2024/06/14 のログ
ご案内:「常世神社」に崛葺 茉璃さんが現れました。
崛葺 茉璃 >  
「挂巻毛 文尓恐之 /言葉にするも恐れ多い……」

朗々と 朗々と 謳うような声が響く
その声は 若くも 枯れても 甲高くも 響くような低さも
奇妙に多重の音がかぶさったような
ただ一つのような
異様な音声だった

「かしこみ かしこみ も もうす / 恐れ多くも申し上げます」

しばしの後、読み上げられた言葉が終焉を告げ
神社の前に佇む女が一息つく

「……ふぅ」

瞬間
空気が変わる
重かったナニカが消えたようにも しかし何も変わらないようにも

「今日のお勤めも/我が使命も 終わりました/終いだな」

佇むのは……本当に、女だろうか
白髪 赤眼
それは確認できる
だが……年齢は?
よく目を凝らしてみよ しかし、それは曖昧に過ぎない

崛葺 茉璃 >  
「そういえば。なんと、いいましたか / 言っただろうか……
 そう、テンタクロースさん / テンタロクウ の厄災……
 払えればよいのでしょうけれど / よいだろうが」

こぼれる言の葉は老婆のようで、幼女のようで
見るもの、聞くものの感覚を狂わせていく

「ああ、せっかくです / せっかくであることだ。
 風紀の方が / 一般の者が 害にあったと聞くからな
 常世坐少名御神に 願い奉ろう」

それが、幻の手を合わせる
若々しくも 皺の寄っているような
何にも見える手を

「……畏み申す。
 諸々の手負ひを 収むる薬を 呪いの業とを 青人草に 救ひ給ひ 恵み給ひ……」

朗々と漏れるのはまた新たなる祝詞

崛葺 茉璃 >  
「ん……」

また一息
白髪赤眼の女が息をついた

「世は並べてこともなし / 世の中が平和ですね
 とは、なかなかいかぬか / いかないものですね」

重なる言葉が、多重の音声が
人によっては一つ 2つ 参つと
様々に届く

「と、いって……私には / 吾には」

その視界に、遠巻きに見つめている祭祀局の面々が映る
彼らは静かに首を横に振った

「なにもできないですしね / できぬしな」

ご案内:「常世神社」に黒羽 瑠音さんが現れました。
黒羽 瑠音 >   
神社、というものに縁が近い人生は特に送って来ませんでした
まーうん、一応お正月とかに初もうでにはいってたし
神社で行われるようなお祭りは昔も今も好きだけどね

「ふー 」
常世坐少名御神(とこよにいますすくなみかみ)……いや絶対読めないよ之」

常世島のパンフレットで確認する、此処で一番有名な神社の一つへとやってきた理由はまぁ大したものでもない
之から此処でお世話になるなら、神様にもご挨拶しておくのは当然だと思うし……
何より、ちょーっとだけ興味があったのだ、だって

「神様みたいな人に会えるかもしれないしっ」

少し鼻歌を歌いながら神社の前へとたどり着くと、其処には先にお参りに来た人?がいたようで

「あ、こんにちはー!」

ととと、と少しだけ足早に境内を進み、出会ったその人に笑顔で挨拶を一つ、そのままぺこりとお辞儀をした

崛葺 茉璃 >  
「祭祀も終わりましたし……おや?」

小さく、それが首を傾げた。
それは少女のようにも、老婆のようにも見え……

「はい、こんにちは / ああ、こんにちは。
 参拝ですか? / 参拝か?」

声をかけてきた主に、小さく会釈を返す。
その言葉は多重にも、一重にも如何様にも聞こえてくる

相手は……見た処、普通の少女であろうか。
少なくとも、霊や怪異ではなさそう、である。

「常世坐少名御神は国造りの神。
 色々なお力をお持ちであらせられます / 様々な権能を所持されておられる。
 良き祈りは 良き力になるかと」

にこり、とこちらも微笑んだ

黒羽 瑠音 >   
「はい、えっと……」

口元に指をあてて、じーっと見る、お姉さんかな?おばあさんかな?
うーん、良く分からない時は目上だと思うのが吉だよね!

