2024/07/19 のログ
ご案内:「異邦人街」にアーヴァリティさんが現れました。
アーヴァリティ > 「ん~~~~いい匂い!」

太陽が照らしつける真昼時!地下暮らしが長かったからこの日差しにはまだ慣れない!
でも転移荒野と比べれば何故か快適!これも魔法とか科学の力なのかな?ありがたやありがたや~

今日はこの前しげたかさんが話してくれた異邦人街ってところに来てみたけど、凄く面白い所!
人間じゃない人?が多いし、このごった煮感が溜らない!
歩いてるだけで楽しい!
それにお昼って事もあっていい匂いがそこかしらからしてくる!

「全部食べたいけど~~~~~~お金がな~~~~」

ポケットのお財布を開いてみるけど、残ってる金額は…う~ん無駄遣いは出来ないなあ。
ちょっとだけ貰ったとはいえ、考えなしには使えない…むむむ、今は我慢の時…
しょんぼりしちゃうね…

アーヴァリティ > 「せめて!せめて一つだけでも食べたい!」

無駄遣いは出来ないけど!でもせっかくなら何か食べたい!
特に刺激的なのが食べたい!昨日学生寮で出してもらったあの茶色いドロドロしたカレーとかいうやつみたいなのが食べたい!
あれは絶品だった…ああいう刺激的なのが食べたいな~

ぐ~

「むむ、我慢できなくなる前に決めないとっ」

お腹が鳴ってしまった!
どうにも人間の身体はお腹が空くと鳴るみたいだ!
人の波をかき分けて美味しそうなご飯を探そう!

ご案内:「異邦人街」にヴィシアスさんが現れました。
ヴィシアス > 「ふむ、これが電子決済とやらか。面白いな…」
「ちゃんと使った分だけ数字が減っている…」

オモイカネ8の使い方を覚えたばかりの強面の悪魔は、
なにやら愉快そうに買い物をした後、
やけに生活感のある、この男には似つかわしくない買い物袋を手に、

「ふむ。」

大きな声で金について呟いた貴女を見るだろう。

「金、か…?」

つぶやく。
みつめる。

「君。私は今新しい技術を得て気分が良い。」
「どうだ、なんか買ってやろう。1000円までだ。」
「だが、代償は後で支払ってもらう。どうだね?」

普段なら声をかけたら怖がられるだろうかとか
そういう事考えるけど
電子決済を身に着けたばっかりで浮かれているので、
何とも馴れ馴れしい態度で声をかけたのだった。

アーヴァリティ > 「おおっ?おおおっ!?」

いきなりびっくりした!そしてふり向いてびっくり!
いかつい人だ!角が生えてるし悪魔かな?
お家にいっぱいいたからそんなに珍しくもないけど。
こんなにフレンドリーな悪魔は初めて見た!

「奢ってもらえるってことですか!あ~ありがとうございます!
勿論ちゃんとかえしますよー!いや~ありがたやありがたや!」

両手を擦り合わせて見上げ…でっかいなあ。
あ、この動きはボクに殺されかけてた人間の真似。祈ったり感謝するときの動きらしい。
見た目がいかつくて悪魔でも優しい人っているんだな~。

ヴィシアス >  


   「うおおおっっ?!?!」

    ハモった。


 

ヴィシアス > 「私が言うのもなんだが、悪魔からの施しにはもう少し警戒したほうが良い。
 悪魔は代価として魂や名前、存在を奪う事をすることだってある。
 うかつに返す、などとは言わんことだ。」

悪魔らしく余計な世話のアドバイスを投げる。
ふむ。こうしてみると小さい子のようだ。
…悪魔にありがたやありがたやと祈るのはなんか変だが、
しかし。
やってもらって当たり前とふんぞり返られるより、よほど心地いい。

「が……私はそいつらとは違う。君はどんな対価が支払えるか、
 聞いてあげよう。そして、何が欲しいかも。
 せめて一つだけ、食いたいのだろう。何が言い?言ってみてくれ。」

アーヴァリティ > 「あ、そうなんだ。知らなかったです!ありがとうございます!気を付けます!」

悪魔って怖いんだな~お家にいたのとはまた違うのかな?それともボクの勘違い?
とりあえずそういう悪魔もいるんだな~って憶えておこうっと。

「そうなんです?うーん…対価…対価?後から倍額返すとかじゃ…だめですか?」

対価として払えるもの?魂とか名前、存在が対価になるのだったら他には何が払えるかな?
う~ん。最初は後からお金を返すつもりだったんだけど…
そういう感じじゃなさそうだし…

「んと、食べたいのはカレーみたいな刺激的なのが食べたくて。あれよりももっと刺激の強いのが食べてみたいです!」

とりあえず対価って事は貰うものと釣り合うように払うはずだ!要求も伝えておけばいい感じの対価を提示してくれたりしないかな?

