2024/08/07 のログ
ご案内:「常世神社」に橘壱さんが現れました。
ご案内:「常世神社」にクロメさんが現れました。
橘壱 >  
夜の常世神社 某日夏祭り
事のあらましはこうだ。
例の監視対象に付き合えよと適当に引っ張り出してやってきた。
別に夏っぽい事をしたいって陽キャみたいな事を思ったわけじゃない。
単純にこの怪異とやらに思い出づくりをさせたいと思った。
要するに余計なお節介だ。お節介なのだが……。

「…………人が多い。」

当然だけど滅茶苦茶多い。
人混み溢れるそこは地味にカップルだって多い。
根っこは陰キャのコミュ障。ちょっと人の多さに思わず圧巻された。
困り顔のまま眼鏡をくいっ、と上げて嘆息。

「やっぱり帰っていいか?」

……怖気づいた!お前何のために来たんだよ。

クロメ > 別に日差しが不得意、ということはないがやはり夜のほうが心地が良い。
しかし、そんな時に引きずり出されて行った先は……人混みであった。
祭り、といっていたので多少の想像はしていたが、昔はこんなに人は居なかった。
人、増え過ぎだろう。

「多いな?」

連れてきた張本人たる男のつぶやきに、珍しく賛同する。
喜べ、意見が一致したぞ。何も嬉しいことはなかったが。

「そうか。では帰ろう」

何のために来たのだ、と突っ込みたいところではあったが、気が変わられても面倒である。
素直に、帰りたいというなら帰ればよかろう。
自分も人を避けて好きにできる。良いことしかない。

橘壱 >  
「祭りだし、島国って言ってもそれこそ種族も様々だからなぁ……
 お前がいた時代はわからないけど、小さな島でもいっぱいいるよ。」

それこそ人口過密でもしてるんじゃないかって心配はある。
転移荒野とかがいい例だ。望まなくても、"門"を通して何かが来る。
最先端の島。そのうち周辺地でも埋めて土地の拡大でもするんだろうか。
そもそも彼女だってそのいい例なんじゃ、と思ったが言わないでおく。

「よし帰るか。……とはならないよ。
 じゃなきゃ、連れてきた意味ないだろ。」

いっそのこと帰るのもありだが、流石にそれでは意味がない。
お互い人混みが好きってタイプでもないし、ちょっとありなのが良くない。

「僕もあんまり来るタイプじゃないけど、せめて屋台の方とか歩かないか?
 買い食いって、こういう時の醍醐味だろ?味は感じるだし、そういう楽しみもあるじゃないか。」

「後僕を一人にするな。陰キャにこの空気は耐えれずに死ぬ。」

自信満々に言うことじゃない。
陰キャオタク、弱い。

クロメ > 「……無駄に増えたようだな。度し難いことだ
 といっても、そうか……大変容、とやらの影響もあるのか。 」

流石に、大変容まで人類のせいにするほど無体でもない。
……いや、ひょっとすれば引き金を引いたのは人類かも知れないが。
確証をもてないことを決めつけることまではしない。

「なら、最初から帰る、などというな。無駄な発言だ。」

連れてきた意味、など知ったことではないのだが。
本人がそう思うのならば、無駄な発言は控えるべきではないのか。
これだから、人間というのは度し難い。

「……買い食い? 確かに、市は立っていたが……
 祭りとは、だいたい踊りなどではないのか」

割と古臭いことを言った。いつの時代だよ、と言われれば中世とかそれくらいだろうか。

「別にお前の事情など、どうでもいいのだが……?」

にべもなく言い放つ。勝手に死ぬ分には別によいのでは……?などと真剣に考え始める

橘壱 >  
「そう?僕が生まれた時はもう結構ごたごたしてたけどな。」

変容後に生まれた若者(ニュービー)にとって、此れくらいが当たり前。
思えば、この島だけじゃなくどんどん色んなものが増えている。
減った分を継ぎ足すような増え方だ。
いつか、遠い未来。そういう問題が後々出てくるのかもしれない。

