2024/09/16 のログ
橘壱 >  
「ああ、うん。学生手帳(オモイカネ)はちゃんと持ち歩いてるんだ。
 うん、良かった。それなら連絡も取れる……けど、使い方は……?」

そう、此れは確認だ。
わからないなら、教えなければいけない。
おずおずと訪ねておいた。

「携帯ってのはまぁ、一応連絡手段をとる機械。
 此の学園都市なら、手帳(オモイカネ)で事足りたりするけどね。
 プライベート用の機能がもっとフラットなのが携帯って所かな。」

ある程度は予想通り。
寧ろ学生手帳を持ってるだけ、僥倖だ。
下手したらこの子、ずっとほっぽいてそうだったもん。

「此処も一つの街だからね。
 賑やかで平和なのは良いことだよ。
 一応医学関係で、多言語の勉強はしてるけど、わからないのが多いかな。」

特に異世界の言語まで入ると、
最早頭がパンクするくらいのものになる。
というか、多岐に渡りすぎて覚えるのは不可能に近い。
そこで、機械(テクノロジー)の出番だ。

「でも、翻訳機(コレ)のおかげでわかる。まぁ、見ててよ。」

得意げな顔をすると、
彼女とともに手近な屋台の前へ。
どことなく無愛想な、龍の亜人だ。

「すみません、そこの看板にあるの二つ。
 ええ、はい。お代は此方で、これでピッタシのはず。
 ……あってる?うん、ありがとう。」

壱自体が話しているのは、
此の地球でもポピュラーな共通言語。
だが、このマイクを通す言葉が、
亜人に届く前に彼等の言語に聞こえるよう周波数を調整する。
無論、此の無数に渡る全てを網羅してはいない。
AIが近しい言語に揃えるだけ。
ある程度は、"訛り"くらいで済まされたりするものだ。

事実、今回は通じたようで、
屋台から出てきたのはカップの中に入ったとろりとした白いもの。
所謂氷菓子の類でひんやりとしている。
質感的にはバニラアイスに近いが、
妙にとろとろとスライム状のモノにスプーンが刺さっていた。

「はい、どうぞ。
 彼の国のお菓子、らしいよ。
 何でも、異界の動物のミルクをスライムに和えたってさ。」

地球人目線でも妙なものだ。
食感はスライムなので人によるが
味はしっかりバニラアイスに近く、
甘くてひんやりしている。

シア > 「使い方? 習った、凛霞に。
 聞いた、持っていなさい……とも」

名前を上げても知らないかも知れないが、同じ風紀委員だし知っているかも知れない。
どちらでも特に問題はないだろうから、話を続ける。

「なるほど……」

世の中にはそんなものまで在るらしい。
色々なものを作るものだ。

「わからない、壱も。どうする……ん?」

頼みの綱の壱も言葉はわからないらしい。
それなら、このあとどうすれば、と思った。けれど、壱には何かあるらしい。

「……?
 ……??」

眼の前で壱がしたのは、普通に話すことだった。
相手は、トカゲっぽい人。人?
口から漏れ出ているのも、唸り声かなにか、よくわからない声。
獣の声に近い感じがする。

「ん……ミルク……スライム?」

首を傾げる。知らない言葉だ。多分、食べ物の名前なのだろう。
自分が知らないだけで。

一口、口にする。
冷たい感覚が伝わってくる。

「つめたい」

軍手ではあまり感じなかった、冷たい感触。
それが口内ではよくわかった。

「お菓子……これが。
 慣れてるの、壱は?」

行動もそうだが、これを選んだのも慣れだろうか

橘壱 >  
「凛霞先輩に?
 じゃあ、ある程度は大丈夫そうだな。」

あの人のことだ、結構丁寧に教えているはず。
手慣れた手つきで懐から手帳(オモイカネ)
取り出せば片手間で操作する。

「ここの連絡先って奴を押してさ。
 僕のこのID……これ、登録出来る?」

自分の手帳の画面を開いてみせた。
液晶画面には、英数字が羅列されている。
そして器用に氷菓子をもう片手で食べる現代っ子。
ポテチ片手にゲームとかするし、お茶の子さいさい。