ヴィシアス > 「…ほんとにわかってるか?」

なんともこの。
元気がいいのだが、心配になってくる。
いつか本当に騙されてしまわんだろうか。

「…別に同じだけ金を返してくれればそれで構わんが、倍額くれるならそれでもいい。
 要は、私と契約をしようという事だ。それが重要なんだ。
 如何なる対価を以って、私の施しを受け取るか。
 悪魔は決めた以上の対価を取らない。取ろうとする奴は下賤な悪魔だけだからな。」

「さて、カレー…刺激の強いカレーか。丁度いい。私もそろそろ飯時と思っていたんだ」

「とりあえず…対価は保留で構わんよ。歩きながら考えよう」

色々考えたけれど。
すぐに決めるモノでもなかろう。
さあ、行こうか。ツノを見ていれば迷わないだろう、と先導。

「こちらだ。忠告しておくが、辛さは程々にしておいた方が良いだろう。
 辛さは病みつきになるが、うま味の本質ではない。」

赤いハバネロみたいなものと炎を吐き出す龍が看板についている、
激辛料理店(甘口もあるよ!) 「火焔の吐息(ファイア・ブレス)」というお店の前にやって来た。

「口から火を吐き出すほどに辛いカレーが名物だ。…ここで良いか?」

アーヴァリティ > 「もちろんです!」

だいじょーぶ!

「ふむふむ、契約…なるほどなるほど。
結構律儀なんですね~悪魔さんって」

魂とか名前をとるとか言う割に結構しっかりしてる?プライドとか規則なのかな?
何にせよ、優しい人みたいだ!悪魔にもいいひとはいるんだな~。

「わかりました!ありがとうございます!」

やっぱり優しい!

ついていっているうちも凄い色々見ちゃう!
今一番食べたいのは刺激的なものだけど、それでも全部気になる!
あのふわふわのは何だろう?!わああのお肉美味しそう!
くぅ!いつか全部食べる!

「え?そうなんですか?憶えておきます!」

刺激の強いことを辛いっていうみたいだ。
でもいいのだ!今のボクは刺激を味わいたい!
美味しいものはまた別で食べよう!

「おぉ…おおお…」

店の前にいるだけで鼻が…しびれるような…強い匂いが微かに漂ってくる!
これが…超辛いカレーの匂い…!

「ここで!ここでお願いします!」

探し求めていたのはここだ!
首を縦に振って催促だ!

ヴィシアス > 「律儀というのは違う。
 後々から、言い逃れ出来ぬようにするんだ。"ちゃんと契約しただろう、対価を出せ"とな。
 だから契約は強固な効力を発揮する。だから悪魔は相手の魂を取り上げる事すらできる。
 ……ほんとにわかってるか?」

ううん。
なんというか、元気が良いんだが。
悪魔の危険性についてこんなに説いても通じているか、どうか。
強面が説明しながらどんどん心配そうになっていく。

―――さておき。

「わかった。ではこちらにしよう。
 …食いながら、考えておいてくれ。飯の"対価"を。
 私は辛いのはもうしばらくは良いが…。君は好きなものを頼むがいい。」

「さ、行くぞ」

真っ赤な炎の絨毯を足元に敷いた、店内へ。
いざ。

いらっしゃいませ、何名様ですか?なんて聞かれて、後は普通の店と変わらない。
「二名だ。ああ、席は―――……」

ヴィシアス > ……―――店内、着席。
凄い、辛い。空気が辛い。視界すら辛い。
"店長のおすすめ! 激辛担々麵 今だけ肉味噌増量中!"
という非常に暑苦しいポスターが貼ってある。

「好きなものを選びたまえ。
 辛さは…この。星マークがあるだろ?10段階で評価されて、一番辛いのが星が10個あるやつだ。
 私は…ここで星4のやつですら火を噴いたので、
 そこのほんのり辛い目の一番とっつきやすいカレーライスにしておくよ。」

メニューを、見せながら。

アーヴァリティ > 「ああ~わかったかも!」

多分、実感がないからよくわからないんだ。
これが、もっと重たい取引だったら分かると思う!
言葉のニュアンスの取違とか、細かい指定の違いとか、そういうのが生まれた時に大きな損失が出てしまうからちゃんと確認するんだ!
そういうのを防いで、しっかり対価を徴収するためにしっかりとした説明が必要なんだ。
なるほどな~

