2024/09/05 のログ
ご案内:「異邦人街 不思議なお祭り」に焔城鳴火さんが現れました。
ご案内:「異邦人街 不思議なお祭り」に黒羽 瑠音さんが現れました。
焔城鳴火 >  
 大変容を迎え、異国どころか多種多様な異界の文化が流入した今の地球。
 その異界文化が、地球の文化と混沌と混ざり合い、こんな祭りが産まれたり、消えたりとしている。

 鳴火は青い提灯の灯りに照らされながら、ぼんやりと商店街前の待ち合わせ場所に立っていた。
 待ち合わせの時間より一時間以上も前から、ずっとこうして、時折、浴衣の着崩れや髪を気にしながら、待ち人を待っている。
 まるで思春期の少女のようだった。

(――なにしてんだろ、私)

 青い提灯を見上げながら、ぼんやりと思う。
 十歳近く年下の少女に、何度も心を揺らされて、今日も待ち合わせに期待して、ずっと落ち着かずに気づけば相当早くから立ち尽くしているのだ。
 まるで、何も知らなかった頃のように。

 ぼんやりと青い灯りを眺めていると、まるで今、この瞬間が幻想のように思えてくる。
 青――それは鳴火にとって特別な色でもあり、埋まらない傷でもあった。

 そんな鳴火の姿は、普段と違いやけに儚く、ふとした拍子に消えてしまいそうな。
 そんな印象を抱かせるほど、静かで、どこか危うくも見えるかもしれない。
 

黒羽 瑠音 >   
「せんせ~~~!!」

異邦人街、私にとってはかなーり縁が遠い場所です、後ちょっとだけドキドキして近づきづらかったのもあって……興味はあったんだけど!

でもこうして先生に誘ってもらってこれたから、今日は一杯満喫しちゃうぞ!
……何てやってきたら、何時もの先生とは大分印象が違う、何だろう……お人形さん、みたいな、綺麗だけどちょっと儚い感じがする先生が其処にいて

「はやかったですね、待たせちゃいました?」

白いアジサイの着物、初めて袖を通したんだけれど、なんだか肌触りが優しすぎて少しだけ落ち着かないのは、貧乏性なのかなぁ、なんておもっちゃいながら声をかける

「でも、わぁ……先生、こうして明かりの下に立ってると、まるでモデルさんみたいで綺麗……」

人形さん、は流石にちょっと失礼だと思って代わりにそう呟きながらも先生の横に並ぶ、今日は楽しいお祭りだもの、何から回ろうかな?何て事で頭の中を想像で広げながら笑いかけた

焔城鳴火 >  
「――ん」

 どこか夢見心地だった所に、待ち望んでいた声が届く。
 その声に振り向いたとき、自分が乙女のようにとても嬉しそうな顔をしていた事に、鳴火自身は気づかなかった。

「別に、さっき来たばかりだから。
 迷わないで来れたのね、よかった」

 そうどことなくぎこちなく返し、指先で横髪を弄りながら、少女の姿を見る。
 思った通り、とてもよく似合う浴衣姿。
 紫陽花の花が可愛らしさを引き立てつつも、少し大人びて見せるようで。

「よく似合って――っ」

 浴衣姿を褒めようとする声が被って。
 少女の言葉に、なぜか酷く動揺して、顔があげられない。
 代わりに、少女の浴衣の袖を、おずおずと指先だけで摘まんだ。

「――もう一回」

 自分でも何を言ってるのかよくわかっていなかった。
 けれど、青い灯りに包まれた中で、鳴火はもしかすると一時、あの頃に戻っていたのかもしれない。

「もう、一回、言って」

 そんな風に俯いたまま言う鳴火の表情は、少女には見えないだろう。
 ただ、結い上げた髪のせいで隠れない耳は、青い灯りの中でもわかるくらい、赤く染まっていたかもしれない。
 

黒羽 瑠音 > 「そうですか!ならよかったー、はい、流石に迷いませんよー、もう中学生ですもん!」

えへん、と少し胸を張る、迷わないように何度もスマホやパンフレットで位置を確認したのは勿論秘密だ

「?… も、もう一回って…… モデルさんみたいで、綺麗、ですよ?」

何をもう一回、なのかよくわからなかったけれど、袖を摘まむ先生の声が何だか……
不思議な気持ちになりながらも、もう一度そうやって笑いかけてみる

「何時もの先生も勿論素敵ですけど、何というか、横に並んで歩けるのがすっごいラッキーって感じちゃうかも」

う、嘘では無いんだけれど、改めて言うとちょっと恥ずかしいかもしれない!