「ん~……マズくはないけど、妙な感じ。
 うん、お菓子らしい。あっちの人のね。
 スライムっていうのはえーっと……こういうゲル状の生物。」

スプーンを咥えた状態で、取り出すタブレット端末。
そこの画面には、ゲル状の塊。
生物と言うには余りにも不定形な物が映っている。

「あんまり異世界のモノは食べないから、
 そんなに慣れてはいないかな~。
 ああ、でも。今ある食事に並ぶのにも、
 異界の食材とか使われることもあるし、ある意味慣れてるかも?」

今やしれっと地球の食材に
そういうのが紛れたりする時代だ。
大変容以降、技術のみならず、
そういうものだって当たり前になる。
氷菓子をもう一口含んで、何とも言えない顔。

「どう?シアの口にはあうかな?」

シア > 「えっと……こうして、こう。」

こちらは両手で操作。
確認しつつではあるが、それなりに慣れた動作。
間違いなく、登録をできている。
丁寧に教わったのだろう、と思わせるには十分だろうか。

「……粘液? 生き物……これで……」

タブレット端末で見せられた生き物を見て一言。
実際、そういった生き物であるので間違いはないだろう。

「む……やっぱり先達、壱は。
 強い……」

むむ、と唸る。
異邦人も知らない山奥では、異界の食も口にする機会などない。
当然、そういった文化との触れ合いそのものがない。
自分には色々なものがまだ足りていなさそうである。
そう、色々。

「ん……感触、不思議。はじめて。
 ほかは……普通? 食べやすいかな、木の根とかよりは。
 違うし、ぴりぴりきのことかとも」

うんうん、と頷く

橘壱 >  
此方もそのついでに相互フォロー完了。
シアの情報が確認できる。
手慣れた片手操作でチャット送信。
ポコン、何ぞやのロボアニメのスタンプが送られた。
やたらいかつい勇者っぽさ。

「今チャット送ってみた。
 ……コレの使い方はわかる?
 連絡用のこう、文字でやり取りできるものなんだけど……。」

「シアのいた山はどうかわかんないけど、
 今はこういう生物が普通にいるんだよ。
 異界からきたり、それこそ元からいたりしたのが、
 当たり前のように今は表にいる。結構、ポピュラーかも?」

それこそ今では生態系は、
大変容前と以前ではガラリと変わってしまった。
本来ありえないような生物が、
今では当たり前のようにいる。
そう、本当に世界は大きく変わったのだ。

カチャリとレンズを上げれば、肩を竦める。

「僕はシアのが強いとは思うけどなぁ。
 ……まぁ、確かに食べれる根っこやキノコもあるけど
 ピリピリするのは毒じゃない???ねぇ、毒キノコとの区別つく???」

あれ、なんか怪しい発言が聞こえたぞ。
僅かに表情をしかめる壱。
もしかして、想像以上に野生児なのか…?

シア > 「……?」

画面を見て首を傾げる。
絵……なのだと思う。金属製の、人のようなものがなにかのポーズを取っている。
なんだろう。

「うん。わかる、文字を送るのは。こう。
 絵も……こう、確か。でも……これは……」

「わかる」という一言と、「わからない」という絶妙にブサイクな生物が肩を竦めるスタンプがチャットに送り返された。
スタンプは理解しているようだ。ただ、ロボットスタンプは少女にはまだ早かったらしい。
困惑のようなものが見て取れるかも知れない。

「いなかった、うん。いた、猪とか熊は。
 当たり前に……いる……そう」

動物の存在には事欠かなかった……と思う。それでも、スライム、というのは居なかった……はず。
どうやら自分のお山はだいぶ普通ではなかったらしい。
薄々わかってはいた。