「はいな!どんなメニューがあるかな~♪」

悪魔さんについていきます!
さてさて!どんなメニューがあるかな!楽しみだ~~

席について、メニューを見て

「うわぁ!真っ赤だ!」

カレーも担々麺というのも、全部赤い!
これは…よくわからないけど、凄く辛そう!!
涎がでる…おっと、きたない。

「魔法が使える程辛いカレー…うーんじゃあ折角だしこの10辛…いや!このオススメの担々麺を4辛増やして10辛にしてお願いします!」

ギリギリ1000円!これだ!これしかない!
4辛で火が吐けるなら10辛ならマグマが出てくるかもしれない!
わくわく!

ヴィシアス > 「……ッ?!」

注文の希望を聞いて、ハッ?!
とそちらを見つめる。

「えっ」
「ちょっ……」
「ばっ……?!」
「ほ、星10の辛さだと……?!」
「わ、私の話を聞いていたのか?!?!」

貴女の注文の内容を聞いて、少し身を乗り出す悪魔。
赤黒い瞳の色彩を見開き、驚く。

「か、体を壊すかもしれんぞ。」
「体が痛くなるかもしれないぞ。」
「ほ、本当に……本当にそれの注文でいいのか?星10の担々麵……」

いやなんでワクワクしてるんだ!
本当にこの子は危なっかしいな!
危機感とかないのか?!

「いや、確かに1000円は超えてないし、オススメメニューだし、
 ここでしか食えなさそうなものだが……いやしかし。その…」

アーヴァリティ > 「大丈夫です!覚悟は出来てます!」

勘が告げている!大丈夫だと!
それに、火魔法で丸焦げにならずずっと耐えていたボクならきっと大丈夫!

「さぁ!10辛をお願いします!ファイナルアンサーです!
さぁ!さぁ!」

ぐいぐいぐいぐい!

ヴィシアス > 「わ、わかった。そこまでいうなら、頼もう。」

圧に押された。
悪魔は負けたのだ。
席に置いてある店員さんを呼ぶボタンを押して。

「すみません、こちらと、こちらを。はい、星10にして、」
『お兄さんソレ相当ヤバイよー、お兄さんでも火ィ吹いちゃうかも。覚悟してるー?』
「……はい。あ、いや。食べるのはそっちの子なんだが……」
『えぇぇーーーっっ?!』
「いや、大丈夫らしい。常世の学生は見た目によらんというし、大丈夫なんだろう。」
『まぁ、そうかもしれないね……分かりました。オーダープリーズ、担々麵と―――……』

―――。
……沈黙。
……或いは。
……覚悟。

別に自分が食うわけじゃないが。
目の前の貴女が如何なるリアクションを示すのか、
なんとも、気が気でない。早く運ばれてきて欲しい。

『星1のカレーが先ね。星10のはスパイス山ほど使うから、あと少しだけ、待ってね。』
「ああ、どうも……」

……いやな予感。

アーヴァリティ > 「そうです!大丈夫です!」

大丈夫ですよ店員さん!ボクを信じて!

「10辛楽しみですね!悪魔さん!」

なんか悪魔さんが前のボクと対峙した時の人間みたいな顔してる。
なんでそんなにもやもやした顔をしてるんだろう?
大丈夫なのに~

「悪魔さんも欲しかったら言ってくれたら分けてあげますから!言ってくださいね!」

ボクが美味しそうにしてたらきっと分けてって言うはず!
返すとはいえ奢ってもらうんだし!欲しがるようなら分けてあげないとね!

ヴィシアス > 「そうは見えない……」

不安が、どんどん高まる。

「悪魔さん……?」

そう呼ばれて、あ、っと。気づいた。

「ああ、すまない。名乗りが遅れたな。」
「私はヴィシアス。癒しの契約を司る悪魔だ。よろしく。」
「少し料理の心得もある。故にこうしてうま味を求めて歩くこともあるんだ。」

改めて名乗る。
さっきからずっと元気がいいのだが、私はとてもじゃないが星10の辛みなどごめんこうむりたい。
星4ですら結構辛かったんだぞ……。

「ああ、うん………そうだね……。」

生返事。
そののち。
先に星1のぴりっとだけ辛い普通のカレーが運ばれてきた。

「私のは普通のカレーといった見た目だな。」

そのあと。

この世の地獄のような赤々しい、
多分指とか突っ込んだら焼け落ちそうな程に辛い。
なんなら見ているだけで痛くなってくるほど、暑く辛い。
圧倒的存在感のあるスープの中に融けそうになってる麺が見える。

最早危険地帯のような担々麵が運ばれてきた。

見てるだけでこっちが熱いわ!