「ほら、行きましょう先生、私此処には詳しくないから此処から先はお任せしちゃうつもりできたんですから!」

何て笑いかけるけれど、何だか照れて「にへへ」って感じになっちゃったかもしれないなぁ

焔城鳴火 >  
「――~~~っ」

 少女の言葉に、自覚できるほど顔が熱くなってしまう。
 鼓動があまりに早くて、煩いくらいに感じた。
 顔があげられないまま、固まってしまっていて――

ほら、行きましょうめーちゃん(ほら、行きましょう先生)――』

 はっと、顔を上げて真っ赤な顔のまま、今にも泣き出しそうな顔で少女を見上げ――

「まって、ある――」

 そこで、少女の可愛らしい、照れたような笑顔をようやく直視した。

「――瑠音、その」

 珍しく、いや、彼女にはすでに公私共々、色んな姿を見せてしまっているが――。
 言葉に詰まったかのように、目を泳がせながら、指先が横髪を弄りながら、とても恥ずかしそうに。

「手、繋いで」

 そう、それこそ思春期の乙女のような、初々しさすら感じる様子で。
 小さな声で、彼女の袖を摘まんだまま。
 

黒羽 瑠音 >   
「……先生?」

泣きそうな顔の先生を見て、手を伸ばす、そういえば昔お祭りではぐれた時、泣いていたらお母さんが優しく手を握ってくれたことを思い出して

先生が戸惑いながら何かを言おうとしたのは見えたけれど、いつの間に片手を繋いでいた……

「あ……あはは」

繋いでからはっ、としたけれど、先生も手を握ろうっていってたみたいだし、セーフだよね?何だろう、お祭りの熱気のせいかな、来たばかりなのに

「じゃ、改めていきましょう先生!最初は何にしましょっか、お腹とかすいてます?」

照れ笑いを隠すのは片手じゃ難しい、だから寧ろ思いっきり笑顔を見せて、手を振りながら最初の屋台を一緒に目指しちゃおう

焔城鳴火 >  
「――っ、ばか」

 自分が言うよりも早く、彼女の手が鳴火の手に触れていた。
 それで胸が大きく高鳴って、ますます顔が熱くなる。

「そう、ね――ふ、ぅ」

 彼女の手をしっかりと握ったまま、自分の胸に手を当ててゆっくりと深く呼吸をする。
 ――少しだけ落ち着いたような気がした。

「食べ物もいいけど、ここは異邦人街よ?
 知ってる食べ物があると良いわね」

 なんて言いながら、前を歩くでもなく、生徒と教師にしてはずっと近い距離で並んで歩きだす。
 商店街の中に入れば、屋台が青い灯りの中、どこもかしこも個性的な物を出品している。

「ほら、あれとか。
 何の肉かわからないわよ?」

 そう言って示したのは、入ってすぐの串焼き屋台。
 それ自体は珍しい屋台ではないはずなのだが。
 ただ、串に刺さっている肉の色は、青い灯りの中でもわかるくらい、黒々としていた。
 幸いか、非常によい香りは漂ってきていたが。
 

