2026/03/02 のログ
■武知 一実 >
「……そうかい」
話すつもりは無いのか、それとも話せないのか。
話せるほど琴葉自身も状況を理解し切れてねーのか。
まあ、いずれにせよ突っ込んで訊いても今以上の答えは返ってこないと見た。
「足が向かねえ気分の時があんのは分かる。
けどまあ、行かねえままだと良くねえってのも分かってんだろ?
ま、行ける時に行きゃ良いと思うけどな」
ちょっとでも強引に行ければ良いんだろうが、それが出来てたら苦労はねえんだろう。
これ以上は変に詰める言い方になるし、踏み込まれたくないだろうしでオレも言及しない事にするか。
「まあタッパもあるしな、オレ。
しねーよ、金と化粧品の無駄だろ」
何が面白ぇんだそんなもん。
仮に面白くとも一時的なもので、すぐにキモさの方が勝るぞ。
オレは釣り竿を拾い上げて、餌を付け直して再び海へと投げた。
■コトハ > 「……そーだよ。」
言葉少なく、返事をする。本当に、それしか言葉が出せない。
わからない、何が正しいのか。
がじがじと、飴をかじる。
「……そうだな、本当に。
ま、そのうち行けるようになんだろ。」
多分、おそらく、きっと。そういう時が来るはずだ。
そんなに大したことではないのだ。足を踏み出せばきっと。
それはある種の希望だ。
「喋ってみりゃ、ただの兄ちゃんだもんなあ。
コワモテはつれーな。あ。アドレス交換でもする?
そういうの少なそーだし」
からからと笑う。
それから、投げられた釣り針の行方を視線で追う。
「……アジとサバだっけ。他に、何が釣れんの?」
ゆらゆらと揺れる浮きを眺めながら、聞いた。
■武知 一実 >
「ま、どうにもならねえってなったら頼ってくれや。
泣こうが喚こうが、首に縄付けて引っ張ってでも登校させてやんよ」
その後でオレが怒られることさえ気にしなければ、力づくでどうにかしてやろうと思う。
まあ、その場合風紀だけじゃなくて先生にも怒られそうだが……。
そもそも、そこまでしなくともいずれ琴葉は踏み出せるんじゃないか、と思えた。
「目付きが悪いだけで顔全体は厳つくねえと思うんだけどな。
あ? 連絡先の交換か、異能の都合もあって殆どスマホ触んねえことは先に言っとくからな」
使わんから登録されてる連絡先が少なくとも気にはしない。
それはそれとして、確かバッグの中に入れて来てたはず。
殆ど使わねえから、たまに家に忘れて来てるとかあるんだよな……と、あったあった。
ボディバッグから取り出したスマホを操作してアドレス交換の準備を整える。
「他に?さあ、釣ってみねえと分かんねえな……そもそもそんな釣れねえんだけど。
今日は元々釣る気が合って来た訳じゃねえから、下調べもしてねえんだ」
昼も近いし、魚は沖の方に出てるのかちっとも掛かる気がしねえ。
■コトハ > 「……絵面サイアクそうだけど、大丈夫?
逮捕されねえ?」
男が無理やり引っ張って自分を連れて行く光景を想像した。
なにしろ、体つきのいい強面の男が華奢な少女を無理やり引っ張っていっているのだ。
どう見ても犯罪者の姿である。
これについては、主観的じゃなくてもそうだと胸を張って言えるのでは?と少女は思う。
思わず、憎まれ口のようではあるが真顔で言ってしまう。
「んー……まあ、目つきって印象つえーからなあ。
って。あ。あー、まあ……うん、別に。気にしねえし」
少女は、改めてまじまじと相手の顔を見た。
確かに目つきは悪いが、そこまで酷い顔つきではない。
とはいえ、目つきの悪さは取っ付きづらさとして現れるのは確かだ。
そして、半分冗談だったことに普通に返されたので、少々慌てつつも。
少々映りが悪い携帯端末を差し出して、アドレスを交換する。
「調べてねーのかよ。ま、目的じゃなきゃそんなもんか……
でも、せっかくなんだしおもしれーの釣れよ。クジラとかマグロとか言わねーけどさ。
なんか、でっかいのとかさ。」
そう、無責任なことをいった。少女自身、大物など釣れるとは思っていない。
だから、適当に言っている。
が、それからわちゃわちゃとしていれば、何かが引っかかるかもしれない。
■武知 一実 >
「んな事ぁ後でどーとでもなンだよ」
学校から連れ出すならともかく、学校に連れてくんなら説教だけで済むだろ、多分。
ま、言っても最終手段だから使わねえに越したことは無いんだが。
「もう少し目尻が下がれば印象も変わると思うんだけどな……
あん? なんだよその反応、別に要らねえんならいいんだぞ」
とかなんとか言いつつも、アドレス交換が完了したのを確認してバッグに仕舞う。
そういや誰かの連絡先を登録したの自体が久々だ。つーか外でスマホ出したのがかなり久し振りだ。
やっぱ電気系の異能は機械類と相性悪いからな……あ、穂乃はその辺どうしてんのか今度会う事があれば訊いてみっか。
「釣れたら食えるか調べて、ってので十分なんだよ。
滅多な事言うんじゃねえよ、魔物だって釣れんだぞこの海。
変なバケモンとか釣れたらアンタ置いて逃げるからなオレは」
実際クラーケンを釣った実績もある。
だからそういう冗談は割と冗談にならねえって事も知っている。
そんな風にやいのやいのと言い合いながら、穏やかな春先の日は過ぎて行くのだった。
ご案内:「防波堤」から武知 一実さんが去りました。
ご案内:「防波堤」からコトハさんが去りました。