「ぐ……全くその通りだけどこう、あるだろ?
 気分っていうか、なんていうか……。」

その通り過ぎてぐうの音も出ない。
だが、何時も嫌がっててはいけない。
この苦手意識を今日の内になくしてしまうのもありだ。
よし、と内心決意すれば自身を落ち着かせるために一息。

「踊りって何時の話だよ……いや、やってるっちゃやってるけど。
 クロメ自身踊ったりは……、……する雰囲気じゃないよな、多分。」

どっちかって言うとインドア派。
静かに佇んでるのがよく似合う。勝手なイメージだけど。
そう言えば少年は自然な動作で彼女へと手を差し伸べた。

「そうだろうけど、少しは心配しろよ。
 ほら、行こう。せっかく来たんだからさ。」

もう片手で屋台列の方を差した。
こういうことはしれっとするタイプらしい。

クロメ > 「私の生まれは、大変容より遥か前だ。
 おまえとは時の刻みが違う。」

若者の生きた十数年。それだけでも世の中が変わるのには十分な時だ。
それが百を超えて刻まれたのであれば……どれだけ変わったことか。

「気分? 嫌ならば拒否する。どうしようもないのであれば、飲み込む。
 関わらないで済むのならば、触れずにおく。それでいいだろう?」

その言いようは、彼女自身の在り方を示しているようでもあった。
冷淡とも、機械的とも言えるような。あまり情を感じさせないような対応の仕方。
それを口にする眼は冷徹で、声は冷血であった。

「……さて、な」

いつの話か、踊ったりするのか。
そういった疑問は、すべて一言で流す。

「………………」

差し出された手を、冷たい目で無言で見る。
そして、見なかったようにして指さされた方へと歩を進めた

橘壱 >  
「……まぁ、その考え自体は否定しないけどな。
 そう言う割には結構物思いに更けたりするんだな、お前も。」

何者にも興味を持たずに全てを拒否し、自らの唯我独尊を貫く。
かつての自分がそうであったが、そうはいかなかった。
そのままが良かったかどうかは、答えづらいものではある。
けど、それが上手くいかない事は身を以て知っている。
産業区にいた彼女が"何処か"を見ていたあの儚げな姿は、今でも忘れてはいない。

「それくらいは教えてくれても……って、おい。」

言葉どころか手までスルーされた。
なんだ、なにかおかしかったか?
ちょっと悔やんだけど仕方ないと慌てて彼女を追いかけた。
相変わらず人混みは屋台列と共に続いており、様々な屋台が立ち並ぶ。
定番の焼きそばやらかき氷。なんだか良くわからないパンまで売っている。
それ以上にカップだのなんだの、人の多さにちょっと圧巻だ。

「多いな……まさかとは思うけど、迷子にはなってくれるなよ。
 ところで、何か食べたいとかある?奢るよ。こういうのって男からなんだろ?」

そうなんか本となネットでみたことあるぞ。

クロメ > 「……別に。そもそも私を何だと思ってる。何もかもを憎み、見下すような愚物だとでも?
 確かに人は度し難いが、大地や空や海に在るモノに罪はない。 
 人が溢れようと、其処にある物に想いを馳せることがあってもおかしなことはなかろう。」

物思いにふけった、とすればあのときのことだろう。
この男に見られたのは不覚であったが、今更なかったことには……いや、記憶を消せばいいか?
しかし、それでは廃人にする可能性もあるか……それはそれで、後々面倒そうだ。
やむなく、不満だけを述べた。