黒羽 瑠音 >   
当たり前だけど先生の手は暖かかった、きゅ、と少し強めに握り直しながら並んで歩くと、心が少し和らいだ気分

「いやいや、お祭りですよ先生、ちょっとくらいの冒険はするつもりできてるし大丈夫です!」

そう、ちょっと驚きと、後悔なんてのは織り込み済み、でもまぁ、それでもお祭りだしそこまで変なものは……

「… へ?」

無いでしょ、と思っていた私の目に飛び込んできたのは、どうみても焦げてそうな色のお肉

「わぁ、いい匂い……だけど、あれ、何のお肉です本当に?いや凄いいい匂いで焦げた感じが一切無いのが逆にちょっと怖いような」

目をぱちくり、少し小声になって先生に問いかける
ちゃんとした屋台ではあるんだろうし、聞こえたら売ってる人に失礼ではあるもんね……うん

焔城鳴火 >  
「はは、確かにお祭りだしね。
 冒険はいいんじゃない?」

 笑いながら、自分よりも背の高い彼女を見上げる。
 握り直された手を、鳴火からも、少し汗ばんだ手で握った。

「ほーら、早速冒険の機会じゃない。
 私に訊いたって、あれが何の肉かなんてわからないわよ?
 私も異邦人街に来るのなんて、家庭訪問の時くらいだし」

 つまり、なにかわからない、正真正銘の謎肉である。
 見た目は黒、香りは香ばしく良し。
 しかし、味も食感も未知数である。

「まあ、黒でよかったじゃない?
 緑とか紫だったら、そっちの方がおっかないわよ」

 小声には小声で返しつつ、どうするの、と視線で問う。
 まあ屋台に出している以上、危険なものではないのは間違いないが。
 日本人の味覚に合うかどうかは、また別の話だった。
 

黒羽 瑠音 >   
「ま、まぁ最悪でもにがーいってくらいでしょうからね」

こくこく、頷くけれど……

「うーん… よ、よし、食べてみます、すいませーん、これ『ふたつ』ください!」

というわけで先生にも連れ立ちをして貰おうと思います、どっちかの口に会ったら渡してもいいし、完璧だよねっ

「一体どんな味なんでしょうね、先生、たのしみですね♪」

何てちょっと茶目っ気を入れて笑って見せたりする、なおお値段を見ずに頼んだので、高かったらなけなしのお札が出てくる事になります、ど、どうだろう……

焔城鳴火 >  
「――は?」

 『二つ』とは。
 完全に油断していて巻き込まれてしまった。

 幸い、お値段はお祭り価格にしてはお安い。
 とは言え、彼女に二人分を出させるのは流石に恥ずかしい。
 なんだかんだ、鳴火は金銭に困らない側の人間なのである。

「うらむわよ、瑠音」

 じと、っと彼女に視線を向けながら。
 腕が六本ある店主に、さっと『二人分の』支払いを済ませる。
 見るからに地球人である二人を見た店主は、面白そうにしながら、黒い串焼きを一本ずつ渡してくれた。
 恐らく、この店主は地球人のリアクションが楽しみなのだろう。

「――いーい。同時に食べなさいよ?
 私のリアクション見て食べないとか許さないからね」

 そう言いながら、彼女と一緒に串焼きを頬張るだろう。

 そして広がる大宇宙――。

 それは見た目、そして香り。さらには柔らかくジューシーな肉の食感。
 その全てを裏切り――

「――あまっ!?」

 黒糖の塊のように甘かった!
 

黒羽 瑠音 >   
「ふっふふ、きーこえーませんっ♪」

何て言いながらも受け取る私、店主さんの腕の逞しさにも一瞬目をぱちくりしつつ、その手はとても丁寧で、やっぱり『同じ』なんだなと当たり前のように思う

「勿論、こーいうときのズルは嫌いですから」

「せーのっ、と…… あむっ」

嚙み切れるように勢いよく

溢れる汁?に思ったよりも簡単にかみちぎれる柔らかさ、そして広がるはちみつを濃厚にしたような……

「あまぁっ!?」

なんであの匂いでこの味!?というか肉ですらないのかなこれ、一体どういう……味付けの問題?

何て疑問が幾つもふってわきながらも、はぐりはぐりと食べ進める

「う、ぉお、あま、でも匂いが… 頭が混乱する~~」

焔城鳴火 >  
「う、これはなかなかね」

 二人の地球人の反応に店主が笑いながら、自分の故郷では定番のオヤツだったのだ、と教えてくれる。
 一応、動物の肉で間違いはないらしく、地球ではこの島の農産区で養殖されているらしい。
 異邦人街ではすでに馴染みの『お菓子』扱いらしい。