「ん? 知ってる、毒キノコ。大丈夫。一杯あるよ、山に。
 食べる、壱も? ぴりぴりも慣れるよ、一杯食べれば」

ごそごそと何かを探り始めた。

橘壱 >  
ふ、と得意げに眼鏡を上げる。くぃっ。

「爆炎勇者バーンドライブ。
 アニメっていう娯楽作品でね……その中でも、
 その中でもロボアニメというのがあって……──────。」

ぺらぺらぺらぺら。
オタクくん長い、好きな事の話になると長い。
しかも一方的にめっちゃ喋る。そういうとこだぞ。

「……って、感じさ。お、遅れてる。
 うん、此れでリアルタイムで喋れるから、
 もし困ったことがあったら何時でも言ってよ。」

意外と操作は出来るようだ。
関心関心。此れで、暇があれば駆けつけれる。
特に無知だし、問題を起こす前にというのも大きい。

「異界の『門』っていうのがさ、今は世界中にあるんだ。
 常世島(ココ)だと転移荒野って場所に出るんだけどさ。
 そういうのが何処にでも出てくるから、そういうのが入ってきちゃうんだ。」

今や此処以外でも何処にでもある。
ある意味、当たり前の光景なのだ。
ただ、果てしない向こう側に隣国がある。
良くも悪くも世界は大きく変わってしまった。
若い世代に入る壱には、もう"慣れた"光景だ。

「いや、シア。それ多分その……毒に慣れてるだけ。
 ピリピリは本来食べちゃいけないと思う……。」

人間っていうのはちゃんとそういう風に機能が出来ている。
忌避感、違和感、痛み、味。そういうのが危険信号なのだ。
ますます心配になりながらも、彼女の動向を一応見守る。

シア > 「ばーんどらいぶ
 あにめ」

知らない言葉がまた増えた。
立て板に水、という勢いで語られる話をうんうんと頷いて真面目に聞く。

どうやら絵を動かしてみせるお芝居らしい。
その中でも、機械で出来た人型を動かして戦ったりする物語が在るということ……のようだ。
それと、壱がそれを好んでいるのがよくわかった。

「凄いことはわかった、見てないからわからないけれど。」

実物は知らないので、正確なところはわからない。
わからないが、なんだか凄いものらしいことはよく伝わった。
うまい言葉が見つからないので、なんとも拙い言い方になる。

「転移荒野。そっか。
 それでいたんだ、あの"どらごん"とかいうの」

結局討ち取ることは出来なかったが、遭遇して撤退戦をした覚えはある。
アレが変な息を吐くのが悪い。

「壱は戦ったりするの、そういうのとも。」

風紀委員はとりあえず闘う組織だとでも思っているのであろうか。
でも慣れていそうだし、そんなものだろうか、と思うのも当然かも知れない。

「うん。慣れてるよ、ボクは。
 どう、壱も?」

何かを取り出す。当然のように、きのこだ。
見た目は、普通だ。見た目だけは。

橘壱 >  
キラーン。眼鏡のレンズが怪しく光る。

「よし、じゃあ今度見よう!
 コレも世間を知るための第一歩だよ!」

オタク、布教活動に余念がない。
ぐっ、とガッツポーズをしながら女の子に迫るオタク。
これが妙な目で見られないのも、
多分異邦人街だから。学生街ならおしまいです。

「確かこの前は落第街にいたけど、転移荒野にも行ったのか?
 凄い行動力だけど……あそこも危険な場所なんだ。
 何が起きても"自己責任"になっちゃうからね。シアは慣れてるだろうけど。」

社会とは、秩序に守られている。
この島で言えば委員会がそれだ。
その庇護下にある場所では、
ある程度の安寧は約束される。
だが、こんな島一つでも、
全てがそうと約束されない。
一人の風紀委員としては、
余り行くことは推奨できない。
ちょっと呆れ気味に、軽く首を振った。