「不敬だな。お前を撒いてもいいのだが、面倒だから合わせてる。
 お前こそ、勝手に消えるなよ。」

人の手をとる、などありえない。それを当たり前のようにする男は、度し難い。
とはいえ、撒いたところで騒ぎにされても後々厄介だ。

「人の風習など知らぬ。おごりたいのなら、好きにしろ。
 別に、欲しいものなどないが」

一応、後学のためにちらりと露店を見てみる。
……そもそも、よくわからないものばかりが並んでいる。
かろうじて、フランクフルトだのは分かるが……

橘壱 >  
「どう?見た目は可愛いのに無愛想な女だけど……
 ……って、おい。なんか僕の方見て変なこと考えてないか?」

そういう所を素直に口にしてしまうのが良くない所。
悪気はない。このオタク、そういう事は良し悪しハッキリ言ってしまう。
悪びれる様子も無くきょとんとしてると、視線に気付いた。
少なくとも好意とか興味とかじゃない。何か企んでる視線だ。
勘ではあるが、ろくなことじゃないのはわかった。一応牽制はしておこう。

「不敬って、今もそんな高貴な身分なのかよ。
 そう言う割には、付き合いはいいよな。祭りにも来てくれるわけだし。」

「まぁ、今のところ消える予定はないよ。」

風紀委員という特性上、万一のことは有り得る。
だが、ことが起きない限りはそのつもりはない。
少なくとも、今は彼女に迷惑を掛けるつもりはない。
にしても、本当に人が多い。ちょっと息が詰まりそうだ。
陰キャには少し辛い。思わず肩を竦めてしまう。

「風習っていうか、こういうのってそういうの……らしい。
 男女で行動してる時、男がなるべくって。よくわかんないけど。」

生憎女性経験0。年齢=彼女なし。
そこに加わる陰キャオタク。役満である。

「……食べるか?アレ。」

たまたま彼女の視線の先が見えた。
食べたいのかな、フランクフルトと思って訪ねてみる。

クロメ > 「ん? ああ、安心しろ。壊してしまえば、後が面倒だからな。
 面倒事を起こすつもりはない。」

つまりは、そういうことを考えていたらしい。
なお、可愛いだのは見事にスルーしている。特に気になる話ではないようだ。

「高貴、か。別にそういうわけではないが。
 ただ、子どものように扱うな。礼を失しているだろう。」

年齢としては遥かに上でも在る。
確かに世情に疎いところはあるが、迷子などと子どものように扱われる謂れはない。
時と場合によれば、首の一つも飛んでおかしくない

「……? ああ、お前が迷子になっては私としても面倒だからな。」

微妙に言い草が引っかかる。しかし、大したことでもなかろう、と飲み込んで話を続けた。
こんな人混みで迷子探しなどしたくもない。

「騎士道……とも違うな。よくわからん決まりだ。
 男が稼ぐ、ということか……?」

合理的に考えるなら、そういうことだろうか。
金を持っている方が払うのであれば、理にかなっているのではないか。
狩猟にしても、女も関わるがメインは男だ。もちろん、女の仕事もあるのだが……
やはり、よくわからない。

「見覚えのある品があれくらい、というだけだが……
 まあ、いいか。」

この問答を繰り返すのもめんどくさいので、それでいいことにしておこう

橘壱 >  
「そりゃあ、お前からしたら簡単だろうけど……勘弁してくれ。
 隣人に言われるとちょっと生きた心地がしない。いや、誰もそんなものか……。」

別に"その気になれば"っていうのは彼女だけじゃない。
異能者のモノによるが、気づけば人類というものは手軽に異能(ナイフ)を手にした。
それらは便利ではあるが、簡単に凶器へと変わり果てる。
だから、こういう学園が存在しているが個人単位ではどうだ。
その右も左もわからない若者を中心に発現しているものなんだ。
皆、異能(それ)がどういうものかわかっているのだろうか。
今、自分が持っているこの兵器(トランク)と変わらないモノだって言うのに。
ちょっとネガティブな感情が露見仕掛けた。いけないけない。
軽く首を振りながらしっかりとノーサイン。言われる側は溜まったものじゃない。
特に非異能者(ぼんじん)の自分なんて、抵抗しようがないのだから。

