2026/02/21 のログ
■コトハ > 「……ああ、まあ……そう、だな。
風に当たる、みたいなもんか。」
そういうときもある。相手の少女の言葉だ。
潮風に当たりたかったのだろうか。
そう納得して、頭をかくように髪に付けたリボンのような髪飾りに触れる。
「水に所縁?変なこといいやがるな。
水だらけのとこにでも産まれたのかよ。」
異能や神霊。そういったものと縁薄かった少女は想像も及ばない。
相手の言葉が真に意味しているところには。
「ああ、それともあれか。異能か。水っぽいチカラが使えるとかか?
そういうアレなら、そんなモンなのか」
一人、勝手に納得する。
「あ? ん……あー……久森琴葉。」
名乗られてから、少し考えて応える。
それは、躊躇と言うよりは照れのような色合いの声。
勘違いを晒した相手に名乗るのに、やや恥ずかしさを感じていたのだ。
それから、少しだけ付け加えた。
「はじめまして……あー、そうだな。
はじめまして、だ。」
はぁ、とため息を付く
「ったく、ホントこんなところで紛らわしいことしやがって。
っと、冷たッ。クソ、この時期の水はやっぱりウザってぇな!」
一際強い波の運んだ水しぶきに悲鳴を上げ、腕を振る。
それだけで、水が避けていった。
「アンタ、変わり者って言われたりしねえ?」
■御雷 天華 >
「当たらずとも遠からず、ですね。
水に通じる力は事実、持っておりますし」
異能でこそないが、事象だけを見れば似たようなもの。
出身こそ一般家庭だが、水だらけというか水そのものな魂だ。
それをわざわざ口にはしないが、凡そあっていると彼女に告げて。
「琴葉さん、ですね。
よろしくお願い致します」
ぺこりと一礼。名を交わし合えば微笑を携えて──
その飛沫が、少女を避けていく様に僅かに瞳を丸めた。
「……うーん、どうでしょう。
堅物だと言われることはありますけれど」
しばしの思案。
彼女の問いに応えながらも、先ほどの事象がやはり気になるのか。
「……琴葉さんは、海はあまり好きではないのですか?」
■コトハ > 「ふぅん?」
当たらずとも遠からず。その言葉が示すのは、少女の推測が正鵠ではないということ。
誤魔化している、というわけでもないだろうが一々説明することでもないのか。
といって詮索するようなことでもないか、と少女は流すことにする。
「ああ、まあ……よろしくお願い……するか。」
ここで挨拶を返さないほどにひねくれてはいない。
笑顔だけは浮かべずなんとも言えない顔で、礼を返す。
「堅物、ね。はは、マジメちゃんっぽくはあるな。
……ん?」
堅物だ、という言葉に少し笑ったところで、相手から思わぬ質問が飛んできた。
少女はしばしの間、凍りつく。
それから、頭を抑えるように手をやってほんの少し天華から視線を逸らす。
「……別に。ただ、なんか水が嫌なんだよ。
水使いのアンタにゃ気に入らねーかもしれねーけどな」
ぶっきらぼうに答えた。
■御雷 天華 >
「ふふふ、気に入らないことはありませんよ。
ただ、波と戯れるのは無理だとおっしゃられたのが気になりまして」
なんとなしに水が苦手、という事かと。
苦笑こそしても、だからそれがどうとは思わない。
人は大なり小なり得意不得意はあるものだ。
中でも水や海が苦手だ……なんて者はそう珍しいものでもないのだから。
ただ、その上で"飛沫が退いていった"のは不可思議な事象ではある。
推測するなら彼女の異能やそれに準じたモノの発露だろうが……
「しかし、それで海辺に来るとはまた……
これも何かの縁、ということかもしれませんね」
■コトハ > 「あ?んなこといったか、私?