「ドラゴンとも戦ったのか、キミは。
 凄いな……まぁ、必要とあれば戦うよ。」

それが秩序を守るためなら仕方ない。
但し、と人差し指を立てる。

「僕等が戦うのは、島の秩序の為だ。
 そのために体を貼ってるだけであって、
 目的もなくただただ戦う集団ではないってことは、覚えておいてほしいな。」

戦闘はするが、それは飽くまで手段の一つだ。
決して委員会とは、戦闘組織でも、殺戮集団でもないのだ
秩序機構。その役目は、決して変わらない。

「…………。」

まぁ、それはそれとして、
ある意味危機(?)が訪れている。
うん見た目は普通だ。
ていうか、キノコの種類なんてわからないよ。
一応、差し出されたキノコを受け取る。

「いや、普通は毒性に慣れたりは……、……えぇ、生でイケるのか?」

なんだか純粋な視線が痛い。
仕方ない。一口、一口だ。
うげぇ、と表情を歪めながらも、一口。
そぉっと、齧ってみる。ぱくっ。

シア > 「ん……そうかも」

不審者じみた勧誘に、素直に頷く。
よくわからないけれど、知らないものは見ておいて損はない……と思う。
怪しいとは特に感じていないようである。

「ん。うん。"上手く出来なかったら死ぬ"。それだけだよ。
 ドラゴンは……反則。吐くんだ、口から凄いの。
 避けるしかなかった、流石に。足りなかった、準備も」

準備でどうにかなるものかはともかく、そのままでは勝てない、と判断。
撤退を選んだのであった。

「ちつじょ……
 ん……そっか。目的のため……うん。
 目的は大事。決まり事は大事」

うんうん、と頷く。
言いたいことは伝わった……のだろうか。

「うん。生でいける、これなら」

受け取ってくれるなら、素直に渡し
……それを、壱がかじる。

「大丈夫、最初の頃食べたやつだし」

食べてしまえば、舌からぴりぴりとした刺激が伝わるだろう。
もし、飲み込んでしまえば?
胃の中で、異様な感覚が広がる。痛痒いというべきか。
ただ、耐えきれないほどきついわけではない。

橘壱 >  
もぐもぐ……。
なんだか舌がぴりぴりする。
此れは一種の拒否反応、いや、毒だ。
体が拒否している。一応ごくん、と呑み込んでみた。
……お腹が痛い……ような、痒いような……。
少なくとも、まともに食べるものじゃない。
うげぇ、と明らかに苦い顔になっている。

「……シア。これは勧めないほうが良い。
 これはね、シアは"慣れてる"だけで、
 山育ち以外は多分体調崩すよ。」

こう見えて体は鍛えてるし、
男の子なので(重要)痩せ我慢出来る。
貰っておいて悪いけど、これ以上食べるのはやめよう。
マジでぶっ倒れかねない。
とりあえず、責任もって処分するため、
一旦このキノコは白衣の裏にしまっておいた。

「……シア、これだけは知ってほしい。」

確かに自然の摂理なら、それでいい。
だからこそ、常世学園(ここ)にきた以上、
これだけは彼女に言って置かなければいけない。
一呼吸して、碧の双眸が彼女の視線と交わる。

「此処は結構自由な場所だ。
 僕だってまだ学んでいる最中だ。
 だから、キミがしたいこと、すべきことはすべきだ。
 けど、必要じゃないなら、あんまり危険なことはすべきじゃない。」

「そうだな、僕の勝手なことだけど、死んでほしくないしね。
 僕はもっと、シアのことを友人とか、そういう形で知りたいし、
 キミが死ぬことは悲しい。どうしようもないときはないけどね。」

「だから、滅多な事はして欲しくはない、かな。
 一応常世学園(ココ)でくらす以上は、僕の感情を抜きに、
 誰かが死ぬと、色んな人に波及する。直球で言えば、迷惑がかかる。」

どういう事情でドラゴンと戦ったかは知らない。
だけど、死んだらそれまで、とはいえ、
生命を粗末にするものじゃない。
社会とは、そういうものだ。
自然の中で諸行無常とは言え、
どちらでも、命は尊むべきだ。
半分はワガママ、半分は社会に暮らす以上の心得。

