2025/01/25 のログ
ご案内:「異邦人街常世城砦」にシェン・トゥアールさんが現れました。
■シェン・トゥアール > 違法建築が繰り返された結果、一区画に存在するビルが融合して生まれた常世城砦…。
内部の正確な住所を把握するのは、知覚に長けた異能を持っているものでも難しい。
日々増改築と修繕が、そして住む人々が移り変わっているような場所だからだ。
そんな中でもそれなりに落ち着いた…まだ”マシ”な区画にある一つの部屋。
掲げられたネオン看板には、ピンク色の『白兔偵探社』の文字が明滅し、
低いノイズを奏でながら明滅している。
その看板がある部屋は、まるでドールハウスのように愛らしい装飾に満ちている。
そんな中で、シェンは薄桃色のソファに腰掛け、細長いものを指に挟んで吸っていた。
冷却材である。 先端から出ているものも、煙ではなく湯気だ。
「フー…。 仕事がないのは困るな。」
可愛らしい幼い声で苦々しく呟く。 堂々としたものだった。
視線を落としテーブルを見る。 3240円…今の全財産だ。
このままでは、自分の体をメンテナンスしてくれている部活…
『ガラテア再現部』でアルバイトすることになる。
かわいい衣装を着る、可愛い所作を行う、可愛い口調でお話する…。
研究部のアルバイトは健全でお金にもなるが、色々恥ずかしかった。
それに、転移前は探偵をしていたのだ。 きちんと稼ぎたい。
ささやかなプライドであった。
■シェン・トゥアール > じっくりと悩んだ挙げ句、ゆっくりと立ち上がる。
時代錯誤な古い黒電話に手をかけると、ダイヤルを回した。
「俺だ。 ああ、アルバイトを頼む…。
あんまり辛くないやつ…。」
電話の相手はドロテア再現部だった。
これで家賃滞納を理由に追い出されなくて済む。
金は大事だ。 たいていの場合において、俺の矜持よりは。
ご案内:「異邦人街常世城砦」からシェン・トゥアールさんが去りました。