「……それは、悪かった。年上だもんな、"一応"。」

一応そういうのは癪に触るらしい。
見た目は自分より幼くても、人生の大大大先輩だ。
……自分より子どもっぽい所、たまになくないか?
いや、黙っておこう。これ以上変なことを言うと、本当に頭をいじられかねない。

「今は結構グローバルだから薄れてる概念だけど、なんて言うんだろ。
 一応なんかこう、そういう体?まぁ、多分大体は格好をつけたいとかじゃないかな。」

しらんけど。あんまりにわか知識で語ることじゃない。
そんなわけでとりあえずフランクフルト屋台へ。
せっかくだし自分も食べよう。
やたらガタイのいいおっちゃんに二本指立てて二つ購入。
でっぷりとしたフランクフルトに定番のケチャップとマスタード。
ちょっとてかる肉汁が妙に食欲を煽ってくる。

「……いや、思ったよりデカいな???食えるか?クロメ。」

問題は大きさ。でかい。普通のフランクフルトの二倍くらいデカい。
もりすぎだ。もう鈍器だよこれ。買った以上は食べるけど、少食っぽい彼女はどうだ?
一応、そのままずっと差し出して渡してみるけど…。

クロメ > 「人と違って分別はあるからな。真に必要と思わない限りは、壊すような真似はしない。
 そもそも、力を子どものように振り回すのは愚者のすることだ。人はとかく忘れがちだがな。」

ノーサインに、当然だ、とでもいうように返す。
自分の不都合でそこまで大きな力を振るう気はない。本当に必要性があれば別だが。
なんとなく考え込む男を見ながら、やはり人は力を雑に扱いがちなのか、と考えたりする。

やはり、度し難い。

「敬え、などとは言わないがな。」

年上、ということを言われれば、そう答える。
別に、尊重しろとか、そういうわけではない。互いに話をするにあたって、最低限の礼を忘れるな、というだけの話だ。
年上、年下など関係なく、それは必要なことだ。

自分は? 少なくとも、尊重はしているつもりだ。そのうえで、自分の言いたいことはいうが。

「なるほどな。では、お前も格好つけたいということか」

それなら、そう言えばいいのだが。
人は本当にめんどくさい生き物だ。度し難い。
まあとはいえ、そのなけなしの尊厳を踏みにじるほど狭量でもない。
やむなく、男についてまわりフランクフルトを受け取る。

「……なんだ、これは……」

フランクフルトの上にのる、ケチャップとマスタード。美しくもジャンクな赤と黄のコントラスト。
ただし、どちらも怪異は知らないものだった。
こんなもの、わざわざかけるのか? 妙な変化を遂げたものだな。

「確かに、大きいな。
 まあ、食は無駄にできん。これらに罪はない。」

小さな口で、フランクフルトにかぶりつく。
当然ではあるが、一口で一気に、などということは不可能だ。
実際には、先の方をなんとか口に収めた程度になる。

「ん……」

無駄に大きく作り過ぎではないだろうか?

橘壱 >  
「……そうかもしれないけど、そうじゃない。
 多分、クロメが思うほど今は愚かじゃない……とは、思う。」

確かにそう感じたのは自分の妬み嫉みではある。
ただ、その言い分には待ったをかけた。
少なくとも自分を掬い上げてくれた人たちは、そうではないと信じたい。

「……まぁ、そういうことにしておく……。」

そう言われるとなんか釈然としない。ちょっとジト目で見やった。
なんかずっと塩巻かれ続けてるんだけどな、と思わずには言われない。
でも此処で余計なこと言ったらコイツ面倒な気がするぞ。
なんたって、捻くれ方は自分以上だ。
此処は逆に、"大人の対応"として言いたいことは呑み込んでおいた。