「そうです、最近この島に来たんですけど、一回くらいは挨拶しておかないとって」
「それに拝む理由も無いわけじゃないですし」

何だかくすぐったい声の人だ、でも、嫌いじゃないかも
綺麗、というよりも、透き通ったような印象を何となく受ける
言い方を変えるなら神秘的ってやつだろうか?場所補正もあるだろうけど

「権能……無病息災、交通安全、学業成就……みたいなやつでしたっけ」
「何にせよ、祈って損なしって事ですね、それじゃ早速……」

そっと横を通ってお賽銭箱にぽいっ、と五円玉を投げ入れて

「たしかー、振った後…」

からんからん

「二礼…」

ぺこ、ぺこ

「二拍手…」

ぱん、ぱん

「一礼…… よしっ、覚えてた、えらいぞ私」

ぺこり、ガッツポーズ、やったぞ私
……そこまでやって、よく考えたら人が見てる前であることを思い出しました、うん、傍から見ると変な子だよね

「… あ、あはは」

何だか恥ずかしくなってしまいながら振り返って、女の人に照れ笑い

「えっと……その、黒羽瑠音って言います、あなたは?」

そのまま赤くなった頬を少し抑えつつ、名前を名乗るのである

崛葺 茉璃 >  
「まあ、まあ、まあ」

ぱん、と小さく手を打つ。
今どき、敬虔なことである。
大変容以降、神という存在は非常に揺らいだ中に位置している
それを”挨拶”のために詣でようというのは……実によい

「……」

だからこそ
にこにこと、笑顔でその参拝の様子を眺めていた。

 二礼二拍一礼

動作そのものはシンプルであるが、数工程に渡るこの祈りには当然意味がある。
……まあ、結局のところ神に対する敬意が大事なのだが

「はい、大変よくできていらっしゃったと思います / とてもよくできておったぞ。
 神への敬意が よく感じられました / よく伝わった。」

照れる少女にぱちぱちと拍手を送る
神前ではあるが、これくらいは許されよう

「まあ、ルナ様と。
 はい、私は崛葺茉璃、と申します。」

深々と頭を下げる。
丁寧な物腰、丁重な態度である。
ただ一点、明らかに名前を間違って呼んでいることを除けば

「……うん。はい。
 大丈夫そうですね。よしなに、お願いいたします」

ほんの一瞬、瑠音の肩越しの何かを見つめ、そして朗らかに笑った

黒羽 瑠音 >   
「そ、そうですか?母さんにも父さんにも、ちゃんとお祈りの時は気持ちを込めないと、って教わったので」
「それに、お願い交じりの敬意ですからちょっと不純ではあるかなーって」

「こんな場所ですから、神様に本当に会えるかも―、とか、異能をもっとちゃんと使えるようになりたいとか」
「まぁ、神様はいませんでしたけどこうして出会いがあったから素敵な事には間違いないですけど」

続く照れ隠しに、自分の拝んでいた時の気持ちまで晒しながら、くつぶきさんの自己紹介を聞く
名前……るねって確かに微妙に発音しづらいよね、ルナってお月さまの事だからイメージしやすいし

「るなです、ふふ、はい、くつぶきさん此方こそよろしく……?」

改めて頭を下げあった後に、視線が微妙に外れたのが見えた

「え、誰かいました?」

くるん、と視線の先を確認しようとしてみるのだけど……

崛葺 茉璃 >  
「それは、それは……
 よきお父様とお母様に育てていただいたのですね / よい父と母に恵まれたのだな。
 
 神職もまた、恐れながら申し上げます / 畏み申す 、と。
 そのようにして、頼み事を申し上げているのです / 願望をお伝えするのだ。
 祈りもまた、願い混じりで不純ということもないでしょう。」

先程の自分もそのようにして祝詞をあげていたのだ。
神にとってみれば、それにどれほどの違いがあるだろうか

「ふふ、ホンモノの……神様、ですか?
 このような時勢ですから、いずれ、そのようなこともあるやも……知れないですね / 知れぬな」

そのように時勢が変わっても神に祈るものは祈る
祈らざるをえないものは、祈るしかない
そういうところは変わらないのもなんとも皮肉な話かもしれない

「ん……ああ」

視線のことを指摘され、ぽん、と手を打つ
ついつい、やってしまったか、と気づいてしまう

「いえ、いえ。大したお話ではありません / さして面白い話ではない。
 ただ、はい。少々、見えづらい方々(ゆうれいのみなさん)とお話させていただいただけです。」

いま、この瞬間眼の前にいる少女が血なまぐさいことになっていない、という確認
それを、様々な霊を通して確認した、それだけのことであった

「そう、そう。異能をお使い、なんですね? / なのだな。
 やはり、そういうことが目的この島へ……ああ、いけません。
 立ち入ったお話でしたね」

話題を変えようかと想ったが、途中で詰まってしまう