2025/04/10 のログ
ご案内:「異邦人街」に青霧在さんが現れました。
ご案内:「異邦人街」に夜見河 劫さんが現れました。
■青霧在 > これまで何度も異邦人街を訪れてきた。
ただし、私用でとなると、その回数は片手で数えられる程度まで減る。
自らの意志で訪れた回数ともなると更に減るだろう。
他は殆どが委員会絡み。
落第街に向かう通過点であったり、治安の悪い地域での任務であったり。
故に、繁華街のような賑やかな区域に留まるのは少しばかし新鮮に感じた。
車窓を過ぎ去るばかりだった雑多ながら彩やかな並びを、立ち止まって眺めるのは新たな経験かもしれない。
それに、車窓越しのみではこの喧しすぎるぐらいの香ばしさを知る事は出来なかっただろう。
時刻は夕暮れ。
まだ肌寒さを感じる一方で、春の足音を感じさせる陽の長さ。薄明るく照らされた建物の下で人を待つ。
約束の時刻まであと5分を切った。
待っているのは落第街に住まう知人。
少し言葉を交わしただけだが、どうにも他人事とは思えなかった彼。
最後の邂逅から半年程経っているにも関わらず、突然の誘いに応じてくれたのは驚きながらも深く感謝している。
約束の15分前からここにいる。
今は閉じている店舗の壁際に凭れ掛からず立っている。
■夜見河 劫 >
異邦人街は落第街に隣接する箇所にある。
その為、少し足を延ばす位はどうという事もなかった。
携帯端末に入った、突然の呼び出し。
以前に一度、それと知らずに風紀委員の追跡を受けていた違反組織の逃走者を
それと知らずに叩きのめした事で、言葉を交わす機会があった相手からの呼び出しだった。
今後の為という事で連絡先を教えられて登録はしていたものの、特に呼び出される事も無く。
だから、今回の呼び出しは呼び出された者には少しばかり首を傾げるような出来事だった。
普段のほつれ気味の制服では流石に色々と難がある。
私服に着替え、まだ寒さが残る為に上着もひっかけて、到着したのは約束の時間の3分ほど前。
少し見渡せば、以前に一度見た顔の制服姿の男。
「……もしかして遅刻だった?」
相手に分かるように軽く手を上げながら、そう声をかける。
呼び出しに対して遅刻こそしないが、大体の場合、到着は約束の時間の2~3分ほど前になる事が常だった。
■青霧在 > 馴染みのない街を見渡しながら待っていたところ、聞き覚えのある声。
顔に包帯を巻いた夜見河の方を向く。私服姿だからだろうか、以前のような血生臭さはそれほど感じない。
「いや、約束の時間はまだだ」
「来てくれてありがとう」
こちらも軽く手を上げて応じる。
遅れて来ると思っていた訳ではない筈だが、時間前に来たのは少しばかし意外だった。
夜見河の3歩前、近すぎず問題なく会話出来る距離まで近づく。
「一先ずどこか入ろうか。春でもこの時間は寒いだろう」
寒さを寒いと感じる事はないが、寒さを理解できない訳ではない。
元々食事に誘ったのだ。こんなところで立ち話をするのも良くないだろう。
「肉料理が多そうな場所を選んでみた。好きなところで食べるとしよう」
そう言って街並みに視線を向ける。
下調べはしてきたが、どれが夜見河の興味と鼻孔に刺さるかまでは分からない。
一応オススメもいくつかは考えて来た。
異世界の家畜を島内で飼育して提供している飽食亭など良さそうな印象を受けた。
特定の料理というより、その家畜の肉を提供する目的の店らしく、肉が主体の地球料理を多数提供しているらしい。
■夜見河 劫 >
「だったら良かった。呼び出しはあっても、誰かと待ち合わせなんて殆どなかったから。」
相変わらず平坦…というか、気力に欠けるような調子の声。
最も、荒事がなければ大体いつもこの調子であるが。
「もうそろそろ上着も必要なくなる頃かと思ったけど。
まだそこまでは遠そうかな。」
夜も近くなっているというのもあるが、まだ少しばかり肌寒い日が続くこの頃。
流石に上着が手放せない気温である。
此処からそろそろ温かくなってくればいいという時期ではあるのだが、上着が必要な日はまだ少しかかりそうだ。
「肉か……悪くないね。
落第街だと、成形肉のステーキサンド位が少し贅沢な位だから。」
その一言で、普段の食生活の雑さが分かってしまう。
落第街故致し方なし、と言ってしまえば其処までなのだが。
ともあれ、普段は此処まで足を延ばしての贅沢というのはあまり考えない。
「随分前に歓楽街に食べに行った時は、随分辛い料理で、少し舌をやられたっけ。」
その店を訪ねて来た物好きな女生徒の事が小さく頭を過ぎりつつ、視線を彷徨わせる。
見た事のない店が多い。異邦人街、というのもあるだろうが、殆ど此処に来た事もないというのも大きい。
「――オススメの店とか、ある?
