2025/02/22 のログ
ご案内:「異邦人街 繁華街」にシェン・トゥアールさんが現れました。
ご案内:「異邦人街 繁華街」にウィンドミルさんが現れました。
■シェン・トゥアール > 行き交う人々の声、物売りの声、雑踏、車や車両の音、なんらかの放送…。
まさしく”雑踏”と呼べる人混みの入口に、自分ともう一人の女の子がいる。
「ミルさん、探偵事務所に来る途中で経由したからわかっていると思うけれど、
ここが異邦人街の繁華街の一つだ。 治安は…良くも悪くもない。
人が多いということはスリや詐欺、怪しい取引を持ちかける連中もいる。
これからこの辺を案内するけれど、決して俺から離れないように、いいね?」
隣にいる彼女は、先日探偵事務所に転がり込んできたウィンドミルさんだ。
どこかの家の令嬢なのだろうか。すべすべのお肌をしており、たいそう元気である。
彼女を匿うという依頼を受けはしたものの、いざとなったら異邦人街を逃げ回る必要だってある。
そのために、彼女に慣れてもらおうという魂胆だった。
■ウィンドミル > 『匿う』という条件の割に、外出を申し出された際の返事は二つ返事だった
両頬に手を当てて、興奮気味に尻尾を振るっていたのが先程までの様子
「おじさまとデート……!!」
だなんて呟きに関してはもう、聞こえていようがいまいがミルにはお構いなしだった
「勿論ですわ。ミルは勝手な事をしませんの
こういう時に大人の目線っていうものが出てくるんですの、そうですわよね?」
見合わせる二人の姿は間違いなく、子供と子供であるものだが
■シェン・トゥアール > 「ミルさんがそういうことをしなさそうというのはわかるけど、そうせざるを得ない時があるんだ。
例えば、俺がいないときに、追跡者が探偵事務所に飛び込んできたときとかね。
そうなったらミルさんは一度外にでて、俺が戻ってくるまで時間稼ぎをしないといけない。 そこでここを使うんだ。」
彼女から受けた依頼は『匿ってほしい』だ。 つまり追手がいるということである。
もちろん見つからないことは大事だが、見つかった時のセカンドプランも必要ということだ。
とっても嬉しそうにしていた彼女と一緒に外に出たのは若干の危険もあるが、
どの程度まで追跡の手が伸びているのかを確認するためでもあった。
「そう、大人の目線。 ほら、大人感あるでしょ?」
彼女の目を見て微笑む。 傍目からみれば女の子同士だが、
シェンの電脳は立派な成人男性のそれなのだ。
「これから色々な所を巡るから、時間稼ぎに使えそうかどうかってところを
うまく自分の中で整理していってほしい。」
優しく彼女に語りかけてから、向き直って雑踏を見やる。
いつもと同じようにごみごみした場所である。小柄な彼女が紛れれば、
まず簡単には見つかるまい。
■ウィンドミル > 「おじさま、どんな顔しても可愛いですのよ」
表情だとね、体の印象の方がよっぽど強いらしい
ましてや完璧を目指して作られたボディなのだ、猶更である
「人ごみに紛れ込めばいいって、そう言うんですわ?