恥ずいな」
無自覚に発していたらしい。
頭を抑えた手でやや乱暴に髪をかき乱す。
かちゃかちゃと髪飾りが揺れる。
「縁といえば、縁なのかもしんねーな。
まさか冬空の海で人に会うとは思わなかったぜ。
ま、そりゃお互い様か」
思わず肩を竦める。
「運命、なんてやつを信じる気はしねーけど。」
■御雷 天華 >
乱れる髪に引きずられて揺れる髪飾り。
一瞬目に入ったそれに、僅かながらに瞳を細める。
「えぇ、人に会うと思ってなかったのはお互い様のようですし」
少女はそっと、その手を差し出す。
なんとなく、そうしたいと思ったからだ。
「……近しいようで反対に思えるところも、余計にそう感じさせますしね」
■コトハ > やや視線をそらし、天華を正面からは見ていなかった。
それゆえに、視線などの細かいことは気づく由もない。
ただ、差し出された手には流石に気がつく。
思わず目線を戻して、まじまじと見てしまう。
「近しい?反対成分の方が絶対多くねーか?
あー……」
ガリ、と先刻齧った飴の残りを全て噛み砕く。
代わりにポケットから取り出した飴を咥え直し
「……これで、いいですか?」
穏やかな口調。
そして差し出された手に、同じく手を差し出し返す。
ただ、その手はどうしたものかというように彷徨う。
■御雷 天華 >
「ふふ、そうかもしれませんね」
何を指して少女がそのように言ったのかは定かでない。
ともあれ少女は彷徨う手を優しく握り、はにかむように口角を歪める。
寒空の中でも不思議と、少女の手は暖かなものだった。
「……ちなみに、そちらが素だったりします?」
なんて、手を握りながら僅かに揶揄うように口にして。
程なくしてそっと手放すのであろう。
■コトハ > 「……」
優しく握られた手を、笑顔ともつかないなんとも言えない顔で見つめる。
天華の手は暖かであり、コトハの手はほんのりと冷たかった。
じわり、と手に熱が伝わってくる。
「素もなんもねーよ。私は私なんだから」
揶揄うような言葉に、答えともつかない答えを返す。
その言葉はまた荒かったが、きつくはない。
「やっぱ変なヤツだな、天華は」
しばし、手に伝わる熱を感じて……やがて、手が離れた。
「急に握手なんざするし。まあ、いーけどさ」
■御雷 天華 >
「成程、それは確かにその通りで」
少女にだって相手次第で口調や態度は変わるもの。
今の丁寧な振る舞いですら、教え込まれた社交性故のもの。
だからといってそれが自分でないかと言えば否であろう。
「なんとなく、ですよ」
それが変に映るのは、まぁ仕方の無い事なのだろう。
だが、自分でも明確な理由がわからぬ行動なのだ。
だったらそういう評価をされても、悪い気はしなかった。
「と……改めて、心配をおかけして邪魔してしまいましたね。
それではまた何処かでいずれ……私は暫くはこの島に居るでしょうから」
■コトハ > 「そうだろ?」
頷く。
この言葉も、性質も、今の自分を形作るものだ。
どうあろうと自分の核は変わらない。
「なんとなくか。なら、しゃーねえな。」
別に深い意味を求めたわけでもない。
あったところで、そこを知りたいわけでもない。
だから、なんとなく、という程度でちょうどいい。
少女はそう思った。
「あー……クソ、恥ずかしいこと思い出しちまった。
変な勘違いしちまったじゃねーか!ったく……
とはいえ悪い、とはいわねーが……まあ、邪魔したな。」
照れ隠しのように、また視線を外す。
「私もまあ……どっかにはいるよ。どっかには。
またな」
戯れていただけ、であればもう十分だったかもしれないし、まだ足りないかもしれない。
そこは推し量れないし、するようなことでもない。
ともあれ、邪魔をした形になったのは確かで、海が好きというわけでもない。
少女はかるく手を振って、砂浜を後にするように歩いていくだろう。
■御雷 天華 >
縁があればそれこそふとした時に会えるだろう。
なにせ四月になれば少女も正式に学園の生徒となる。
よりその機会も自然と増える筈なのだから。
「……えぇ、また」
少女は去り行く姿を見送って。
程なくして軛を返し、海岸に沿うように歩き始める。
恐らくもう数時間くらいは、海風に当たるようにして。
ご案内:「浜辺」から御雷 天華さんが去りました。
ご案内:「浜辺」からコトハさんが去りました。