「これは、確かにお菓子だわ。
 やば、視覚と嗅覚と触覚と味覚がバグりそう」

 そう言いながら、渋い顔をしながら、彼女の半分以下のペースでちょっとずつ食べる。
 元々、甘いものはあまり得意でない鳴火としては、少しだけ困るところではあった。
 とはいえ、ギブアップして食べられません、は個人的にあり得なく。

「う、あま――目が回りそう」

 悪戦苦闘しつつ、濃厚な甘さの謎肉を少しずつ食べるが。
 やはり、渋い顔で遅々とした食べっぷりだ。
 

黒羽 瑠音 >   
「へぇ、お肉なのにおやつ……カロリーとかどうなってるんだろう」

此処まで甘いお肉となるとちょっと気になるのがそのあたり、お腹に目がいっちゃう……

「でも面白いですね、今度友達とも食べていたいかも、結構バズる可能性ありますよ」

何だかんだ食べてて色々楽しいのは間違いなくって、結局ちゃんと一本食べてしまった、なれればこのジューシーさと甘さのアンバランスが癖になるかも?

「あ、生クリームとか、トッピングも色々ありそうですよね」

何て先生に笑いかけると、大分食べる速度は遅いようだった、あんまりあわなかったのかなぁ?

焔城鳴火 >  
「食べた感じ、糖分の甘さともなんか違う感じ。
 意外と太らないんじゃない?」

 そう言いながら、やっと三口目。
 まだまだ半分以上残っている。

「いいんじゃない、面白い反応見れるだろうし」

 異邦人街は、地球人にとってはそういう物が多い。
 彼女が学友たちと遊びに来るには、ちょうどいい場所と言えるかもしれない。
 とまあ、それはともかくとして――

「ぅ、これに、生クリーム?」

 彼女の言葉にふと想像してしまう。
 それはきっと凄まじい甘さだろう。
 鳴火の、本土に居る幼馴染なら大喜びかもしれないが。

「トッピング――」

 鳴火の口は、完全に止まってしまった。
 非常に渋い顔で、手元の串焼きとにらみ合っている。
 店主は無理に食べなくていいぞ、と言ってはくれているが――。
 

黒羽 瑠音 >   
「一本ならセーフって感じですかね?おやつですし…」

何だろう、昔動画で見た『世界一甘いお菓子』みたいなのもこんな感じ…いやもっと甘いのかな

「はい、後は…はちみつとか?って……」

「先生、食べましょうか?」

ははは、と完全に止まってしまっている先生にそう提案してみる、ふふん、ここはちょっといい所見せてあげるチャンスかも、先生には何時も世話になってるしね!

「結構、これ嫌いじゃない味かもしれませんし」

何てあくまで微笑みながら言ってみるのだ

焔城鳴火 >  
「定番のお菓子、っていうくらいだしね」

 地球のとある地域にある、地球一甘いという球体よりは優しいはずだろう。
 アレのカロリーは想像もしたくない次元だ。

「――え」

 一瞬、耳を疑う。
 それは、青い灯りが魅せる幻想なのか――

めーちゃん、食べてあげよっか?(先生、食べましょうか?)

わたしこれ、意外と好きな味なのよ(結構、これ嫌いじゃない味かもしれませんし)

