2024/10/25 のログ
ご案内:「常世神社【イベント開催中】」にDr.イーリスさんが現れました。
ご案内:「常世神社【イベント開催中】」にエルピス・シズメさんが現れました。
■Dr.イーリス > 菓祖祭で盛り上がっている夜の常世神社。神社に続く表参道に、様々な屋台が並ぶ。
イーリスは黒のブラウスとフリルがついたベージュのミニスカートでおめかし。
十月も終盤で、少しずつ冷えるようになっていた。
イーリスはエルピスさんと共に、屋台が並ぶ表参道を歩く。
「柑橘類をつかった美味しそうなお菓子の屋台がいっぱいです! 甘いものを食べるとなんだか幸せな気持ちになれますからね」
にこっ、と笑みを浮かべつつエルピスさんの左手にそっと自身の右手を伸ばして、目を細めながら恋人繋ぎをしようとする。
「エルピスさんと一緒に美味しいお菓子の味を分かち合えば、もっと幸せです、ふふ。みかんのお菓子と言えば、夏にエルピスさんからいただいた夏みかんのムースを思い出しますね。あの夏みかんのムースもとてもおいしかったです」
辺りを見渡す。
菓祖祭で、とても人が多かった。
屋台は、柑橘類をつかったお菓子が多いけど、それ以外にも様々なお菓子のお店がある。
世界各国のお菓子の他に、イーリスも全然見た事もない謎のお菓子まである。異世界のお菓子なのだろう。
■エルピス・シズメ >
菓祖祭で盛り上がる祭りの夜。
エルピスのコーデは普段のそれと大差のない黒いワンショルダーのチュニックとホットパンツのコーディネイト。
普段と変わらない装いだが、モノは新しい。靴や鞄なども丁寧に新品だ。
特筆すべきとすれば、右腕のみが銀色の機械腕になっていること。
多腕でも生体腕でもない、第三の義腕。右腕のみを義肢にするスタイル。
ワンショルダーの装いを崩さなかったのは、この右腕を目立たせる意味合いもある。
ワンショルダーの開いたスリーブ側から、銀色が照らされる。
「うん。目移りしちゃいそうなとてもたくさんのお菓子。
最近は僕もイーリスも色々忙しかったし……
……今日ぐらいはお財布もカロリーも気にしないでいっぱい遊ぼっか。」
気が付けば秋真っ盛り。
冬の足音が近づく前の、少し冷えるけれど心地良い季節。
今日も天気は荒れることもなく、過ごしやすい夜。
心地よさそうに恋人繋ぎを左手で受け容れて、距離を縮めてゆっくり歩く。
「あの時はそれくらいしかできなかったけど……。
……美味しい、って想い出になってくれてるなら……よかった。」
まだ、数ある事務所が廃屋よりはマシ程度の古びた物件だった頃。
大変だった彼女にせめて甘いものでもと、お土産としてイーリスに差し入れた夏みかんのムース。
振り返ってみれば、懐かしい想い出。
「これだけいっぱいあると、悩むけど……
……あ、あのアイスクリーム、美味しそうかも。あの屋台に行ってみない?」
そう言って、一つの屋台を視線で示す。
アイスクリームやソフトクリームの出店らしい。
■Dr.イーリス > エルピスさんの右腕に視線を移す。
《虹の奇蹟》となったエルピスさんが開発した義手。イーリスも監修という形で関わった。
「義腕の調子はどうでしょう? 私が監修した限りでは、とても良く出来た義腕で特に問題点もありませんでしたが、ある程度実際に動かしてから問題が発覚する事もございますからね」
義腕の監修をしてみて、イーリスの技術が正しくエルピスさんに受け継がれているのだと、改めて感じられた。
「そう、ですね。とても私は風紀委員会に加えて生活委員会に入ったり、そこから指定保護区域管轄課を発足したりでバタバタしておりましたね。最近はエルピスさんとの時間ちょっと減って、寂しかったですよ」
いっぱい遊びましょう、とイーリスは笑顔で頷いてみせる。
「エルピスさんとの出来事、私にとってはどれも大切な思い出です。あの夏は、呪われた私をエルピスさんが必死に助けてくれました。一緒に呪いを分かち合ってくださいました。幾度も命を救われました。エルピスさんのお陰で、因縁の敵を倒す事ができました」
大変だった……。
大変だった時には、いつもエルピスさんが傍にいてくれて、助けてくれた。
エルピスさんが必死に助けてくれて、そんなエルピスさんにイーリスが恋焦がれていって、愛が膨らんでいって……今ではエルピスさんにイーリスの心が染め上げられている。
「アイスクリーム、いいですね! とても美味しそうなアイスクリームです! 行ってみましょうか」
そうして、二人でアイスクリームの出店へと向かっていく。
■エルピス・シズメ > 「うん。まだ最低限の機能で、ガワだけだけどね。
それでも、生活にはこれでも十分だし……ぼくとイーリスの努力の証だから。
デザインも気に入ったものが出来たから……お洒落のつもり。」
今身に付けている義肢のために、《虹の奇跡》の自我を経由して尚足りない機械の技術を教えて貰った。