「男だからね。そうは見られたいよ。
 ……何って、フランクフルト……じゃ、ないか。」

「ケチャップとマスタードだよ。今は定番の調味料だよ。」

余程変なものでなければケチャップの酸味とマスタードの辛味が肉を引き立ててくれるはずだ。
しかし、そうか。彼女が活動していた時期にはなかったのか。
いや、そもそも食事を必要としないタイプらしいし、こういう知識は薄いのかもしれない。
思ったより博識だと思ってたから意外だ。がぶりと一口齧ってみる。
……うん、見た目通りの大味。だが肉ってこういう感じでいい。
旨味とマッチした調味料が味を引き立てる。ジャンキー。

「うん、悪くない。こういう場所で食べると特別感あるなぁ。
 ……食べづらいとかない?大丈夫か?」

彼女は色々小さいし、どうだろう。
横目で様子を見てみることとする。

クロメ > 「……ああ。"今は"そうかもしれないが、な」

特に否定はしない。
この男がそう思うのならば、彼の中ではそうであろう。それを否定しても仕方がない。

「最低限、お前の事情には合わせてはいる」

どこか不満そうな顔をする男に、それだけを口にする。
そもそも人と共にいること自体が、自分の好みに合わないのだ。
こうして会話をしているだけでも、だいぶ譲歩をしていると思う。

「そうか。仔細はわからないが、お前が自負している世界……ではない、ところでも、か。
 人間は妙なものだ。」

細かいことは興味もないし、知らないが、眼の前の男には何か、自負している特技がある、ように見える。
しかしそれは、間違いなくこうして誘ったり奢ったりすることではないはずだ。
それが彼女にはやや奇妙にも見えた。

「まあ、いい。人が食べるもので、私に毒になることもない」

調味料自体は、知らないわけではない。考えようによっては、これはソースに近いものともいえるか。
ともあれ、捨てるような無体な真似はしない……のだが

「ん……ぐ。大きいな。こんなもの、よく齧れる。」

先の方に齧りついたものの、小さな口には大きすぎた。
しばらく考えたものの、無理に大口を開けても仕方がないと割り切って先をがぶり、と噛みちぎる。

「……味は、まあ食べれるな」

橘壱 >  
「…………。」

それは彼女の事情を考えれば仕方ないことなのかもしれない。
そうなるようになるには必然だし、そうでないことを知っている。
視野の狭さと器量の大きさの反作用。
まぁ、そうだ。付き合う必要が無いし、拒否する権利もある。

「少なくともそうでなければ、祭りなんてやってないよ。
 事情に合わせてくれる割には結構付き合ってくれるんだな。」

ただ、敢えてせっついてやることにした。
ちょっと口端を上げてニヤリと、からかってやったのだ。
何時も塩対応されてるし、ちょっと位せっついてもバチは当たらない。

「寧ろクロメが小さすぎるだけのような……、……。」

フランクフルトを齧りながらじっと見やる。
大きな態度に小さい体。見た目だけなら遥かに年下だ。
少なくとも、その小さい体が食べる事は想定していなさそう。
いや、それはそれとして棒状の溢れる肉汁を必死に齧る。食らいつく。

「…………。」

うん、アニメでは"良く使われる"手法だが、生でも確かにこれは良くない。
美少女がこういうのを必死に食べる姿は確かによくないな、うん。
眼鏡をカチャリと上げながら記憶(メモリー)に焼き付けた。
オタクくん、そういうところだよ。

クロメ >  
嫌でも、起きてきてしまった以上……この世の中を知る必要があると判断した。
そのため、ある程度は人に合わせて活動しているわけである。
この世全ての人を根絶やしにしよう、などというほどに関わる気もないのだし。