 ぼんやりと、少女の微笑みを眺めて――少しの後に、慌てて頭を振って彼女の微笑みに甘えた。

「それじゃあ、その、お願い」

 そう言いながら、恥ずかしそうに彼女へと串焼きを差し出した。
 

黒羽 瑠音 >   
「……」

また、少し先生の様子が変で、なんでだろうと小首を傾げてみる

「はいっ♪」

それでも渡されるそれに笑顔を向けて、ぱくりと

「ふっふー、やっぱりこれ、結構癖になるかも……」
「定番ですもんね、もしかしたらスーパーとかでも探せばあったり…??」

何て店主の人にお肉の名前とかを聞きつつ、残った串焼きを食べていく

「けぷ、だけどやっぱりお肉だけあってお腹には溜まるかも……後、流石にお茶は欲しいですねこれ」

何て笑いながら食べ終えて、ごちそうさまでした!と言って頭を下げる
早速一ついい経験が出来て、何だか嬉しいな

「次は何にしましょっか、うーん、どれも面白そうで悩みますね……」

何てきょろきょろとせわしなく屋台を眺めている私がいたりして

焔城鳴火 >  
「ん――」

 ぼんやりとしたまま、彼女の暖かな笑顔を見上げる。
 それがとても、魅力的で、懐かしく――

「そう、ね。
 この辺りでなら普通に買えるんじゃない」

 また、髪を弄りながら、少しだけ目を逸らす。
 直視するには、少しばかり彼女の笑顔は眩しすぎて。

 店主は快く、不思議な発音の異界のお肉を教えてくれるだろう。
 気に入った地球人によく聞かれるんだ、と、お肉の紹介が書かれたペーパーを彼女に渡し、代わりに串を受け取って屋台裏のゴミ袋に入れてくれた。

「もう、格好つけるから。
 でもその――ありがと」

 そう、繋いだ手をぎゅっと握って、またほんのり赤い顔で言った。
 彼女が笑うと、胸の内があたたかくなる。
 それが嬉しくて――切ない。

「ふふ、面白そうで選ぶと、また頭がバグるようなのにあたるわよ?」

 また商店街の中を一緒に歩きだして、屋台をながめる。
 食べ物に、ゲームに、見世物。
 どれも幻想的な青い灯りの中で、活気に輝いていた。
 

黒羽 瑠音 >   
「ふんふん……」

聞いたお肉の内容をメモしてしっかりと覚える、今度誰かと一緒にいってみようかな?

「どういたしまして、っと……」

先生の言葉に、ちょっとだけはにかむように笑ったりしながら次の屋台へと向かうのだ
というわけで目をこらして屋台を選ぶ、出来れば面白そうなのがいいけれど……

「あ、あれなんかどうです?」

指さすのは射的、どうやら店主さんや友達の出身した所での『工芸品』が的になってるみたいで、見た事がない造形の木彫りやアクセなんかが並んでいた

しかもそれがそれぞれ動いたり、浮いたりしてる、魔術か異能の力なのかな?

「あんまりこういうのやった事無かったんですよね、先生は得意ですか?」

何て大きめに手を振りながら二人で向かってみる、そう、此処は勝負の時間である

「どっちが沢山取れるか、勝負してみましょうよ!」

焔城鳴火 >  
「うん、あれ?」

 そうして視線を向ければ、定番の射的屋台。
 異界の工芸品が景品のようだった。
 確かに面白そうではあるが。

「苦手じゃないけど、得意とも言えないわね。
 私よりずっと上手いやつがいたのよ」

 そう言いながら、彼女に手を引かれ――

どっちが上手にできるか、勝負しましょ!(どっちが沢山取れるか、勝負してみましょうよ!)