『ご注文以上でよろしいでしょうか?』
「はい。」
『ごゆっくりねー、特にソレはあんまり急いで食べないでね。無理だと思ったらすぐ諦めたほうが良いからねー』
「……という事だ。水を飲みながら無理なく食えよ。」

アーヴァリティ > 「あ、ボクも自己紹介が遅れました!
アーヴァリティっていいます!多分!
ヴィシアスさんよろしくおねがいします!」

癒しの契約?やっぱり優しい人なのかもしれない?
癒しの対価って何を貰うんだろう。死んじゃうようなのだと本末転倒だしお金とかかな?
あ!もしかして美味しい料理のレシピとかかも!

「ってことは他にも美味しいお店知ってるんですか?!今度教えてくださいよー!」

経験者に学びたい!

「ですね~。美味しそう!」

ん~いい匂い!寮で食べたのも美味しかったけど、これも美味しそう!


…そしてついにー

「お…おおぉ…おほぉ…」

なんじゃこりゃ!
凄いのが来た!なんというか…マグマを吐くというより、マグマそのものというか…
これが…10辛…!
変な声が出ちゃう。

「そそそそ、それじゃ…いただきます…!」

動揺しちゃうけど!早速…!
んでも、麺ってどう食べるんだろう?
お箸で掬って…

「おおぉ…どろどろだ…」

スープのくせにあり得ないぐらいどろっどろ!
こ、これはスープなのか…?

「あ…あむ」

箸で掬った数本の麺を…口に…運ぶ!
覚悟を決めろー!

「…………
ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

lgんjんsgにfんbjrんぎえにfんふぃfhん!!!!!
痛い!!!!!!!!!舌が!口の中が痛い!!!!!!
ドロドロのスープがこびりついて痛い!!!!!!
なんて…なんて刺激的!!!!!

ガタンと急に立ち上がり、机に手をついてテーブルを見つめる少女。
あまりにも一心不乱とも言える様子。半笑いの歪んだ口元でだらだらと汗を流しながら硬直する。

「!!!!!!!水!!!!!!!」

置かれたコップを叩き割るぐらいの勢いで掴み、注ぎ込む。
なりふり構っていられない!それぐらいの辛さ!
死ぬー!

ヴィシアス > 「ああ、よろしく。アーヴァリティ。
 構わんよ、それに、料理の美味いか否かは一人で判ずるものではない。
 良ければ、付き合っておくれ。それに…私も料理をするんでね。」

良き食事を求める仲間を得られるのはありがたいものだ。
ちょっとした趣味だが、こういうのは面白いからな。

「ああ、ええっと。…こっちのカレーは美味い。だが、なんだ。
 そこにソレがあるだけで、こっちのカレーまで気持ち7割増しくらいで辛くなっている。
 これは一体どういうことだ。」

存在しているだけで辛い。熱い。ちょっと痛い。
空気が辛い。
食ってるカレーも辛い。

さて。
貴女がそれを食べる瞬間を、ドキドキと。
心配そうに。
ガン見する、赤黒い色彩。

「お、おいおいおいおい!!」
「大丈夫かアーヴァリティーーー!!!」

ほらいわんこっちゃない!
てか笑ってる場合かっ!
た、助け舟出すか?!余計なお世話か?!

「うおおお、なんだこれ?!あっちぃ?!」

ちょっとスープの上に手を伸ばしたら湯気だけでも辛さが伝わる!

「お、おい!水だ、もっと飲め!体を壊すぞ!しっかり冷やすんだ!!」

次々コップに水を注いであげて、慌てた様子で冷却活動を行う悪魔。

アーヴァリティ > 「ひー!!!ひー!!!!」

水を飲んで、水を飲んで、水を飲む!!!
ちょっとずつマシになるけど!んでも辛い!!!!
恐ろしい辛さだ!これが10辛かー!

なんて、水を10杯ぐらい飲んでたら…

「ふ、ふぅ…収まった…」

手をうちわみたいにして仰ぐ…ふぅ…恐ろしい辛さだった…
まだ舌がひりひりするし…心なしか声もちょっと枯れてる気がする。
唇も熱い!うむむ、恐ろしいものだ…10辛とは…

「でも美味しい!」

机の上にほっぽりだされた箸を再び手に取って、担々麺を掬う!
そして、再び口にする!