そこそこ食べられれば、あんまり味とかはこだわらないけど。」
結局、呼び出した相手に丸投げしてしまうことになった。
■青霧在 > 「そうだな。羽織るものを持ち歩いたりで中々に面倒な季節だ」
一日の気温差が激しいと厄介極まりない。
しかしこの肌寒さも気づけば蒸し暑さとなっており、肌寒さが恋しくなるものだ。
アツいより寒い方がマシだと思っている身としてはもう少しこの季節が続いて欲しいと思わなくもない。
「…逆に成形肉ならあるんだな」
何の肉で出来ているか分かったものじゃない、という感想は飲み込んだ。
以前来た時は辛い物を食べたのか。この話ぶりだと、辛い物自体に思い入れはないだろうか。
食べられればいい。自分とは少し違うが、味にはそこまでこだわりはないようだ。
「それなら良さそうな店を調べておいた」
「異世界の牛のような肉を提供している店だ。評価も上々だし量もある、メニューの種類も豊富らしい」
「その肉ってのがかなり美味いと聞いた。そこでどうだろう」
折角調べた飽食亭を進めておこう。
肯定的ならばそのまま案内しよう。
■夜見河 劫 >
「季節の変わり目で風邪ひく生徒も多いらしいんだって?
生活委員のお知らせで注意が回って来てたっけ。」
確かそんなお知らせのポスターが、前に学園に日数確保で登校した時にあったはず。
異能の影響か、風邪をひいた事はなかったが、そうではない生徒は大変だろうな、とぼんやり考える。
「一応、牛100%だって売り文句。
どこまでホントかは分かんないけど。」
制服姿の男の心の声を見透かしたような言葉。
流石に落第街の店の売り文句を真に受けてはいないようだが、最低限まともな店ではあるらしい。多分。
「異世界の牛、ね……。」
軽くぼやいて少し考え、包帯巻きの頭を軽く動かして頷く。
「いいよ、肉の質や違いが分かるほど上等な舌じゃないから、その辺はこだわらない。
量があるのは良い事だし。」
興味が湧いた模様。
そのまま、案内する相手についていく形で店を訪ねる事になりそうだ。
■青霧在 > 「季節の変わり目というのはそういうものらしいな」
「風紀内でもそういった注意喚起をされていた覚えがある」
手遅れの者もいるようだが。
昔、春先に体調を崩していたのはそういうことだろうか。
もっと早く知りたかったものだ。
飽食亭に対する夜見河の反応は…
「なら行こうか」
悪くない。
安心と、報われたような微かな歓喜を感じながら店の方へと歩き出す。
徒歩数分で到着した飽食亭は、大衆食堂のようなカジュアルさとオープンさがある一方で、少なくとも明らかに日本とは異なるテイストの肌色の材質の店舗。違和感こそあれど拒絶してしまうようなものではなく、むしろつい入ってしまいそうな好奇心を引くものがある。
店の混雑具合は幸運にもそれほどで、5分程で案内されるようだった。
『待ってる間これ見てて』
といって長耳の店員に渡されたのはメニュー表。
ステーキハンバーグ、串焼きや煮汁のスープ、麺類になんと刺身まである充実メニュー。
かなりごちゃごちゃした情報量の多いメニュー表を入り口傍のソファで眺めているうちに席に通された。
多数の客で賑やかな店内、なるべく地球人に合わせようとした努力が見受けられる店内は似非日本のような雰囲気だが、神経質にならなければ全く気にならない程だ。
4人掛け、両面ソファのテーブル席に通された。
向かいあう形で座り、席に置かれたメニューを改めて広げて夜見河に向けた。
「何にするか決めたか?」
青霧は決まっている。
別に一品に絞らなくてもいいが、メニューを見た限り、店名に引けを取らないボリューム感。
自分は一品が限界だな、などと考えながら返答を待つ。
■夜見河 劫 >
案内された店の独特の雰囲気は、テンションやら反応の薄めの包帯巻きの顔の男の目からも珍しかったらしく。
店に入ると、流石にそれと分かる程に店内をぐるぐる見渡しはしなかったが、少し興味を引かれたようで