 ――また、声が、姿が重なる。
 酷い幻覚だった。

「――瑠音は、こういうの得意なの?
 私なんか、お祭り自体もう十年以上来てないから」

 そう言いながら彼女(少女)の手をしっかりと握って、離れないように、一緒に屋台を覗く。
 浮いたり動いたり、的に当てるのは中々難しそうだ。
 

黒羽 瑠音 >   
「ふふふ、自慢じゃないですが」

「お菓子の射的でも、大抵元はとったことありません!」

ぐいっ、と胸を張る、いやはれる事じゃないけど
……何だか、先生今日は何時もより大人しい感じで、ちょっとだけ元気づけようって気持ちもあったりして

「でもそっか、なら先生とならまだ勝ち目はありそうですね、ふふ、もし私が買ったら……わたあめでも買ってもらいましょうか!」

何て指で的を狙う仕草をしてみたり、とはいえ結構当てるのは難しそう

店主さんいわく、一応ちゃんと規則に従って動いているみたいだから、ちゃんと狙えば当てられそうなんだけど……ともあれ、先生と一緒に並んで射的用の銃を構えてみるのだ

焔城鳴火 >  
「――ぷっ」

 胸を張る彼女に、ついふき出してしまった。

「なによそれ、本当に自慢じゃないじゃない」

 とは言え、鳴火も的に当てる事は出来ても、景品を取れたことはない。
 少し難しい顔で、睨むように的を見て。

「んん?
 いいわよ、あんたが勝ったらなんだって買ってあげる。
 でも、私が勝ったらどうすんの?」

 そう言いながら店主から預かった銃をよく確認して、的の動く法則を観察する。
 先に構えた彼女を隣で見ながら、いつもの鳴火らしく、どこか挑戦的な笑みを浮かべて。
 

黒羽 瑠音 >   
「いいんですっ、一応イーブンまではいったことあるので!」

ふふん、と言いながら的をじーっとみる、どれも綺麗で、ゆらゆらしてて……

「何でもっていいましたね~~じゃあ、えっと、こっちもなんでもです!まぁ、どーしても嫌なら『タンマ』はしますけど」

何て言いつつ、此方もにっ、と笑みを返す
ココからは真剣勝負の時間だ!

焔城鳴火 >  
「ふつうに私より上手そうなんだけど?」

 くすくす笑いながら、彼女の隣で鳴火も銃を構える。
 少なくともこの銃と的であれば、当てる事自体は難しくなさそうだが。
 目の良さには自信があるが、拳を当てるのとは勝手が違う。

「――へえ、なんでも?」

 横並びになりながら、彼女の啖呵ににやりと笑い。

「じゃあ、一晩付き合ってもらおうかしら」

 なんて、ギリギリ彼女にも意味がわかるだろう言い方で、とんでもない事を言いつつ。
 しっかりと的の動きを予測して、よくわからない生き物の木彫りを撃った。
 思ったよりも真っすぐに弾が飛んだものだから、木彫りの端っこに掠めるようなヒットだったが。
 

黒羽 瑠音 >   
「むむっ、…!って、一晩…………変な意味じゃないですよね?」

ちょっとだけ横目で先生に言いながら、こっちも一発目

「あ~~!」

集中しきれてなかったからか、弾はふよふよ動く木彫りの横をずれていった

「ま、まだまだぁ!」

狙いやすそうな動きをしているアクセサリー何かを狙ってみるけれど、動きは分かっても其処に飛ばせるかは別問題というのをいやという程思い知る私がいるのでした

「む、むずかし~~!」

何とか一発くらいは当ててやるぞ、に途中から気持ちがシフトしていったのは仕方ないと思います、うん

焔城鳴火 >  
「ん~~?
 ヘンな意味じゃないわよ、ちゃんとソーイウ(・・・・)意味」

 なんて隣で言うのだから、そりゃあ集中力も削られて仕方ない。
 隣にいるのが大人げない大人だったのが不運だったのかもしれない。
 勝負事に手段を選ばないタイプだった――

「――よし、二つ目ヒット」

 なんて、隣でわざわざ言うのである。
 本当に大人げない精神攻撃であった。

「なんとなくクセが掴めてきたわね」

 そう言って最後の弾で、可愛らしいガラス装飾のアクセサリを狙い――

「よし、三つ目」

 しっかりと最後の弾を当てて、ドヤァと、自信満々に彼女が撃ち終わるのを眺め始めた。
 

黒羽 瑠音 >   
「ちょ、せ、せんせっ!?」

流石に、いやそれは流石に焦るって!あっ

「あ~~~!!」

あれよという間に残りも外してしまうこっちをよそに連続で的に当てる先生、その横顔に見とれる暇もなく……

「ぐぅ~~… せ、せめて一発くらいは……」

よーくねらってねらって…… えいっ!

「あ、あたった……」

何とかかろうじてちょっと不格好なペンギンみたいな木彫りに当てて0発命中だけはかろうじて避ける

「うぅ~~……ま、まけました」

両手を上げてお手上げのポーズ、でもしょうがないじゃん、こんなの勝てるわけないって!なんて恨みがましく先生を見るけれど、先に提案したのはこっちだから何も言えないのだった……とほほ

