2024/11/04 のログ
武知一実 >  
何か物言いたげにみかん飴を齧り続けるリリィを見ていると、やっぱり小動物めいたものを感じる。
リスとかこんな感じで木の実齧ってるよな。動画でしか見たことねえけど。

「何だってんだよ、ったく……そりゃあ事あるごとに空腹で倒れたりしてたら食えるときに腹一杯食わせてやるのが当然だと思うだろ」

オレ何もおかしなこと言ってねえよなあ、と首をひねってる間に、リリィも理解したのか不承不承と言う感じで落ち着いた。

ガジガジと音を立てて一心不乱に飴を齧っていたリリィだったが、何やら思案気に呻いたのち口を開く。
……ちょっとみかんの匂いがする。

「まあ、確かにな。
 とにかく定期的に騒げれば満足と言うか、あまり由来とかには頓着してねえ幹事はするけどよ。
 クリスマスは、そうじゃねえのか……?」

まあその年も残りわずかとなれば大人しくなるんだろうか。
以外にも粛々と過ごしたり……する感じじゃなさそうだ。リリィの発言を聞く限りでは。

「あァ? 恋バナだァ?
 別にしねえな、ンな話。 他の連中はともかく、そんな相手が居るわけでもねえし」

以前話した、何組の誰それが可愛いだの胸がデカいだの、そういう話は恋バナとは違う……よな?
基本的に女子の名前が挙がるなんてそういう時くれえだから、多分ない。 ああ、無い。

リリィ >  
「そんなことあるごとに倒れては……いませんよ、かずみん様の前では一度しか。」

そっと目を逸らした。流した冷や汗の分、蜜柑の果汁で水分補給。
割れるまでが大変でも、取っ掛かりさえ出来てしまえばあとはらくちん。果汁が垂れてくることに目を瞑れば、だが。
軽く袖を捲ってパーカーが汚れるのだけは阻止しておく。

「恋人たちのクリスマス、って聞いたことありませんか?」

よく聞くフレーズ……だと思うが、如何せん少年の生い立ちを思えば微妙なところか。
何気ない雑談めいた調子で続ける。

「あぁ~……そっか、そうですよね、男の子同士だとそうですよね。
 んん、彼女欲しい!みたいな、そういうのとかも?」

さて困った。身近なところで実感を得る機会がないとしたら、説明しただけでわかってもらえるのだろうか。
眉間に浅く皺を寄せるが、元よりそう口が巧いわけでもない。悪魔なのに。ポンコツだから。くそう。

「要するに、わたしがなにを言いたいかと言いますと、
 あまりひとを勘違いさせるようなことを言うのはトラブルのもとになるのでおすすめはしません、ってことなんですが、」

一旦言葉を区切るが、勘違い?って言われる気がしたから何かを言われる前に一呼吸だけ挟んで続けることにした。

「勘違いとはなにか、何故トラブルになるかですが、大抵の人には恋愛感情というものがあります。惚れた腫れたってやつです。
 かずみん様は深い意味なくそのままの意味で持ちいたとしても、受取り手が額面通りに言葉を受け取るとは限らないんですよ。
 ……わかりますか?」

さて、忠告は通じただろうか。一度口を閉じて、いややっぱりみかん飴を齧って少年の反応を窺う。んまい。

武知一実 >  
「定期的に精気吸っといて、そうホイホイ倒れられてたらオレの立つ瀬がねえんだよ。
 ……ま、それは冗談だとして、幾ら倒れる心配が無くとも食えるときに食っとくのは大事だろ」

微々たるものでも無いよりはマシ。
特に外じゃ精気の供給も難しいんだから、出来る限り繋ぎになるものは確りと摂取しておいて欲しい。
……今したら、みかんの味とかすんのかな……。

「自慢にもならんが、無ぇな」

そもそもクリスマスの存在を知ったのも学園に転入してからだ。
いや、存在自体は研究施設に居た時から知ってはいたが、あくまで知ってるだけで、例によって実感は伴ってなかったわけだが。

「彼女欲しい、とかはクラスの奴がよく言うけども。
 まあ、だからどうしたくらいにしか……」

だからどうした以上の言葉が出て来ないのもある。 欲しいなら作れよ、としか言えん。
まあ、それを言ったら身も蓋もなくなるので言わないようにはしてるが。

「……―――勘」

言う前に話を続けられた。 仕方ないので開きかけた口を閉じて話を聞くことを続ける。
とは言え、聞けば聞くほど何が言いてえのか分からなくなってくるが、とりあえず、オレが何か勘違いさせるような事を言った、らしい。 え、いつ?

「ええと……分かりはしたけどよ、例えばどんなこと言ったらそういう事になるンだよ?
 それが分からん事には何も言えなくなんだろ……?」

そこまで言うからにはリリィには確固たるものがあるはず。
ひとまず例を挙げてくれりゃ、そこを気を付けりゃ良いんだから話は早いんじゃねえか?

リリィ >  
「ぬぅ……心配性だと一蹴できない我が身が悲しいです。」

反論できないので飴を齧る。
食べづらさのおかげで比較的長持ちしているが、それもあと僅か。

無いと断ずるのは半ば予想の内であったので然程落胆はない。
だからどうした、って反応も、まぁそうだよなぁという納得が先立った。
何故欲しいならつくれを呑み込めて、隣に居ろは出てくるのか。解せぬ。

「具体的にどうって言われると、数があり過ぎてキリがないですが……そうですね、わたしが微妙な反応してる時は大体ぶち抜く勢いで踏んづけてると思っていただいて構いませんよ。」

隣に居ろとか、隣に居ろとか、隣に居ろとかね!!