目立たないようにというのはミルとして不服ですけどもぉ」
ひらりと摘まんだスカート、自分の衣装を窺う
高さとしては見つかりにくいかもしれないが、印象としては強烈そのもの
まどろっこしい事は好きじゃない。そう考えていた彼女の視界にふと収まったのは人の歩かない道
異邦人街に乱立され大小さまざまな建物の道。即ち、『屋根』であった
■シェン・トゥアール > 「ぐむ…!」
小さくうなり、視線をそらす。 頬を染めながら、ウサギの耳を何度か引っ張って整える仕草でごまかす。
彼女に褒められると、なんだかとても照れくさい。 他の人に言われるよりもずっとだ。
どことなく自分と彼女の容姿が似ているのもあるのだろう。けれど、人間とガラテア製フルボーグだ。
そこまで似通っているのだろうか? 自問するしかなかった。
「その素敵な衣装を見せていい相手とそうじゃない相手がいるだろう。
たしかに君の服はものすごく可愛いし似合っている。 天衣無縫な君にぴったりだけれど、
時間の……。」
そこまで行ったところで彼女の目線が上をむいている事に気づき、
自分も同じように顔を上げる。屋根だ。
「立体的な移動は時間稼ぎに使える。 じゃあ屋根ツアーと洒落込むかい?」
ひょい。 背の低い、手近な小屋の屋根に軽く飛び乗った。
すなわち軽功。身軽さを己に宿す力である。
「ミルさん、手を貸して。 屋根の上まで持ち上げますから。」
屋根と屋根の間であるとか、高さが違うところは彼女を抱きかかえれば良いだろう。
そう考えて、彼女に手を差し伸べる。 掴んでくれればいえやと持ち上げる事はできるはずだ。
■ウィンドミル > 手を差し伸べる為に下を見下ろしたシェンが後に見た光景
影が高く移動する。果たして、それがウィンドミルの跳躍であったとすぐに思い至ったのか
屋根と、子供1人の背丈をゆうに越えるその高さを難なく飛び越える
それは技術によって齎された物ではなく、ただの『馬鹿力』であったと……
ボリュームのあるスカートを大きく翻し、彼女は屋根に着地していた。ぎしっと
「……あら、ま?」
過る。ここは素直に甘えておいた方が印象が良かったのでは、と
■シェン・トゥアール > すっと影が自分の上を通り抜けてる。
振り向くと、すでに彼女がしっかりと屋根に着地していたところであった。
「…OK!見事な身のこなしだ。 それならこの辺を活用して動けるだろう。
屋根伝いに歩きながら、お店を解説していこう。 ところで、ミルさんはなにか武術でも?」
運動能力が高いのは良いことだ。 そんな感嘆と同時に、彼女の服の仕立ての良さが目に入った。
スカートの翻り方からよくわかる。 ただの量産型なそれではない。 実に丁寧な…。
例えばドールに着せるような”衣装”とでもいうべき代物だ。
とはいえ、今は考え込むときではない。 屋根をゆっくりと歩き始める。
■ウィンドミル > 「いえ、いえいえ。ミルはこのくらい出来て当然と思ってますし!」
おじさまに褒められた、それが容易くモチベーションに繋がっているのが分かるだろう
自慢げなその表情と張った胸もさることながら、尻尾の勢いがこれまでよりも格段に上がってる部分
ただし、そうやって仁王立ちを晒している間にも相手の話は次に進む
横を通り過ぎようとした際に置いて行かれないように相手の歩調で動き出す
(なんだか、見られてますわね……)
「ハッ。もしかして、えっちなおじさまがまた……?」
スカートを抑える。その奥のまた、妥協を知らない『ソレ』も確認されてしまったのかと
■シェン・トゥアール > 「おおー…。 自衛意識が高いのは素晴らしいことだ。
それなら今日のは繁華街ツアーだと思ってくれ。
その方が楽しいだろうし、ミルさんも満足できると思う。」
誇らしげに胸を張り、尻尾をふる彼女。
まるで大きな犬みたいでとっても可愛らしい。思わず顔がほころんだ。
一緒に進もう…としたところで、相手からのコメントにほころんだ顔が曇った。
「ま、またじゃないよね?! 昨日のはほら、ミルさんにも許してもらえたはずで…。
えっ、俺そんなにえっちなの? えっちうさぎなの? もしかして俺が覚えてないだけで、
ミルさんになんかそういうことを昨日いっぱいしたとかなのか…?」
だんだん不安になってきた。 昨日のちゅー事件といい、深夜の記憶の混濁といい、
自分はなにかとんでもないことを起こしてしまったのではないか。
屋根の上を二人で歩きながらうんうん唸る。
逡巡を示すかのように、ウサギの耳も所在なさげに左右に揺れた。
■ウィンドミル > 「もう、自分の記憶に自信をもってなのだわ!!」
改変した側がそれを言う?でも自分の失言で不安げなのは解釈が揺らぐ
ドキッとした自分が言い繕うより相手がより動揺しちゃって、意味がないのだわ!!