焔城鳴火 >  
「あー、惜しかったわねえ」

 なんて、一生懸命当てようとする彼女の様子を、こちらはじっくりと眺めて。
 勝負抜きに、一生懸命な様子がとても可愛らしくて、ついつい頬が緩んでしまう。

「最後よー、ほらよく狙って」

 そう余裕たっぷりに応援しつつ。
 彼女が見事に当てれば、ぱちぱち、と拍手を送る。

「ナイスヒット。
 でも私の勝ちね~?」

 恨みがましい視線に、ふふん、と笑って勝ち誇る。
 本当に大人げなかった。
 とは言え、流石に意地悪だった気がしないわけではない。

「店主さん、私が当てたのは良いから、その奥の景品一つ貰える?
 いいのいいの、本当はそれが欲しかったんだから」

 そして、店主に我儘を伝えて、当てた景品三つの代わりに、一つの小さな景品を受け取る。
 そして、彼女に向き合って。

「瑠音、ちょっと目を閉じてじっとしてて」

 そう言うだろう。
 

黒羽 瑠音 >   
「む~~~」

ペンギンの木彫りを手に持ってじーっとみる、まぁ結構愛嬌はある、かなぁ?何でも店主さんの地元ではペットだったみたい、こう見えて草食なんだって

「……くぅ~~次は負けませんからね!」

先生の大人の力に敗れた私は負け惜しみ、まぁ負けは負けだし、と唇を尖らせつつ……
そうこうしているうちに店主さんと話し始める先生に首をかしげて

「… ぁ、はい?」

ぽけーっとしている間に声をかけられて、思わず従ってしまう、いや、別に拒否する理由もつもりもないんだけどね?

焔城鳴火 >  
「ほんっと、素直ねあんた」

 そう言いながら、彼女の髪に指を通して、横顔に触れ。
 それからそっとその左耳に手を伸ばし――。

「――はい、私からの頑張ったで賞」

 そう言って、少女の耳に、可愛らしいガラスのイヤリングを着けた。
 何かの結晶のように慎ましく広がるそれは、店主の地元では贈り物として人気の花だったとか。

「次は、ちゃんと勝って、カッコいいところ見せてね」

 そう言って、自分の方が嬉しそうに微笑む。
 そんな鳴火の手元には、もう一つ同じイヤリングがあり。
 それを自分の左耳に着け。

「お揃い、なんて。
 流石にこっぱずかしいわね」

 そう照れを誤魔化すように笑いながら、その白い結晶のような花を彼女に見せた。
 

黒羽 瑠音 >   
「……わ」

つけてもらったイヤリングを見て、何だか心が暖かくなる
先生の笑顔が、明かりに照らされて眩しくって、ちょっとだけ目を細めちゃった

「負かした相手に言われるのはちょっとやる気出ちゃいますねっ」

むんっ、と両手に力を込めつつ

「……ありがとうございます、えへへ」

何てお礼をいいながらお揃いのイヤリングをみて

「… えへへぇ」

何て二度笑っちゃうのだった

「いいお土産、できましたね!」

何て自分の手に入れたら木彫りのペンギンっぽいのを仕舞いながら、また手を繋いだりして

焔城鳴火 >  
「ふふん、いつもダメダメな先生と思われるのも癪だからね。
 でも、よかった」

 しっかり勝ち誇っているが、手段が精神攻撃だった辺りでダメな大人すぎるのだが。
 それはそれとして。

「――お礼を言うのは、私の方よ。
 喜んでくれて嬉しいわ、ありがと」

 そう二人して笑い合って、しっかりと手を繋いで歩き出し――

「――っ、ぃっ?」

 屋台を眺めて歩いていたら、突然、鳴火が蹲った。
 咄嗟に手で抑えた先、雪駄の鼻緒が食い込む足の指の間から、白い足袋を染めるほど、紅い色が滲んでしまっていた。
 

黒羽 瑠音 >   
「ダメダメだなんてそんな……そんな事無いのに」

何てくす、と笑いつつ

「じゃ、次の屋台に… って、大丈夫ですか先生!?」

しゃがみこんで先生の足元を見る、着物よりももっともっと赤い紅が見えて……

「ちょっと待ってくださいね」

ばばっ、とポシェットから塗り薬と絆創膏だけ取り出して、血が出ている場所を見る

「ふふ、異能で怪我したりした時用にいっつも持ち歩いてるんです!」

何て言いながら、手当てをしてみようとするけれど――

黒羽 瑠音 >   
※一時中断の為退室します

ご案内:「異邦人街 不思議なお祭り」から黒羽 瑠音さんが去りました。
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