「!!!!!!!!!!いたーい!!!!
うまーい!!!!」

び~んとのけぞってしまったけど!慣れた!
痛いぐらいの刺激!激辛だけどやっぱりおいしい!
一口目は分からなさ過ぎてあれだったけど!二口目はもう大丈夫そう!

三口目!

「いたうま!」

流石に水も挟みつつ!

四口目!五口目!

「美味しい!美味しい!あっヴィシアスさんもどうですか!」

痛いのも含めて最高!すごくおいしい!
慣れたらダメージもあんまりないね!

ヴィシアス > 「あ、あぁ…アーヴァリティ…?アーヴァリティーーー!!!」
「…?」
「えー……」

……一連の流れから、
アーヴァリティが食事(たたかい)の中で成長しているらしいことに気付いた。
1口食べた時は、発狂するほど、
2口食べた時には、痛みで悶絶する
3、4、5ときて、少しずつましになって。
ついにこっちまで勧めてきた!

「わ、私は…遠慮しておく!痛いのは嫌だッ!」

悪魔なのに、何とも情けない。
だが食って激痛を訴える貴女を見ていると、どうしても食う気になれないのだ。

「あの。もしかしてなんだが、度重なる辛みに慣れて」
「痛覚が…麻痺しているだけなのでは…?」

凄い懸念。
実際にはダメージがないわけではなく、
ダメージを感じていないだけで蓄積されまくってるんじゃないか不安になってくる。

アーヴァリティ > 「え~?こんなにおいしいのに~?リスクを冒さなければお宝は得られないよ?」

ダンジョン探索のようにね。
激辛も最初は死ぬかと思ったけど今はもう大丈夫!
なんだかお腹が凄いぐるぐる言ってる気がするけどまあ大丈夫でしょう!
ちなみに今も激痛はする!
唇は完全に腫れてるし舌はもう鈍ってる。
でも、この刺激が良いのだ!自主的に得る痛みとは中々幸福なのかもしれない!
マゾじゃないよ!

「ん~?今も凄い痛いし麻痺じゃないと思うよ?」

水を手に取り注ぎ込む。
7口目、麺も残り少なくなってきた。
水を注ぎこんだからか、少し強くなった刺激に身震いしちゃうけど、凄い美味しくて最高!

「スープも飲まないとね~」

残しちゃ勿体ない!
器をもって…ごくごくごくごく…
うま~~~~い!

ヴィシアス > 「今のお前の反応を見て美味しいとは思えん。見ろ、口の中が地獄のようだ。
 ……リスクを冒さずとも、宝は得られる。」

どう見てもその…なんだ。
喋って開けてる口のドロドロのマグマに侵されて、
なんかもうマジヤバえらい惨状になっているのを見ると、
宝を得られたと言っていいのかすらわからない。
今見たら舌とか腫れてなかった?大丈夫か?

「……君こそどうなんだ、アーヴァリティ。君のソレは私は遠慮願うが。
私のこちらの星1のこの店で最も辛くないカレー。こちらを食ってみないか?
程よく辛みがあって、肉と米がうま味を引き立ててくれる。激辛とは違った良さがあろう。」

と、話しておすすめしようとしているうちに。

「え、」
「え、え、え、え」
「ちょ」
「君」
「何を」
「おい」
「ちょっと…?!」

飲んだ?!
あの、激辛スープを?!
全部?!

ヴィシアス >  

  「し、死ぬ…ッ!!
   死んでしまうぞアーヴァリティーーー!!!」


 

アーヴァリティ > 「生きへるよ~。すごくひはいけど」

あ~満足。口の中は痛すぎてもはや麻痺してるけど。
上手くしゃべれないね!
でも生きてれば大丈夫!