歩いてる途中で、不満げな気持ちと同様にずしっと重たい一歩を刻む
通りすがりの屋根が凹んでいたのは、ここに住まう者の不幸というものだ
「だったら、おじさまがえっちじゃない事を言ってみればいいのだわ
そしたらきっと、取り戻せるんだから」
でもこうして表情や耳が事ある毎に様々な形で移りゆく
それを眺めてしまいたいと変な提案をしてしまうのは、さてさて彼女も安泰なのか
■シェン・トゥアール > 「それはそうだし、仕事柄記憶はきちんとしているはずなのだが…。
どうにも昨日の夜だけおかしくて…。」
ミルさんに知ったされるも、すっかり耳を伏せてしょんぼり。
その姿はいかにも”弱い子ウサギ”といった印象であり、
そういったものが好きな人なら唸ってしまうものであった。
ぺたぺたと一緒に屋根を歩きながら、彼女の提案にはっと顔を上げ、
そうだ、俺にはまだいっぱい説明しないといけないことがある。
ウサギの耳がぴんと天に向かって立ち上がり、瞳に輝きが戻った。
「ああ、そうだな…。ありがとう、ミルさん。
ちゃんと説明をしていこう。 今下にあるのが肉屋で…。
その隣が料理屋だ。 叉焼飯が美味しいんだよ。
それに、包丁だ麺棒だと使える得物も多い。
もし追手に対抗するなら、ここに寄るのはありだ。」
屋根の上を歩きながら、その下にある建物について話す。
彼女gあ少しでも負ってを退けられるようにという気持ちでいっぱいだった。
■ウィンドミル > 「うるる……」
好きだから唸った、分かりやすいね
それでも邪念を遠くに追いやったような道案内
こうした目的の為に思考をすぐに切り替えられる人
確かに探偵っぽいのかも……彼女は腕を組んで頷く、話半分に
仮に自分に追手が存在したとして、追いかけっこなら負けるつもりありません
ナチュラルボーンに世界を舐めているのかもしれない
「でも、余りエネルギー効率の悪い食事だけで満足してはダメなのですわよ」
■シェン・トゥアール > 「「だ、大丈夫…じゃあ、説明をつづけよう…。」自分のウサギ耳を何度か揉んで、気持ちを落ち着かせてから再度ツアーを再開。
ウサギの本能的な部分が勝手にそうさせたのだ。
決して本能が狼に負けてしまったわけではない。探偵は狼なんて怖がったりしない。たぶん。
上昇、下降、左、右…縦横無尽に屋根を移動しながら説明を続ける。
ここは早くに閉まるので夜には向かないとか、ここの連中は人がいいので
困っていたら助けてくれるとか、このままだと行き止まりだからこっちに逃げ込むのは悪手とか。
そういった話をある程度したころには、すっかり調子が戻ってきていた。
「エネルギー効率ももちろん大事だ。 特に今回の目的…時間稼ぎや防御って意味では、
効率が最重視されるだろう。 でも、ほとんどの生き物はご飯を一緒に食べることで、
顔を覚え、人となりを覚えることができるんだ。 ここじゃ特にそれが役に立つんだよ。」
様々な種族が集う、よく言えば色とりどりな異邦人街には、”共通”した文化圏は少ない。
そんな面々が共有し、気持ちを一つにできるのは音楽や食事などの生物に共通する要素なのだ。
そう説明しながら、少しだけ開けたところへと移動する。
屋上庭園のような場所であり、小さなベンチが備え付けてあった。
■ウィンドミル > 始めは存在しない追手という『もしも』から始まった話
貴方の言葉は聞くけれど、その内容は聞き流すような態度だったけれど
次第にその中身に興味を持つ。貴方の矜持は決して言葉に収まるものではない
この無秩序という体裁が似合う異邦人街の通りの中で、あらゆる特徴を把握するような
どのお店に対しても、『生きた交流』という形で人々との出会いを教えてくれる