だから

「ん……そうだな。
 これからは、もう少し付き合い方を熟慮する必要があるか?」

からかわれれば、いつもの冷徹な真顔で、そう答えるのであった。
少女の見た目と合わせて、実に可愛げがなかった。

……それにしても端からこの会話を聞いてしまった場合、何を想像するのだろうか。

「……ん?」

何やら視線を感じる。わざわざ人が食べる姿を見ている意味も感じられないのだが。
妙に熱心に見ているような気がする。

「……どうした?」

どこか妙な怖気を感じた気もして、思わず問いかけた

橘壱 >  
「……!あ、い、いや、なんでもない……。」

しまった、ちょっとじっと見すぎたかもしれない。
なんでもないと慌てて視線を反らして誤魔化した。
言えない、間違いなくその見ていた理由は言えない。
自分で言うのもなんだが、余りにもキモすぎる。
そして、此れを言ったら間違いなく今より関係性が悪化する。
此れはそっと、胸の中に隠しておこう。うん。

「……出来ればその熟慮は仲良くする方向で頼むよ。
 これ以上塩撒かれると、僕がしなびてしまうかもしれない。」

冗談交じりにいいながら、ちょっとはにかんだ。
ナメクジだったら、今頃溶けてなくなっているかもしれない。
まぁこう付き合ってもらえるくらいには一応対応がマシになってると考えよう。

「まだまだ屋台は……結構長いし多いな。
 次はもうちょっと小さいというか、食べやすい屋台にしようか。かき氷とかさ。」

クロメ > 「……そうか」

別に、視線による呪詛がかかったわけでもなさそうではあるので、そこでやめておくことにしよう。
本当は微妙に納得はいかなかったが、そこを追及しても話が拗れるばかりだと判断した。

この男の特性として、ときに考えが読めないことがある。
今回もその一つだろう、と結論づける。

「今の流れで、仲良くする方向になるとでも?」

いつもの冷徹な真顔で答える。
話の流れからすれば、別に付き合わなくてもいい、ともなりそうなものだ。
まあ、実際そうしたら後々面倒そうなので、やりはしないが。

「……食べ物ばかり、山のようにあるな。
 こんなに用意して、正気なのか?」

長い屋台の列を見て、わずかに眉をひそめる。
流石に呆れたのだろうか。

「……まだ続くのか、これは。
 やれやれ」

どうやらまだ食べたり回ったりする気らしい。
仕方あるまい。これも面倒を避けるためだ

橘壱 >  
「あるんじゃないかな?まぁ、でも、そうだな。」

そうなるかは自分次第だ。
少なくとも彼女はずっと孤独のままでいるし、自分から歩み寄る事も今はないだろう。
思い込みじゃなければいい、その心の穴。
自分一人でどうにか出来るとは思わないけれど、少しは埋められればいいとは思っている。
そのために、ちょっと勇気を出して此処まで来たんだし。

「お祭り事だし、そういうモノじゃないかな。
 色んな人が楽しめるようにさ。幾つかはその人の趣味だろうけど……。」

確かに長い。長過ぎるのは同意だ。
だからこそ、長い夜にはふさわしいのかもしれない。

「もう少し付き合ってもらおうかな。
 とりあえずかき氷に……向こうの境内では踊りもやってるみたいだぞ。」

少しでもその穴を塞げるように今は、引っ張り回すことにしよう。
この長い夜に、永い記憶の一片として、残るように。

クロメ > 「……面倒くさい男だな、お前は」

どうにもこうにも、関わろうとすることをやめない。
感性が鈍いのか、それとも特大のお人好しか。ただの被虐趣味の可能性もあるが……
一々巻き込もうとするのが厄介なことこの上ない。
その上、権威というやつで引き剥がすのも面倒とあれば……本当に度し難い

「昔から、人はこういう騒ぎが好きだな。
 まったく、面倒な連中だ」

祭りの長大な様子を見て、改めて口にする。
騒いで、はしゃいで。何が楽しいのか。

……無邪気、といえば聞こえがいいのかも知れないが。
本当に、人というものは

「……まあ、とりあえず何を言っても無駄だな」

それだけ口にして、男についていくことにする

ご案内:「常世神社」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「常世神社」からクロメさんが去りました。