2026/02/03 のログ
■大神 璃士 >
「――――――――」
ゴォ、と、異様に重い呼吸音。
跳躍し、去っていくリザードマン…否、歩く暴威というべきそれを、黒いジャケットの風紀委員は
追跡する事はなかった。
否、正確には追跡する事が出来なかった――が、正しいだろう。
顔の傷は然程でもなかった、が、「返し」を放った右の腕は、ジャケットどころか
その下の制服の袖までズタズタに裂けている。
勿論、腕が無傷で済む訳もなく、大小あれど様々な裂傷から、こちらも血がぼたぼたと流れる。
無事だったのは、腕につけていたガントレット位だ。
「………あれで、まだ動くか…。」
慮外の生命力。
胴体貫通一歩手前という程の深手を負いながら、まるで堪えた様子もなかったように、
リザードマンはこの場を退いていった。
「……この程度で済んだのは、幸運だったかもな。」
あるいは、今夜の月齢に感謝するべきか。
もっと月が小さい日であれば、受けた負傷はこの比ではなかっただろう。
だらり、と、傷だらけの腕を垂らしながら、黒いジャケットの男は通信を入れる。
「――こちらルプス1。甲種不明犯を取り逃がした。
至急追跡求む。……ただし、深追いはしないようにしてほしい。」
あれだけ動けたのである。
下手に追い縋って牙を剥かれたら、今度は殉職者が出かねない。
暫くの後、男は駆け付けた救急班に収容され、搬送される事になるのだった。
追跡が拉げたマンホールで止まる事になるのを知るのは、追跡が中止になってから更に数十分後の事である。
ご案内:「異邦人街」から大神 璃士さんが去りました。
ご案内:「異邦人街」からカタストロアさんが去りました。