「もう全部飲んじゃったはら分けてあげられなひけど、それでもひいならそっちも食べてみたいでしゅ!」

要らないかな?
正直カレーの方も美味しそうだったし!是非食べてみたい!
ヴィシアスさん凄い顔してて面白い。

ヴィシアス >  


   「何故生きている。」

    ※悪口ではない。


 

ヴィシアス > 「ほらどうぞ。悪魔の食いかけで良ければ。
 ああ、そっちの担々麵につかった箸は使わないでくれ。
 激辛スープが一滴でもついたら、
 それだけで風味が激変してしまうだろうからな…」

と言って気づいた…

「いや、箸でカレー食うわけないじゃないか…辛さで頭がやられているらしい…」

というわけで、新品のスプーンを差し出しつつ。
お味をチェックしてね。
と、緩く促してみよう。
…あの激辛味の後では、味とかしないかもしれないけど。

アーヴァリティ > 「わかりまひた~」

スプーンを受け取ってちょっとだけ控えめにカレーを掬う。
う~んいいにお…くんくん…

「?いただきます?」

匂いがしない?あれ?おかしいな。
まあいいや。いただきま~す

「ぁむぁむ…ん~…?」

おかしい

「味がしない?いやするけど…薄い?」

舌やられたかもしれない。
首をかしげて咀嚼しなおすけど、ダメだ。おかしいな~

ヴィシアス > 「ああもう、世話が焼けるなっ。」

ほらいわんこっちゃない!
味覚が潰れてるだろうが!
そう言いたげに。

「仕方ない…ここは悪魔の十八番の素敵な魔法を見せてやろう。」
「本来なら、契約書を交わしてやるものだが」
「……特別だ、今回だけは対価を取らないでやる」

「舌を出せ」

「癒しの契約を司る悪魔として、君の舌を、味覚を、癒してやろう。」

「だが他の悪魔や悪意ある種の前で、このような事は絶対にするな。分かったな?」

悪魔がタダで何かしてやる等、滅多とないし、後々で相応のモノを求められるのだ。
この癒しもそう。癒した分に、いや、それ以上に対価を支払えって奴だって多いだろう。

アーヴァリティ > 「おお!ありがほうございます!」

契約なしでなんて!なんて慈悲深いんだ…
悪魔なのにね

言われたとおりに舌を出したけど…なんか侮辱してるみたいだな~
ちょっと引け目感じちゃう

「ほへはいひはふ!」

お願いしますと言いたかったけど舌だしてると凄い言いにくい!
あと凄い忠告された。肝に銘じておこう!

ヴィシアス > 「―――では。アーヴァリティ。」
「君に悪魔ヴィシアスが癒しを与えよう。」
「良いか?悪魔が契約もせずに施しを与えたなどと、誰にも言うなよ。」
「誰かに口外したら君の魂を奪ってやる。」

ほんのり釘をさしておくが、
多分貴女には通じないだろう。
わかりました!とか元気に言うだけなのが段々と見えてきた。

「さあ。そのままじっとして。」
「そうだ。」
「いくぞ…。」

悪魔が放つは古臭く、懐かしくも、
妙に優しく暖かな癒しの魔法。
誰も見たことがないような異界の文字を伴い―――

いつの間にか。

伸ばされた、焼けたような舌が、
綺麗に元通りになっている。

…はずだ。

アーヴァリティ > 「ははひまひは!」

大丈夫!ボクは感謝はちゃんと覚えてる方だよ!
と言っても多分信じてもらえないだろうな~。
にしても、悪魔も大変だね。

「…」

文字のようなものが見えたと思ったら…消えて…
舌の痺れがスッと消えた気がした。
室内に漂うピリピリした辛い空気が舌に触れた気がして、ゆっくりと舌を引き戻すと…

「おっ!治ってる!治りましたー!ありがとうございますー!」

流暢に喋れるぞー!
また担々麺食べたらどうなっちゃうんだろう…ちょっと気になる!

ヴィシアス > 「これで……よし。」

一安心。
口の中が地獄の様な惨状になっていたのが、幾分ましになった。

「ああ、ちゃんと礼が言えるのは良い事だ。」
「さて。……ほら、私のこれ、改めて食ってみろ。」
「宝とは、何もリスクを冒さずとも…身近にあるものなのだよ?アーヴァリティ。」
「欲をかいて危険を冒すことだけが良い事ではない。」
「それで、もっと大切な宝を喪う事も、あるだろうから。」

自分もそうだったから。
ほら、と改めて食事を促しつつ。

「ところで…対価は何にするか決めたかね。
 今度会ったら同額返すだけでもいいが、書は交わしておこう。」

そういうと、何もないはずの空間に、また文字が浮かび上がる。

まるでそこには紙面があるかのように。
不思議な材質の何かが形成されて。

「君の名と、君が支払う対価を書きたまえ。
 筆は要らない。虚空に指を滑らせるだけで書への字となる。」

古臭い、だが、こだわりのある魔法を、一つ。
ヴィシアスから、今日の飯の奢りを提供する代わりに…

さて、何を書いてくれるだろうか。
その材質の上に指を滑らせれば、それだけで魔法の字が描かれよう