「少女漫画とか読んで勉強してください、お願いします。
 トラブルなら解決すれば済むんですが、わたし(淫魔)がいることで、かずみん様やかずみん様を想う方の恋路を邪魔してしまうのは不本意なんです。」

こうした忠告の意図も説明した後は、言うべきことは言ったとばかりに飴を平らげることに集中する。
最後の方は割り箸に刺さった果肉のバランスが崩れて危うく落っことすところだったので、めいっぱい大口を開けて頬張ることで難を逃れた。
それこそげっ歯類みたく頬を膨らませ、むっしゃむっしゃむっしゃむっしゃ。ごくん。

武知一実 >  
「ま、分かってくれたんなら良いんだけどよ。
 食わなきゃ何かと不都合がある体の奴から食べ物を譲られる身にもなれよな」

まあ気持ちはありがてえとは思うんだけども。

まーた何かリリィが複雑な百面相してんなあ。
淫魔なんだよなコイツ。すごい滾々と説いて来るけど淫魔なんだよな……?
……ホント、変な奴だよな。

「微妙な反応って何だよ……
 言うほど微妙な反応してるか、アンタ」

思い返してみるが思い当るフシがあんまり無い。
いや、オレが見落としてるだけでリリィにとっては微妙な反応なのかもしれんが。そうなってくるともう……あー、まだるっこしくて仕方ねえな!

「ンだよ、少女漫画なんかで勉強出来んのか……?
 別にアンタは邪魔になんてならんし、そもそもがオレみてえなのが恋路?なんてのが真っ当なもんなわけねえだろが」

既に人生自体悪路と迂回の連続な気がしないでもない。
それなのに恋路とやらがまともな訳が無ェだろう。
いったい何の心配を、リリィはしてるのやら……と呆れも通り越して感心すらしてしまいそうになる。
……にしても、何度目か分からねけど、コイツ淫魔なんだよな……? と首を傾げつつ、二つ目のみかん飴をリリィの前に差し出してみる。

リリィ >  
「それはわかりましたけどー……美味しいものは共有しておいしいねってしたいじゃないですかぁ。」

不承不承と言葉以上に表情が物語る。
下唇を突き出してぶーたれてたのは束の間のことだ。

「わからないんだったら今後は都度突っ込みますが、出来れば早めに理解してください。」

毎度毎度突っ込むのも大変だし、わかっていても形容し難いものを覚えるような気がしないでもないでもないでもないでもないでも(中略)ないのである。
少年にはそこら辺の機微を早めに学んでいただきたいところ。

「邪魔になるんですって。
 かずみん様の恋路がどうなるかっていうのはわかりませんが、備えておくのに越したことはないでしょう?」

こんなんでも少なからずというか、恩義は感じているのだ。淫魔だけど。
恩人の邪魔などしたいハズもない。淫魔だけど。
淫魔です。差し出されたみかん飴を、お礼を告げながら嬉々として受け取ってフィルムを剥がしてるけど、淫魔なんです。

リリィ >  
「これもおいしいですよ。……要らないんですか?」

ぶーたれながら語った言葉を少年は如何受け取ったのか。
一口どうぞも中々に距離感のバグった申し出であるのに気付かないあたりは淫魔でありポンコツであり。

まあ、だから、そう、

「難しいことは一旦おいといて、今はお祭りをたのしみましょう。折角ですし、ね!」



飴はどうあれ大半がポンコツ淫魔の腹の中におさまる。

ベタベタの手を手水舎で清めてから、他の屋台だったり催しだったりに繰り出さん。
点茶体験では抹茶のおいしさにいたく感激するポンコツ淫魔の姿が目撃されるのだそうだ。

んまーい!

武知一実 >  
「なら最初にそう言えよ」

そういう事なら考えない訳でもない。
が、オレとしちゃリリィが美味そうに食ってるとこ見てるだけで満足なんだが……って前にも言ったな。
……まあ、覚えられてなくても無理は無いと思うけどな。

「おう、努力はする」

成果を上げるとは言っていない。
過程をある程度評価して頂きたい。そもそも少女漫画読んでる暇なんてそう無ェんだよ。

「……ったく。
 アンタ妙なとこで心配しいだよなホント……」

いったいどう邪魔になるのか、オレにはてんで見当つかねえが。
まあ本人がなると言い張ってるんだからしょうがない。
そもそもオレはともかく、オレを好くような物好きそう居らんだろうに……人相も悪いし。
嬉々として二つ目のみかん飴を食べ始めるリリィを見ながら、小さく嘆息するオレだった。

「んじゃ帰る前にまた買ってくか。 家で食うよ」

ついでにそん時に一緒に食えば良い。
そろそろ吸精も必要な頃だろうし、一挙に済ませちまえ。

「ああ、そうだな。 というかアンタがオートで難しくしてるだけな気もするんだが……」

まあ祭を楽しむことに関しては概ね同意だ。せっかく来たことだしな。
その後はリリィを連れてあちこち見て回り、楽し気な様子に少なからず癒されながら祭を楽しんだのだった。


で、結局クリスマスの話はどうなったんだよ……?

ご案内:「常世神社【イベント開催中】」からリリィさんが去りました。
ご案内:「常世神社【イベント開催中】」から武知一実さんが去りました。