2024/10/17 のログ
ご案内:「常世神社【イベント開催中】」に伊那美かんなさんが現れました。
■伊那美かんな > 祭でにぎわう境内。
そこまで人の多い時間帯ではない中を、少女が一人歩いていく。
「来ちゃうの、ずいぶん遅くなっちゃったな。
お祭りの時期になっちゃった。」
鳥居をぴょんと、跳ねるようにくぐり。
出店をあちこち眺めながら、のんびりと。
■伊那美かんな > 目的あってきたものの、物珍しさに参道の出店に度々足を止めるのはやむをえないところ。
一つのお店の前で足を止める。
「・・・菓祖祭だからお菓子のお祭りなんだよね。
ここだとハロウィンも兼ねてるんだ?」
簡単な仮装衣装の並べてある出店を覗いて。
本格的な全身衣装は商店街のほうで取り扱っているという話を店員に聞きつつ、
ちょっとしたパーツを手に取らせてもらう。
猫耳、うさ耳、幽霊用の三角布につけ耳…
掛けてあった吸血マントも学生服の上から羽織らせてもらってみて、ひとつくるんとステップ。
特異な肌色にちょうど合ってしまって店員におだてられたりしつつ。
「うーん…。」
借りた衣装を一通り返してから、猫耳と三角の布を手に迷う。
壱くんが好きそうなのは猫耳な気がしつつ、環奈らしいのは三角の布かなーとか。
■伊那美かんな > とりあえず布切れを買って先に進む。
入口付近だったからちょっと変わった出店もあったが、奥に行けばきちんと
菓祖祭のお菓子の出店ばかりになって。
「ちゃんとそれっぽくなってきた。
あ、橘のお菓子ないかな…ちぃくんのお菓子…。」
祭の由来となった、橘のお菓子を軽く探してみる。
柑橘の中でも蜜柑のお菓子が多いようだけれど、そのほかの変わったお菓子もちらほらと。
ご案内:「常世神社【イベント開催中】」に『アリス』さんが現れました。
■『アリス』 >
「い、いかがですか~! 蜜柑だいふく、蜜柑だいふくですよ~」
少しふらふらとしながら歩いているその女は、
環菜がつい先日学生通りで遭遇した女である。
この清浄なる場に似合った聖職者らしい服、
流れるような金の髪に、幻想的な長耳。
それだけ見れば、可憐で清楚なエルフで済むのであるが――
「え、栄養満点……甘くて美味しい~? えーと、丸ごと嬉しい~!
蜜柑だいふくはいかがですか~」
――随分としんどそうな顔をして歩いてくるそのエルフは、
普段の服に上乗せして、大きな段ボールを抱えていた。
ずしりと重そうなそれを、ビニール紐で首にかけて
売り歩いている様子である。
不慣れな様子で宣伝文句もたどたどしく、
遠目から見る者は居れど、全く売れていない様子である。
「か、帰りたい……おうちに……」
なんかぼそっと聞こえてきた。
■伊那美かんな > 聞き覚えのある声にふと振り返る。
周りが蜜柑尽くしのため蜜柑はさほど気にはならないけれど、何となく気になって。
視線を向ければ、見覚えのある…目立つ衣装姿が目に入った。
「・・・アリスさん?」
声をかけながら、小走りで近寄って。
そのさなかに相手のボソッとした呟きも耳に入る。
「なんか似合ってない…
えっと、何があったの…?」
とりあえず変だ。蜜柑だいふくは変じゃないけれど。
■『アリス』 >
――お、重い……苦しい……。神よ、これも私への試練なのですか……。
あ、そう考えると……何かこれはこれでイイかも……。イイ……。
さて、ぐるぐると良からぬ思考を一人で回していると。
少し前に聴いた声が耳に入る。
見やれば、小走りで近寄ってくる少女の姿。
「あっ……か、環菜さん……! うぐっ……!」
ずしりと重い段ボールごと、そちらに向き直った。
明らかに重量オーバーのようで、華奢なエルフは軽くよろめいた。
「……こほん。あ、いえ。
今、菓祖祭をやっているのはご存知ですよね?
祭祀局からも幾つかお菓子を出しているのですが……
紆余曲折の結果、
この蜜柑だいふくの売り歩き担当になってしまいまして……。
そこまでは良かったのですが、そのだいふくがさっぱり売れず……。
悲しいやら申し訳ないやら、重いやら……。
先ほどからずっとこの辺りを練り歩いているのですが……。
それで、困り果てていたのですよ~……」
しゅん、と顔を伏せるエルフ。
■伊那美かんな > とりあえず手を伸ばして、
段ボールの重さを支えてあげる。
ひょいと、環奈の膂力であれば大した重さでもなく。
「あ、もともとお祭りが祭祀局と式典・生活主催だもんね。
かかわってるのはわかるんだけど… そっか紆余曲折なんだ。」
紆余曲折と何だろうかと思うものの、
どう見ても異邦人の彼女にこちらの祭事の段取りも確かに難しそう。
ということは…
「・・・あっ、もしや神事にかかわれなくて雑事担当になった?
でもどこも柑橘の菓子は似たり寄ったりだもんね。神社の中だとなかなか売れなさそう…。」
蜜柑だいふくの売れ行きについてはさすがにどうしようも、
料理漫画のようないい知恵が出るわけでもなく。
「とりあえずかんなも本殿まではいくから、
持つの手伝ってあげるね。」
と、荷物持ちを申し出た。
■『アリス』 > 「あ、ありがとうございます!」
手を伸ばして支えて貰えるのなら、
ようやく体勢をしっかり整えて、歩き始めることができる。
「おや、鋭いのですね、環菜さん。
学園での私の務めは、主に怪を祓うことに特化してるんですよ。
無論、この国の神事に関してもある程度の勉強はしていますし、
参加する事もない訳ではないのですが、
今回に関してはまぁ、『担当外』、ということになり……」
そう語りながら、困ったように笑う。
表情を見るに、それで納得がいっていない、という風ではないようだ。
今回は一つの大きな神事であるし、適材適所、というやつである。
「一旦、本殿近くの幄舎の方まで運べればと思いますので……
大変助かります……!
環菜さんに、神のご加護がありますように……」
頭を下げつつ――両手は重ねられないので――目を一瞬閉じる形で
祈りの動作の代わりとした。
「環菜さんは、お祭の見物に来られたのですか?」
助っ人のお陰で、随分と楽になった。
言葉もすらすら出ようというものだ。