくか。なら、しゃーねえな。」

別に深い意味を求めたわけでもない。
あったところで、そこを知りたいわけでもない。
だから、なんとなく、という程度でちょうどいい。
少女はそう思った。

「あー……クソ、恥ずかしいこと思い出しちまった。
 変な勘違いしちまったじゃねーか!ったく……
 とはいえ悪い、とはいわねーが……まあ、邪魔したな。」

照れ隠しのように、また視線を外す。

「私もまあ……どっかにはいるよ。どっかには。
 またな」

戯れていただけ、であればもう十分だったかもしれないし、まだ足りないかもしれない。
そこは推し量れないし、するようなことでもない。
ともあれ、邪魔をした形になったのは確かで、海が好きというわけでもない。
少女はかるく手を振って、砂浜を後にするように歩いていくだろう。

御雷 天華 >  
縁があればそれこそふとした時に会えるだろう。
なにせ四月になれば少女も正式に学園の生徒となる。
よりその機会も自然と増える筈なのだから。

「……えぇ、また」

少女は去り行く姿を見送って。
程なくして軛を返し、海岸に沿うように歩き始める。

恐らくもう数時間くらいは、海風に当たるようにして。

ご案内:「浜辺」から御雷 天華さんが去りました。
ご案内:「浜辺」からコトハさんが去りました。