「……どう?守れそうかな?」

シア > 「……そう」

毒きのこはダメらしい。
確かに、考えてみれば殺すのにも使うのだし……
でも、自分が小さい頃に食べた弱いやつだから大丈夫かとも思ったが……
そういう問題でもなさそうである

「……ん?」

知ってほしいこと。
壱が目を合わせる。もちろん、今まであっていなかったと言えばそうでもない。
それでも、今回はちょっと違う感じがする。

「ん……んん……」

言いたいことは簡潔だ。
命の危険があることをしないこと。
自分が死んだら悲しいということ。
自分が死んだら迷惑だということ。

「んん……」

悲しい、というのはいまいちわからない。
ただ、迷惑だ、というのはわかる。

「"したいこと、すべきことはすべきだ。
 けど、必要じゃないなら、あんまり危険なことはすべきじゃない。"
 ん……」

繰り返す。噛み砕く。飲み込んでみる。

「理解はした。
 わからないけど、うまくできるかは」

何が危険で、何が危険ではないのか。
そもそも、それ自体が噛み合っていない気もする。
ただ、言わんとすることはわかったので、頷いた。

橘壱 >  
伝わることは伝わったらしい。
うん、今は充分だ。僅かに微笑むと、
小さく頷いて軽く自身の胸を叩く。

「その為に、僕がいる。
 僕だけじゃないし、凛霞先輩もいる。
 不安なことは、遠慮なくどうぞ。」

自然でも群れをなして助け合うのと同じだ。
わからないこと、知らないことの為に、
彼女を支えるために、手を取り合う。
それが、人間の社会というものだ。
ひとえに少年の、橘壱の善性でもある。

「少なくとも、今のシアは一人じゃないよ。
 だから、もっとどんどん聞いてくれていいし、頼って良い。
 そりゃあ、シアよりは体が強くないし、僕も学生だけどね。」

「けど、キミの知らないことを知っている。
 だから、そういうところは助け合い……かな?」

足りないところを補い合う。
いきなり全てを理解しろ、とは言わない。
自分も彼女も、これからなのだ。
そのうち、色々お互い学ぶところもあるだろう。

「さて……。」

おもむろに、お腹を抑える。


\ぎゅるるるるるるるる/


「ごめん、ちょっとお腹の調子ほんとに終わり始めたわ……。
 ふ、ふふ……思ったよりキノコ効いてきた……ちょっと病院リターンかも……。」


「肩貸してくれない????」

現代っ子に毒キノコは思ったより利いた……!
必死に笑顔を保っているが脂汗まみれで顔も青い……!

最後の最後に、しまらない男である。

シア > 「一人じゃない……」

そういえば、遠くにいる誰かに連絡をとる、なんていうことも今までにないことである。
そう考えると、自分も昔と変わったことがあるようだ。

「……わかった」

今も色々と聞いてみたいことはある。
凛霞もそうだが、どうしてこんなに世話をするのか、とか。
ただ

「……あ」

お腹に直撃したらしい。そこまで強力な毒ではなかったはずなのだが。
弱った身体、鍛えられていない身体には厳しかったのだろうか。

「肩? いいよ」

なんなら、背負って走るくらいはできる
それくらいはするかもしれない

橘壱 >  
……思えば、ある意味彼女もそうなのかも。
歴史の授業で聞いたこともある。
異世界からきた人々もそうだが、
元からいた神秘が表舞台に出てきただけ。
ある意味彼女は、そういうのかも知れない。

「ん、こうして僕も頼ってるしね。
 お互い助け合いで……え、ちょ……。」

肩を貸してもらうどころか背負われた。
優秀な一般人枠以上にはなれない壱とは
圧倒的な筋力差。なんか情けない。
情けないけど、こう、なんだ。女の子の背中。

「(これはこれで悪くないな……。)」

一応思春期のオタク、まぁまぁキモいことを考える。
眼鏡をくぃっと上げつつ病院までの道のりをご案内。

……付いた後、勝手に抜け出したのもあって、
こっぴどく叱られたのは言うまでもない。ざまあないぜ。

ご案内:「異邦人街」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「異邦人街」からシアさんが去りました。