軽く目線を動かして店内の様子を眺めていた。
独特な長い耳には「まあそういうもの」という気持ちも働くのか、不躾に視線を向ける事もせず。
渡されたメニューを眺めながら、待ち時間を過ごしていく。
一ページに割と時間をかけ、ぱたり、ぱたりとメニューを捲る音。
そして順番が回り、席に案内されて、何にするかと声をかけられれば、小さく首が横に傾く。
「沢山あるね、メニュー。ちょっと迷う。
串焼きのセットもだけど……こっちも美味そう。」
盛り合わせのような串焼きセットに続いて指を伸ばしたのは、少しばかり辛そうに見える赤さのテールスープに
米粉で作った麺…ライスヌードルらしき麺を合わせたもの。
メニューの解説からも、味はやや辛口のようだが、身体はその辛みのお陰で暖まりそうだ。
「外、寒かったからね。ちょっと辛い物を食べて、温まるのもいいかなと。」
■青霧在 > 同僚に異邦人が多い身からすれば耳が長い程度では特段気になる程でもない。
どちらかというと流暢なしゃべりに少しばかり関心した。
同僚に漫画の中国人のような喋り方をする長耳がいる為、つい。
「辛い物は温まるからな」
頷きながらテーブル席の奥に視線をやると、電子機器の黒いパネル。
そこにオモイカネをかざすと、自動で店のサイトに飛ばされる。
シンプルなデザインがら分かりやすいAIと操作性のサイトを操作し、自分の注文である唐揚げと、夜見河の注文を一つずつ選択し、夜見河に確認を取る。
確認が済めばそのまま注文し、テーブルに備え付けられた水差しからコップに水を注ぎ、夜見河に差し出した。
「ここはあそこから近いが、何か食べに来たりはしないのか?」
落第街の外で食事はしないのかと、尋ねる。
距離的にはいつでも来れる筈だし、世間話ぐらいのつもりで尋ねた。
■夜見河 劫 >
「あんまり辛すぎると、味を感じるより前に痛みが来るって聞くけど。
デスソース、だったっけ。」
下手に取り扱えない調味料だった。
それでなくても、激辛に味付けされたものを食べ過ぎて体調を崩したという例はいくらかある。
最も、それらは飽くまで極端な例ではあるが。
「……この顔だと、怖がられる事が割とあるから。」
落第街の外での食事の問いには、軽く目元を指す。
気迫はないが、それでも何処か異様に思える雰囲気の眼光と目つき。
「外まで出るとして、歓楽街辺りかな。
あそこなら、まだ変に怖がらせたりしなくて済む。」
監視対象とはいえ、それなりに秩序というものには気を遣っているらしい。
歓楽街方面ならば確かに、揉め事や物騒な雰囲気の者相手でも慣れた対応が出来そうだろう。
「結局、一番多いのはコンビニで買って来た食事だけどね。
ゴミ出しを忘れないなら、あれが一番楽。」
■青霧在 > 「辛味は刺激のようなものだと思っている」
「刺激も過ぎれば痛みや傷になるのは当然だろうな」
デスソースは分からないが、青霧にとって辛味とは刺激であり熱だ。
嫌いではないが、好きでもない。
辛味に付随するうま味は分かるが、それならば辛味は必要ない。
「……なるほどな」
指さされた目元を見つめて、理解を示す。
自分は平気だが、そうでない大多数からすれば恐怖を抱くのも無理はない、だろうか。
秩序側としても、仮に通報でも受ければ夜見河の方をどうにかしようと動くかもしれない。
そのような目に会う可能性を考えれば、"外"に出ないのは賢い選択だろう。
ただ、悲しく思う。微かに眉を顰めた。
「コンビニか。24時間営業は便利だからな」
任務終わりなどに利用することがある為、こちらは共感出来る。
それにどこにでもあり、短時間の利用で済む。
夜見河にとっても都合がいいものなのだろう。
「……」
「夜見河。お前は、自分の事がどう見えている?」
料理はまだ来ない。
それとなく、訊いたつもりだ。
「別に説教でもなんでもない。ただ気になったんだ」
そう補足して、膝の上で手を組んだ。