まだまだイーリスの技術には遠く及ばないけれど、足掛かりになる一つの形を残す事が出来た。
「……言われてみれば、〝掛け持ち出来ない〟とは目に付く規則には書いていなかったからね。
掛け持ちからの下部組織の発足だから、忙しいのはしょうがないけど……寂しかった。」
イーリスは生活委員と風紀委員の〝掛け持ち〟をするようになった。
そのまま下部組織の指定保護区域管轄課の発足に携わっていたりと、
イーリスもイーリスで多くの業務をこなしていたと聞いている。
「でも。ううん。だからこそ……一緒に居られた時はとても嬉しかった。」
合間に生まれた何もない休日には、童話やアニメを一緒に観て、感想を語り合ったりした。
赫さんや重高さんに教えて貰ったレシピを使って、料理を共に練習した。
多忙の中で過ごした日常は、掛け替えのないものだった。
「そうだね。あの時はとっても大変だった。
瀕死のイーリスを助けるために、『エルピス』の事務所を再稼働させて、整備を整えて……
……何だかんだあったけど、イーリスの因縁に幕を引くことが出来て好かった。」
心底の安堵。
とにかく、イーリスの力になりたい。その一心で動き続けていた。
できることをたくさんして、出来ないこともどうにか人を頼ったり無理をして、頑張った。
そのイーリスの因縁の中で、僕も向き合うべきもの過去と向き合った。
イーリスが認めてくれたから、僕は《故エルピスの再現人格》ではなく《エルピス・シズメ》として自我を確立できた。
それらは、イーリスの因縁に幕を引くことに必要なことだった。
同時に、共に過ごし続けてきたイーリスのいろいろを見続けて好きになっていた自分が、
イーリスを愛して、そして恋して、だいすきと言える大きい要素。
他にもたくさんあるけれど……《エルピス・シズメ》を認め切れなかった自分の手を取って、
僕を僕と認めてくれたのは、イーリスだった。
「これ以上冷える前に、アイスクリームの食べおさめ。
柑橘系のもの多いけど……僕はみかんとゆずのミックスソフトクリームにしようかな。」
■Dr.イーリス > 「ふふ、私もその義腕のデザイン、とても好きです。エルピスさんに、義腕がとても馴染んでいるようですね。完成までは、もうひと踏ん張りです」
エルピスさんの左手から自身の手を離すと、今度はそっと右の機械義腕を両手で大切そうに掴み、そして目を細めながら自身の頬に持っていってすりすりと頬で撫でたりする。
「エルピスさんにもアドバイスいただいたり、また手続きを手伝っていただいたりで、とても助かりました。ありがとうございます。お陰で私の守りたいものを守れます。『数ある事務所』も、民間協力企業という形で書類上は通しておきました」
不良時代の時から守りたかったもの。
スラム暮らしで恵まれない子供だったイーリスは、同じ立場の人を守ったり支援できる立場となった。かつての不良集団《常世フェイルド・スチューデント》のシマを今度は風紀委員と生活委員として守るようになった。
スラムの教会と《フェイルド・スチューデント組》の共同管理で孤児院を建設をしたりもした。
『数ある事務所』周辺もまた、イーリス達が管轄する指定保護区域だ。
「エルピスさんが傍にいてくださらなければ、私はここまで頑張れなかったと思います。エルピスさんと一緒にいられる時間で、私の活力が注入されますからね。私……エルピスさんがいなければダメなぐらい弱くなってしまいましたけど、だからこそエルピスさんがいればどこまでも頑張れます」
どんなに帰りが遅くなっても、夜は必ず『数ある事務所』に帰ってエルピスさんと寝るようにしていた。
エルピスさんとの時間をとても大切にして過ごした。童話を読んだり、アニメを見たり、お料理を一緒に学んだり。
「『数ある事務所』も随分賑やかになりましたよね。私、エルピスさんにいっぱい感謝してます。いくら感謝してもしきれないぐらいです。これから寒くなってきますから、『数ある事務所』にも暖房器具が必要になりますよね。ちゃんと開発できておりますよ。カンテラ型暖房です」
イーリスが恋したのは《故エルピスさんの再現人格》ではない。今この時代を生きるエルピス・シズメさんだった。学生通りの自動販売機の前で出会ってこれまでを過ごしてきたエルピス・シズメさんの事をイーリスは好きになった。
ナナさんや赫さんも住む事になって、また色々改装もしたりで、とても賑やかで住み心地がよくなった『数ある事務所』。
カンテラ型暖房。見た目はカンテラ。照明器具にも使えるが、なんと辺りを暖める効力がある。
「暖房の利いたお部屋でアイスクリームを楽しむというのもいいかもしれませんよ。私、スラムのストリートチルドレンだったのでそのような贅沢な事をしたことなかったですけど、今年は体験できます。ふふ、それでは私はみかんとレモンのミックスソフトクリームにしてみますね。店員さん、お願いします」
店員さんに注文した。