2024/09/30 のログ
■ゼア >
仕事をしているとき、たまーにその姿を見かけたかもしれないが。
はっきり仕事場が被ることもなかったため、互いに印象も残らなかったのだろうか。
「んー、そうなんだねぇ。嫌いじゃないなら、よかった」
仕事という行為そのものに何を感じているかが人によって違うのは、仕方がない。
あくまでゼアがそうであるというだけ。
でもまあ、嫌々やるよりは前向きな方がいいよね、ということで。
「頑張れば、きっとその分褒めてもらえるよー。頑張ろー」
……。
ゼアが到着してから、そこそこ長い時間が経ち、新品のゴミ袋が三つ、枯葉で満ちた。
「ふんふんふ~ん♪」
一応、契約に従った量はこれにて集まり切ったわけなのだが。
それに気づいていないのか、あるいはまだ少しやっていたいのか。相も変わらず鼻歌交じりで、ゼアは枯葉を集めていた。
■武知一実 >
「いずれどこかでまた一緒に仕事する事もあるかもしれねえな。
そん時ぁ、遅刻しねえようにしてくれよ?」
オレもオレでバイトを転々と変える事もあって、いつかは再度まみえる事もあるだろう。
出来ればその時は作業開始から居て欲しいところだが、こればっかりはその時になってみねえと分からねえ。
「別にオレはバイト代さえ貰えんなら褒められはせんでも良いんだけどよ……」
その後、目標の量に達するまで思ったよりも時間は掛からなかった。
少なくともオレが一人でやるよりは、倍以上の速さで掃除は進んだように思う。
……いや、これなら本当に最初から居てくれりゃ良かったのにな。
「おい、一応は神社から頼まれてた量は回収出来たが―――」
新たに増えた落ち葉入りゴミ袋を指定場所に置いてから、まだ掃き掃除を続ける姿へと声を掛ける。
「―――出来たが、まあ時間はまだちょっとあるしな。
やり過ぎんな、とも言われてねえし時間いっぱいまでやってくか」
勿論歩合制じゃ無いのでバイト代が割り増しになることは無いんだが。
それでも楽しく掃除をしている姿を見れば、オレももう少しやって行こうかという気にもなる。
「なあ、アンタ名前は? オレは武知一実、春に転入した1年生だけどよ、アンタも生徒なのか?」
■ゼア >
「努力はします」
保証はしない。
「でもさ、褒められた方が嬉しいじゃない? 嬉しくない? ゼアは嬉しい」
まあ、対価を得るために仕事をする。
全く正しいことである。感謝が第一に来る人間はそういないだろう。ゼアの方が特殊なケースだ。
でも、ないよりはあるほうがいいよね、感謝の気持ち。
そう言えるのは、そもそこまで金を使うことがないからかもしれないが。
呼びかけられて、ようやく気付いた。
「あれ、いつの間に。
……そうだねえ。まだ時間あるし、もうちょっとがんばろー」
あそこまでは頑張ろうねえ、なんて一角を指さしてから、再び箒を握りなおした。
「ゼアはゼアだよー。同じ1年生です。ふふ、おそろいー。
この島に来たのは……何か月か前かな。多分同じくらいだねえ。よろしくー」
■武知一実 >
「……ま、期待しねえでおくわ」
引き受けた仕事はたとえ遅れることはあっても放り出すことは無いと見た。
であればもし今後同じバイトをすることになった時は、来るまでの間オレがカバーしとけば良いって事だ。
……まあ作業内容に寄っちゃ遅れてきたらその場で交代する場合もあるかもしれねえけども。
「ああ、まあ……失望されるよりかは感謝される方が良いが……」
褒められ慣れてないというか、喧嘩やら何やらで怒られの方が馴染みがある所為かピンと来ない。
自分で言っておきながら、オレもオレで何かズレてんなと思わざるを得ず。
「ああ、そうだな。
あの辺りまでやっときゃ、時間的にも丁度良いだろ」
指された一角を見ては肯いて、オレも改めて箒を持ち直す。
竹箒、握り具合といい重さといい、喧嘩でも使えそうな感じ……は、まあ置いといて。
「ゼア、って名前だったのか。
そうか、アンタもこの島に来て日が浅いんだな……ま、これからよろしく頼む。同級生みてえだしな」
それなら学校で顔合わせる事もあるだろうか。
そんな事を考えながら、他愛無い会話と共に掃き掃除を続けて行き、
バイトの時間が終わる頃には追加分も込みで7袋の落ち葉を回収して大層感謝されたのだった。
ご案内:「常世神社」からゼアさんが去りました。
ご案内:「常世神社」から武知一実さんが去りました。