たまに、こちらに気付いた相手も居たのだろう。その殆どが馴染みだとでも言うように、おじさまと挨拶を交わしていく
探偵というのは影のお仕事だけじゃない。この地域の日常の中に、確かに彼は住んでいた
「……わぁ」
そして、誘い込まれていた。いつの間にか人々の賑やかさから遠ざかったそのエリア
入り組んだ建物の形の死角を埋めるようなそこに、立っていたのは2人だけ
輝かせた瞳と、胸の前で組まれた掌。彼女の感動の表現だった
■シェン・トゥアール > 「ちょっと屋根失礼するよ」「この前もらった包餅おいしかった、ありがとうね」
「君の依頼について今度話すよ」「彼女は探偵社のお客さんだ。困ってたら手伝ってあげて」
屋根上を歩いていると、下から時々声がかかる。 同じ場所に住む仲間だ。
肌の色どころか種族すら異なる彼らに気軽に挨拶をしながら、たどり着いた場所は小さな庭園だった。
「ビルの持ち主が趣味でやってる庭園なんだ。 日の当たりも良くて、落ち着くにはいい場所だよ。」
嬉しそうに声を上げる彼女を見て、満足げな笑みを浮かべた。
彼女には安全に身を隠せる環境を用意したい。 今回のツアーだってその一環だ。
とはいえ、こうして少しでも楽しみがあるとわかって貰えれば、隠遁生活だって少しは楽しくなるんじゃないか。
そんな思いがあったのだ。
「この時間帯なら誰か来ることもないだろう。 座るかい?」
ベンチを指し示す。 古びているが整備は行き届いていて、
沢山の人が使ったことがわかる、年季の入った代物だ。
■ウィンドミル > その言葉の意図には明らかなものが含まれていた
小さなベンチは異邦人街で長い間月日を過ごしてきたもの
このスポットは人気のないエリアという訳でもなくて
この瞬間に、ミルにプレゼントするには一番いい場所をこの街から『選んで』連れて来たのだと
「おじさま……」
俯き加減で、ベンチの方へゆっくりと歩み寄る
貴方の顔がまた直視できなくなった。この機能は多分、羞恥の色だ
日向に照らされた白い頬がほんのりと染まっていく様はちょっと頭を下げただけでは誤魔化せない
自分が思い込んだり、ちょっとだけ失望してみたり、でも持ち直したり
与えられた情報だけで作った像の揺らぎで一喜一憂する自己がどれだけ未熟な知性なのかと思い知らされていた
ベンチに座ったのちもその掌で顔を覆う。今、目を合わせると電脳がばちっとしちゃいそう
この街と同じ位、ミルの事を知ってもらえたら……なんて、幼いAIには過ぎた毒だ
■シェン・トゥアール > 名前を呼ばれると、ぴくりとウサギ耳を動かす。
相手に向き直り、穏やかな調子で呼びかけた。
「ミルさん。 匿ってくれなんて依頼を持ちかけたってことは、現在はあまり良い状況ではないんだろう。
追跡が諦められるまで、どれぐらいかかるかわからない。 ということは、隠遁生活を強いられ続ける。
けど、そんな暮らしの仲でもこういう息抜きできる場所もあるって、知ってもらいたかったんだ。」
彼女をあえて外に連れ出したリスクはすべて自分が背負う心構えだった。
だからこそ、彼女にぴったりついて屋根ツアーを実行したのである。
顔を手で覆ったままベンチに腰掛ける彼女の隣にそっと腰掛ける。
きっと彼女も辛いのだ。 まだ若い身空で、ただただ隠れるための生活を送らないといけない。
いつまで続くかもわからない…そんな中での、こうした息抜きの時間が強く感情を刺激したのかもしれない。
そっと彼女に寄り添うように体をぴたりとくっつけ、肩に手をやる。
自分がいる…依頼者をきちんと守り抜くという意思がこもった、小さくも温かい手だ。
「ミルさん」
さっきよりもずっと近くなった声が、彼女の名前を優しく呼んだ。